一悶着があった気がしたけど、今までで一番頑張って説得した気がする。
なんとか許可が取れたため、いまだ性徴期(誤字にあらず)であるちっひーと奈緒を引き連れ、デパート(?)に来ていた。
二人は俺からあまり離れることができない。かといって、近づいている事も厳しいという状況。
……………………。
やりすぎない程度に遊ぶのはありだよね?
「言っておくが、少しでもからかったら今後の外出が厳しくなると思え」
「いえっさー」
まるで俺の考えを読んだかのように釘を刺してくる。ちっひーも奈緒の後ろに隠れながら睨んできているのだが、顔が赤いのでいつも以上に迫力はない。
迫力はないのだが、雰囲気に押されて返事をしてしまった。
「さっさと服買って帰るぞ」
「うぃ……」
ここで他もブラブラしたいとか言ったらどうなるのかと少し考えていたんだが……。
学校以上に視線を感じる。
髪が長いし女性に見えなくもないと思うんだが、結構見られている。
中には声をかけようとしているのか、近づこうとしている人もいるが……ちっひーと奈緒に追い払われていた。
俺はいいとしても二人が面倒そうだ。
なら買うもの買ってまた今度の機会にするか。
目的のものがある店の前へとついた。
男性の数が少ないからか、さすがにスペースは女性物に比べると小さいが、それでも十分な品揃えだ。
店員は女性らしい。なるためには何かしら審査でもあるのか、不躾な視線を向けられたりはしなかった。
「どのような服をお探しでしょう?」
「XLかXXLの大きさで、なるべく無地の」
「それでしたらこちらになります」
案内された先には望んでいた服が並んでおり、客も俺しかいないため選び放題である。
「試着ってできます?」
「それでしたらこちらにございます」
試着室は店の奥にあり、通路から見えないようになっていた。
ここまで細かに気を使わないとやっていけないとは。
「んじゃ、試着してくるから二人とも感想よろしく」
「…………ああ」
「…………分かりました」
服とズボンをいくつか選び、試着室へと入っていく。
感想を頼んだと
二人もそれを分かっているが、断れない。
でなければ俺がどんな服を選ぶのか分かったものではないからな!
店員さんもいるが、服について見てもらうため仕方がない。
この人の反応も楽しみだったりするが。
「これでどうだ!」
バサッと勢いよく試着室のカーテンを開けて姿を見せれば、ちっひーと奈緒は鼻血を垂らしていた。
あらかじめ分かっていたからか、手元にはティッシュが用意されている。
店員さんも顔を赤くし、目を逸らそうとしては俺の姿をチラチラと見ていたが、そして二人と同じように鼻血を垂らしているので奈緒からティッシュを貰っていた。
「なになに? 興奮した?」
「……アホか」
上は双葉杏と似た感じで片方の肩、鎖骨が見えているだけの半袖シャツだ。
髪が白いので、選んだのはグレーと黒の二種類。いまは黒を着ている。
下も半ズボンだが薄くて涼しく感じられる素材で作られている。ゴムだから落ちる心配はないし、大きいサイズだからゆったりしていて最高だ。
だが、肌の露出が女性陣には厳しいのか、長く見ていられないようで。
「いいから次のに着替えてみろ」
「次も何も、全部同じだけど」
「…………は?」
「おしゃれとかどうでもいい。着やすいのが一番の優先事項だ」
どうやら他の男性らはオシャレというものを意識しているらしい。
だから先ほどの発言に三人はポカンと口を開けている。
「これで満足だな」
あとは何着買うかなんだが……洗濯、乾燥時間を考えれば少なくとも五着ずつあれば平気か。
持ってきたのは二着ずつだから、足りない分を持ってこないと。
「あの、本当に買うんですか?」
「そ、そうです! 私たちが蒼さんに何を言われるか!」
まさかまさかの、店員さんがそう言ってくるとは。
ちっひーもどうにか阻止しようとそれに乗っかってくる。
出かける日を話してる時は逆だったが、今日は奈緒が重い方らしく。奈緒はそこまで回復できていないようだった。
「大丈夫大丈夫。母さんには好きなの買ってきていいと説得済みなので」
残念ながら、一番心配な部分は事前に排除しておりますゆえ。
そのため、計十着。お買い上げでございます。
「すぐ戻るが、ここを動かないでくれ。すぐ戻るから」
「すみません。本当は交代がいいんですけど、私も限界で……」
「はいはい。いてらー」
買い物を終え、俺は荷物と一緒にベンチへ座っていた。
鼻血の処理をするため、二人はお手洗いへと向かう。
…………。
女性から向けられる視線が一気に増え、店内の雰囲気が変わった気がするんだが。
気のせい……だよな?
次あたりにデレマスキャラ出ますよ!
九石翠
興奮で鼻血でるんだ…
千川ちひろ 日草奈緒
血の対策をどうにかしなければと考え始める