貞操観念逆転ガールズ   作:不思議ちゃん

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ちょろイン

 どうやら気のせいでは無かったらしく。

 いま、女子大生と思われる女性三人が目の前に立っている。

 

「一人? お姉さん達と一緒に遊ばない?」

「人を待ってるだけなので。また今度、機会があったら」

「男を待たせるなんて女として終わってるわ。私たちにしましょ?」

 

 確かに、ツレはちっひーと奈緒。女だが……何故断定できるんだろう……。

 ……ああ、そもそも男だけで出かけることがまずあり得ないのか。

 

「君はなんだか他の男とは違う気がするね」

 

 そう言って髪に手を伸ばしてくるのだが、下心が丸わかりだったので気味が悪く、手を払う。

 

「…………へぇ」

 

 なんだか三人の雰囲気が変わった。

 ……ああ、既視感があるなと思ったら、元の世界でナンパを断られた男と同じか。

 

 となると、この後も面倒になる。

 他にいる女性客は遠巻きに見ているだけで、助けて好感を得ようとするものはいない。

 

 そんな中、誰も近くさえ通ろうとしないのに一人の女の子が歩いてくる姿が見える。

 どうやらこちらに気づいてないようだ。

 …………。

 

 ……見たこと、ある。

 低い身長、童顔、ボンキュッボン。

 片桐早苗。俺より三つ歳上。

 格闘技の有段者だったはず。

 アイドルになる前は警察関係の役職だったから助けを求めても……いいよな?

 

「……待ってたよ、さえ(・・)。また新しい服買ったの?」

「…………だ、誰?」

(絡まれてて。合わせて)

 

 早苗と似てる紗枝ちゃんの名前を呼びながら近づいていく。

 知らない相手から近づいてこられて少し狼狽えているが、短い説明でどんな状況か理解してくれたらしい。

 

「ごめんね、お兄ちゃん。お詫びにパフェ奢るから許して?」

「ってことで、待ってる人も来たので」

「……妹なら先に言えばいいのに」

 

 妹なら置いてけばいい、とか言われず、諦めて去っていったようで良かった。

 その姿が見えなくなってから助けてくれたお礼をする。

 

「すみません。巻き込んじゃって」

「大丈夫大丈夫。気にしないで」

「お礼にパフェ奢りますよ」

「そんな大したことしてないって」

 

 しばらく同じやり取りを繰り返したが、先に折れたのは早苗さんだった。

 おっと、まだ自己紹介してないから名前を呼ばないように気をつけねば。

 

 荷物を回収し、上の階に移動して喫茶店ぽい店に入っていく。

 二人にメールで階層と入った店の名前を送っておいたから一安心だ。

 

「あたしの名前は片桐早苗。これでも18歳よ。さえって呼ばれてビックリしちゃったわ」

「俺は九石翠。15歳。急だったから知り合いの名前しかでてこなくて」

 

 早苗さんはいちごパフェ。俺はチョコパフェを食べながら話していく。

 

「それにしても男の子一人で買い物なんて珍しいわね。襲ってくれと言っているようなものよ?」

「連れが二人いるんだけど、色々あって離れてる時に絡まれて」

「そりゃ災難ね。あれ以上無理に何かしようとしたら逮捕してたけど」

「早苗さん、警官なの?」

「まだ四月に入ったばかりだけどね。今日は休みなの。……こんないい男と一緒に過ごせるなら、さっきの事も悪くはないわね」

 

 そう言いながらも美味しそうにパフェを食べている。

 デレマスキャラはあまりそういった目を向けてこないのだろうか?

 

「君は初対面の女性に無警戒すぎない?」

「人を見る目はあると思ってる」

「んー、なんか違う気がするのよね。……普通の男だったらあたしのことを見ると嫌な顔をするのに」

「嫌な顔? 何故?」

 

 少し辛そうに話しているのだが、俺にはその理由が分からない。

 だから聞き返したけど目を見開いて驚いた顔を向けられる。

 

「胸が大きいと性欲が強いって根も葉もないデマが流れてるんだけど……」

「自分でデマって言ってるじゃん」

「そりゃ、そうだけど……?」

 

 自分で言ってて混乱したらしく、手を止めて考え込んでしまった。

 反応がないのでパフェを食べながら改めて見てみるが……けしからんなぁ。

 これで合法とか、たまらんなぁ。

 

「早苗さんには早苗さんの良さがあるのに」

「…………ふぇっ」

 

 思わず漏れた声が聞こえたのか、顔を真っ赤にした早苗さんがいた。

 …………ふむ。

 案内された席が店の奥で周りに人があまりいないため、誰も気にしてないのを確認する。

 

 俺は対面に座っていた形から早苗さんの隣へと移動して腰を下ろす。

 

「きゅ、急にどうしたの?」

 

 慌てて距離を取る早苗さんだが、すぐ壁に背がつき逃げ場がなくなる。

 

「助けてくれたお礼、何でもしますよ?」

 

 そう言いながら少しずつ近づいていく。

 早苗さんはそうさせないようにしたいようだが、俺に何かあったらと考えてかその力は弱く。

 すぐに腿と腿がくっつく距離になる。

 

「あ、あのあの……」

「何でも、しますよ?」

「ぱ、パフェ奢って貰ってるから!」

「それだけでいいんですか?」

 

 警官としてか、それともさっき話してた巨乳うんぬんを自ら実際のものとしないためか。

 どちらにせよ、そろそろ限界な気がする。

 

 なので、そっと手を腿に乗せて撫でる。

 いい肉付きでずっと触っていたい。

 

 

 

 ふと我に帰ると、顔を真っ赤にして鼻血を垂らした早苗さんがテーブルに突っ伏していた。

 ああ、やり過ぎたなぁ……。

 服にはついてないようなのでポケットからティッシュを取り出して拭き取る。

 これ以上、刺激するとやばそうなので元の席へと戻ったところでタイミングよく、ちっひーと奈緒がやってきた。

 

「……おい、今度は何をした」

「この人、片桐早苗さん。18歳。女の人に絡まれてたのを助けて貰ったお礼にパフェ奢ってる途中」

「パフェ食べてるだけでこうはならないですよ?」

「何でだろうね?」

 

 俺が素直に言うわけないことは二人も分かっているようで。

 諦めて俺の隣にちっひー、早苗さんの隣に奈緒が座り、コーヒーを頼んでいる。

 テーブルに突っ伏している早苗さんをスルーした店員はすごいと思った。

 

 頼んだものが届いてすぐ、早苗さんは目を覚まし。

 改めて自己紹介をした。

 それが終わるとすぐ、早苗さんと奈緒はトイレへと行ってしまう。

 

「ねえ、ちっひー」

「…………なんですか」

 

 比較的落ち着いてるとはいえ近づくとダメなのか、イスの端っこギリギリに座っているちっひーに声をかけると警戒した返事が。

 

「さっきといい、今といい。いったいナニ(・・)の処理をしてるんだろうね?」

「…………女の子には色々あるので」

「そうだったね。色々と、あるもんね」

 

 あー、チョコパフェ美味しいな。

 

 

 

 

 

 トイレから二人が戻ってからは普通の会話を楽しみ、解散することになったんだが。

 途中まで帰り道は一緒で、分かれ道についた時。

 

「あ、あたしの心を盗んだ罪は重いわよ! いつかお姉さんが君の事を逮捕しちゃうんだから!」

 

 そう宣言された。

 相当恥ずかしいのか、言っている時の顔は物凄く赤かったし、言い切った後は逃げるように走って行ってしまった。

 

「…………ちょろイン」

 

 何か言おうとしていた二人だが、俺がボソッと呟いたのを聞いて顔を背けている。

 俺は早苗さんに向けて言ったのだが、思い当たる節でもあるのだろうか。




九石翠
取り返しのつかないことになりそうだと考えるも、止められない止まらない

片桐早苗
心を撃ち抜かれた。翠と絶対に逮捕(けっこん)したい
高卒で公務員に。リアルがどうなのかは分からん
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