貞操観念逆転ガールズ   作:不思議ちゃん

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高校生編
こんな予定ではない


 買ってきた服に関して、家に帰ったら母さんに色々と言われたが。

 どんな服でもいいと許可をもらった事を言えば大人しくなった。

 

 

 

 服を買いに出てからは大人しく引きこもり、春休みが終わる。

 小学校、中学校と車で送り迎えだったが、高校生活は何がどうなるか分からない。下校時間が不安定になりそうなので無くなった。

 毎朝、ちっひーと奈緒が迎えにきて電車通学となる。

 

 二人は発情期中なので、通勤通学で混む電車はどうするのかと思ったが……男性専用車両というものがあるらしく。

 外に出る男の数がそんな多くはないため、俺は座って通学ができる。

 激混みではないにしても、自由に移動できないほど混む電車に乗らねばならない二人には少し同情する。

 

 先に入学式があるため、めちゃくちゃ広い講堂へと案内板に従って向かい。

 それが終わるとクラス分けの紙が配られる。

 

 クラス分けされた教室を確認したら三人は一緒だった。

 高校は中学よりも五クラス増えて十五クラスもあるのに、すごい確率だ。

 中学の噂が高校にまできていたら、少し考えなきゃいけない。

 

 自身に割り当てられたクラスへ向かい、席を確認したらちっひーと奈緒は近いのに、俺だけ離された。

 カバンを置くために席へ向かうと、中学三年間、席替えしてもずっと隣の席でそこそこ仲がいいと思う女の子が俺の隣なので手を振る。

 向こうも気づいて手を振って挨拶してくれたので、挨拶を返し。

 二人はこっちに来ないで友達と話しているので、俺も隣の席の子と春休みに何をしたか話していく。

 

 春休みにも宿題が終わったら自習していたらしく、分からないところを聞かれたので教えてあげる。

 ……この内容、高二に入りかけてますけど?

 それほど長くない春休み、一人でここまで学習しているとは……。

 

 聞けば友達で集まってやったのだとか。

 ということは、ここまで進んでるのが他にも何人かいると?

 

 ちょっと、何言ってるのか分からないです。

 

 

 

 

 

 簡単な今後の説明と宿題の提出、プリント配布で学校は終わりである。

 顔見知りなどに軽く声をかけて帰ろうと思っていたのだが……何故か俺ら三人は担任教師に連れられて職員室へと向かっていた。

 

「ちっひー、何やらかしたん?」

「私に押し付けないでください」

「……そのやり取りは中学の時に見た」

「そもそも、入学初日でやらかすとか……流石にないよ?」

 

 無視されたんだが。

 そんなに俺は信用ないのだろうか?

 

「「失礼します」」

「失礼しまー」

 

 担任に促されて職員室へ入ると、たくさんの教師が出迎えてくれた。

 男の教師はいないんだなと考えていたら、その全員が俺ら三人に頭を下げる。

 後から入ってきた担任教師も。

 

「ここでも授業講義を行ってくれないか!」

 

 二人は何がなんやら混乱していたが、こうなるだろうやと思っていた部分がある俺は『面倒だなぁ』と感じた。

 もう一つ、『何余計な事を』と注意される可能性もあり得たが、そうはならずに済んで良かった。

 

「ハッキリ言っちゃうと、面倒です」

 

 二人が未だ戻って来ないため、俺が全部受け答えをしていくしかない。

 

「中学よりも人数が多いですし、自分たちの時間が無くなるんで」

「中学最後の年は一、二年生の分も見ていたと聞く。時間も放課後ではなく午後の時間を当ててもらっても構わないと考えている」

「……それ、俺らが三年生になったらまた一、二年生の面倒を見ろと?」

「そう、なってしまう。……私たちもできる限り君たちのサポートをする。それでどうにかならんか?」

「サポート……と言われても、中学の時に用意されたのより、結局自分たちでまとめた方が楽だったんで」

 

 まずい。

 このままだと、なんだかんだやる流れになってしまう。

 

「そもそも、午後の時間を使うと授業時間が足りなくなりませんか?」

「そこらへんはどうとでもなる」

 

 どうとでもなっちゃうのか……。

 

「お二人さん。どうする?」

「……私に聞かれましても」

「私に振るな」

 

 混乱から戻ってきていた二人だが、俺に丸投げしようなど甘い。

 

「定期テストを受けて上位の成績を取れるならば、授業に出る出ないは自由にしてもらっても構わな──」

「やります」

 

 半ば反射で答えてしまったが、後悔はしていない。

 二人は呆れたようにため息をついているが、最終的に引き受けるんだろうなということは分かっていたと思う。

 普通の高校生活を送れるかと少し甘い夢を見ていたが、もういっそのこと普通じゃなくても高校生活を満喫してやる。

 

「なら、中学の時に使ったやつがあるので、明日コピーして……」

「コレのことなら、すでに配布済みだよ」

 

 コレと言いながらヒラヒラさせている紙は、まさしく中学のときに配ったやつであった。

 そりゃ、話聞いてたら物も手に入れてるか。

 噂が届いてたら嫌だなとか、そんなレベルじゃないやん。

 

「…………引き受けなかったらどうなってたん」

 

 その疑問に苦笑いを浮かべたり目を逸らしたりなど反応は様々だった。

 そこでいきなり、さっきまで話していた教師が思い出したかのように手を叩いてとんでもない事を口にする。

 

「ところで、すでに高校三年生まで勉学を終えていたりするかい?」

 

 ちっひーと奈緒が俺の事を見たせいで、どう言い訳をしようが意味がなくなってしまった。

 

「……ちなみになんだが、この紙。二年生と三年生にも手違いで配ってしまったらしくてな?」

 

 それ、絶対に手違いじゃない。

 俺を見るちっひーと奈緒の目が死んだ気がした。

 

 

 

 

 

 その後の話し合いで、それぞれの学年で週に一回、午後の授業を使って講義をすることになった。

 つまり俺は週に三回講義をするわけだ。

 学校の物、教師は好きにしてくれとのこと。

 他にも色々と決まったのはいいんだが。

 

 どうしてこうなった?




九石翠
色々と諦めた

千川ちひろ 日草奈緒
どうしてこうなったのか、考えるのをやめた

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