色々と決めて家に帰ればすでにおやつの時間を過ぎていた。
二人も疲れた様子を隠さないでいるのだが、高三までできることをバラしたの、忘れてないからな。
そんなことを碧に愚痴りながらも、配布されたプリントを確認していくと、例の紙が挟まっていた。
頼む前だからって、ここまでするとは……。
ってか、今更だがここまでしていいものだろうか?
いや、逆転した世界すべてを理解したわけじゃないから、考えるだけ無駄か。
翌日、授業という名の自己紹介で終わり。
迎えた放課後。
俺ら三人の目の前には学年ごとに分けられた紙が積まれていた。
「……ん? 二年生と三年生の、少なくないですか?」
「高二から文理選択あるからなぁ……。文系は言い方悪いけど暗記すればいいだけだし。これまでの質問もほぼ理系だったでしょ?」
「そうだったな。あったとしても現代文の長文読解や古典の読み解きだったか」
となると、最初に文系のをパパッと片付けて残りの時間を理系に当てるのが無難かなぁ……。
「ってか、二人とも距離遠くない?」
「重いんだ。仕方ないだろ」
いつもは隣の席の距離感でも何とかなっていたのに、席を一つ開けている。
今からかうと楽しそうだが、そしたら目の前にあるコレは俺が処理しなければならなくなるため。
俺の負担が増えるのならば多少の我慢はするしかない。
「帰ったらさっそく作業始めるかー……」
作業という言葉に二人が反応し、つられて俺の気分まで下がってきた。
だが、いつまでもここでダラダラしているわけにもいかないため、一人一学年の紙束を持って帰る。
流石にその日だけでは終わらなかったが、俺らは真面目だから。
来る来ないは自由と言われても、キチンと遅刻しないように登校して授業を受けている。
ただ、できれば来週から始めて欲しいと頼まれているので、空いた時間は持ってきたノートパソコンで作業しているが。
「はい、私の奢り」
「いつもすまないねぇ……」
「おじいさん、それは言わない約束。……ふふっ」
隣の席の子から飲み物の差し入れが。
中学の時もお土産やら差し入れやら有難い。
長く話してきたから俺のボケにも乗ってきてくれる。
「二年生と三年生の分も見るって聞いたよ」
「まあ、面倒だけど嫌いじゃないからね」
「私も翠くんに教えてもらってから成績がすごく伸びて、お母さんに褒められたんだ」
「用事とか部活でどうしてもって人以外は全員参加してるんでしょ? みんな真面目だよな」
彼女には悪いが作業をしながら話をさせてもらっている。いい具合に気分転換となっているのでだいぶ助かる。
「それはそうだよ。有名だけど機会が少ない翠くんに会えるんだから」
有名とか、初めて聞いたんだけど……?
九石翠
周りの反応、知らんかった……
とある少女
急展開を迎え、名前が出ます
デレマスの年齢調べたら丸わかりだけど
翠は必死に目を逸らしてきたので情報を一切出してきませんでしたが、次の話で出せたらと思います