貞操観念逆転ガールズ   作:不思議ちゃん

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ゆ、有名になるわけ……

「もう、俺は君らに対して何か言うことはないと思う……」

「またわけ分からないことを……」

 

 夏休み最終日になった。

 成長してある程度外に出られる許可もあるのだが、夏などの日差しが強い日はまだやめておいた方がいいと医師から言われている。

 

 だから俺は宿題なんか早々に終わらせ。ずっと引きこもって曲を作ったり、講義の内容をまとめたり……夏休みなのに仕事とか泣ける。

 

 後はしゅがはからメールがあったりしたので、からかいのメールを返したり。

 

 残りの曲は「FLOW」から『GO!!!』、そしてまた、有名だったと思う『only my railgun』にした。

 

 したのだが……この一ヶ月で二人は完成度高く弾けるようになり、楓もその曲に合った歌い方をしている。

 

「……はいはい、撮影始めまーすよ」

 

 二人のどちらかが重い日は、俺が部屋から追い出された。

 いくら一番上達しているからと、あんまりな扱いや……。

 

 なんでやさぐれながらも、最終日の今日はとても軽い日らしく。

 完成度もいい感じなので撮影を始める。

 二回めなのにマントやマスクをしていく姿に慣れてる気が。

 

「そう言えば、前に載せたのはどうなったの?」

「あれから確認してないなぁ……」

「本当に思いつきなんですね……」

 

 曲載せる時にでも確認すればいいか。

 三人にもそう伝え、セッティングを始める。

 楓はもとから絶対音感があったらしいが、ちっひーと奈緒は練習して身につけたとか。

 …………。

 ちょっと、何言ってるか分からないです。

 

 

 

 無事に二曲分の撮影も終わり、それを載せようと思ったのだが。

 

「…………んーっと」

 

 その前に確認しようって話になり、四人で画面を見ているのだが。

 

「これってすごい数ですよね?」

 

 再生数はミリオンの十倍を軽く超えていた。

 

「……おーし、今とった二つも載せるか」

「現実から目を背けたな」

「背けたね」

「背けましたね」

 

 なんか煩いが、仕方ないだろう。

 ここまで反応があるとは思ってなかったんだから。

 それに俺のことばかり言うけど、三人もそうなると思ってたりしたんやろ?

 だからいつもは簡単に信じないのに、有名にならないからという俺の言葉に頷いたんやろ?

 

「学校始まったら、話題になるかもしれん。なるべく漏らさないように」

「面倒ごとは私たちも避けたいですし」

 

 こりゃ、学園祭で演奏も面倒になりそうだな……。

 

 

 

 

 

 夏休みが明けた。

 暑さにやられながらも登校すれば、皆の話題に俺たちのことが──なんてことはなく。

 

 ネットの動画で有名とはいえ、皆がそれを見ているわけでもないし。

 三人もどこか肩透かしを食らったようで。顔を見合わせて一つ息を漏らし、友達のところへと向かって行った。

 

『朝、時間があるなら君に会いたいゾ☆』

 

 メールが来たので確認すれば、心からだった。

 ずっとメールでからかってきたが、やはり反応は直接見ないとつまらん。

 って事で三人に声をかけ、例の場所へと向かう。

 

「おひさー」

「おう☆ 私に会えなくて寂しかったか☆」

「全然」

「こりゃ手厳しい☆」

 

 会いたいと言ってきたわりに少し重いらしく。俺からある程度の距離を取っているのに顔が赤くなっている。

 

「……俺とのメールから付き合ってる妄想してお盛んだった心さん、まじパネェッス」

「なっ、なんで知ってる!?」

「え……マジなんですか……」

「そっ、そそそそんなことするわけないゾ☆」

「そうですよね。未だキスされた感触思い出してお盛んだったりとかもないですよね」

 

 さらに駄目押しみたいな感じであり得そうな事を言ってみると、心は俺から目を逸らして『やっべぇ』みたいな表情をしている。

 

 どう言い訳するかに思考を割かれているのか、俺が近づいても反応しない。

 

「心」

「ん──ふぁっ!? ちかっ!」

 

 名前を呼んでから反応するまで面白かった。

 予想と違ったのは距離を取られるのかと思っていたが、その逆で抱きついてきた事だろうか。

 

 心も自分でなぜ抱きついたのか分かっていなさそうであり。

 先程から耳元で『ぁ……あう、抱きつ、なんで……いい匂い……ふぁっ』などと呟いている。

 

「可愛いなぁ、心は」

「……これヤバイ。濡れるわ」

 

 濡れると、聞こえた後。

 心が体を震わせているんだが……まさか、ねぇ。

 

「……時間も時間だから教室に戻ろうか」

 

 なんか空気が変わった気がした。

 だから優しく心を離してさっさと教室へ戻ろうと思っていたのだが。

 どこか蕩けた表情をした心に壁へと押さえつけられ。

 

「もう少し私に付き合えよ☆」

 

 顔が近づいてきたと思えばキスをされた。




九石翠
刺さる人は刺さると思ってたけど、予想以上
…しゅがは、吹っ切れちゃった?

千川ちひろ 日草奈緒
こうなる事は分かってたが、目を逸らした結果

高垣楓
バンド、楽しい

佐藤心
もう、我慢できないゾ☆

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