さあ、ウサミンには通い詰めてもらって仕上げて貰わなければ。
そう思ってたんだが。
なんでも、346のカフェでアルバイトをしているそうで。
ウサミンがシフト入っているときに行って見たいところだが、関係者じゃなくても入れるのだろうか?
分からないのでウサミンに確認を取ってもらった。
「あ、大丈夫だそうです」
「なら、菜々が今度シフト入っている時にでも行ってみるか」
あ、バイトのない日は当然、みっちり練習してもらうつもりだ。
足並みを揃えるまでまた暫くかかりそう。
そして迎えたウサミンがバイトの日。
学校帰り、家には帰らずそのままウサミンのバイト先へと向かう。
「ケーキ食べたい」
「普段、碧くんが作ってるの食べてますよね」
「逆にいえば、碧のしか食べてないんだよ。他の店がどんな味なのか気になる」
碧のために持ち帰る予定でもある。
「ちっひーたちも結構食べてるのに太らないよね」
「失礼だゾ☆」
「……まあ、なんだかんだで激しいからな」
「夜のやつ?」
「ばっ!? バンドだ!」
面白い反応を返してくれる。
奈緒だけでなく、皆も顔を赤くしていた。
散々やりまくってるのに、何を今更恥ずかしがるのか。
「ここが346カフェです」
確かに346内にあるけど、普通に一般開放されてるやん。
ここでアルバイトをしているのに、ウサミンはそれすら知らんのか……。
バイトがあるウサミンは着替えるためさっさと店に入って行った。
わざわざウサミンの着替えを待つこともないし、傘持ってるの怠いし。
皆を連れて店の中に入っていく。
「ホットココアとチョコケーキ、チーズケーキ、焼きプリン。……皆は?」
「コーヒーをブラックで」
「私も奈緒と同じものを」
「私はカフェラテで」
「チョコパフェがいいな☆」
金を払い、本来ならここで商品を受け取って席に座るのが流れだが。
量が量だからか席まで運んでくれるのだとか。
店員さんや他に来ている客から熱い視線を感じながら、日差しが当たらないテーブル席に向かう。
「三人は何も食べなくてええん?」
「そこまでお腹いてるわけでもないですから」
「太る云々、気にしてる?」
「「「…………」」」
当たりなのか、俺から目をそらす三人。
「一人、気にせずパフェ食う予定のやつがいるけど」
「私? 全部胸にいくから平気だぞ☆」
羨ましげな感情と嫉妬の感情が混ざった目を三人が心に向けたところで頼んでいたものが届いた。
さっそく、チーズケーキを一口。
ほうほう。これはこれは。
「なかなかいけますな。また違う味わいに通いたくなるほど。少しカフェを侮っていた」
女性のが多いのだから、甘味に力を入れるよな。
これと同じレベルの腕をしている碧は相当上手いのではないか……?
「ちっひーたちも一口いる?」
遠慮するかなと思ったが。
一口分を差し出せば躊躇うことなく食いついて来た。
心は自分で頼んだパフェがあるのに、催促して来たが……ああ、『あーん』が目当てか。
そして他の女性客からの羨ましそうな目が凄いぞ。
いつの間にか着替えていたウサミンも同じ目をしてこちらを見ている。
だが残念。バイト中だから無理だ。
チョコケーキ、焼きプリンも同じように『あーん』をした後は自分のペースで食べていった。
こうして外でノンビリしたのは初めてかな。
京都の旅行もなんだかんだやってたし。
ノンビリできたし、カップの中身も空になった。
さて、帰ろうかと思ったところでスーツを着た一人の女性がこちらへと近づいてくる。
そして俺を見て口を開く。
「突然ですまない。……君、アイドルになる気はないか?」