貞操観念逆転ガールズ   作:不思議ちゃん

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『』で囲われてる部分は日本語で話していません


妖精さん

 そんなわけでやって来ました北海道。

 

 俺は今、迷子です。

 

 チヒペディアとナオペディアがいないから、何も分からない。

 

 さっき……いや、だいぶ前まで一緒だったんだよ?

 

 気づいたら一人になってたというだけで。

 

 …………。

 まったく、二人とも迷子だなんて困ったもんだ。

 

 楓と心は家の用事。

 ウサミンはカフェでお仕事。

 

 久しぶりに三人だったのだが……どうして二人は迷子になるのか。

 

 やはり保護者である俺がしっかりしないといけないな。

 

 …………。

 

 

 

 

 

 周りには雪と木が見える。

 ここ……どこ……。

 

 考えながら歩いていたら、気づけば周りに何もないんだが。

 

 振り返り見ても俺が歩いて来た足跡があるだけ。

 

 戻るが早いか。

 進むが早いか。

 

 

 

 戻った方がちっひーたちに会えるだろうけど、新しい事を求めて来たんだし。

 進むしかないだろう。

 

 まだ書き起こしてないアニソンを鼻歌で歌いながら歩いていく。

 

 歩いていたんだが。

 楽しくなってきてスキップしたり、ターンしたり。

 

 

 

 側から見たら変な人だなと。

 

 木のそばに立っている少女と目が合ってから気づいた。

 

 

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 

 

 ()を散歩していたら、澄んだ音が聞こえてきました。

 

 音のする方へ歩いていけば、すてきな妖精さんを見ました。

 

 妖精さんは楽しそうに舞っていて、とてもキレイでした。

 

 もっと見ていたかったけれど、私と目が合ったらやめちゃった。

 

 本物の妖精さんだからなのかな?

 

 人に見られたらどこかいっちゃうのかな?

 

 でも、歌と踊りはやめちゃったけど、ジッと私のこと見てる。

 

 逃げないのなら、妖精さんと仲良くなりたい。

 

 怖がらせないようにユックリと近づいて、自己紹介するの。

 

『私、アナスタシア。妖精さんのお名前は?』

 

 

 

 

 

 妖精さんのお名前は『スイ』っていうの。

 

 あっ! スイは妖精さんじゃなかったの。

 

 今は私のお家でお茶を飲んでるの。

 

 お友達が迷子なんだって。

 

 電話で私のお家まで迎えにきてと頼んだから、それまでお話ししようって。

 

 でもその前に、私と似た色の長い髪を触らせて貰ったの。

 

 自分のお部屋からお気に入りの櫛を持ってきて、キレイにしてあげたの。

 

 私は髪が短いから、スイの髪で色々と遊んだの。

 

 三つ編みにしたり、お団子にしたり。

 

 …………私も髪を伸ばしてお揃いにしようかな?

 

 

 

 お茶のお礼にと歌を歌ってくれるらしいの。

 

 ママとお手伝いさんも一緒に、聞くの。

 

 日本語の歌詞で歌われているから内容は分からなかったけど、初めて聞く曲で。

 

 なんだかとても切ない気持ちになったの。

 

 日本語で歌われていたから歌詞は分からなかったけど、ママとお手伝いさんは泣いていたの。

 

 終わった後、紙に日本語とロシア語で歌詞を書いてくれたの。

 

 すぐには無理だけど、頑張ってお勉強して日本語を覚えるの。

 

 そしたらまた、聞かせてほしいな。

 

 

 

 

 

 歌詞をもらってすぐ、迷子の二人が迎えにきたの。

 

 ……迷子なのに迎えにくるの?

 

 スイとはバイバイだけど、今度会うときはペラペラ日本語が話せてるようになるから。

 

 また、いっぱいお話ししようね。


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