今回は『翼』と『光るなら』。
楽器持ってきてないからまた今度にするつもりだったのに、家にあるのと同じものが揃っていた。
……わざわざ同じものを買ったんですか。
そしたら楽器違うから無理って言い訳ができないじゃないか……。
まだそれほど接していないというのに、俺のことを分かってらっしゃる。
カフェにいるウサミンを呼び、レコーディングすることに。
といっても、二回目なのである程度慣れているため。
前回よりもスムーズに進んでいく。
進んでいたのだが、俺が一回ミスをしたため。
やり直しがあったけど、それ以外は特に問題なかった。
レコーディングが終わったら常務に昼を奢ってもらった。
と言っても、外出るのが面倒なのでカフェだ。
文句はない。
ここの料理は碧に負けず劣らずなのを知っているから。
……普通、逆だよな。
もう、碧なしでは生きていけない!
あの子を婿に出す日が来るなんて、考えられんな。
……………………?
俺、ちっひーたちの手料理を食べたことあったっけ?
そういや、俺もちっひーたちに手料理作る約束してたな。
…………ん?
逆転してるこの世界は俺が手料理作るんかな?
他の男なら完全に主夫になるだろう。
なら、俺もそうなるのか……?
……嫁さんが主婦になってくれたらいいのか。
志希は性格的に無理そうだが、周子ちゃんや紗枝ちゃんがなってくれそう。
そしたら年下なのにめっちゃ甘えると思う。
制服姿の紗枝ちゃん、ぐうかわなんだよな。
……あれ? もし、こっちの中学、高校来たら、制服が変わる。
…………。
……それはそれでありだな。
「自由にして構わないと言っておきながら、本当に申し訳ないのだが……」
「言うだけ言ってみ」
ライブの他にも頼みたいことがあるらしい。
だが、自由にしていいと言った手前、頼みにくいのだろう。
聞くだけなら大丈夫だし、簡単そうなら引き受けよう。
……そのままズルズルと頼みを引き受けたりはしないけど。
「来月中には翠が歌う曲をCDにして出したい。……あの動画の再生数がとんでもないことになっていて、曲の販売を急かす手紙がたくさん届いている」
「そんくらいなら、ピアノあればレコーディングしてもいいけど」
「同じメーカーのを用意するから、それの準備ができたら頼む」
「ほいほい」
バカ高い買い物をポンっとできるってすごいね。
ってか、一つのバンドにかかりきりみたいな感じだが、大丈夫だろうか?
そこらへんは詳しく知らないから、なんとも言えないが。
「あれ?」
隣の家の前にトラックが止まっている。
「そう言えば、一ヶ月くらい前に引っ越してましたね」
「ってことは、誰が越してきたのか」
引きこもりの俺に絡む機会があるのか分からないけどね。