貞操観念逆転ガールズ   作:不思議ちゃん

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質量がある

 翌日にはすっかり体調も良くなった。

 

 母さんやちっひーたちにはものすごく反対されたが、俺は学校に行く。

 

 譲歩として車で送ってもらった。

 『学校に行くよね?』と釘を刺さなければきっと、一日中ドライブになっていただろう。

 

 学校に着いてからはちっひーたちが酷かった。

 

 休み時間はずっと俺のそばにおり、何かしようとすればその仕事を取られ。

 

 トイレに行こうとすれば後をついて来るし、ずっと廊下で待っている。

 

 なので取られない仕事──曲を書き始めたら休めと諭される。

 俺は子どもじゃないっつーの。

 ちっひーたちと同い年なんだが。

 

 クラスメイトがちっひーたちの変わりように気付かないわけもなく。

 こうなったわけもちっひーたちが話した。

 

 

 

 するとどうだろう。

 翌日にはクラスメイトたちも、ちっひーたちと同じになってしまった。

 

 そして一体感のようなものでも生まれたのか、『One for all,all for one』を理想的な形で実現している。

 

 すごい。

 語彙力が無くなるくらいに圧倒される。

 

 何をするにしても誰かに押し付けず。

 効率的に皆で作業している。

 

 ……もっと、わいわい楽しもう?

 

 

 

 さらに翌日。

 こんなクラスに気付かないわけもなく。

 

 ってか、俺が熱出した事を誰か話したのだろう。

 

 クラスだけじゃなく、二年生全体という信じられない事に。

 

 クラス内だけじゃなく、廊下を歩くだけでも……。

 

 久しぶりに視線を感じている。

 

 逆転した世界であるため。

 よく向けられていた、欲を出した目線で慣れたと思っていたのだが。

 

 『質』が違う。

 

 欲を出して見られるときは軽いのだが、今感じているのは『重い』のだ。

 

 普通、質量なんかあるわけないのに、重い。

 

 そのせいで気が散り、転ばなかったものの躓いただけでお姫様抱っこをされ。

 保健室へと届けられた。

 

 …………うん。

 

 

 

 一週間が経った。

 規模が学校全体になった。

 

 ウザさが増した。

 

 

 

 

 

 いやいやいや、なんでだよ!?

 

 ただ熱出しただけじゃん!

 

 ……この世界、甘く見てたわ。

 

 講義は一応続いているのだが、やってほしいという量が減った。

 おそらく、俺のいない間に集まって制限してるのだろう。

 

 仕事の量は確かに減ったが、今まで以上に疲れる。

 

 好き勝手があまりできなくなったのが理由の一つだろうか。

 

 バンドの仕事も俺が熱出したことを聞いたのか、しばらく休むようにと連絡もらった。

 

 もともと仕事は大してなかったが、しばらく休めって……。

 

 ただ熱出しただけでもう治ってるし。

 それと、しばらくっていつまで……?

 

 疲れるというか、ストレスが溜まる。

 

 

 

 ──これは何かやらかさないと気が済まないな。


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