貞操観念逆転ガールズ   作:不思議ちゃん

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本人な訳ですが

 最初の子が双葉杏。後から来たのが新田美波。

 拍手が終わったあと、そう自己紹介をされた。杏が8歳で美波が10歳だとか。道理で小さいわけだ。

 まさかこんな短時間にシンデレラプロジェクトの二人に会えるとは思わなかった。

 美波は出身地ここだしまだ分かる。格好も走り込みをしてるような感じだから近所なのだろう。

 だけど杏の出身地は北海道のはず。

 同じタイミングでここへ観光に来るなんてもの凄い偶然もあったものだ。

 

 ただ、二人とも俺のことを女の人だと思っているらしい。

 何故だろうか。

 動画やライブとかだと普通に男として認識されているのに。あと学校も。

 

「二人とも何か勘違いしてるようだけど、俺は女じゃなくて男だよ?」

「「うぇっ!?」」

「冗談だけど」

「だ、だよねー」

「男の人が一人でいるなんてあり得ないですもんね」

 

 このままバラさないでおくのも面白そうなのでそうしておくことにした。

 どうやら男が一人でいるなんてあり得ないといった先入観からバレないでいるような感じか。

 

 でも、だいぶ有名になったような気がしたが、まだまだだったようだ。

 いくら逆転しているとはいえ、少々自惚れていたようだ。

 

「それにしてもお姉さん、翠さんにすごく似てるよね」

「それ、友達にもよく言われるんだ。同じアルビノだし、髪も長いし。個人的には短くしてサッパリしたいんだけどね」

「綺麗で長い髪なんですから勿体無いですよ」

「髪乾かす時とか凄く面倒なんだけどね」

 

 似てるというか、本人な訳ですが。

 これはさっきの事情に加えて、有名人がこんなところにいるわけ無いと思ってるのも関係あるかも。

 雑とはいえ髪を縛っているし、普段着は動画、ライブともに見せたこと無いし。

 奇跡的な偶然でバレてないと思えばいいか。

 

「それじゃあ、もう一曲だけ披露してからお開きにしようか。そろそろいい時間だものね」

 

 まだおやつの時間にもなっていないが、美波は走り込みの途中であるし、杏だって親と一緒に来ているはずだ。

 

 さっきは『未来古代楽団』から『忘れじの言の葉』を演奏した。

 前にやりたいと思っていたからリベンジだ。

 

 次に演奏するのは『only my railgun』にした。

 どこでだか覚えてないが、前世で聞いた時にカッコイイ印象だけ残っている。

 

 二人もこの時間を楽しんでくれていたようで、別れを惜しんでくれている。

 だけどずっと一緒というわけにもいかない。

 だからこそ、最高に楽しい時間をプレゼントしてあげないと。

 

 まだ練習量は足りて無い気はするが、不思議と失敗するとは思えなかった。


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