貞操観念逆転ガールズ   作:不思議ちゃん

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ほんとごめん。

 夕食の時間までそれほど時間がないため、弾けても一曲。よくても二曲だ。

 

「杏ちゃんは翠さんがやってるバンドで好きな曲とかあるかな? 全部は無理だけど、いくつか弾けるからさ」

「んーっと、杏は全部好きかな」

「そっか。それは本人たちにとって最高の褒め言葉だね。ならどうしよっかな……んー、パッと弾けそうなものにしようか」

 

 ということで、出てきたのが『光るなら』だったからそれにしよう。

 個人的にはバンドでもいいのだが、バイオリンとピアノでのイメージもあるから丁度よかった。

 

 許可をもらっているとはいえここは旅館だし、ゆっくりするために来たのだ。

 テンション上がる系の曲だと思うが、少し抑えて弾くとしよう。

 

 

 

 途中、何度も声に出して歌いたくなる衝動があったけど。

 さすがに本人だとバレてしまうから、なんとか我慢した。

 

 今でさえバレてもおかしくないのに、気付かれてないからなぁ。……ギターで弾いてたら流石にバレたのかな?

 憧れて同じもの買ったって言い訳ができなくも無いけど、確か今は品薄になってるんだったか。

 

 男である俺が使っているものは特にだが、ちっひーたちにもファンがいるらしく。他の楽器も人気らしい。

 って、奈緒が言っていた気がする。

 今は部屋へと戻り、料理を美味しくいただいている。

 一人前にしては量が多いような気がしたけど、たくさん歩き回っていたからかペロリとではないが全部食べきれた。

 

 布団も敷いてあるし、いつ寝てもいいけど。

 お腹いっぱいだから食休みも兼ねて絵を描くか作詞をするか。

 

 どちらの気分にもならなかったので携帯に手を伸ばせば、メールと不在通知が結構来ていた。

 10件ほどだし、ヤンデレには遠く及ばない。

 中身を見れば大体が場所を教えろとの内容だったし、全部ちっひーからだった。

 

 混乱を防ぐためだとは思うが、こんなところで無駄に無駄のない力を発揮して……。

 一応、1件だけ碧から来ていたが、その内容は『ほどほどにね』とだけしか書かれてなかった。

 

 心配してないのもそうだが、俺が何をやらかすと思っているのだろうか。

 

『場所を教えてください!』

「ゲップ」

『……………………』

「……いや、ほんとごめん。お腹いっぱい食べて油断してたわ」

 

 電話かけたらワンコールで出てきたし、一言目が場所を教えろとのことだったのでからかおうとしたのだが。

 油断していたのもあって、げっぷが出てきてしまった。

 

 姿は見えないが、電話口の向こうでちっひーが固まっている姿を簡単に想像できる。

 

『……ま、まあいいです。それよりも場所を教えて下さい。明日の朝一で向かいます』

「んー、別に教えてもいいけど、朝一から出かけるよ?」

『…………』

 

 イラッとしている雰囲気を感じたが、深呼吸をして落ち着いているようだ。

 俺自身も分かっているのだがやめられないのだ。すまんな。

 まあ、ちっひーたちは短くない付き合いだから慣れてきているし、俺もそれに甘えている。

 そのうちどこかで恩返し的なことしないとな。

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