「…………ねえ、暇だから外に」
「ダメですよ?」
母さんと一緒に寝るのも昨夜終わった今日、提案を口にしている途中だというのに却下をくらった。
勝手にちょっと旅してきたのがよっぽど頭にきたらしいのか、あれ以降家にはだれか一人以上いるようになった。
ってか、家の中ですら一人になれていない。
……さすがに二階から脱走とかしないって。
…………しないよ?
「少しは反省して大人しくしていたんだから、ちょっとぐらい外に出してくれてもいいじゃないか」
「……反省して大人しくしている? 次の日には外に出すよう催促していたのに?」
「そうですよ! ばれなかったからよかったものの、何かあったらどうするんですか!」
その時はその時でしかないのだが。
たまに……いや、良く忘れるけれども、ここは貞操観念が逆転している。
そこの価値観の違いが今の状況を生み出しているわけだが。
「とにかく暇なわけよ。外でなくてもいいから、何かしようよ」
今家にいるのは俺、ちっひー、奈緒、楓、心、菜々とバンドのメンツだ。
母さんは仕事だし、碧は学校。家政婦さんたちはこれだけいるからと掃除してさっき帰っていった。
「家にいてくれるのは助かりますけど、何しますか?」
「家の中でできることって多いようで少ないからね」
「私、また皆でこのゲームしたいです」
「あー、やったね。大乱闘」
「「大乱交?!」
「心と菜々は一回、外を走って頭空っぽにしてきたら?」
楓がやりたいと手に取ったのは大乱闘だ。
一応、ストーリーは終わらしてキャラもコンプしているし、いいんだが……。
「だって皆、弱いし……」
「む、これでも隠れて練習していたんですよ?」
「あー、私も楓に誘われてそこそこやってるよ」
うーん…………。
別にやっても構わないが、今一つ面白みに欠けるな……うん。
「それじゃ脱衣麻雀ならぬ脱衣大乱闘で」
「…………?」
「負けるごとに服脱いでけ」
服を脱いでけ。
そう口にした瞬間、部屋は静まり返り、俺へと視線が集まってくる。
「お前さんたち、散々俺の裸見ているよね?」
「そういうことじゃないですよ!」
「ロマンってやつだよロマン! 男には分かんないかなぁ」
いや、言いたいことは何となく伝わるけども……。
とりあえず皆のやるきはあるようで、気が付いたら準備が終わっていた。
「どうする? 一対五でやる?」
「それだとすぐに終わっちゃいません?」
「いや、あまり負ける気しないんだけど」
「翆がそれでいいなら。後で後悔しても知らんぞ?」
「んじゃ三ストックの場所ランダムアイテム無しで。あと、俺三枚しか着ていないから」
本当はランダムじゃなくて終点とかがいいんだが、まあいけるでしょ。
「そっちは何枚で固定する?」
「同じ三枚でいいだろう」
「いや、五枚にしとけって」
「これ以上ハンデもらえるか」
「まあ、いいからいいから。ブラ、パンティー、シャツ、ズボン、シュシュね」
強引に押し切り、皆がほかの装飾品を外すのを待つ。
「準備できた?」
「大丈夫ですよ」
「んじゃ、はじめるか」
一枚はまあ様子見であげてもいいか。
俺は赤い帽子を被った配管工を選ぶ。他も選び終わったようで、ランダムでステージが選ばれる。
「やっぱり、俺ってもってるのかな?」
一発目のステージは終点。
カウントが終わり始まれば、まずは誰でもいいから外に出しての下スマッシュ。
「はぁ!? なにそれ!! なにそれ!!!」
餌食となった心がうるさいが、復帰待ちをしていた楓の攻撃をかわす。
そこそこやってきたのは嘘じゃないようだ。
一回ぐらい負けてもいいかなと思っていたけれど、下着姿の皆を眺めたいので早く三勝することにしよう。
三ゲーム目が終わった。
「う、うぅぅ……」
「こんな一方的とか……」
「なんだか菜々、恥ずかしくなってきました」
「それを言うな。意識しちゃうだろ」
「三連敗とは……」
目の前には下着姿の彼女たちが。
色とりどりの下着を眺めていると、恥ずかしくなってきたのか身をよじったりしている。
「五枚にしといてよかったね。三枚なら終わってたよ?」
「っく! 次だ次!」
「今度脱ぐのは上かな? 下かな? どっちを脱いで最後のゲームに挑むのか今から楽しみだなぁ!」
その後も俺が負けることなく五連勝し、裸となった皆を部屋へと連れて色々と楽しんだ。
これで少しは引きこもって滅入ってたのは何とかなったけれども。
今度は何して皆で遊ぼうか。
活動報告にて案募集したのに誰も何もなくて悲しみに明け暮れてます
また気が向いたらボチボチ更新します