俺、もうちょっと大切に扱われても良いんじゃ?
なんて思いながら。
ちっひーと奈緒に敷かれているなんて今更な気だし、なによりこうでもしてくれないと俺はダメ人間になる自信しかない。
すでに片足どころか半分はそうなってるような気がしないでもないが。
どうでもいい事に思考を割いている今も撮影は問題なく続いているけど。
女性向けのファッション誌なのに俺がモデルでいいのかと未だに疑問だ。
いや、まあ、誘われた時は女装していたわけだからあれだけども。
それはみんなも少し感じていたのか、俺の撮影にスカートはなくなり、カジュアル系の衣装を着て挑んでる。
いい加減切りたいと思っている長い髪を纏め上げたりカールかけたりと。
髪型を変えるのは面白いのだが、やっぱり手入れは面倒なのでそろそろ短くしても良いのではないだろうか。
「それにしても、心は黙ってればすごい美人なのにな。黙っていれば」
「何で強調するように二回言うかなぁ!」
「や、でも普段のアホから想像つかないくらい乱れるからある意味ギャップはあるんだが……うん。清楚な感じからの乱れもいいもんだな。王道と言えば王道だけど」
「そ、そうか……?」
心はやっぱり少し頭が弱いように思う。
一応、成績としては中の上から上の下はあるはずだが……うん。
あ、動くなとカメラマンに注意されてる。うける。
俺のせいだと睨んでくるが、再び注意を受け、最後にもう一度俺を睨んでから切り替えて撮影に集中し始めた。
今回、撮影に挑んだのは俺と楓だけではなく、心と美優も加わっている。
もとより美優は何も予定がなかったのだが、演奏の様子とかを見せようとちっひーが連れてきたのだ。
それで時子様の目に止まったので、ついでとばかりに清楚モードの心を推してみたら意外と通った。
雰囲気がだいぶ違うため、心だけ普通の様子と清楚モードの二パターンを取っているのだが、清楚モードはあくまで装った側でしかないため。
少し時間がかかっており、みんなで心の撮影を眺めながら待っている。
撮影が終わった時には一時を過ぎており、お腹が空き過ぎて今は食欲がないところまできてしまった。
それでも食事を目の前にすればぺろりと食えるため、皿の中には米粒ひとつ残っていない。
「さて、今日の予定も」
「終わってないからな?」
最後まで口にする前には遮られ、両脇をちっひーと奈緒で固められる。
「や、でも練習すらしていないのにいきなり本番は、ね?」
「翠くん以外、みんなで集まって練習していたんですよ?」
「曲は書き続けていたみたいだし」
「あー……だから片付けた覚えないのに綺麗だったりしたのか」
「それと、夜遅くに起きて一人で練習してるのもみんな知っていますよ?」
ん? 知ってる……?
夜中の一人練習を?
菜々が何を言っているのか理解した瞬間。
自分の顔が真っ赤になっていくのが分かり、両手で顔を覆い体を丸めるが。
優しい目でちっひー達が俺を見ているのは場の雰囲気とかで分かり、死にそうなくらい恥ずかしかった。
新年一発目からこんな感じですが、本年もよろしくお願いします。
活動報告に去年の更新回数が載ってます。