俺は貴女を守る剣となる(リメイク版投稿中)   作:凪里

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2部これにて終了です。
今回いつにも増して短いですがよろしくお願いします。


お酒は恐ろしい

 リアムはフェジテの街中の屋根の上を颯爽と駆けていた。

 向かう先は二組の打ち上げ会場だ。

 場所は護衛対象のルミアにマーキングをしている為座標ですぐ分かる。

 やがてその店が見えてきた。

 場所は北地区学生街───ではなくそこから少し離れたところにある飲食店だ。

 この店に以前リアムは来たことがあった。

 

「え、ホントにこの店でやってんのか?」

 

 リアムが座標を確認するが間違いない。

 ルミアはこの店の中にいる。

 リアムが疑ったのには理由がある。

 それは、この店は学生の打ち上げに使うにしては料理の値段が高い。

 リアムは時々バーナードにこの店で奢ってもらっている為来たことがあった。

 確かにこの店の料理の味は素晴らしい。素晴らしい……が。

 如何せん高いのだ。

 自分一人で来ようなどとは絶対に思わない。

 

「……嫌な予感がする」

 

 リアムが恐る恐る店のドアを開ける。

 普段は落ち着いた雰囲気の趣のある店内の店だが、今日ばかりはリアムの想像通り。いや、想像以上に悲惨であった。

 二組の生徒が貸し切りにしている店内ではあちらこちらで生徒が倒れ伏している。

 倒れるとまではいってない生徒達も騒ぎすぎたのか食べ過ぎたのか覇気がない。

 そこら中に倒れ伏している生徒達の中にグレンの姿があった。

 リアムが一応グレンの様子を見に近づいて見るとグレンは気絶していた。

 そのグレンを起こして話を聞こうとした時

 

「何やってんすか───あ」

 

 

 

 目に入ってしまった。

 グレンの右手に握られた伝票の数字が───

 

 

「うわぁ…」

 

 

 グレンが気の毒になる。

 グレンは優勝するクラスをハーレイとそれぞれ自分のクラスに賭けていたのだが、それで得た給料三ヶ月分と優勝した事による特別賞与がぶっ飛ぶであろう額だ。

 これから暫くはグレンに今までより優しくしようとリアムは決めた。

 リアムがグレンの側から離れその後、何とか生き残っている生徒達とも話をしながら店内を見渡しているとカウンター席に座るルミアの金髪が目に入った。

 

「あ、ちょっとごめん」

 

 話をしてた生徒に断りを入れルミアの元へと向かおうとすると話をしていた生徒にからかわれたが気にしない。

 床で倒れている生徒達を避けながらカウンターに座るルミアの元へと行く。

 見てみるとルミアは林檎ジュースを飲んでいた。

 グレンを気遣ってのことだろう。

 料理の注文もしていなかった。

 

「食べないのか?」

 

「あ、リアム君。うん…流石にね」

 

 ルミアが店の一角へと振り返る。

 リアムもそちらの方を向くとぐっすりと眠っているシスティーナの姿と高級ワインの瓶が無数に転がっていた。

 

「犯人あいつか…て、あの、ワイン…」

 

 酒の恐ろしさを再度認識したリアムであった。

 リアムはレモンティーをマスターに頼んでちびちびと飲む。

 ルミアも林檎ジュースをちびちびと飲む。

 静かな時間が緩やかに過ぎていく。

 

 やがて。

 

「……遅いよ。リアム君…」

 

 リアムが隣のルミアを見てみるとルミアはとても悲しげな目をしていた。

 

「悪い…」

 

「嘘、全然気にしてないよ? お仕事だもんね」

 

 ルミアは先程とは打って変わって笑っている。

 リアムがルミアには敵わないなと思いながらカップをテーブルへと置き呟いた。

 

「母親とは…どうだった?」

 

「あの後、お母さんと色々話してすっきりした。やっぱりお母さんは私の事愛してくれてた」

 

「まあ、当然だな。俺の事を知ってすぐに護衛を頼むほどだからな」

 

「リアム君、ありがとう。助けてくれて」

 

「そら任務だからな。助けて当然だよ」

 

「ううん。今回だけじゃなくて…入学式の時、覚えてる?」

 

 入学式の日、歓迎パーティの後ちょっとした事件が起こった。

 その時に、颯爽と現れてルミアを助けたのがリアムだ。

 入学式の時はリアムは特務分室には入っておらず、当然、ルミアの護衛の任務はない。

 

「あの時だって今回だって、リアム君は私が危なくなったらすぐに駆けつけてくれる。王子様みたいに」

 

「王子様? そんな柄じゃねーよ。俺がルミアを助けたのはただ俺が───」

 

 そこまで言ってリアムは口を閉じてしまった。

 ルミアが意地悪な顔をしてリアムをのぞき込む。

 

「ただ俺が……なに?」

 

 リアムはルミアに急に見つめられて顔を赤くするとくるっと反対を向いてレモンティーを飲んだ。

 

「な、なんでもねーよ…」

 

「ふふっ…素直じゃないなあ…」

 

 

 こうして慌ただしく過ぎっていった昼間が嘘のようにその夜は静かに、緩やかに更けていくのであった──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それは暗い暗い闇の中───

 一人のメイド姿の女が不敵に微笑んでいた。

 

「《月》のリアム。ふふっ。間近で見て確信しましたわ」

 

「本人はまだ気づいていないようですが彼の力はいずれ我々が……今度こそ───」

 

「天なる知恵に栄光あれ───」





次回からは過去編に入ります!
今回短かったので今日中の投稿目指します。

題名変更については今のところは無しで行こうかと考えてます!
これからも『俺は貴女を守る剣となる』よろしくお願いします!
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