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リィエルがアルザーノ帝国魔術学院に転入してから数日が経ち、リィエルもはじめは苦労したが今ではクラスに打ち解けている。
転入初日の魔術の実践授業でリィエルが大剣を高速錬成、ぶん投げ人形を粉々に粉砕した為二組の生徒は皆、リィエルを怖がっていたが、ルミアやシスティーナが積極的に話しかけリィエルとだんだん仲良くなり次第にクラスの皆もリィエルを恐れることは無くなっていったのだ。
だが、流石は帝国軍の一緒に仕事をしたくない同僚ランキングにおいて万年の一位の実力は伊達ではなく、数々の問題を引き起こしていた。
ある時はグレンに決闘を申し込もうとしたハーレイに斬りかかり、ある時はグレンの悪口を言っていた生徒に斬りかかり、その全てをリアムが事に及ぶ前に防いでいた。
そんな日々の疲れからかリアムは疲れきっていた。
「はぁ…」
揺れる馬車の中でリアムはため息をついた。
今、グレンが受け持つ二組の生徒達は全員馬車に乗っていた。
その目的は『遠征学修』に向かう為である。アルザーノ帝国魔術学院には『遠征学修』という必修単位の一つの講座が設けられている。
『遠征学修』は二年次生の生徒が研究所見学を行うもので、二組はサイネリア島の白金魔導研究所が遠征先である。
今はサイネリアの島行きの船が出る港町シーホークへと向かっている最中だ。
「最近ため息が多いなリアム。リィエルちゃんの事か?」
カッシュがリアムへと話しかける。
初日のリィエルの発言からリアムは男子生徒全員が恨まれていたが、リアムとリィエルの様子を見ていくうちにそれがグレンによる嘘だったことを悟った。
そしてリィエルに振り回されるリアムを皆、恨むどころか同情していた。
「最近あいつに振り回せれっぱなしだからな…」
「お前も大変だな………それよりさ! お前、ルミアちゃんとどんな感じなんだよ!?」
「あ、俺も気になるぞ」
「結局付き合ってんの!?」
男子生徒全員がリアムに注目する。
男子生徒皆が気になっていたことなのだ。
結局リアムとルミアは付き合っているのか、と。
「うーん………付き合ってない……かな?」
リアムが首を傾げながら答える。
「なんで疑問形なんだよ!」
「ちっ…リア充め」
リアムに向けられる同情の眼差しは再び恨みに満ちた眼差しへと変わる。そのまま話題が恋バナになるのは必然で
「この遠征学修で俺もリア充になるんだ! ウェンディ様に告白するんだ!」
「やめとけ! お前には高嶺の花過ぎる!」
「テレサちゃんと一緒に海で泳ぐんだ!」
「お前、海に誘う勇気も度胸もないだろ…」
男子生徒が、自分の願望をそれぞれが言い放つ。男子生徒達が乗る馬車の話題は恋バナで持ち切りだった。
一方女子生徒達が乗る馬車の話題も同じことだった。
「それでルミアはリアムと付き合ってるの!?」
ウェンディが正面に座っていたルミアへと問いただす。
「へっ!?」
突然の事にルミアが驚き慌てていると、
「気になりますわ!」
「リアム君ってイケメンだしね! お似合いだよ!」
別の女生徒達もその話題に乗ってくる。
ルミアが顔を赤くする。
「つ、付き合ってないよ! ぜ、全然付き合ってないよ!?」
「ふーん。そうなんだ」
「では、リアムさんのことは好きですの?」
「えっ!? そ、それは─────」
女子生徒達の話題は終始ルミアとリアムの関係の事で持ちきりだった。
盛り上がる生徒達を乗せた馬車は、生徒達がすっかり疲れて眠る夜も走り続け、目的地の港町シーホークへと向かっていく。
※※※
「ここがシーホークか!!」
次の日の正午。
二組の生徒達は長い馬車の旅を終え、港町シーホークへと到達していた。
「まだ船まで時間もあるし自由休憩にするわー。飯も済ませとけよー」
「集合場所は二時間後に船着場な」
「「「はーい」」」
グレンがそう告げるとすぐ生徒達はそれぞれ町中へと向かって行った。
「おーいリアム、飯食いに行こーぜー。ここは魚料理が美味いらしいぞ!」
「おーまじか。今行く」
リアムもカッシュやセシルと共に町中へと向かった。
食事をする店を探す途中、リアムが立ち止まる。その様子を不審に思ったカッシュがリアムに話しかける。
「ん? どうしたよリアム」
「……悪ぃ、先行っててくれ。すぐ追いつく」
「そうか? すぐ来いよー! 早くこねーと先に食っちまうぞー!」
「あぁ!」
リアムはカッシュ達がその場を離れたのを確認すると側にあった店へと向かう。店主は眼鏡をかけ髭を生やした五十歳位の人物だ。
「いらっしゃいませー。お兄ちゃん。何か買ってくかい?」
陽気な店主がリアムへと話しかける。リアムは呆れた顔で店主へと声をかけた。
「何やってんだよ」
「気付いたか」
「義理でも兄弟なんだ。気付くわ」
「……付いて来い」
店主に連れられリアムは裏道を進んで行く。
周りの目を確認し、眼鏡などを取っていくとたちまち店主の姿はアルベルトへと変わった。
「何でいるんだよ? 用があるなら魔導器で連絡したらいいだろ」
「俺が用があったのはグレンの方だ。お前じゃない」
グレンはアルベルトとの通信手段を持っていない為、直接会う他ない。
「そーいうことか」
「それにしても兄貴まで護衛か? 俺にリィエル。それに兄貴って三人は流石に人員を割きすぎだろ。何か裏あるだろ?」
「俺の護衛は今回の遠征学修だけだ。折角、俺の変装に気付いたんだ。一つ忠告をしといてやる。白金魔導研究所の所長には気をつけろ」
「所長? なんでだ?」
リアムが遠征学修のパンフレットで見た白金魔導研究所の所長はバークス=ブラウモン。バークスは温厚な人物という印象でとても怪しくは見えなかった。
「後に分かる」
「……分かった」
「リィエルの様子はどうだ?」
「なかなか苦労させられてるよ……まあルミアやシスティーナが仲良くしてくれてるから助かってるわ」
ルミアやシスティーナがリィエルと仲良くしてくれてるのはリアムにとって本当に助かっていた。おかげで大きな問題を起こす前に止めることが出来ている。
「そうか。それにしても随分と護衛対象とは仲が良いみたいだが?」
「んなっ!? どこまで知ってんだよ!」
「まあこれ以上は何も言わん。お前一つ良いものをやる。お前にはこれが必要な筈だ」
アルベルトがそう言うとアルベルトは小包をリアムへと投げた。
「!!」
それをキャッチしてリアムはそれを確認するとポケットへと突っ込んだ。
「助かる」
「じゃあ俺は戻る」
アルベルトはそう告げると再び変装し裏道を戻って行き店に戻ると…
「今からキルア豆のタイムセールだよぉおお!! どんどん持っていきなぁあああ!!」
裏道にまで店主の声が響いていた。
「やれやれ…相変わらずの演技力だこと」
リアムはカッシュ達の元へと向かった。
集合時間になり生徒達は船着場に集まっていた。
ルミア、システィーナ、リィエルの三人が男に絡まれていたがその男をグレンが追い払った。その男の正体にグレンとリアムの二人だけは気付いていた。
「もっとマシな方法は無かったんですかね…」
やがて船が到着し、生徒達は次々に船へと乗り込む。向かう先は白金魔導研究所のあるサイネリア島だ。サイネリア島はビーチが有名で生徒達は盛り上がっている。
そして生徒達を乗せた船はサイネリア島へと向け出発した。