次々と現れる合成魔獣達を次から次へとリアムとリィエルは剣で魔術で倒して進んで行った。
「リィエル!」
「ん。任せて」
リアムが魔獣の攻撃を双剣で防ぐとリアムの背後にいたリィエルが跳躍。
大剣を振り下ろし魔獣を真っ二つにした。
リアムとリィエルは敵の本拠地に潜入してから数え切れない程の魔獣を倒していた。
当然その事は相手も把握しており───
「何なんだ!? こいつらは…ッ!」
白金魔導研究所の所長バークスはモニターに映る二人の姿を見ながら怒鳴る。バークスは昼間の親しみやすい雰囲気から一転。態度を見繕うことはせず苛立ちを顕にしていた。バークスの横には不敵な笑みを浮かべているエレノア、さらにはリィエルの兄を名乗った男ともう一人、フードを被った男が居た。そして奥には拘束され制服は破かれ、肌には無数のルーン語が刻まれている見るに無残な姿となったルミアが居た。
「リアム…君……リィ…エル…」
「そもそも何故あちら側の味方をしている!? ライネル…! 貴様しくじったのかッ!」
バークスはリィエルの兄と名乗った男をライネルと呼び睨みつける。
「ッ……ふ、ふん…あいつはもう要らないさ…僕達には新しい作品が付いている!!」
ライネルは一瞬怯むがすぐに言い返す。
「まぁ…いい。あいつらがここに辿り着くことはない!」
バークスは自信ありげに言い放つ。そんなバークスにくすくすと不敵な笑みを浮かべながらエレノアが話しかける。
「あら? バークス様、相当な自信がお有りなようですが?」
「見せてやろうッ! 私の最高傑作をなッ! こいつを倒したければ真銀か日緋色々金の武器でも用意するんだなあ!!」
バークスの高笑いがその場に響いていた。
※※※
リアムとリィエルの前に次に姿を現したのは大部分を宝石で構成された大亀の怪物だった。
「何なんだよ!? こいつッ!?」
リアムとリィエルが何度も斬りかかったが傷一つ付く気配は無かった。ならばとリアムが魔術を放ったがそれも効果はない。次の手を考えているリアムの前にリィエルが立つ。
「今度こそ…斬る」
リィエルが大剣を構えて突っ込んでいこうとするがリアムが即座に首根っこを掴んで止める。
「馬鹿!? 俺達の攻撃じゃ効かないって分かったろ!?」
「でもこいつ倒さないとルミアが」
この時、リアムが何かに気が付く。
「……俺達が倒さなくても良いんだよ」
リアムはそう言うとリィエルの首根っこを掴んだまま背後へと駆け出し大きく跳躍。
着地したリアムの前にはグレンとアルベルトがおり…
「───ぶっ飛べ。有象無象」
次の瞬間、巨大な光の衝撃波が駆け抜ける。命の危機を感じた宝石獣が稲妻で抵抗するが稲妻は衝撃波の前に消え去りやがて衝撃波が宝石獣を飲み込んだ。
眩い光が収まった時、宝石獣の体の大半は消え去っていた。
「一言言ってくれませんかねぇ!? 死ぬとこだったよ!?」
「日頃の恨みだ! リア充め!!」
グレンとリアムは言い争ってる。その様子をリィエルは、ばつが悪そうに見ていた。そんなリィエルにグレンが話しかける。
「リィエル、話は後だ。今はルミアを助けに行くのが先決だ」
「グレン………分かった」
リィエルが頷く。そのリィエルにグレンがゲンコツを浴びせる。
「今のとこはとりあえずこれで許す。ほら、行くぞ?」
ルミア救出のメンバーは4人となりそのまま地下水路の奥へと進んでいった。
※※※
バークスはその様子を忌々しそうに見ていた。
「馬鹿なッ!【イクスティンクション・レイ】だとッ!? セリカ=アルフォネア以外にあの術を使えるヤツがいるというのか…ッ!? それより何故生きている!? グレン=レーダスッ!! 」
「まさかグレン様にこんな奥の手が…」
エレノアもグレンの奥の手に驚いていた。フードを被った男がエレノアへと話しかける。
「エレノア様…どう致しますか?」
「さて、どうしましょうか? バークス様」
「ふんっ…私が直々に奴らを仕留めてやろう。エレノア殿達はここに居るといい」
「では、そうさせて戴きますわ」
バークスは部屋から出ていった。フードを被った男にエレノアが話しかける。
「では、後は任せましたわ。マグネス」
マグネスと呼ばれた男はフードを取り答える。
「了解致しました」
エレノアはその場から姿を消した。
※※※
先を急ぐリアム達だったが立ち止まらざるを得なかった。ようやく目的といった所でバークスが待ち構えていたのだ。
「貴様ら、よくも好き勝手やってくれたな─ッ! 全員ここで私が仕留めてやる!」
バークスを前にアルベルトが一歩前に出る。
「お前らは行け…こいつは俺が排除───いや、殺す」
アルベルトの言葉にはいつも以上に強い意思が感じられた。
「っ……悪い…!」
「兄貴、任せた」
「ん」
リアム達三人はその場をアルベルトに任せ次へと進む。
「そう簡単に通すと思うかッ!! 《紅蓮の獅子───」
「《気高く・吠えよ炎獅子》!」
バークスがそれを阻止しようと呪文を唱え始めるが、アルベルトが先駆けて【ブレイズ・バースト】を唱える。
「馬鹿な!? 貴様、仲間を巻き込む気か!?」
飛来する炎球にバークスは【フォース・シールド】で対抗する。火球が床に着弾し、バークスだけでなくリアム達をも巻き込むかに見えたが、荒ぶる炎嵐は、リアム達を避けて流れていた。そしてそのままリアム達は駆けて行った。
「貴様だけを狙うことなど造作もない事だ」
「駄犬にしてはなかなかできるようだな」
「貴様は俺がこの場で殺す。確実にな」
アルベルトはバークスを指さし【ライトニング・ピアス】を唱えた。
※※※
「《月》のリアム。お手合わせ願おうか」
グレンたちの前には天の知恵研究会の男、マグネスが立っていた。
「先生とリィエルは先に。ご指名みたいなんで」
「……死ぬなよ」
「当然」
グレンがリアムに死ぬなと言った理由、それはマグネスがバークスより強いと一目見た時にグレンが感じ取ったからだった。グレンとリィエルはマグネスの横を走り抜けていった。
「案外、簡単に通すんだな」
「俺はお前の相手をするように言われている。ほかは関係ない」
「そーかい!」
リアムは、話し終わる前に既にストックをしていた【ライトニング・ピアス】を
マグネスは飛来する【ライトニング・ピアス】を【トライ・バニッシュ】で打ち消すと、背後に跳躍。
「《爆散せよ》」
リアムの詠唱により双剣が爆発。マグネスは後方への跳躍でその攻撃を軽々と躱していた。
「《駆けよ・雷槍》」
マグネスが放った【ライトニング・ピアス】が通常のものより倍ほどの速度でリアムの元へと飛来する。
「ちっ…」
リアムが慌てて回避するがその回避する先へとマグネスは銃弾を放っていた。リアムは身体を捻って躱そうとするが躱しきれず、銃弾は左足を掠めた。その時リアムの左足が急激に重くなる。
「っ…!? そうか…お前が《魔の銃弾》か」
《魔の銃弾》と呼ばれる天の知恵研究会のメンバーがいることはリアムは知っていた。その男の放つ銃弾は魔術が込められており様々な効果をもたらす。魔術を銃弾にエンチャントするのには高度な技術が必要とされ調合には時間がかかるとされるが《魔の銃弾》と呼ばれる男は瞬時に銃弾に魔術をエンチャント出来ると言われている。
先程、マグネスが放ったのは【グラビィティ・コントロール】がエンチャントされた銃弾だった。リアムが魔術を唱え【グラビィティ・コントロール】を解除しようとするがそのリアムに向かって次々とマグネスは銃弾を打ち込む。リアムはその銃弾を後方に飛び躱す。マグネスの左手は既にリアムの方へと向けられており
「《爆散せよ》」
「!?」
その時、リアムが詠唱。すると天井から爆発する。それはリアムが投げた双剣の一本だった。初めに爆発したのは一本だけ。その爆発に紛れてリアムは剣を天井へ刺していた。この隙にリアムは【グラビィティ・コントロール】を解除し、新たに双剣を錬成する。
「簡単なことだろ? お前が放つ銃弾に当たらなければいい」
「躱せるものなら躱してみろ!」
マグネスがリアムへと銃を構える。リアムはその場で魔術を唱える。
「《砂塵よ・荒れ狂え》」
リアムが唱えた魔術は【サンド・ストーム】と呼ばれる魔術で、その場の石などを錬金術の応用で砂へと変え、その場に砂嵐を巻き起こす魔術。撤退する時などに使われたりする。
砂嵐によってマグネスは銃の狙いを定められなくなる。
砂嵐の中から雷撃が飛ぶ。その雷撃を【トライ・バニッシュ】で打ち消すとその方角へとマグネスは銃を連射する。すると銃弾は突如、炎をあげてその場に炎嵐を起こした。
「へぇー。今度は【ブレイズ・バースト】か」
背後からリアムが斬りかかっていた。マグネスは回避しようするが一瞬のことで回避し切れずリアムの双剣はマグネスを切り裂く。だが、致命傷とはならない。
砂嵐が消え、リアムとマグネスは向き合う。
「【ホーミング・ピアス】か…してやられた」
「お褒めに預かりどうも」
マグネスは飛来した雷撃を【ライトニング・ピアス】と思いそこに向けて魔弾を放った。しかしそれはリアムが放った【ホーミング・ピアス】であり、リアムがいたのはマグネスの後方だった。【ホーミング・ピアス】は孤を描く様に放たれるのでマグネスはリアムのいる方角を見誤った。
「さーて、ここで仕留めさせて貰おうか《魔の銃弾》」
イヴヒロインの新作『紅炎公と銀の剣聖』を投稿開始したので良ければそちらもよろしくお願いします!