リメイク前から書きたかった設定が今回書けて満足です。
リアムとマグネスの闘いは熾烈を極めた。両者一歩も譲らない戦い。リアムがマグネス目掛けて魔術を放とうとする。
「《吠えよ炎───……」
魔術が放たれる前にマグネスは次々魔術がエンチャントされた銃弾をリアムへと放つ。
「ちっ…」
魔術の詠唱を中断し、その銃弾をリアムは剣によって確実に弾き飛ばす。
弾き飛ばされた銃弾は壁に当たり燃え上がる。
リアムにとってマグネスはやりにくい相手だった。魔術を詠唱しようとしたタイミングで確実に銃を打ってくる。マグネスの銃の腕は相当なものだった。その腕前はリアムが今まで見てきた中で最高と言えるバーナードに匹敵するほどだった。魔術も併用するマグネスを前にリアムも全ての攻撃を捌ききれておらず所々に傷を負っていた。
マグネスにとってリアムはとてもやりにくい相手だった。銃での攻撃には魔術には無い利点がある。それは連続、同時での使用が容易なことにある。魔術は連続で魔術を起動するとしてもせいぜい三連。同時起動などは高等技術であり殆どの魔術師は使えない。そして魔術のように銃弾を打ち消すことは出来ない。よって殆どの魔術師はマグネスの銃弾を防ぎきれずに簡単に仕留められる。
だが、剣術の技量が高い者は銃弾を弾くことができる。だが、剣だけだと魔術も併用するマグネスとの距離を詰めることは出来ず、マグネスの魔術の前に敗北する。魔術は銃弾とは違い剣で防ぐことは出来ないのだ。
リアムには高い魔術の技量と剣術があった。
リアムにはグレンのような【愚者の世界】といったオリジナルや、アルベルトのような帝国一とも言われる狙撃技術などリアムにしかない能力は一つもない。だが、リアムはマグネスにとってはまさに天敵だった。
そして徐々にリアムがマグネスを押していき…
「チェックメイトだ」
完全に背後を取ったリアムがマグネスへと双剣で斬り掛かる。
マグネスが回避したとしても完全に間に合わないタイミング。しかしマグネスは慌てる様子もなく落ち着いていた。
「お前がな」
「なに…!?」
その時リアムの右足が何者かによって掴まれリアムはその場に叩きつけられる。
「ちっ…この魔術…」
リアムはこの魔術に見覚えがあった。
「リアム様。貴方の力、存分に使わせていただきますわ!」
突如現れたエレノアがリアムへと魔術を放つ。
(やられた…! こいつは完全に囮だったのか!)
リアムが魔術を唱えて防ごうとするがマグネスも銃口をリアムへと向けているのに気がつく。防ぐにしてもどちらか一方しか防げない。そしてリアムへ向けてマグネスが銃を放つ。
「クソっ……! ルミア……!」
リアムが敗北を覚悟した時一人の男の声が聞こえる。
「この程度か? ───《月》」
「!?」
エレノアの魔術とマグネスの銃弾がリアムの元で炸裂。爆炎がその場に起こる。
エレノアとマグネスの二人は勝利を確信する。だがその場にリアムはいなかった。
「!?……どこにっ!?」
エレノアが周囲を見渡した瞬間、マグネスがその場に倒れる。
そこには右足を構えたリアムが立っていた。
「そんなありえ───!?」
エレノアは瞬時に危機を察知しその場から離れる。しかし、間に合わなかった。
直撃は避けたものの一本の剣によってエレノアの右腕は切り落とされていた。
エレノアはその場から距離を取りその男の方を見る。だが、リアムもまたその男から距離を取り、剣先をエレノアではなくその男の方へと向けていた。
「……」
「……やはり、貴方ですか」
そこに立っていたのは天の知恵研究会の一人、《魔剣》のエリヤだった。
「そろそろ本当の姿を見せたらどうです? エリヤ様…いえ、カルロ=ロディウス様」
「………は?」
そのエレノアの言葉にリアムは驚きその男の方を見る。
エリヤは小さく笑うと
「ふっ…やはり気付かれてたか。流石はエレノア=シャーレットだな」
するとエリヤの顔が歪みエリヤの姿は青髪の男へと変わった。
「いえ、貴方の工作は完璧でしたわ。組織の中でも貴方を少しでも疑っていたのは恐らく私だけ───……!?」
その時エレノアは気付いた。
自分の右腕が切り落とされたままであることに。
いつもならその超人的な再生能力から既に再生している頃だった。
「残念ながら君の右腕は今までのようにすぐさま再生することは完全に無い。これから先、永遠にそのままだ」
「まさか、その剣は───!?」
エレノアは驚愕の眼差しでカルロが持つ剣を見る。カルロはエレノアへと右手に持つ剣を向け答える。
「察しがいいな。この剣は
「つまり、この剣でその首を撥ねたら、いくら君でも……死ぬ」
その時カルロからこれまで以上の殺気が放たれる。その殺気にエレノアからいつもの余裕は消え真剣な表情になる。
「これはしてやられましたわね…仕方ありませんわ。ここは逃げの一手を選ばせて頂きますわ。──《爆》ッ!」
黒魔【クイック・イグニッション】をエレノアが唱えると爆炎が上がる。爆炎が収まった頃には、エレノア、そしてマグネスの姿はなかった。
リアムがカルロの下へと詰め寄る。
「……おい、アンタ。どういう事だ!? カルロ=ロディウス、その名が本当ならアンタは───」
カルロはリアムの言葉を遮り答える。
「───俺はお前の父親だ。王女の指示で天の知恵研究会に潜入していた」
「嘘だ。俺の両親は俺の事を───…!…っ!?」
その時、リアムを頭痛が襲った。そこへアルベルトが駆けつける。
「───全て、話したようだな」
「まだ全てではないが…それは後に話そう。フレイザーの息子だな? 世話を掛けた」
アルベルトとカルロの会話に頭痛が収まったリアムが割って入る。
「ちょっと待て、兄貴はこの事知っていたのか!?」
「……そういう事だ」
「───後でちゃんと話してもらうからな」
リアムの視界に一人の少女が映る。
グレンとリィエルが助け出したルミアの姿がそこにはあった。その姿を見てリアムは安堵した。
そしてルミアがリアムへと駆け寄ってくる。
「リアムくんっ!」
ルミアはリアムの胸へ飛び込んだ。
「……!? る、ルミア……!?」
「リアム君なら来てくれるって私、信じてたよ」
「───無事でよかった」
そんな二人の様子を後から来たグレンとリィエルは二人で見ていた。
「これで一件落着だな」
「ん。よかった」
「おい、リィエル。俺は忘れてねーからな?」
グレンがリィエルの頬を引っ張っる。
「うぅ…」
カルロが隣のアルベルトへと話しかける。
「《星》、俺は先に行く。後は頼んだぞ」
「あぁ」
そうアルベルトに言うとカルロはその場から姿を消した。
リアムがカルロがいないことに気が付き、アルベルトへと声をかける。
「兄貴、あの人は…?」
「既に去った。近々改めて会うことになるだろう」
「……そうか」
遠征学修で起こった事件はこうして幕を閉じた。
これにて第3部終了です。
次回からは完全オリジナルの第4部となります。
よろしくお願いします!