俺は貴女を守る剣となる(リメイク版投稿中)   作:凪里

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第5章
謎の美女


 今、リアムは人生で一番の窮地に立たされていた。

 クラスメイトからの人間に向けるものとは思えない冷たい視線。

 特にルミアに至っては目から光が完全に消えている。

 ここはアルザーノ帝国魔術学院、二年次生二組の教室。

 そして、リアムは現在。巨乳の美女に抱きつかれている。

 

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 

 

 遡ること数分前───

 

 

 先日、正式に付き合う事になったリアムとルミア。学院一の美男美女が付き合った。その噂は当然の如く、瞬く間に学院中を駆け巡った。

 今日も二人は一緒に登校してきており朝のホームルームを前に二人は仲良く話している。

 

「ねえ? リアム君。今日のお弁当、なんだと思う?」

 

 二人が付き合い出してから毎日欠かさずルミアはリアムの昼ご飯を作ってきている。

 料理の腕も上達しリアムもルミアが作る弁当を毎日楽しみにしている。

 

「卵焼きとか? 全然分かんねーや」

 

「ふふっ。お昼になってのお楽しみだよー!」

 

 クラス中が二人に釘付けである。

 

「くそう!! リア充め!!」

 

「やめとけカッシュ。哀れだ」

 

 やがてチャイムが鳴りグレンが息を切らしながら教室に入ってくる。

 

「はぁはぁ…間に合った……よし……ホームルーム……始める……ぞ」

 

 そんなグレンに対してシスティーナが文句を言うのは当然の事で

 

「始めるじゃないですよ!? 間に合ったからいいけど、何でそんなにギリギリ何ですか!? もっと余裕を持って───」

 

 そんな時だった。教室のドアが突然開く。

 クラス中が驚いてドアの方を見る。

 システィーナもグレンへの文句を言うのをやめ注目している。

 

 そこに立っていたのはアルザーノ帝国魔術学院の制服を着た美女だった。

 クラス中がざわつく。

 特に男子は突然の美女に狂喜乱舞だ。

 

「誰なんだ? この美女は!?」

 

「あんな美女、見たことないぞ!?」

 

「う、美しすぎる!!」

 

 女子達もそのあまりの美貌に興味津々だ。

 

「綺麗な人──!」

 

「足長いし肌も綺麗ー! どんなお手入れしているのかしら!」

 

「なんて綺麗なお髪! お話を聞きたいですわ!」

 

「先生ー? 転入生ですかー?」

 

 だが、驚いているのはグレンも同じで

 

「い、いや、転入生なんて聞いてないぞ? 誰だ? 教室間違っているんじゃないかっておい───」

 

 突然現れた美女はグレンの言葉を聞かず教室へと入ってくる。そして…

 

「やっっっっと会えた!!」

 

 美女はリアムへ向かって一直線に向かってくると突然リアムに抱きついた。

 

「「「は?」」」

 

 クラス中の考えがこの瞬間一致した。

 

「え?」

 

 リアムも同じく何がなんだが分からないという表情。

 隣のルミアはゴミを見る目でリアムの事を見据えている。

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 リアムside───

 

 いやいやいや!? 誰!? この人!?

 急に教室に入ってきたと思ったら抱きついてきたんですけど!?

 隣のルミアの目が最早人間に向けていいものじゃなくなってるんですけど!

 クラス中が浮気してると思ってるよ! これ!? 俺、この人まっっっったく知らないんですけど!? 軍の仕事の方であった人か? いや、全く記憶ない…

 てか、当たってるからわかるけどこの人凄い巨乳……ってこんな事考えてるのバレたらルミアに殺される!!

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 

 

 

「「「最低」」」

 

 クラスの生徒全員から向けられる冷たい視線。

 そしてリアムの隣のルミアがほんとに小さな声で呟く。

 

「死ねばいいのに」

 

 その声はリアムにだけ届きリアムは顔色を真っ青にしすぐさまその美女を離そうとするが全く離せない。

 

(力つよぉおおおお!?)

 

 そしてその美女が口を開く。

 

「やっと会えた! 本当に会いたかった!! リアム、心の底から愛してる!!」

 

「いや、ちょっ───」

 

「「「死ね」」」

 

 クラス中が確信した。

 こいつ、やったなと。

 クラス中から次々と男女それぞれから罵声が飛ぶ。

 

「ルミアちゃんがいるのに最低!!」

 

「リアム、お前。ルミアちゃんっていう彼女がいながらそれでも満足出来ないのか!?」

 

「このクソ野郎が! 表出ろやああああ!!」

 

 そしてリィエルでさえも

 

「リアム。最低」

 

 リアムはクラスメイト全員を敵に回していた。

 リアムが何とか弁明しようとするも聞いてくれるような状態では既に無い。リアムが恐る恐る隣を見ていると予想に反しルミアは笑顔だった。リアムは一瞬安堵しかけるが目の奥は全く笑っていない。その姿にリアムは震え助けを求めようとするがこの場で助けを求めれるようなリアムの味方は一人もいなかった。

 そこに再び教室のドアが突然開く。

 クラス中が驚いてドアの方を見る。

 

 入ってきたのは───

 

 大陸が誇る最強の魔術師。セリカ=アルフォネアだった。

 

「やっぱり! ここにいたのか!」

 

 

 

 

「……!? せ、セリカ!?」

 

 突然のセリカの登場に本日何度目かも分からない驚きがクラス中を支配する。セリカの訪問にグレンが声をあげる。

 そのままセリカは真っ直ぐリアムと美女の元へ向かう。

 リアムは助けを求める目を必死にセリカへと向けていた。

 その時、セリカが美女をリアムが無理矢理剥がす。

 

「あーん! リアム───!! セリカー! はーなーしーてー!」

 

 美女が再びリアムに突撃しようとするがセリカが既に捕まえておりリアムは救われた。

 クラス中が困惑する中、セリカが状況を説明する。

 

「あー。迷惑かけたな、グレン。そして生徒諸君。特にリアムにルミア。こいつはリネア=ロディウス。リアムの姉だ」

 

 驚愕の事実に生徒達は声も出ない。

 そんな中声を上げたのは問題の原因であるリネア、本人だった。

 

「えーと。リアムの姉のリネアです! みんなよろしくねー!!」

 

「「「……」」」

 

 教室を支配する沈黙。

 その沈黙を破ったのはその原因であるリネアだった。

 

「ん? な、なに…? この雰囲気?」

 

 やがて生徒達は我に返り

 

「「「はぁあああああああああ???」」」





短いけど許してくだされ…
実は3章くらいからこの話書けてました←
この後の話とかもぼちぼち決まってきたので投稿再開?します!

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