引越しをしてて忙しくあまり書けていませんでした!
引越しは終わったのでこれからはもっとペースを上げて書いていきたいと思います。よろしくお願いします!
「早速だがお前らって本当に馬鹿だよな」
「「「はぁぁぁ???」」」
期待せずとも何だかんだグレンの話を聞いていたクラスの生徒から不満の声が上がる。
「いやいやだってそうだろ? お前らの授業態度見てたら分かったわ。魔術の事なんにも分かってねーんだな。魔術の書き取りなんてアホみたいな真似して魔術の勉強しているつもりになってるんだからな」
今、まさに羽ペンを手に教科書を開き、書き取りをしようとした生徒達が硬直する。
「ふん。【ショック・ボルト】程度の一節詠唱もできない三流魔術師に言われたくないね」
あちこちからクスクスと押し殺すような侮蔑の笑いが上がる。
「まあ確かにそれを言われると耳が痛い。俺には略式詠唱のセンスは皆無でね」
「だが【ショック・ボルト】程度だって? いやーほんとお前らバカだわ。丁度いいから今日はその【ショック・ボルト】について話そうか」
「今さら、【ショック・ボルト】なんて説明されてもね…」
「【ショック・ボルト】なんてとっくの昔に究めてまーす」
生徒達から不平不満の声が上がる。
「ほう? じゃあ【ショック・ボルト】を究めてる君達に問題だ」
《雷精よ・紫電の・衝撃以て・撃ち倒せ》
「さて、これを唱えると何が起こる?」
沈黙。
「これはひどい。まさか全滅か?」
「何が起こるか分かるはずなんてありませんわ! 結果はランダムに決まってますわ!」
クラスの生徒の一人、ツインテールの少女。ウェンディがたまらず声を張り上げ、机を叩いて立ち上がる。
「ランダム!?お前らこの術、究めたんじゃないの!? ぎゃはははははははっ!」
ひたすら人を小馬鹿にするように大笑いするグレンにクラスの怒りは最高潮に達していた。
「もういい。答えは────」
この時ルミアの隣りに座るリアムが隣のルミアですら聞こえるかどうかという小さな声で呟いた。
「右に曲がる」
「───えっ?」
ルミアは不思議そうにリアムの事を見る。
リアムの発言に気づいていないグレンはそのまま続けた。
「右に曲がる、だ」
グレンが四節になった呪文を唱えるとグレンの宣言通り力線は大きく弧を描くように右に曲がって壁へと着弾する。
「嘘っ!?」
「ま、マジかよ…」
クラス内が騒然となる。
ルミアは一際驚いたようにリアムの方を見ていた。
そんな中グレンは話を続ける
「このように五節にすると…」
グレンはチョークで更に節を切る。
「射程が三分の一」
これまたリアムが先に小さな声で呟く。
「射程が三分の一になる」
これまたグレンが宣言したのはリアムが言ったのと同じ答えだった。
「お前ら今までは魔術式を覚えるのに必死で、根本的な部分については二の次だったろ」
グレンの言う通り生徒達は魔術式を覚え習得した呪文の数を競い、誇ってきた。根本的な事を突き詰め考える余裕は今まで無かった。
つーわけで、今日、俺はお前らに、【ショック・ボルト】の呪文を教材にした術式構造と呪文のド基礎を教えてやるよ。ま、興味ない奴は寝てな」
※※※
「んじゃ今日は終わりなー」
そう言い残しグレンは教室を退室していった。
生徒達はそれを放心したように見送る。
扉がしまった瞬間生徒達は一斉に板書をノートに取り始めた。
「なんてこと……やられたわ」
システィーナが顔を手で覆って深くため息をついた。
「まさか、あいつにこんな授業ができるなんて……」
「そうだね……私も驚いちゃった」
隣に座るルミアも目を丸くしていた。
「あ、そう言えばリアムく……ん?」
ルミアがリアムの方を見るが既にリアムは教室を後にしていた。
「あれ? リアム君は?」
「そういえば居ないわね? 講義の時には居たんだけど…? リアムがどうかしたの、ルミア?」
「ううん。なんでもない…」
「?」
システィーナは首を傾げるしかなかった。
※※※
今までダメ教師として学院に名を馳せてたグレンが一転。今ではグレンの授業の質は学院一と言われるほどになった。
そんな訳でグレンの授業は大盛況。今では他のクラスの生徒が見に来るのは当たり前。立ち見の生徒まで出るほどである。
必然的にグレンの人気もうなぎ登りだ。
そんなある日事件は起こった。
その日学園の教授や講師達は魔術学会へ出ており学校は休講であったが、グレンのクラスはグレンの前任ヒューイが突然失踪したため、その授業進行の差を埋めるべく授業が入っていた。
つまり、この日授業があるのはグレンの担当クラスだけで他の生徒や講師は誰もいない。
そしてその時────
「《ズドン》」
光の線が校舎を貫いていた。