俺は貴女を守る剣となる(リメイク版投稿中)   作:凪里

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姉と弟

 競技場の中心にギークとリネアが向かい合うように達その周りを生徒達が取り囲んでいた。学院ナンバー2の実力のギークと美人転入生リネアの二人の決闘の噂はあっという間に学院中に知れ渡り多くの生徒達が一目見ようと競技場に集まっていた。その数はざっと数百人にわたりあちこちで生徒が勝負の予想を言い合い競技場は熱気に包まれていた。

 

「すごい人ね」

 

 リネアもあまりの人の数に驚いていた。もう授業が始まる時間なのだが生徒達が教室に向かう様子はなくこの場にいる生徒はこの勝負を見届けるつもりらしい。

 

「リネア…ギーク君は強いからやっぱりやめた方が…」

 

 心配そうなメアがリネアに声をかける。ギークの実力を知っているだけあってリネアの事が心配でならないようだ。

 

「心配しなくても大丈夫!」

 

 リネアはリラックスした様子でメアに答える。

 

「でも…負けたら何されるか…」

 

 それでも表情が冴えないメアに対しリネアはメアの目を真っ直ぐに見据え自信を持って答えた。

 

「大丈夫。絶対に負けないから」

 

「……うん! 頑張ってね」

 

 その言葉に安心したメアは最後に一言だけ残してその場から離れた。

 ギークがメアに決闘の開始を促す。

 

「そろそろ始めよーや? 転入生」

 

「いいわ。いつでもどうぞ?」

 

 リネアは挑発するように答える。

 

「それじゃあ…遠慮なく──《行かせてもらおうか》!!」

 

 ギークは即興改変した【ファイア・バースト】を広範囲に向かって放つ。火炎弾はリネアへと一直線に向かい爆発する。

 

「え、えげつねぇ…ギークのやつ女子相手に…」

 

「流石はナンバーツーの実力…あれだけ高速で広範囲の攻撃をたった一節で…」

 

「大丈夫かよ…あの女子生徒…」

 

 どよめく生徒達は競技場の中心部に注目するが煙が立ちこめ何も見えない。そんな中リネアの声が競技場に響き渡った。

 

「所詮は二番手…この程度って事ね」

 

 そこには無傷のリネアが立っていた。

 

「何だと…! この──!?」

 

 続けて攻撃しようとしたその瞬間にギークの視界からリネアが消える。

 

「どこ見てるの? ここよ」

 

 とんっ

 

 ギークの後頭部にリネアが指を突き付けていた。一瞬の出来事のその場にいる全員が静まり返る。

 

「「「うわぁあああああ!!!」」」

 

「あのギークをこんな圧倒して…!」

 

 そしてしばらくして歓声が上がった。

 

「それで、どう? 降参でいいの?」

 

 ギークに指を突きつけたリネアがギークに問いかける。

 

「……こ、降参だ。俺の負けだ」

 

 ギークは両手を挙げて負けを認めた。

 

「ま、弟を侮辱したからこのまま終わりとはいかないけどね!」

 

 リネアはとびきりの笑顔で答えた。その笑顔にその場に居た全員の背筋が凍った。

 

「なっ…! ちょっ待っ「《雷精よ》」」

 

 こうしてリネアとギークの決闘はリネアの圧勝で幕を閉じた。

 

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 

 

 放課後、セリカの研究室にて───

 

「ふぅ…こんなものか」

 

 セリカは研究室で作業をしていた。その時ドアをノックする音が聞こえた。

 

「ん? 入っていいぞ」

 

「失礼しまーす」

 

 セリカの研究室を訪れたのはリアムだった。

 

「あーもうこんな時間か」

 

 セリカはリアムが研究室に来たことで今が放課後だということを知る。

 

「姉…のことについて…ですよね?」

 

「あぁ…そうだ。何か思い出したか?」

 

 セリカは座っている椅子をくるりと回してリアムの方へと向き直る。

 

「授業中とかも考えてたんですけど、正直あまり…」

 

「だろうな。そうだと思ったよ。まず初めに言っておくとリネアは正真正銘のお前の姉だ」

 

 セリカはリアムへの説明を始めた。

 

「まずお前がリネアの事を覚えてない理由。それは二つある。一つ目はシャルロットの『メモリーシール』の力の影響だ」

 

『メモリーシール』はリアムの母、シャルロットにのみ扱える魔法遺産で他人や自身の記憶を封印することが出来る。

 

「母さんの…?」

 

「『メモリーシール』によってお前の記憶は封印されていただろ? それの影響が一つ。もう一つがお前とシャルロットは離れて暮らしていたことだ」

 

「離れて…? じゃあ姉さんはどこで…?」

 

「それはお前もよく知ってる奴のとこさ。特務分室の一人、ユーナ=ヘイヴン。あいつの元にお前の両親はリネアを預けてた。一族が狙われることを危惧してな」

 

「ユーナさんのとこに居たのか…」

 

「つまりお前とリネアが一緒に暮らしていた時期はとても短くその当時の事はお前はほとんど覚えておらず、記憶の封印を行ったことで完全に忘れてたってわけだ」

 

「そういうことか…」

 

「一方のリネアは両親とはよく会っていたがお前とは全く会ってなかっただろう? その結果ブラコンを拗らせた。それで今日のあれだ」

 

 リアムは今朝の出会い頭抱きついてきたリネアが確かにリネアはやっと会えたと言っていた事を思い出していた。

 

「な、なるほど…」

 

「まぁこれからはやっと一緒になれたんだ。姉弟仲良くしてくれ」

 

「分かった。ありがとうセリカさん」

 

「そう言えばお前にプレゼントを用意してるから楽しみにしてろ」

 

「それは楽しみにしときます」

 

 こうしてリアムはセリカの研究室を後にし帰宅した。

 

 

 

 

 

 のだが…

 

 

「…………は?」

 

「ふぅーいいお湯だったあ。あ、おかえりリアム!」

 

 家の扉を開けると裸にバスタオル一枚のリネアが風呂場から出てくるところであった。

 

「なんじゃこりゃああああぁぁぁぁ!!!」

 

 リネアがリアムの元へと歩いてくる。

 

「何驚いてるの? セリカさんに聞いてない? 私達一緒に暮らすのよ」

 

「聞いてな──あ、あれか」

 

 リアムの頭にセリカのプレゼントの言葉が過ぎる。

 

「ってわかるかあぁぁぁぁ!!」

 

 リアムのセリカへの激しいツッコミが決まる。セリカはここにはいないが。

 

「というか服を着ろ! 服を!!」

 

「別にいいじゃない、姉弟なんだから。それに昔は一緒にお風呂入ってたじゃない? 別に今一緒に入っても──」

 

「お断りします! というか昔の事は覚えてないって!!」

 

「とにかくこれからよろしくね! リアム!」

 

「はぁ…まあ、よろしく姉さん」

 

 こうして姉弟の新たな生活が始まった。




今回は短めですけどキリがいいので…
次回から本格的に五章始まります!

『紅炎公と銀の剣聖』も更新しましたので
良かったらお願いします!

あと近々新作を書こうか検討中です。
ヒロインはシスティ予定。
詳しくは活動報告にて。
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