…クソ…!
クソ…クソ…クソクソクソクソクソクソクソクソクソッ!!
ドウシテ…! 何デアイツラダケ…!!
アイツラガ正義ナワケナイ! …アイツラハ…アノ人ニ…ッ!
認メラレルワケナイ! 認メラレルモノカァ!? クソッタレガアアアアアア!!!
…フウゥ……モウ…イイヤ。
ヤルダケヤッタカラ……モウドウデモ………?
ソウダ……ワタシハ…ヤルダケヤッタンダ…! アノヒ、アノウミデ…!
…ドウシテ。
「どうして忘れてたんだろう…って?」
『!? エッ…? アナた……あナたは、瑞鶴(ワタシ)?』
「そうだよ瑞鶴(ワタシ)? 言い忘れてたことがあって、ここまで会いに来た」
『どういうこと…?』
鶴棲姫は瑞鶴の後ろを見やる。そこには…?
「………」
『! 小沢さん…!』
小沢と呼ばれた男は、鶴棲姫に歩み寄ると手を差し伸べた…「君を迎えに来た」と、そう言っているように感じた。
『…っ!』
しかし鶴棲姫は後退りし、怯えた様子で言葉を紡いだ。
『…小沢さん、私忘れていたみたい。あの時…貴方と私はやるだけやったんだって、何も思い残すことはなかったって』
「………」
『でも、他の人たちは違う…! 皆、貴方が頑張った事を知らない。貴方が命がけで守ろうとしていたことも、苦しみながら戦って、それを後悔していたことも…貴方は、あの戦いの後も何も言わなかったんだって? でも…私はっ! そんなの泣き寝入りと同じだと思う!!』
「………」
『それをずっと考えてた…海の底で、貴方のことを…ずっと考えてた! だって…大好きなヒトが頑張ったのに、誰にもそれが分からないなんて…っ! そんなの……酷いよ……哀しすぎるよ…っ!!』
「それは違うよ?」
酷く顔を歪め、くしゃくしゃになりながら大粒の涙を零した鶴棲姫、そんな彼女の主張に待ったをかける瑞鶴。
「小沢さんが全部話さなかったのは、平和な未来を思い描いていたから。自分だけがあの戦いの真実を背負うことで世界から戦争の哀しみが無くなる事を願っていたから…本当はさ、あの時の戦いも忘れた方が良いと思う。だってそれが「前を向いて歩く」って事だと思うし?」
『…でも、戦いは終わらない。私には世界から「全部無駄だった」って言われてる気がして…』
「そうだね? でも無駄じゃないよ。少なくとも私たちが此処に居る理由は「もう一度守る為」なんだから」
『…! 守る…?』
「うん、提督さん、そのお父さん、ミウちゃん、徳田先生、それから近所のおじさんたちも、皆小沢さんに負けず劣らずの良い人ばかり。私はそんな人たちを守りたい! かつてあの人がそうしたように、今自分に出来ることで、全力で! …今度はあの人と同じ「人」として、艦娘として、私は人の未来を守っていきたいんだ」
『…そのヒトが、貴方を裏切ったとしても?』
「私がそうしたいって思ってるもん、信じるよ? …貴女も信じたいんでしょ?」
『…私は』
「大丈夫! 貴女のやった事は許されることじゃない…でも、それが貴女なりの「未来を守る答え」だったら…私はその思いをずっと忘れない、約束!」
『! …そう。… そう、か…』
- ……っ、よしっ!
…光に包まれ、一羽の鶴は愛しい人と共に飛び立った。
その顔は、憑き物が取れたように希望に満ち溢れていた…。
・・・・・
- 宿毛泊地、大広場。
宿毛泊地では、先の捷号決戦の(一応の)成功を祝い、今まで以上に盛大にお祝いするパーティーが開催される。
主催者の提督、その秘書艦吹雪、そして泊地中の艦娘、近所の人たち、更に支援に駆けつけてくれた「海外艦娘」を招いて、会場は大いに賑わい人で溢れていた。
「おぉーし! 皆居るな?」
「おるぅー!」
「にしし! んじゃあー皆! 第1期最終イベ、お疲れっしたー!」
「お疲れちゃーん!」
「ストーップ! んもう司令官、こんなに皆頑張ったんだからもっと感情を」
「えいやん? オレらは鎮守府連中からしたら下っ端もしたっぱや、そういう台詞はそういう奴らに言わせたらえい!」
「ええ…そんなぁ」
「吹雪ちゃん、俺らぁ酒盛りしたいだけながやき!」
「そうよぉ、早よ飲ませてちや!」
「おじさんたちまで…もうここの人はいつもこうなんですから…」
「良いではないか、私たちは最後まで無礼講といこうではないか!」
「そうそう! その方が楽しいもんね☆」
「もう、磯風ちゃん照月ちゃん…まぁいいでしょう、最後まで楽しい方が良いですし!」
「そういうことよ! …あ待って、まだ揃ってないわ」
「あれ? 新人艦はまだ先ですよね? 瑞鶴さんたちは「疲れたから寝る」って言って適当にやっといてと」
「いやいや、まだ居るがよ…っあ、あれや!」
提督の指差す方向を全員が見やる、其処に居たのは…。
『よっす、遊びに来たっすよ?』
「くうさん、それからせんちゃんさん…!? え?!」
吹雪が困惑するのも無理はない。深海群からくうさん、せんちゃんの他に重巡や軽巡棲鬼、潜水新棲姫、空水や戦水など「滅多に人前に出てこない姫」まで顔を出していた。そして極めつけは。
『(ぴょこ)な"ぁ"ーっはっは! 来てやったぞお邪魔虫共ぉ!!』
「!!? え、あれって「深海提督」?!!」
吹雪の言葉に、一同騒然…会場には緊張が走る。
「皆、安心しぃや! この人らぁはオレが呼んだがよ?」
「司令官!? 何故そんなこと…皆さんのこの空気分かります?!」
「えいやん、どうせ次まで大分間が空くがやき、ねぇ?」
『えっ!? まぁそうだなぁ…少しぐらいなら付き合ってやるぞぉ!』
『(戦エル手駒ヤ姫ガ軒並ミ居ナイ、ナンテ言エマセンヨネ…? ;)』
「アンタとはサシで話したい思いよったがよ? こんな時やないとお互い時間も取れんやろうし」
『ふんっ! 勘違いするなよぉ!! 態勢が整ったらまたけちょんけちょんにしてやるもんねぇ! 首を洗って待っていろぉ!』
「にゃはは! そっちには洗う首もないけんどな?」
『あら〜こりゃ一本取られタァ!』
「『なあーっはっはっは!!」』
『ってこらあ"っ! 上手いこと言ったつもりかあぁ!?』
「ひひひ!」
二人(?)の提督のやり取りを聞いて、その場の雰囲気は次第に和やかになっていった。
「…っしゃ! 皆待たせたな! んじゃあー改めて…」
「艦これ第1期、お疲れさまっしたー!」
「かんぱーい!!」
…こうして、激戦と苦難を乗り越えて祝杯をあげる泊地メンバー。その活気に満ちた声は、平和の証なのかも知れない…。
・・・・・
- 居酒屋「鳳翔」にて…
「…ねえ、満潮? 皆と一緒じゃなくて良いのかな? どうせなら皆で祝った方が…」
「何よ野分、私の酒が飲めないっての?」
「いやそうじゃなくて…」
「いいじゃない? 私たちはここでのんびりと飲んでた方が、性に合ってるわ」
「ですね? うふふ♪」
「涼月さん…はあ、いいか。こうしてまた3人で飲み明かせるんだから」
「そういうことよ? ねえ、鳳翔さん?」
「はい、私も3人が無事に戻って来てくれて、ホッとしています」
「あはは、何それ。ホントにお母さんみた(ガララッ)…ん?」
満潮たちが後ろを振り返ると、そこには障子の隙間から様子を伺う霞が…。
「…こんにちは」
「あら、いらっしゃい」
「霞、何してるの?」
「あっいや、涼月居るかなって…?」
「…? 何しおらしくしてんの? いつもみたいに強気の姿勢にはならないの?」
「はぁ!? うるさいわね! 満潮みたいに誰彼構わず不貞腐れないわよ、私は!」
「へぇ、お姉ちゃんにそんなこと言うんだ。そんなクズだとは思わなかった」
「何それ! ウザいのよ!! …あ」
「…っぷ! あはは!!」
「うふふ、かすみんさんったら、まるでみっちーさんみたいな事言って♪」
「…うぅ」
「はは、それでどうしたのよ?」
「実は、一緒に飲みたいって。いや私じゃなくて…」
「? どういうこ、と……」
霞の後ろから、ぬぅっと顔を出すのは…。
「…こんにちは、涼月は居ますか?」
「!!?!? や、大和…!?」
驚く涼月の姿を認識すると、顔色がパァッと明るくなり見つめる大和、満潮と野分は顔を見合わせた。
「あちゃー…」
「…連れてきたの?」
「いや、私が涼月と話したって言ったら「私も話がしたい!」って言いだして…大和の頼みだから、断れなくて…;」
「…なるほど」
ニコニコと涼月を見る大和に対し、涼月、顔を青ざめさせながら。
「…私、畑に用事を思い出しました(ガタッ)」
「待ちなさい(ガシッ)」
満潮は立ち去ろうとする涼月の腕を掴む。
「離して下さい、みっちーさん。私は彼女たちの育ての親なんです、彼女たちの成長を見守る責任があるのです(真顔)」
「そんなの後でも出来るでしょ(正論)」
「……うぅ、みっちーさぁん…;;」
「大丈夫よ、私もいるから。…後で愚痴も聞いたげるから」
耳元で優しく諭すように囁く満潮に、観念したように頷いた涼月。大和は「やった♪」と小さく小躍りした。
「…やれやれ、お前も大変だな? 涼月よ?」
「あれ、武蔵さん。疲れたから部屋で寝てたんじゃ?」
「あぁ満潮、部屋で熟睡していたら大和に叩き起こされてな? 涼月との会話が途切れたらフォローを頼む、と」
「!? っしぃー!」
「はいはい…それで、そちらは観念したか?」
「そうね? まだバツが悪そうだけど?」
「…うぅ」
「そうだろうよ? ま、こういうのは酒でも飲めば気分良く話が出来るものさ。…鳳翔さん、すまないが日本酒を頼む」
「あ、私もお酒と鯨の唐揚げを!」
「…また頼むのね、あの唐揚げを」
「仕方ないよ、大和さん鯨の唐揚げ大好きだし。この前なんて大皿に山盛りになったヤツを平らげたからね」
「それはそれで末恐ろしいわね?」
満潮と野分が世間話している中、鳳翔さんはいそいそと忙しなく動き始め、武蔵と大和も満潮たちが席を詰める形でカウンターに座る…勿論、大和は涼月の隣に。
「…んふふ〜♪」
「…はぁ」
「何この世の終わりみたいな顔してんのよ。ほら、飲むわよ? 何もかも吐き出しちゃいなさい」
「……ッ! (ぐいっ!)」
「!? ちょ、涼月!!? 一気に飲み過ぎ…」
満潮の制止も聞かず、杯に入ったお酒を飲んだ涼月…そして程なく顔を伏せて大泣きする。
「うわぁぁあああああん!? 私は守れなかった! ま"も"れ"な"がっ"だん"でずう"〜〜〜!??!」
「…あ〜あ」
「お、落ち着いて涼月、泣かないで、ね? …うぅ、武蔵ぃ」
「知らん」
「そんなぁ…;;」
「…全く、しょうがないわね?」
満潮は彼女たちの仲が戻るのを静かに、優しく見守るのであった…。
・・・・・
…宿毛泊地の玄関口前、新港と広がる海を望む昼間。タバコをふかして佇む男が一人…彼の背中からはパーティの真っ最中の泊地メンバーの楽しげな笑い声が響いた。
「…ふぅ〜。…へっ、中々良いじゃねぇの。こういう大団円は嫌いじゃあない…"そうは思わないか?"」
提督の親父がそういうと、物陰から何モノかが姿を見せた。
「…驚いたぜ、まさか生きてるとはな? しかもアイツらと似たようになって」
「………」
「…入らないのか? 面見せたらアイツも喜ぶだろうが」
「”私”が何故奴らと酒を酌み交わさねばならない? 必要性を感じない」
「まぁたそんな頭でっかちな…ま、アイツもお前の顔は覚えてねぇだろうが、それでも敵として会ったんなら、それで良いんじゃねえか? アイツは敵味方問わずって言うだろうからよ」
「…いや、十分だ。この「響き」は、私には十分過ぎる」
「そうかい…変わったな、アンタも。昔はもっとギラギラしてたろ?」
「…どうだろうな? 少なくともあの子は、自分の眼に映るモノたちを変えた…それは決して「一族の力」ありきではない」
「そういうのをな、「絆」って言うんだぜ? アイツと艦娘たちの繋がった魂の絆が、歴史の呪いや紡がれた憎しみさえ凌駕した…それだけだぜ?」
「…っふ、お前も随分と幼稚な事を言うようになったな?」
「はっ、アイツの父親だからな? …そういうアンタこそ、まだ夢みたいなこと言ってるのかよ?」
「…さぁな?」
肩を竦めると、白コートの男は踵を返してその場を立ち去ろうとする…。
「…これが、私の目指した理想世界、「兵器の理想郷」か…良い物だ」
小さく呟き微笑を浮かべると、振り返らずに男は歩き出した…その傍に「黒衣装の少女」を引き連れて…。
「…さて、俺も戻るかな。母さんも心配してるだろうし?」
…その前にもう一杯、と親父は湧き上がる活声の中へ入っていった…。
・・・・・
…宿毛泊地より離れた、海を一望できる丘の上。
瑞鶴は眠れずに火照った身体を休める為、散歩をしがてらこの場所に辿り着いた。
大海を望みながら、小沢氏との過去、提督たちとの今、そして未来を守ると誓ったあの光景を反芻していると…後ろから声を掛ける人物たちが。
「瑞鶴、こんな所にいたのね?」
「! 翔鶴姉、提督さん…?」
「おぅ、オマエが見当たらんち翔鶴に頼まれて、一緒に探しよったがよ?」
「…! (*・ω・)ノ」
「あ、ミウちゃんも探してくれたんだ? …へへ、何かゴメン」
提督たちが瑞鶴を探していたようだ。瑞鶴は申し訳なさそうに頭を掻く。そんな瑞鶴を見て提督は…?
「…オマエ、まだその格好しよったが?」
「え? …っあ、間違えて着替えちゃった」
捷号決戦は終わった、にも関わらず瑞鶴はあの時の決戦仕様陣羽織を羽織っていた。
「まぁ長い戦いだったし、しょうがないよ。ね?」
「…(こくこく)」
「まぁなぁ? しかし…そっちの方がカッコえいし、ずっとそっちで居ったら?」
「あ! 同じこと考えてた! へへぇ〜流石提督さぁん」
「…もう、瑞鶴?」
「ちぇ〜」
翔鶴が嗜めると、不貞腐れる瑞鶴。提督たちは彼女に泊地に戻るように伝える。
「ん〜もうちょい居たらダメ?」
「駄目ってわけじゃないけんど…なあ?」
「……( ˘ω˘ )」
「はい…瑞鶴、皆心配しているのよ? 私が瑞鶴を探してくださいって頼んだら、総出で探してくれている位に!」
「何してんの!? もーぅ心配症。…はぁ、分かったよ? 帰ろ?」
瑞鶴の言葉に安堵する翔鶴、提督たちは歩き出す瑞鶴を一瞥すると、自分たちも彼女の前を歩き出した。
…その時、瑞鶴の脳裏には「あの時の会話」の続きが…。
・・・・・
私、思い出した。人間たちの優しさを、人の持つ力を。
でも、永い年月はそれさえ忘れさせてしまう…だから、貴女は忘れないで。
自分の気持ちを大切に…ありがとう、大好き、愛してる…自分の気持ちを、どんなに不器用でも良い、伝えて。紡いで。
私はもうそれは出来ないけれど…貴女は違う。私の分まで……- つた…て………。
・・・・・
「…提督さん! ミウちゃん! 翔鶴姉!!」
「…?」
「? 瑞鶴?」
「どうしたぁ、瑞鶴?」
「- …ありがとう! 愛してる、ずっと!」
…柔らかな風と光が、栄光の証のごとく肌を通り過ぎる。
振り返った三人の目に映るのは、戦いを終え、「人」として成長してにこやかに笑う彼女。
…その大きくなった背中を、英霊たちも見守っているかもしれない。
-こうして、物語は続いていく…。
艦隊これくしょん
宿毛泊地提督の航海日誌
- 完 -
ギリッギリだけど間に合ったよ! どうも作者です。
今回は上手くまとめれたかな? と思いますがいかがでしたか? これにて宿毛泊地イベント編、全工程終了でございます。
とは言え、少々お暇を頂く形でやらせてもらい、時間が経ってまたやりたいと思えばいつでもやらせて貰えたらと考えています。(それまでは日常の方で「経過報告」的に短めにしようかな? と模索中)
…さて、こんな拙い作品を最後まで見て頂き、誠にありがとうございます。
これからも季節の変わり目に「あぁこんなんもあったな?」と思い返して頂ければ、というかぶっちゃけ見て頂いて(UA稼ぎ)とか…贅沢でしたね? すみません。
こんな感じでしたが、皆さんの心に響いていてくれれば此れ幸いです。何度でも感謝を、有難うございます。
…では、本日はこの辺りで。
これからも宿毛泊地を…宜しければ「末永く」観て頂ければ嬉しいです。
提督「皆ぁ! また会おうなぁ!」
全員「ばーーいばーーーい!!」