笑顔の魔法を叶えたい 作:近眼
ご覧いただきありがとうございます。
いつもの時間に間に合った…!お盆は偉大。
今回はオリジナルな展開多めです。だって…サクッと書いたらもう(アニメ本編が)終わっちゃう…寂しい…。
まあまだまだこの作品自体は終わらないんですけど。
というわけで、どうぞご覧ください。
スーパー掟破り助っ人の活躍と、A-RISE以外にも助太刀しに来てくれたスクールアイドルたちのおかげで準備は滞りなく進み。
「ふぃー、会場準備も楽じゃないねえ」
「お前は俺の上に乗ってるだけだろ」
「指示出し係も気を張ってるんですー。あーその飾りそこじゃないよ、逆サイド逆サイド」
ついにライブ前日となった。秋葉原の公道を丸借りしていられる期間は2日間だけだから、急いで準備しないとね。
ちなみにこんなデカい公道を2日間も借りれたのは、主に御影さんの宣伝効果とまっきーの融資のおかげだ。
御影さんが事あるごとにメディアで宣伝してくれたおかげで、このライブの注目度が爆上がりなのだ。テレビ中継までされることになった。誰がここまでやれと言った。すてき。さすが芸能界最強。
この知名度を盾に公道貸してって話をつけに行ったら、すんなり受け入れ…てくれたわけではなく、流石にすんごいお金が必要だった。
流石にこのお値段は出せないなあって思ってたら、まっきーが「その程度で苦心している場合ではないだろう?」とか言ってポンと出してくれた。腹立つ。腹立つけど助かった。おいしゃさんしゅごい。
というわけで掟破りの公道2日間貸切りライブが実現したのであった。いやぁ気が狂ってる。実現できちゃうところが特に狂ってる。
「まあみんなも頑張ってるし、僕らも手を抜けないね」
「そうだな、さっさと終わらせよう。俺たちが足引っ張るわけにはいかねぇからな。おいそこそのテントはそこじゃねぇぞ寄越せ」
「指摘するのはいいけど寄越せはおかしくない?あぁまた片手で運んで…」
創一郎も大概狂ってるね。どんな筋肉してたらテントを片手で運べるのさ。てゆーか筋力云々の前にバランスとかやばくない?持ち方次第ではテントの自重で足折れない?折れるよね普通。
そんな感じで謎のハイペース設営を進めていると、歩道橋の上から穂乃果ちゃんボイスが聞こえてきた。
「えー皆さんこんにちは!!」
「あの拡声器どこから持ってきたの」
「なんか天童さんが置いてった」
「この前使ってたやつか」
やたら声でかいと思ったら拡声器使ってた。また天童さんの仕業か。いいかげん怖くなってきた。
「今日は集まっていただき、本当にありがとうございます!このライブは、大会と違ってみんなで作っていく手作りのライブです。自分達の手でステージを作り、自分達の足でたくさんの人に呼びかけ、自分達の力でこのライブを成功に導いていきましょう!」
『はい!!』
「なんかえげつない人数集まってるけど、これ何人いるの」
「100人超えてからは数えるのやめたな」
「ちゃんと数えておきなさいよ」
「当日の参加者は584人、207グループだ」
「そっちはちゃんと数えてあるのね。なんかそこらへんのライブハウスだったら収まらない人数なんだけど」
「気にすんな」
「そうもいかんでしょ」
たしかに頑張って呼んだけどさ。そんなに来る?暇なの?今春休みだから暇か。
「お姉ちゃーん!」
「あ、手伝ってくれるのー?」
「うん!」
「もちろんです!」
「お任せください!」
「でも、私たちまだスクールアイドルじゃないのに参加しちゃっていいのー?」
『大丈夫!!』
「心広いねえ」
「未来のスクールアイドル、ここにいる全員の後輩なんだ。当然だろ」
「なるほどね。ところで雪穂ちゃんと亜里沙ちゃんの隣にいる子は一体誰」
「知るか。友達じゃねぇのか」
「まあ知らないか」
雪穂ちゃんたちも合流してくれた。次世代のスクールアイドルだし、むしろ歓迎だよね。ぜひ参加しなさい。
見知らぬテンション高い子が気になるけど。
「何にしても早いこと進めないと終わらないからね。手を動かそう手を」
「お前は動かさねぇだろうが」
「だから君が動かすんだよ。ほら早よ早よ」
「投げるぞ」
「失礼いたしました」
アスファルトに投げつけられたら僕じゃなくても死んじゃう。
「それにしても、どこ見ても女の子しかいないねぇ」
「確かにな。俺らみたいにマネージャーとか、何なら男子のスクールアイドルがいてもいいだろうに」
「きっと女の子がやるものだって意識が強いんだろうね。創一郎スクールアイドルデビューする?」
「バカか。俺がやれるわけねぇだろ」
「ダンスは得意そうなのに」
実際、なんとかプロダクションでは男性アイドルをメインに排出してたりするのにね。ジャニーズとかもさ。スクールアイドルもそういう壁が無くなるといいね。
「いや、ダンスじゃなくてだな…」
「ん?」
「…俺、音痴なんだよ…」
「ああ、そっちの問題」
意外な弱点。そういえば創一郎が歌ってるの聞いたことなかったね。
「…あれ?卒業式の時はみんなで歌ってたじゃん」
「…………すげぇ小声で歌ってた」
「この不届き者」
桜がいるわけでもないんだから堂々と歌いなさいよ豆腐メンタルめ。
意気消沈してる創一郎が軽々と重量物を運んでいると、テレビ局の方々が来てるのが見えた。前日から来るなんてご苦労様です。御影さんもいるし。誰がそこまでやれと。最高です。
「やっほー!みんなはっちゃけてるかーい?!」
「いえー!」
「おーっ御影さんもテンション上がってるねぇ!明日はなんと!全国のスクールアイドルが集まってスペシャルライブを披露してくれるんだって!楽しみだねぇ!」
「はい!僕もこの話を聞いてからずーっと楽しみにしていましたから、今のこの準備段階で既にもうワクワクが止まりません!」
ほんとにそこまで盛りあげろとは言ってないんですが。
「おっ、あそこにいるのはμ'sのマネージャーさん達ですね!お話聞いちゃいましょー!」
あっ見つかった。こら創一郎逃げようとするんじゃない。印象悪くなる。
「こんにちわー!」
「あっはいこんにちわ」
「こ、こんにちわ」
「今回のイベントの注目ポイントは何でしょう?」
「とにかくたくさんのスクールアイドルが参加するところでしょうかねー。第一回ラブライブ優勝のA-RISEや第二回優勝のμ'sはもちろんですけど、全てのスクールアイドルの底力を見ていただきたいですね」
「…」
「こら創一郎何かいいなさい」
「あ、あぁ…えっと、スクールアイドルそのものの魅力や力を感じていただけると幸いです。この先も、スクールアイドルはもっと輝き続けることを知ってほしいですね」
「なるほど!ありがとうございましたー!」
「二人とも設営、頑張って!」
「はーいありがとうございまーす。創一郎、あっち向かって。看板描かなきゃいけないの忘れてた」
「いや、俺は南側の設営に行くぞ。降りて一人で行け」
「えー」
この僕に歩けというのかね。
歩くけど。
歩きますよ。
「ちょ、ちょっと、波浜さん…!」
「あ、松下さんお疲れ様です」
「お、お疲れ様です…いや、本当に疲れたんですが、そもそも何故僕も設営のお手伝いをさせられているのですか…?!」
「え、海未ちゃんが誘ったら引き受けてくれたって言ってましたけど」
「せ、設営までやるとは、言ってません…!」
「あれっそれはごめんなさい」
歩いてたらへとへとの松下さんがへろへろになりながらこっちに訴えかけてきた。なんかごめんなさい。全部手伝っていただけるものだと思ってた。
あと周りに体力有り余るやつらしかいないもんだから松下さんもパワーもりもり系だと勝手に思ってた。割と本気で申し訳ない。
「い、いえ…確かにパワー系の知り合い多いですけどね…」
「そうですねぇ、そこにいる片腕野郎とかもですし」
「か、片腕野郎…?ああ、藤牧さんですか…」
まっきーは何でもできるからね。もちろん力仕事もだよ。頭でっかちじゃないんだよ実は。
「ん、松下氏、汗をかき過ぎだ。これを飲むといい」
「あ、ありがとうございます…」
「変なもん飲ませないでよ?」
「何を言うか。市販のスポーツドリンクだぞ」
「あれ、自家製ゲロマズドリンクじゃないんだ珍しい」
「ゲロマズとは失礼な。しかし、水分・塩分・糖分の補給には案外市販品で事足りるものだ。発汗の程度によって適する種類は異なるが」
「へえ」
「さあ、松下氏。まだ屋台をいくらか立てなければならない、早く行こう」
「え゛っ、ま、まだあるんですか?!」
「まだ5張しか立ててないだろう?大型のテント類なんかは滞嶺がやってくれているが、まだまだ人手が足りない。大丈夫だ、まだ体温はさほど上がっていない。水分さえ気を付ければ熱中症にはならないだろう」
「い、いえ、そう言う問題では…!」
…まっきーに連れ去られちゃった。なんかごめんなさい。ほんとに。今度何か奢ります。
てゆーか松下さんがいるってことは作詞組はキリがついたのかな。
「っていうか桜もいるね」
「んぁ…?あー、おう…なぜか設営まで手伝わされたがな…」
「桜も疲れきってるね」
「桜『も』…?まぁ、俺はインドア派だからな…」
「インドアどころか引きこもりじゃん」
「うるせえ」
「おいこら桜サボんなー!」
「うっさいっすねぇ!!俺はあんたみたいに体力お化けじゃねーんすよ!!」
「あーっお前年上に向かってあんたとはなんだあんたとは!!敬意が足りんぞ敬意が!敬えオラぁん!!」
とてもさわがしい。
「つーかさっき松下さんもいたぞ…こういう力仕事は天童さんと滞嶺あたりにやらせておけよ…」
「あとまっきーとかね。でも男手足りてないから頑張って」
「自分がやらねーからって余裕ぶっこきやがって…」
そりゃ僕がやったら死んじゃうからね。
「おーい茜ー!そういえば計算外の大戦略が来てるからこっちは早めに終わりそうだぞー!」
「計算外の…?天童さんが計算を外すなんて、そろそろ寿命ですか」
「ねぇなんですぐ殺そうとするわけー?もっと長生きしたいですわよお兄さん」
どっちかって言うとほめてるんだけどね。天童さんの先読み能力はすごいもんね。むしろそれが本体だよね。つまりそれを失った天童さんはお陀仏。さらば天童さん。
とか言って合掌して拝んでいると。
物陰からなんかメタルな人型生命体が現れた。
なにあれ。
『天童、こっちは終わった』
「おーうご苦労さん。今度は地図上のD3地点頼むぜ」
『地図上のD3地点。了解』
「ちょっと待ってあれ何」
「俺が知るかよ」
「はっはっは!確かにパッと見じゃわからんな!あれ湯川君だ湯川君!」
「は?」
『湯川君だ』
「あーこの聞いたことを繰り返す感じ湯川君だ」
「アイアンマンかよ」
まさかあれの中に湯川君入ってんの。チートじゃん。前からチートだったけどさらにチートじゃん。
「というわけでこっちは安泰だ。桜も穂乃果ちゃんのとこ行ってていいぞ!」
「なんでわざわざ穂乃果のところに行くんです」
「え?」
「え?」
うーん噛み合ってない。
まあいいか、僕は僕の仕事しよ。
とか言って看板の周りに画材を並べたところで、白鳥君がクーラーボックスみたいなのを持ってこっち来た。
「おーっす波浜君、差し入れだ」
「ああ、白鳥君。わざわざありがとね」
「いやいや、むしろこっちが例を言いたいくらいだ。屋台係って名目で料理とかさせてもらってんだから」
「ただの適材適所なんだよなぁ」
白鳥君がゼリーみたいなのをくれた。ありがたい。料理スキルMAXの白鳥君は設営してる場合じゃない。みんなに美味しいご飯を提供する係だ。そして多分また彼のファンが増える。
「ま、理由はなんであれ得意分野を活かせるのはありがたい…って食いながら作業すんなよ器用だな」
「むぐむぐ」
「いや食べてから喋れ」
時間もったいないからね。
「んぐんぐ…まぁ、みんな頑張ってるからね。時間は有効活用しないとね」
「食事の時間はしっかり確保した上で、残りの時間をうまく使う方が効率いいだろうに」
「さすがお料理マン、料理を味わう時間をなんとしてでも確保させようとしてくる」
「いや普通にしっかり食事を摂ってほしいだけなんだが…」
まあご飯はしっかり食べてるから大丈夫だよ。少食だけど。っていうかお昼ご飯も白鳥君が作ってくれてるんだけどね。
白鳥君は全員分ちゃんと量まできっちり食べる人に合わせて作ってくれるからちゃんと全部食べられる。どう考えても白鳥君の負担が異次元なのは言わない約束。
「まぁ、正直な話この企画自体にも感謝してんだ」
「むぐ?」
「…そのゼリー熱中症対策品だから食い過ぎると糖尿病になるぞ。この企画でA-RISEも呼んでくれただろ。A-RISEはラブライブ最終予選以降はライブとか一切してなかったからさ、スクールアイドルとしての最後の舞台を披露する機会をくれたわけだし、本当に感謝してる」
「ふむ」
「ちょっと待てもう絵描けたのか?この看板縦5m横3mって聞いてたけど?」
「そうだよ?」
「さも当然みたいな顔して答えるな」
まあ一発書きならこんなもんだよ。
とにかく、A-RISEにとってもいい思い出になるというならそれは良いことだね。
「そういうことだからさ…俺も全力でサポートさせてもらうよ」
「今日明日は美味しいご飯が食べれるってわけだね」
「まあそういうこっちゃな」
うーん、こういう自分の領域分野では自信満々なところは僕らに似てる。さすが天才。僕もです。
「そういうわけだから、ちょっとリクエストされたもんを作ってみたぜ。ほれ」
「僕何もリクエストした記憶無いんだけど。ってか何この白濁液」
「その言い方やめろ」
白鳥君がおもむろにクーラーボックスから取り出したのは、いわゆるフラッペみたいな白い飲み物っぽいものだった。何これ。
「まあ飲んでみなって」
「えー」
まあ液体よりも固体を粉砕したっぽいものだからヤバいものじゃないだろうけど。しかし何だろうこれ。サイダーとか?
ちょっと飲んでみよう。ぢゅー。
「…」
「ん?不味かったか?」
「いや、美味しいんだけど、味で色々察した」
「怪しいもんは入れてないんだが…」
いや、そういう意味ではなく。
「これ白米だね」
「大正解。白鳥渡特製白米スムージー。小泉さんにすんごい勢いで頼まれたからな、頑張って作ってみたのさ。結構上手いことできてるだろ?」
「できてるけど…なんかごめん」
「なーに、むしろ新しい試みができたから感謝してるくらいだ。うんうん、炊いた白米を即刻凍結乾燥機に入れて、凍ったら粉砕…抹茶系のデザートに合うかな」
もうすっごいお米味だった。冷たいくせに、飲み物のくせに、白米。頭こんがらがる。でもこの味なら花陽ちゃんもご満悦だろう。
でもそんなことを必死に頼むもんじゃないよ。
「一応聞いておくけど、ラーメン味とか頼まれてないよね」
「あー…まあ、頼まれたんだが、さすがにあの味を飲み物にするのは地雷が過ぎるよなって…」
「賢明な判断ありがとう」
まさかとは思ったけど、凛ちゃんも頼んでたか。さすがに料理の天才でもダメなものはダメらしいけど。よかった。
「…味をうまいこと調整できればいけなくもないか?」
「やめて」
これ以上才能の不法投棄しないで。
「やっと終わったねぇ」
「日が落ちる前に終わってよかったな」
「ひぃ、あ、あの、もう帰っていいですか…?」
「あっはいホントにすみません松下さん」
「なぁ、あの風船アーチどーなってんだ?風船の中に風船があるぞ」
「僕は知らないよ」
「ああ、湯川君がやってくれたのさ。原理はよくわからんが、膨らませたクソデカハート形風船の中にヘリウム入りノーマル風船を突っ込むマシンを作ってくれた」
「相変わらず意味がわからんな彼は」
色々あったけど、夕方にはすべての作業を終わらせることができた。早いね。主にチート戦力のおかげだね。
「自分たちで作ったステージにみんなで…」
「ワクワクするにゃー!」
「何か踊りたくなっちゃうね」
「何言ってんの、本番は明日よ?」
「ほんとだよ。怪我したらどうすんの」
「私がいるだろう?」
「まっきーうるさい」
早く帰って休みなさい。
というわけで速やかに帰ってほしいのだけど、スクールアイドルはみんな結構アグレッシブなのだ。知ってた。
「でも練習しちゃおっか!」
「今からですか?」
「もう夕方よ?A-RISEだって急に…」
「別に構わないが」
「うわぁ体力有り余ってる」
「いいねー!よーし、じゃあ最後にみんなで練習だ!!」
「まじかぁ」
本当に元気モリモリだ。
でも。
「よーし、やるぞー!」
「A-RISE、μ'sに着いていくぞー!」
そんな声が聞こえて。
少し胸が痛んだ。
だって、この先の道にμ'sはいない。他のスクールアイドル達が進む道を、μ'sは共に歩まない。
「穂乃果」
「…うん」
僕らが決めたことだ。
無言で去るわけにはいかない。
しっかり伝えなければならない。
「ねぇ、みんな。私たち、みんなに伝えないといけないことがあるの」
穂乃果ちゃんが声を出すと、大きな声ではなかったのに、不思議とここにいるみんながこちらを向いた。
やっぱり、穂乃果ちゃんはこういう時に力を発揮する。何かを伝えたい時とか、宣言する時とか。みんなの視線を惹きつける何かがあるんだろう。
「あの…私たち、私たちμ'sは…」
たとえそれが、言いづらいことだとしても。
誰一人、聞き漏らすことはない。
「μ'sは…このライブをもって、活動を終了することにしました」
返事はない。
誰もが声を出せないでいた。
「私たちはスクールアイドルが好き。学校のために歌い、みんなのために歌い、お互いが競い合い、そして手を取り合っていく。…そんな、限られた時間の中で精一杯輝こうとするスクールアイドルが大好き…!μ'sはその気持ちを大切にしたい。みんなと話してそう決めました」
きっとね。
スクールアイドルを始めた理由とか、続ける理由とか、それは人それぞれなんだと思う。
卒業する人を見送ったあと、新入生を加えて改めてスタートするのもよくあることだと思う。
でも、μ'sはそうしない。
この9人がμ'sだって決めたから。この9人で過ごした日々が、輝いた日々が。この9人がスクールアイドルであったから紡げた物語だったから。
3年生が去った後は、μ'sは残らない。
…だけど、μ's以外のものなら残せる。
例えばそう、僕らが作り上げたスクールアイドルそのものの存在の礎とかさ。
「でも、ラブライブは大きく広がっていきます。みんなの、スクールアイドルの素晴らしさを、これからも続いていく輝きを多くの人に届けたい!私たちの力を合わせれば、きっとこれからもラブライブは大きく広がっていくから!!」
そういうものを残すためのこのライブだ。
まあ、それでもその他のスクールアイドルの皆様からは嗚咽とか泣き声が聞こえるわけですけど。
(…茜)
(どしたのにこちゃん)
(あんたも何か言いなさい。あんただから言えることもあるはずよ)
(そうかなぁ)
(そうよ)
にこちゃんに背中を押されたので、口を出すことにしまーす。
「泣いてる場合じゃないよ、みなさん」
「…え?」
「μ'sが活動を終えるということは、君たちの前に僕らがいなくなるってこと。A-RISEだって本格的にアイドルを始めるなら、スクールアイドルではなくなる。…だったら、これからスクールアイドルの最前線に立つのは他でもない君たちなんだ」
僕らが消えて悲しんでる場合じゃない。
新しい世代を引っ張っていくのは、ここにいるような、来年度もスクールアイドルを続けていく子たちなんだから。
「このライブはスクールアイドルの輝きを広く知らしめる足がかりなんだ。僕らができる最後のサポートなんだ。その先は君たちの仕事だ。君たちの出番だ。君たちがやらなきゃならない。僕らの歩んできた道の、さらに向こうまで行かなきゃならない。わかるだろ?泣いてる場合か。しっかり前を向いて、やるべきことをやらなきゃ、僕らの影にも追いつけないぞ」
この先の未来を託すのが泣き虫では不安になっちゃうもんね。
「うん、茜くんの言う通り。私たちがいなくなった後も、もっとスクールアイドルの輝きは広がっていくから!…だから、明日は終わりの歌は歌いません。私たちと一緒に、スクールアイドルと、スクールアイドルを応援してくれるみんなのために歌いましょう!!想いを共にしたみんなと一緒に!!」
決して悲しい別れではないから。
元気に明日を迎えようか。
というわけで帰り道だよ。
「遂に明日だねぇ」
「何言ってんの。まだファイナルライブもあるのよ」
「そうだったね」
アキバストリートライブはそれとして、僕らはμ's単独のファイナルライブもする予定なのである。忙しいにもほどがある。
「でも、要するにもう少しでにこちゃんのアイドル生活も終わっちゃうんだよね」
「…そうね。でもいいのよ。楽しかったし、やりたいことはやり切ったと思う」
「ほんとに?」
「ほんとよ。アメリカまで行ったんだから」
「たしかに」
よくよく考えたらスクールアイドルを始めた時の「日本一」って目標は叶ってるしね。有言実行、さすがにこちゃん。惚れる。もう惚れてた。
…もう4月も近づいてきた。
つまり本当ににこちゃんが卒業し、アイドルじゃなくなる日が来る。
その時には…。
「茜、私…ファイナルライブが終わったら、学校の前で待ってるから」
「うん」
「あんまり待たせるんじゃないわよ」
「うん。会場の片付けしたらちゃんと行くよ」
「それ結構時間かかるやつじゃないの!!」
「仕方ないじゃんぶぎゃる」
蹴りが鋭い。
それはそれとして、先手取られた。ちょっと悔しい。
「…ま、少しくらいなら待っててあげるわよ」
「頑張って早く行くよ」
「暗くなる前には来なさい」
「ふえーい」
最悪途中から創一郎に押し付けよう。
ある意味、僕はそっちの方が本番なわけだからね。
なんだか、やたらと星が輝いてる気がした。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
もうこれ次回かその次くらいで終わっちゃいますね…寂しい…。
男性陣もたくさん動員して準備させました。滞嶺君はともかく、天童さんや天才藤牧さん、チートな湯川君などが本気出してくれています。ほんとに湯川君チート。
あと、せっかく料理の達人がいるので白米スムージーを実現させてみました。スムージーというよりフラッペみたいですけど。美味しいんでしょうか。
というわけで、もう少しだけ、お付き合いください。
…まあアニメ本編後も続きますけど!