笑顔の魔法を叶えたい   作:近眼

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ご覧いただきありがとうございます。

お盆明けたら即遅刻ですよ。土下座するしかないですねもうほんとに私はもう!!!
今回アニメ本編最終回になるので書きにくかったんです…本編終わっちゃう…
そんなわけで最終回です。どんな結末を迎えるか、見届けてあげてください。

というわけで、どうぞご覧ください。




終点:笑顔の魔法を叶えたい

 

 

 

 

「というわけで当日なんだけど」

「何が『というわけで』なのよ」

「気にしない気にしない」

 

 

というわけで当日だよ。

 

 

僕はにこちゃんと一緒に、歩道の真ん中で突っ立っている。

 

 

邪魔じゃない、これ。

 

 

「みんなを待つくらいなら普通に迎えに行けばいいのに」

「うっさいわね!急に気が変わったのよ!」

「寂しがりにこちゃんだね」

「ふん!」

「あふん」

 

 

朝、当然のようににこちゃんを迎えに行って、一緒に会場に向かっている最長に突然「みんなを待つわよ!」って言ってにこちゃんが立ち止まってしまったのだった。

 

 

もう30分くらい待ってるんだけどね。

 

 

「っていうか遅くない?!」

「遅くないよ、僕らが早いんだよ」

 

 

待ちきれなくて早めに出発しちゃったのは僕らの方である。小学生みたい。

 

 

とか言ってたら、μ'sの残りみんなが姿を現した。

 

 

「あ、にこちゃんいた!」

「…遅い!」

「にこちゃん、茜くんと2人でずっと…?」

「張り切りすぎにゃ」

「いいじゃないライブ当日なんだから!!」

「にこちゃんもちょっとセンチメンタルしちゃったんだよふぐっ」

「うっさい!」

「今日もキレが抜群だな」

「抜群れす」

 

 

今日も肘が鋭いよ。刺さる。ごめん嘘刺さらない。

 

 

「これでμ's全員揃ったわね」

「昨日、言えてよかったわね。私たちのこと」

「…うん」

「そうだね」

「私もそう思います」

「ワイトもそう思います」

「ワイト…?」

「ごめんなんでもない」

 

 

調子乗りました。

 

 

まあでも、沢山の人がいる場で宣言できてよかったよ。

 

 

「もう、穂乃果ちゃんが突然話すから…」

「えへへ…ごめんなさい」

「でも、これで何もためらうこともない。でしょ?私たちは最後までスクールアイドル。未来のラブライブのために、全力を尽くしましょ」

「絵里ちゃん…うん!」

 

 

もう憂うこともないし、最後の最後までやり切るだけだね。

 

 

「よーし、UTXまで競争!負けた人ジュース奢り!」

「ええ?!」

「ずるいにゃー!」

「負けへんよー!」

「おっとこれは遠回しに僕に奢れと言っている感じか」

「サンキュー」

「いや乗せてよ創一郎」

 

 

競争なんてしたら僕最下位確定だよ。いつものように肩車だよ創一郎。乗せて。乗せろ。

 

 

創一郎に乗せてもらって風を切る中、後ろを振り向くと穂乃果ちゃんが上機嫌でくるくる回ってた。さてはあの子競争する気ないな?

 

 

まあ、いいか。

 

 

罰ゲームがどうとか、気にすることじゃないのかもしれない。

 

 

一世一代のライブが待ってるわけだしね。

 

 

 

 

 

 

 

 

そうして、みんなで走ってたどり着いた秋葉の大通りは。

 

 

 

 

 

 

 

 

洒落にならないくらいの量のスクールアイドルで埋め尽くされていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちょ、ちょっと創一郎。昨日は当日参加500人くらいって言ってなかった?僕には2,000人くらいいるように見えるんだけど」

「そ、そんなバカな…こんな人数が…」

「穂乃果!」

 

 

創一郎の頭をぺしぺししながら聞いたけど、創一郎も予想外だったらしい。絵里ちゃんは少し遅れてた穂乃果ちゃんを呼んでくれた。

 

 

「見ての通りよ」

 

 

集団の先頭には、A-RISEの皆様がいた。

 

 

「あなたたちの言葉を聞いて」

「これだけの人数が集まった」

「こんなに…」

 

 

そんなバカなって話だよ。

 

 

いくらなんでも多すぎるでしょ。東京とか関東のスクールアイドルってレベルの人数じゃないのだ。秋葉のメインストリートが埋まるとか何事。

 

 

「ほんと…女子高生ってパワフルだ…」

「つーかおかしいぞ、こんなに大量に衣装は用意してなかったはずだ…」

「ふふ、それはね…」

「…俺が作ったに決まってるだろう」

「うわゆっきー」

 

 

まあそこはそうだよね。

 

 

みんなして唖然としていると、目の前のスクールアイドル集団が左右に分かれて道を作り出しはじめた。

 

 

モーゼの奇跡さながらの光景だ。

 

 

実際奇跡起こしてるんだから、このくらい起きても不思議じゃないのかもしれない。

 

 

いや不思議だわ。君ら今どうやって意思疎通したの。

 

 

「さあ、時は来たわ!」

「大会と違って、今はライバル同士でもない!」

「我々は一つ!!」

 

 

 

 

 

 

 

『私たちはスクールアイドル!!!』

 

 

 

 

 

 

 

こんなにも心が一つになるなんてね。

 

 

赤の他人がたくさん寄せ集まってるだけのはずなのに。

 

 

きっと今、僕らは「スクールアイドル」という一つの大きな生命だ。

 

 

そして、その心臓は…穂乃果ちゃんは、この奇跡に負けない。物怖じしない。

 

 

「みんな…今日は集まってくれてありがとう!いよいよ本番です。今の私達ならきっとどこまでだって行ける!どんな夢だって叶えられる!!」

 

 

手を空に伸ばす。

 

 

太陽を掴むかのようだった。

 

 

 

 

 

 

 

「伝えよう!スクールアイドルの素晴らしさを!!」

 

 

 

 

 

 

 

もしかしたら。

 

 

本当に太陽まで捉えてしまったのかもしれなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうだった?」

「最高だ」

「だね」

 

 

時刻も夕方になって、大半の撤去作業も終わった。大量のスクールアイドルによるライブは当然大好評であり、テレビ中継に御影さんが出ていたこともあってお客さんも満載だった。

 

 

屋台も白鳥君が監修なだけあってどうあがいても美味しい。てか昼過ぎくらいにラーメンシャーベット出てたけど何なの。美味しかったんだけど。なんか悔しい。

 

 

軽い怪我は巡視していたまっきーが全部対応してくれたし、怪我人の場所は天童さんが予知してくれたらしい。

 

 

ライブ衣装も、「欲しい!」って人が続出したからゆっきーが結構なお値段で売ってた。いい仕事しよって。売り上げの一部はスクールアイドル全体に分けてくれたから許す。

 

 

撤去もご存知創一郎を筆頭に、特にメタル湯川君が気持ち悪い適応力で高速撤去してた。設営の時に配置とか構造とか全部覚えたんだね。怖っ。

 

 

「なんか…夢のような1日だったね」

「スクールアイドルの夢を叶えるための1日だったなら、夢のような1日で十分だ」

「何かっこつけてんの」

「つけてねぇよ。つかお前も似たようなこと言ってんだろ」

「悪かったから投げようとしないで」

 

 

頭掴まれて投げられるの怖いんだよ。君は知らないだろうけどさ。

 

 

「おーい茜ー、せっかくだし今いるメンツだけでも写真撮ってやりなよー」

「自分で撮らないってあたりがさすがでーす」

「うっせえ!お前の方が写真撮るのは上手いでしょぉ?!」

「ええやん、撮ってー」

「またすぐ悪ノリする」

「悪くないやん?」

「悪くないね」

 

 

悪くないけど、ノリは悪ノリだよね。よくない。

 

 

よくないけど、まだ帰ってなかったA-RISEや近隣のスクールアイドルのみんなはノリノリだから写真は撮ってあげよう。いつもの一眼である。こういう時はいいもの使わないとね。

 

 

「2人とも重いよー」

「ちょっとにこ、押さないでよー!」

「気にしない気にしなーい!」

「みんなふざけないのー!」

「もうすでにカメラ構えてんのにこの有様」

「撮っちまえ」

「もう10枚くらい撮ったよ」

 

 

オフショット歓迎だよ。でも延々とわちゃわちゃされると困る。

 

 

「じゃあみんな、練習したアレいくわよ!」

「待って待って僕何も聞いてない」

「せーのっ!」

「わぁ」

 

 

 

 

 

『ラブライブ!!』

 

 

 

 

 

また安直な。

 

 

そういうの嫌いじゃないよ。

 

 

「…うん、いい写真が撮れた」

「むしろここでいい写真を撮り逃したら死刑だろ」

「重罪すぎない?」

 

 

弘法も筆の誤りっていうじゃん。

 

 

「さ、明日はファイナルライブなんだからさっさと帰る」

「えー!」

「えーじゃないの」

 

 

何でまだ元気有り余ってんのさ。早く帰って寝なさい。明日に疲れを残されては困るし。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さあ、準備はいい?」

「うん!」

 

 

そして、翌日。

 

 

ついにファイナルライブの日が来た。

 

 

「ふぁ〜…あの花の中に入るの?」

「そだよー。床は圧力を感知して絵が動く特別仕様。そもそも会場全体が夜明けを演出する素敵仕様だよ」

「最後の大舞台…わざわざアキバドームを抑えたんだ。叶わないはずだった舞台だ、存分に暴れてこい」

「うん!楽しみ!!」

「テンション上がるにゃー!」

「今日こそ一番目立ってやるわよ!!」

「にこちゃんは何と戦ってるの」

 

 

みんなでやるんだからバランス大事にね。

 

 

まあ、何にせよ。

 

 

これが正真正銘の最後だ。

 

 

次は無い。

 

 

だからこそ、出し惜しみなしの、最高を見せに行こう。

 

 

「行くよ!!」

 

 

11人で円陣を組み、μ'sを示すピースサインを掲げる。

 

 

もうきっと、言葉は必要ないよね。

 

 

「1!」

 

 

「2!」

 

 

「3!」

 

 

「4!」

 

 

「5!」

 

 

「6!」

 

 

「7!」

 

 

「8!」

 

 

「9!」

 

 

「10!」

 

 

「11!」

 

 

 

 

 

 

本当に、幸せな1年間だった。

 

 

 

 

 

 

「μ's!!」

 

 

 

 

 

 

ありがとう、みんな。

 

 

 

 

 

 

「「「「「「「「「「「ミュージック〜…スタート!!」」」」」」」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

全部しっかり終わらせてきた。

 

 

素敵な、最高のライブだった。

 

 

だったら、あとは僕の個人的なミッションだ。

 

 

 

 

 

 

 

「早かったわね」

「創一郎のおかげでね」

 

 

 

 

 

 

 

にこちゃんが音ノ木坂の前で待ってた。

 

 

まあ説明はいらないよね。

 

 

っていうかしないよ。

 

 

「まあ創一郎も何か察してたよ」

「何かムカつくわね…」

「何でさ」

 

 

時間くれたんだからいいじゃん。

 

 

学校前、沈みそうな夕陽を見ながら、色んなことを思い返す。

 

 

「色んなことがあったねえ」

「…そうね」

「にこちゃんがスクールアイドルを始めて」

「部員を集めて、アイドル研究部を作って」

「でもみんないなくなっちゃって」

「2人だけで部を続けて」

「穂乃果ちゃんたちに乗っ取られて」

「乗っ取られたわけじゃないわよ。私部長なんだし。…その後、絵里と希もμ'sに入って」

「みんなで合宿行って」

「海で遊んで」

「枕投げで粉砕されて」

「それそんなに強調する思い出?…それで、文化祭で穂乃果が倒れて」

「廃校を阻止して」

「穂乃果が辞めるって言い出して」

「僕が引きこもりになったこともあったね」

「それを私が助けに行って、あんたはことりを迎えに行った」

「そんでμ's復活、僕も復活だったね」

「留学する予定だったことりを連れ戻して」

「講堂で復活ライブしたね」

「その後は、またラブライブ参加を決めて」

「秋の合宿行って」

「真姫ちゃん達がスランプに陥って」

「僕が川にダイブして」

「ユニット別キャンプをして」

「A-RISEとライブをして」

「穂乃果達が修学旅行から帰って来れないから凛にウェディングドレスを着せて」

「ドレス風衣装ね。にこちゃんはこころちゃんたちの前で単独ライブをして」

「ハロウィンライブでちょっと迷走して」

「ちょっとどころじゃなかったよ。穂乃果ちゃんと花陽ちゃんをダイエットさせて」

「みんなで曲を作って」

「色んな人に最終予選会場まで雪かきしてもらって」

「最終予選を突破して」

「みんなで初詣行って」

「真姫ちゃんだけ着物着てたわね。そしてみんなで遊んで」

「μ'sは終わりにするって決めて」

「学校に泊まって」

「そして、ついに優勝した」

「その後、アメリカにまで行ってライブして」

「帰ってきたらすんごい量のファンに囲まれて」

「μ'sを続けてって頼まれて」

「でもやっぱ終わりにするって決めて」

「スクールアイドルみんなでライブするって決めて」

「ほんとにやっちゃって」

「そして…今、本当に最後のライブを終えた」

 

 

なんだかあっという間に過ぎてしまった気がする。前半は僕がにこちゃんのことしか考えてなかったからかもしれない。さすがにもったいなかったな。

 

 

「楽しかった?」

「当たり前でしょ。そうじゃなかったらここまでやってないわよ」

「それもそうか。僕も楽しかったよ、みんなのおかげで」

「…あんたがそう言えるようになったのも、みんなのおかげよ」

「うん、感謝してもしきれない」

 

 

ここにμ'sがいなかったら、きっと僕はずっと1人で立てなかった。お母さんもお父さんも、もういない。それでも沢山の人がいてくれるから、にこちゃんにすがりついていないで、理由がなくたって、みんなと一緒に歩くために立ち上がれる。

 

 

にこちゃんだってそうだろうし。

 

 

「来週にはにこちゃんも大学生だね」

「そうね」

「入学式もあるし」

「そうね」

「もう高校生ではいられ

「あーもうわかったから早く本題に入りなさいよヘタレ!!!」

「あふん」

 

 

鋭い右ストレートが刺さる。痛いよ。なんかこの一年でやたら強化されてない?気のせい??

 

 

まあ、あまり先延ばしにするわけにもいかないのも事実だ。

 

 

覚悟を決めよう。

 

 

「にこちゃん、僕はあの日から沢山の人と会ってきたよ」

「うん」

「学校内だけじゃなくて、お仕事でも。色んな人を見てきた」

「うん」

「だから、自信を持って断言できるよ」

 

 

 

 

 

沢山の出会いがあった。

 

 

 

 

 

沢山の思い出があった。

 

 

 

 

 

でもやっぱり、僕の中での一番は絶対変わらない。

 

 

 

 

 

今目の前にいる、超絶かわいい幼馴染がいるから、僕はここにいる。生きている。それだけは絶対に譲れないから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「僕は、波浜茜は、にこちゃんのことが大好きです。僕と付き合っていただけますか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…はい。こちらこそ、よろしくおねがいします」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ふ、ふええええ、にこちゃん…!」

「うわっ何泣いてんのよ!」

「だっでぇ…成功率100%のはずなのにめちゃくちゃ不安だったもん…!!」

 

 

もう迷わずにこちゃんに抱きついた。

 

 

にこちゃんと結ばれるって信じて疑わなかった昔とは違って、こんな僕でもにこちゃんは受け入れてくれるのかって不安が少しだけあった。だからすぐに告白できなかった。

 

 

でも、答えが出ればもう不安になることもない。

 

 

伝わった。

 

 

応えてくれた。

 

 

死ぬほど嬉しい。

 

 

「ぶぇええええ、今日からにこちゃんが正真正銘の彼女…どうしよう嬉しくて死んじゃう」

「やっと恋人になったのに私を置いて死ぬんじゃないわよ」

「生きる」

 

 

どんだけ嬉しくても死んでる場合じゃないね。にこちゃんのために生きる。

 

 

「はあ、もう…茜ちょっとこっち見なさい」

「ふぇ?どうし

 

 

 

 

 

 

 

 

目の前に目を閉じたにこちゃんがいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

と思ったら、2人の唇が重なった。

 

 

 

 

 

 

 

なんだか一瞬のような永遠のような時間の後、にこちゃんの方から離れていった。

 

 

「…もう、こっちはずっと待ってたっていうのに1人で盛り上がっちゃって」

「…はぅあ」

「なに煙出してんのよ。乙女じゃないんだから」

「そうは言うけどねにこちゃん」

「何よ」

「にこちゃん耳真っ赤だよ」

「ふん!!」

「ぶぎゃる」

 

 

彼女になっても拳は容赦ない。

 

 

痛いけど、いつもと変わらないっていうのも、

 

 

 

 

 

 

なんだかんだ幸せだなぁ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よう、お疲れ様。…希ちゃん」

「…天童さん」

 

 

俺は、俺の物語を進めなければならない。

 

 

「君はあの日、『卒業したら』と言った。つまりここだ。このタイミングが最も卒業にふさわしい」

 

 

相変わらず希ちゃんのことは読めない。だが、怖れて避けていては俺の成長もあり得ない。

 

 

決めなくてはならない。

 

 

俺は、どうしたいのか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そう、だから俺は君n

「好きです」

「ぶるふぎょぅえあ?!?!?!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

完敗だった。

 

 

一言で全部持っていかれた。

 

 

もうちょっと猶予くれよ頼むから。心臓に悪いじゃん。お兄さん心因性ショックで死んじゃうよ?

 

 

「き、君なあ…まだ俺喋ってたじゃん…」

「だって、ずっと喋って先延ばしにしそうだったもん…」

「うわーかわい…おほん、まあそれはそうだろ?俺は恋愛とかまだ心にダメージ受けちゃうからさ」

「お返事はまだですか」

「さては俺の話聞いてないな?」

 

 

返事はない。

 

 

なんとなく照れ臭くて顔を見るのを避けていたが、ちらっと見たその表情はかなり頼りない。

 

 

あれでも相当勇気を出して言ったんだろう。

 

 

不安と焦燥で余裕が無くなっているのかもしれない。

 

 

そんな表情を見ているのは正直つらい。

 

 

「はぁ…仕方ない。正面から伝えなければいけないか」

「…」

「念のため言っておくが。俺は別に人の心が読めるわけじゃない。行動を予測してるだけだ。良い人じゃない。善人じゃない。きっと俺は君に相応しくない」

「…」

 

 

泣きそうな目を伏せて、黙って聞いている希ちゃん。人間ってこんなにも儚くて脆そうなものだっただろうか、と思うほど弱々しい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それでも、俺は君を好きになってしまった。相応しく無くても、君の側にいたいと思ってしまった。君が望むなら…どうか、俺を側にいさせて欲しい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…!は、はい!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな弱々しい姿は見たくなかったから。

 

 

今のように、輝く笑顔を見たいから。

 

 

そんな幸せな物語を作り出すために、俺はここで待っていた。

 

 

「はい…はい、よろこんで…!!」

「待って何で泣くの君。喜んでるんじゃないの」

「嬉し泣きって言うんです…!!」

「知ってるけどさあ!統計的に嬉し泣きすることって確率低いんだよ!!自分が出くわすとは思わないわけだよわかる?!」

「わかりません…!」

「うぎゃあ何で抱きついてきた?!ひぃっ、なんか背中の悪寒と前面の弾力に挟まれてどういうリアクションとったら正解かわかんねえ!!」

「…えっち」

「マッチポンプもいいとこじゃありませんかお嬢さん?!」

 

 

仕方ないじゃんおっぱいの弾力すごいんだからこの子!!弾力、感じるんでしたよね?あかんあかん、色々あかん。

 

 

「手を繋ぐくらいならいいですか?」

「うーーーー……………我慢してやる。あと恋人なんだから敬語使わなくていいぞ」

「それは少しずつ慣れていきます。だから天童さんも少しずつ慣れてください」

「等価交換に見えて俺のハードル高いのわかってる?」

「あと『いっくん』て呼んでもいいですか」

「やめんかい!!そんな愛情もりもりのあだ名をつけるな!!背筋が凍る!!」

「じゃあ天童さんをいじめる時だけいっくんって呼びますねー」

「何で敬語は抜けないのに愛称で呼ぶのはできるんだよ!!」

 

 

伸ばされた手を掴み、握る。不安は不安だが、これはこれで落ち着く。

 

 

少し照れるが、やはり恋人と手を繋ぐって大きな意味があるものなんだろう。

 

 

「天童さん」

「なんじゃい」

「…今、幸せですか?」

「…………………ん、多分な」

「ふふ、私もです」

 

 

いつもの関西弁じゃない希ちゃんが、本当に幸せそうな顔でそう言った。

 

 

まったく。

 

 

そんな顔されたら、守らないわけにはいかないだろ。

 

 

今度こそ、後悔のない、幸せなストーリーを作らないとな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして、僕らは卒業した。

 

 

μ'sは終わった。

 

 

次からは、新しい世代に託していかなきゃいけない。

 

 

でも大丈夫。

 

 

スクールアイドルは、僕らがいなくても大丈夫。

 

 

「帰ろうか、にこちゃん」

「うん」

 

 

新しい世界へ。

 

 

新しい人生へ。

 

 

また一歩、踏み出そう。

 

 






最後まで読んでいただきありがとうございます。

長かった…やっと波浜君とにこちゃんがくっつきました…(あと天童さんと希ちゃんも)。苦節1年半くらい、最初は20話くらいストックしてから始めたのに後半はもう遅刻の嵐ですよ!!何やってんだよ団長!!
そんなわけで、幸せエンドでアニメ本編は終了となります。ここまで読んでくださった皆様、本当にありがとうございました。



まだカップリング未成立の皆様のためにアフターストーリーがたくさん残ってるので、よければ引き続きお付き合いください。

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