笑顔の魔法を叶えたい   作:近眼

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ご覧いただきありがとうございます。

前回からまたお気に入りしてくださった方がいらっしゃいました!ありがとうございます!!アニメ本編終わってもお気に入りが増えるなんて思いませんでした…寿命のびる…。

ついに日曜に投稿になりました。土曜日に予定入ったらもう無理ですね!!もっと早く書けるようになりたい…。

After stories最初の出番はことりちゃんのようです。さて、何をやらかすんでしょうか…!!


というわけで、どうぞご覧ください。




ことりの一番憂鬱な日

 

 

 

 

 

今日は雪村さんと生地を見に来ています。

 

 

まだ新一年生は入部するって決まったわけじゃないけど、衣装作りは早めに進めておいた方がいいかなぁって思ったから、雪村さんに連絡してついてきていただきました。

 

 

「…前からよく言っていることだが」

「はいっ」

「踊るための衣装としては『軽さ』が非常に大切だ。特に顕著なのはフィギュアスケートだろう、彼らは衣装のスパンコールひとつの重さすら鋭敏に感じ取る。軽ければ軽いほど跳びやすいからな。ダンスにおいてもその点は同じだろう」

「はい!でも、薄い生地って言うと…」

「透ける。その通りだな。他にも耐久力が低いなど弊害は多い。自分の目的に合う素材を選ぶことが重要だ」

 

 

メールを送った時にはすごく渋々といった感じだったけど、今は真剣に教えてくれて、相談にも乗ってくれます。

 

 

「なるほど…」

「絹は見た目、軽さ、触感など極めて優秀だが、保管が難しい。ライブ衣装は長期間着ないことも多いだろう、ある程度保存性が高い素材を勧める」

「確かに…値段も高いですからね…」

「…値段?」

「え?はい、値段です。高いですよね?」

「ああ、まあ…高いかもしれんな?」

「えぇ…」

 

 

ただちょっと金銭感覚が遠いです。

 

 

有名な方だし、お金持ちなのかなぁ?

 

 

「…そうか、高いのか…だから最近…」

「あの〜…どうかしましたか?」

「…いや、なんでもない」

 

 

何だか真剣な顔をしてたけど、どうしたんだろう。いつも気だるげなので、真剣な表情は逆にわかりやすいです。

 

 

…そういえばいつも気だるげなのは何でだろう?やっぱり迷惑なのかなぁ。

 

 

「あの、雪村さん?」

「どうした」

「えっと…やっぱり、急にご連絡して迷惑でしたか?」

「…………急に連絡してくるのは今に始まったことじゃないだろ」

「うっ…ご、ごめんなさい…」

「まぁ…迷惑なら断っている。忙しかったわけでもないから気にするな」

「はい…」

 

 

迷惑ではないと言ってはくださるけど、相変わらずつまらなさそうな顔をしていらっしゃいます。

 

 

「…何だ。急に変なことを聞いて」

「え?えーっと、あの…雪村さん、いつもつまらなさそうなので、心配になって…」

 

 

ちょっと言いにくいことだけど、正直に聞いてみました。

 

 

そうしたら、雪村さんは。

 

 

明らかに不機嫌な顔をしました。

 

 

や、やっぱり失礼だったかな…?

 

 

「…………つまらなさそうで悪かったな」

「いっ、いえ!変なことを聞いてごめんなさい…!」

「いや…いい。別に君に関わるのがつまらないわけじゃない」

「は、はい…?」

 

 

何だかよくわからない返事をされてしまいました。答えにくいことを聞いちゃったのかな…。

 

 

「…俺の話はいいだろう。今日は君の用事で来ているんだ」

「あ、は、はい!すみません…」

「別にいい。ともかく、生地は生地として…糸も見繕うべきだろう。色も丈夫さも種類があるからな」

「はい、お願いします」

 

 

話を逸らされちゃいました。やっぱり聞かれたくなかったのかな…。

 

 

そういえば、色々お願いしてるのに雪村さんのお仕事の事情とか、私は全然知らない。聞かれたくないことも他にもあるかもしれないし、今度茜くんに聞いておこう。

 

 

「…ん?そういえば糸はどこに売っていたか」

「糸なら確か二階に…」

「……………そうか、二階か…」

「あっ…車椅子…」

 

 

たまたま、今日来たお店はエレベーターが無いみたいです。あまり大きくないお店だから仕方ないかもしれないけど…どうしよう。

 

 

「ここで糸を買うことはなかったからな…」

「え、えっと…別のお店に行きます?」

「…いや。ここで説明しておく。行くぞ」

「え?えっと、どうやって…」

「階段くらい腕だけで登れる。腕の筋力は車椅子生活で鍛えられているからな」

「そ、そうなんですね…」

 

 

そう言って車椅子から降りた雪村さんは、本当にするすると階段を上っていってしまいました。そういえば、私の家に来てくださった時も車椅子を置いて手で階段上ってた。ちょっと意外だけど、力強いんですね。

 

 

「…しまった、車椅子を持ってくる人材がいない」

「持ってこようと思ったんですけど…すごく重くて…」

「まあそうだろうな…。仕方ない、腕で動くか」

 

 

階段を上った先にいた雪村さんが困ったように言っていました。ミシンみたいなのが積んであるからか、車椅子がものすごく重くて流石に持てませんでした。

 

 

そのまま私も階段を上り切ろうとした、その時です。

 

 

そういえば私、スカート履いてるんでした。

 

 

ミニじゃないけど、そんなに長くないのを。

 

 

そして、雪村さんはほぼ這いつくばるような体勢なので…!!

 

 

「ひゃあぁ?!」

「どうした」

「だっ、ダメです!私そっちにいけません!!」

「何故だ。虫でもいるのか」

「いえっ、あのっ!す、すすすすスカートの中が…!!」

「スカート?ああ、スカートだな。下着が見えると?問題ないだろう」

「問題ありますよ?!」

 

 

相変わらず雪村さんはデリカシーだけはとんでもなく低いです。

 

 

「何が問題なんだ…。ん、まさか履いて

「履いてますッ!!!!」

 

 

思わず大きい声が出ちゃいました。とにかく早く雪村さんを一階まで連れていかないと…!!

 

 

「とっ、とにかく!!糸は別のお店で見ましょう?!ね!!」

「まあ…君が言うならわぷっ」

「早く行きましょう!!」

 

 

床を這っている雪村さんを急いで抱きかかえて、階段を駆け下ります。雪村さんは足がない分軽いですし、足腰は神田明神の階段ダッシュで十分鍛えられているので転んだりはしません。変なところで練習が役に立っちゃいました。

 

 

一階に置きっ放しだった車椅子の上に雪村さんを乗せて、やっと落ち着いてきました。転んだりはしなくてもすごく疲れました…。

 

 

「はぁ、はぁ…」

「……………なぁ、南ことり」

「な、何でしょう…あっいえ、無理やり連れ戻しちゃってごめんなさい…」

「いや、そんなことより」

「?」

 

 

雪村さんの顔を見ると、初めて見る表情をしていました。なんだか気まずそうな顔です。

 

 

そして。

 

 

 

 

 

 

 

「………下着を見られるのはダメで、人の顔に胸を押し付けるのはアリなのか…?」

「…………………………………………………………………………………………………ふみゅう」

 

 

 

 

 

 

 

 

そういえば。

 

 

雪村さんを抱きかかえたとき、「わぷっ」って言ってた気がしするし、そもそもどこをどう持って抱えたのか覚えてないです。

 

 

なんだかもう立ち直れません。

 

 

「…今日は帰るか」

「ごめんなさい…」

 

 

せっかく雪村さんに来ていただいたのに、今日はもうダメそうです。恥ずかしくて申し訳なくてまともにお話できそうにないです。

 

 

車椅子を押していたから雪村さんの表情はわからなかったけど、帰り道はずっと無言でした。

 

 

私も、謝りたかったけど、恥ずかしくて頭が回らなくて結局何も言えませんでした。

 

 

どうしよう、嫌われちゃったかなぁ。

 

 

そう思ったら、なぜかすごく不安になって、怖くなって、涙が出そうになりました。

 

 

何でだろう。こんなに「嫌われたくない」って思ったのは、穂乃果ちゃんと海未ちゃん以外無かった。

 

 

ううん、もしかしたら、それよりも…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(う、海未ちゃんどうしよう!あんなことりちゃん始めて見た!)

(私もですよ!あんなに不安そうに空を見つめることりなんて始めて見ました…!)

(おいどうすんだ、話しかけても「うん…」しか返ってこねぇぞ)

「創ちゃん今の『うん…』が気持ち悪かったにゃ」

「うるせぇ」

「にゃにゃにゃ」

 

 

新一年生はまだ仮入部であり、練習の準備は俺たち新二、三年生だけでやっている。だから部室にいるのは元μ'sの7人だけだ。

 

 

そしてことりが異様にテンション低い。座って窓の外を眺めて、極めて憂いに満ちた表情で時々ため息をついている。あれが正常だとしたら人類は漏れなく躁病だ。

 

 

何かあったのは間違いないが、あれは一体何があったらああなるんだ。

 

 

(も、もしかして…好きな人ができたとか…?!)

「だっ、ダメです!!」

「うわっびっくりした!!」

「ダメです!アイドルに恋愛は御法度なんです!!」

「いいじゃない別に…私たちはスクールアイドルで、アイドルじゃないんだから」

「だめっ!スクールアイドルもアイドルなの!!」

「どうしよう海未ちゃん、ことりちゃんに彼氏ができちゃうよ!」

「悪いことみたいに言うんじゃありません!」

「そもそも好きな人が出来たことを前提に話すな」

 

 

まあ恋愛禁止令はアイドルの暗黙のルールみたいなもんだから気持ちはわかるんだが、そもそも話の前提が正しいかわからんだろ。

 

 

つかそんなでかい声出すとことりに聞こえるぞ。

 

 

「ふぅ…」

「すげぇ全く聞こえてない」

「本格的に心配ですね…」

 

 

聞こえてなかった。

 

 

「ことりちゃん、練習どころじゃなさそうだね…」

「でもことりにしては珍しいわね。留学の話があった時もほとんどいつも通りだったのに」

「心配だにゃー」

 

 

実際、ことりが本気で落ち込むのはなかなか珍しい。しゅんとすることくらいは割とある気がするが、声をかけても上の空なんてのは見たことがない。

 

 

そんなに辛いことがあったのだろうか。

 

 

「…とりあえず、大事な後輩を待たせるわけにもいかない。ひとまず練習だ。ことりは…まあ、何とかする」

「なんか頼りないにゃ」

「うるせぇ」

 

 

流石にこの時間には屋上に誰かしらいるだろう。松下さん(妹)あたりが待ちくたびれているかもしれん。

 

 

ことりをどうするかは本当に何も思いつかんが。

 

 

「創ちゃん、先行ってて!」

「あ?」

「ことりは私たちがなんとかしますから。練習は進めておいてください」

「いいの?」

「大丈夫!任せて!」

 

 

どうしようか考えていたら、幼馴染の2人が名乗り出た。情けないが非常に助かる。俺よりも確実にこの2人の方が話を聞きやすいだろう。

 

 

「…じゃあ、頼む。俺たちは先に行ってるからな」

「ことりに引きずられてみんな落ち込んだりしないでよ?」

「うん!」

「真姫ちゃんが心配してるにゃ」

「してない!」

「そこは心配しろよ」

 

 

まあ、今更この幼馴染3人組の結束を疑うこともない。ここは任せよう。

 

 

4人で屋上に行くと、案の定新一年生3人が既にいた。松下さん(妹)が「とぉう!」とか言いながら高くジャンプしている。何をしているんだ。

 

 

「お待たせー!」

「何してんだ君らは」

「はぅあ!!」

「あ、今日もよろしくお願いします」

「よろしくお願いします!」

「よよよよよよろしくお願いしまひゅ!!」

「マジでどうした松下さん」

「なんっ何でもございませんよ!!」

「奏ちゃんは今、『ジャンプしてる間は私、地球から離れてるんですよね!なんだか感動です!!』って言って必死にジャンプしてたところです」

「ハラショーです!」

「ゆゆゆゆ雪穂なんでそれ言っちゃうんですかぁ!!」

 

 

言ってることはいかにも文学者の松下さんの妹って感じの詩的な内容だが、さてはこの子バカだな?

 

 

「もしかして奏ちゃん頭悪い?」

「こら凛、どストレートに言うんじゃねぇ」

「ばっバカじゃないですよぅ!!理数は得意ですし!!文系はお兄さまが教えてくださいますし!!」

「でも国語の文章読むのに夢中になって解答するの忘れる子なので、勉強できるバカです」

「ゆーきーほー!!!」

 

 

バカらしい。

 

 

「うう…いいんです…私のことはお兄さまが慰めてくださいますから…天にも至るお兄さまの語彙力で心の隅から隅まで慰めていただきます…」

「この子中二病入ってねぇか?」

「あ、気づきました?」

「入ってません!!」

「ちゅーにびょー?」

「カッコいい人のことだ」

「ハラショー!じゃあ奏はちゅーにびょーですね!!」

「何だか訂正しづらい嘘つかないで欲しいのですけど!!」

 

 

ちょっと楽しくなってきた。いつもこんな気分だったのだろうか。…いや、ダメだ。なんかこう、人をバカにするようなことはしてはならない。

 

 

「そういえば、お姉ちゃんたちはどうしたんですか?」

「ん、ちょっと遅れる。すぐに来る」

「ふぅん…?」

「ところで今日は何の練習でしょうか!!まずは柔軟からですよね!!」

「う、うん…」

「落ち着いて奏。花陽先輩引いてる」

 

 

雪穂はこれまたしっかりしている。俺たちで例えるなら松下さん(妹)が凛で、亜里沙が花陽で、雪穂が真姫みたいな。三年生で例えるなら、松下さん(妹)が穂乃果で、亜里沙がことりで、雪穂が海未みたいな。

 

 

おお、ナイストリオじゃねぇか。

 

 

「おまたせー!」

「遅れてごめんなさーい!」

 

 

わちゃわちゃしていたら、三年生組も戻ってきた。ことりもとりあえず元気になったようだ。さすが幼馴染。

 

 

さて、今日も練習始めるか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おっけー要点をまとめよう」

 

 

ある日の日曜日。

 

 

何か僕とまっきーはことりちゃんに呼ばれて喫茶店に来ていた。

 

 

要約するとこうだ。

 

 

「何をやらかしたかは言えないけど、ゆっきーに嫌われたかもしれないから相談に乗って欲しい」

「………………………うん」

「流石に無理があるんじゃないの」

「なに、天才たる私に任

「まっきーが一番関わっちゃいけない案件」

「何故だ」

 

 

流石に情報量少なすぎますけどお嬢さん。

 

 

あとまっきーは人心については何もわかってない野郎だから黙ってて。

 

 

「でもゆっきーに嫌われるってまあまあ珍しいね」

「そ、そうなの…?」

「そもそも瑞貴は他人に興味を持たないからな」

「そうだねぇ。そもそも覚えてられないんだろうけど、好きにしても嫌いにしても明確に立ち位置を表明するのは珍しいね」

「はぁ…」

「つまり何やらかしたのかがとても大切なわけで」

「うぅぅぅぅ…………」

「ほんとに何したの君」

 

 

ゆっきーは基本的に他人に興味が無い。色々理由はあるだろうけど、ひたすら興味が無いらしい。だからストレートに嫌われる人さえ珍しい。

 

 

よっぽどやばいことやらかしたのかな。でもあいつは車椅子壊されても真顔だと思うんだけど。

 

 

「ほ、ほんとに言わなきゃだめ…?」

「流石にそれを聞かせていただけないと何も言えない」

「うう…あ、あのね…」

 

 

犯罪でもやらかしたのかってくらい言いづらそう。

 

 

「ゆ、雪村さんの顔に…む…む、胸を押し付けちゃって…」

「………………………………………なんて?」

「ううううううう!!」

「それが一体どうし

「まっきー黙って」

「私には話す権利も無いと言うのか茜」

 

 

ことりちゃんがビッチ化してしまった。どうしてこうなった。これはよろしくない。

 

 

「ことりちゃん、まだ遅くないから今まで通り清く清純に生きるんだよ」

「『清く』と『清純』は連続して使う言葉ではないだろう。せめて『清く純粋に』とするべきだ」

「今そういうこと気にしてる場合じゃない」

「ち、違うの!!わざとじゃなかったの!!事故!!事故なの!!」

「よかった事故か…いやよくないけど」

 

 

ビッチ化したわけじゃなかった。よかった。

 

 

よかったけど何でそうなったのか。いや原因はとりあえず置いておこう。

 

 

いや超気になるけど。何があったんだ。

 

 

「まあ、とにかくそんなんでゆっきーは人のこと嫌いにならないよ」

「ほ、本当…?でも帰りはずっと黙ってて…」

「恥ずかしかったんじゃ…えっあいつ恥ずかしがるの??」

「まさか。女性に触れた程度で照れる奴でもないだろう。散々女性の体躯を観察して服を着せている男だぞ?話すことが無かっただけだろう」

「だよねぇ」

 

 

ゆっきーが恥ずかしがる?いやまさかね。それはないね。だって日頃から女性の体をひたすら見つめて服とか下着作ってなんならべたべた触ってるヤツだもん。なんかド変態みたいに聞こえるけど、ゆっきーはそーゆーことしても眉一つ動かさないからこそゆっきー。

 

 

つまりゆっきーはぶっちゃけ裸の女性に抱きつかれても微動だにしない仏タイプなのだ。

 

 

ゆーて多分まっきーもそんな感じ。

 

 

「まあそんな感じのやつだから、きっと嫌いになったわけじゃないよ。安心しな」

「それはそれで安心できないような…」

「そもそも私たち3人は異性にいちいち欲情していたら立ち行かない仕事をしている。それが正常だ」

「欲情とか言わないの。まあ、確かにファッションデザイナーに医者に絵描きって女性の裸に詳しい人種だよねぇ。女性に限った話じゃないけど」

「私は裸に詳しいだけではなく、人体について詳しいのだ。天才だからな」

「あっはい」

 

 

美術は性のモチーフやらただの人物としても「女性」というものに詳しくならざるを得ない。服飾も「女性の着る服」に焦点を当てるなら体の構造を知らなきゃならない。医者は言うまでもないね。

 

 

なんだか僕ら揃って男としてダメな気がしてきた。

 

 

でも僕はにこちゃんの裸見たら多分鼻血噴いて出血多量で死にます。お疲れ様でした。

 

 

「じゃあ、嫌われてはいないのかな…」

「多分ね。そもそも基本的に興味もやる気もないやつだし、好きも嫌いもないよきっと」

「そっか…」

 

 

微妙に残念そうな顔をしてるのは何でだろう。

 

 

「…あ、そういえば」

「ん、どうかしたの」

「雪村さんっていつも退屈そうにしてるけど、いつもあんな感じなのかな?」

「あーそうだねぇ、大体何に対してもやる気ないからね彼」

 

 

 

 

 

 

 

 

「そもそもやつはファッションが好きでやっているわけではないしな」

 

 

 

 

 

 

 

 

「………………え?」

 

 

おや、随分と意外そうな顔してらっしゃる。

 

 

「あれ、聞いてないの?結構頻繁に会ってたから知ってるものかと思ってた」

「え、え?そんな、だって、あんなに才能があって…」

「あー、ゆっきーの前で才能の話するとすんごい怒られるから気をつけてね」

 

 

どうやら本当に聞いてないらしい。ゆっきーがわざと言わなかったのかな?

 

 

まあでも、ことりちゃんには話しておかないとダメでしょ。知らぬ間に地雷を踏み抜く前に。

 

 

「瑞貴は望んでファッションデザイナーをやっているわけではない」

「まっきーの『無知な人に対してやたらドヤる癖』はいい加減直した方がいいよ」

「ドヤってなどいない。…彼はな、ファッションデザイナーを()()()()()()()()んだ」

「え、どういう…」

「そのまんまの意味だよ。それしか選択肢がなかったんだ」

 

 

僕ら3人、揃いも揃って、恵まれた才能を持ちながらも、その埋め合わせでもするかのように不幸に見舞われたけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ゆっきーはね、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。簡単な読み書きや計算に至るまで、よく出来て小学生レベルまでしか辿り着けないみたいなんだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

生まれつきの不幸って意味なら。

 

 

僕ら3人の中で一番不幸だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

才能には感謝するべきなんだろう。

 

 

一般人なら誰もが欲しがるものなのだから。

 

 

だけど、俺は。

 

 

興味もないことを一生続けなければ生きていけないというのなら。

 

 

こんな才能は、欲しくなかった。

 

 






最後まで読んでいただきありがとうございます。

おかしい…雪村君がラッキースケベを起こし、奏ちゃんがイジられているだけだったのに最後はちょっと重くなってる…。
ちなみに、After stories最初の自己紹介で学力の比較が無かったのはここのネタバレを防ぐためです。
今までのお話の中でも、時々雪村君の語彙力が無かったりしてるところがあります。私も細かく覚えてません()

After storiesはアニメ本編ほどボリュームは作れなさそうなので、幕間のお話を時々挟むと思います。何か見てみたい日常があれば、感想に書いていただければ何か書くかもしれません(露骨な宣伝)。
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