笑顔の魔法を叶えたい 作:近眼
ご覧いただきありがとうございます。
前回からまたお気に入りしてくださった方がいらっしゃいました!!ありがとうございます!!頑張ってアニメ本編に劣らないくらいの内容書きます…!!
今日はことりちゃんのお誕生日です!!ことりちゃんおめでとう!!
今回は前回の誕生祭から一年後、つまり本編の時系列と同じですね。雪村君と付き合い始めたばかりといったところでしょうか!
雪村君がなんやかんややってるのをニヤニヤしながら眺めるのが本作の正しい読み方です()
というわけで、どうぞご覧ください。
ことり誕生祭2:この手の全力で
ことりの誕生日が近い。
去年は気まぐれでプレゼントを渡したが、今年はしっかり考えなければならない。
「…ぬうう、違う、これじゃない」
…俺が必死に考えたところで大したものは思いつかない。それくらいはわかっているから、とりあえず服を作りまくってみた。
どれもしっくりこない。
何着作っても納得できない。
部屋に追加したクローゼットが埋まりそうな勢いだ。
「…やはり既製品のアクセサリーにした方がいいか?いや、慣れないものに手を出すとまた失敗しそうだしな…」
既製品に頼るのが悪いわけではないのだろうが、ファッション関係に関しては俺の作品よりいいものがそこら辺に売っているとは思えない。
結局俺にはこれしかないのだ。
「結局1時間も作り続けてしまった…。流石に片付けておくか」
俺にしては極めて珍しく、服を作るのに集中してしまったらしい。もともと商業目的ではない私服をつくるのはそこまで嫌いではないのだが、集中して作るのは珍しい。そもそも集中するのが珍しい。
そして片付けが面倒だ、と思っている時だ。
ぴんぽーん。
「瑞貴ー?ことりちゃんがいらっしゃったわよぉー?」
びくぅ!!と。
とてもびっくりした。
いや、忘れていた。今日はことりはうちに来ると言っていた。俺に勉強を教えると言っていた。昨日。
「まっ、えっと、少し待たせていて!部屋が散らかっている!!」
「そうー?じゃあ居間で待っててもらうわねぇー?」
何もこのタイミングで来なくてもいいだろう…と思ったが、時間的にはピッタリである。完全に俺の自爆だ。忘れていたのが悪い。
とりあえず完成品をクローゼットに突っ込み、端材は端材ボックスに叩き込む。床に落ちた分は車椅子から降りて拾わなければならない。あらかじめ端材は始末しておけばよかった。
車椅子生活をする俺の部屋は当然一階にあり、居間も一階だ。何かの拍子にことりがひょこっと顔を出さないとも限らないし、見つかる前になんとか片付けなければ。
「瑞貴ー?まだぁ?」
「ぅおあっ?!もう少しだから大人しく待っててくれよ母さん!!」
「もー、ことりちゃんそわそわしちゃってるわよぉ?」
「母さんが変なこと言ったからじゃないよな?!」
「んもう、そんなわけないじゃないのー」
突然ひょっこり顔を出したのは母さんだった。心臓に悪い。片付けはほぼ終わっていたからことりが来てもギリギリ問題ないんだが、ビビるものはビビる。
うん、ひとまずオッケーだ。
車椅子を動かしてことりの待つ居間に向かう。微妙に気恥ずかしい。
「…待たせたな、すまない」
「う、ううん、大丈夫」
「もう、瑞貴が遅いから未来のお嫁さんが待ちくたびれ
「やっぱり変なこと言ってるじゃないか!」
未来の嫁とか言うんじゃない。ことりが真っ赤になってるだろう。
「あらやだ2人とも真っ赤になっちゃって可愛い〜」
「写真を撮るな!ことり、早く部屋に行こう。構ってたら永遠にからかわれるぞ」
「あらあらもう愛の巣に行っちゃうの?」
「あ、愛の巣?!」
「ほんとに黙ってくれないか?!」
「大丈夫よぉ、私は何があっても、ナニが聞こえてもお部屋の扉は開けないから」
「母さんッ!!!」
「なっななななな何もしませんよ?!」
うちの母親が馬鹿ですまない。俺の馬鹿はきっと親譲りだ。そうに違いない。
自室に逃げて扉を閉め、やっと母さんを引き離したが、おかげさまで妙な雰囲気になってしまった。
「…あ、あの…」
「…なんだ」
「…お勉強、しに来たんですからね?」
「……………………………………………………」
「ああっそんな、えっと!顔を覆わないでぇ!そんなつもりは私もないけど!」
「……………それ以上墓穴を掘るな」
「はいぃ…」
顔が真っ赤なことりは俯いて黙ってしまった。だいたい母さんが悪い。本当にすまん。
「ことりちゃんの誕生日プレゼント何にしようね」
「チーズケーキでいいだろ」
「わかるー」
9月になったからことりちゃんの誕生日の準備しなきゃね。
まあ、一番無難なのがチーズケーキなのはわかる。アメリカでチーズケーキをホールで食べちゃう子だもんね。あとは服くらいか。
「服といえばゆっきーだよね」
「…まあ、そうだが」
「得意分野をプレゼントに選べるとか羨ましいですね」
「…なぁ、何で俺はお前らに連れられているんだ?」
「ことりちゃんの誕生日プレゼント探しするからだけど」
「当然のように言うな。あと滞嶺、車椅子ごと持ち上げるな、視線が痛い」
「この方が移動が楽ですが」
「当然のように言うな」
そうそう、ゆっきーも連行しに来た。ほっといたら永遠に服作ってそうだからたまにはね。
「はぁ…俺は服作るしかできることはないだろ…」
「わかんないよ?案外チーズケーキ作れるかもしれない」
「卵焼きも作れんぞ俺は」
「…まあ卵焼き難しいから」
「単純な料理ほど難しい。料理は奥が深い…」
「フォローかどうかわかりづらい返事はやめてくれ」
「多分創一郎は本気で言ってる」
「…お前は?」
「…いい天気だね」
「おい」
別に煽ってなんかないよ?うん、卵焼き難しい。流石にゆっきーみたいに炭にすることはそうそう無いと思うけど。焦げ臭くなったとか黒くなってきたってあたりで止めればいいのに延々と加熱しつづけるもんだから。
「とりあえず僕はバレッタでもあげようかな。あの髪型維持するの大変そうだし」
「なるほど。俺は…そうだな、チーズケーキは被りそうだし、ぬいぐるみでも作るか」
「また見た目とギャップの強い特技を」
「悪いか」
「おい俺を振り下ろそうとするな」
「マジで死んじゃうそれ」
創一郎ぬいぐるみとか作れるのかよ。あと肩に乗せた車椅子を振りかぶらないの。ゆっきーが落ちる。僕は死ぬ。その車椅子ミシンとかモーターとか搭載してるからめちゃくちゃ重いんだから。今更だけど何で持ち上げれるの創一郎。
「ぬいぐるみくらい作れる。弟が欲しいと言うからな」
「買えないからって作るものかな」
「端切れを集めれば作れる」
「可能かどうかを聞いてるんじゃないんだよ」
「端材で作った小児服みたいなものか」
「納得しないで」
わかりあうポイントじゃなかったと思うんだけど。
「もう早くプレゼント決めなよ」
「決めたぞ」
「俺は選択肢がない」
「面白くないなぁ」
「…何を求めてるんだお前は」
「愉悦」
もうちょっと愉快な感じの選択肢出しなさいよ。
「もういいだろ。俺は服を作る。だから帰る。降ろせ」
「だめ。このままだと破産するまで布買い続けるじゃん」
「そんなことはない」
「計算もできないのにそんなもりもり買い物するんじゃないよ」
「そんなに大量には買っていないぞ」
「今のところ服は何着作ったのさ」
「…50くらい?」
「ほらもー」
100円のシャツでも5000円になる数だよそれ。
「よし、今日は市中引き回しの刑だ。行こう創一郎」
「おう」
「おうではないが。どこに行く気なんだ」
「とりあえずチーズケーキ買おうか」
「それはそれで結局買うのか」
ゆっきーはこちらで身柄を確保。あとはこっちの買い物を済ませなきゃね。チーズケーキは当然必須だよ。
しかしまあ。
ゆっきーがこれだけ必死にことりちゃんへのプレゼントを作りたがるなんて、ちょっと意外だね。
結局ことりの誕生日はやってきた。
服は何着も作ったが、どれもしっくりこない。
どうする俺。
今日もことりは家に来るというのに。
…今更だが何度も来すぎじゃないだろうか。
「くっ…結局クローゼットが満杯になるまで作ってしまった…。それでも完璧な作品ができない…」
ちなみにクローゼットはさらに2つ追加した。いつのまにか金が無くなってきていたから驚いた。誰か財布の管理をしてくれ。
しかし、金の心配よりことりの心配だ。まともなプレゼントが用意できていない。大問題だ。
しかし、他に何も用意できていないのも事実。仕方がないから、作ったものから選んでもらうしかないだろう。
もしかしたらひとつくらい気に入ってくれるかもしれないしな。
「おじゃましまーす」
「はぁーい、いらっしゃーい。誕生日おめでとうー。チーズケーキあるわよぉ、食べていってー」
「えっえええ?!そ、そんな…いいんですか?」
「もちろーん。だって瑞貴の未来のお嫁さ
「いつまでそのネタで攻めるんだ母さん!ケーキ食べてもらうなら早く持ってきて!」
「えぇ〜?お部屋で大人の運動した後の方が
「追い出すぞ?!?!」
うちの母さんは変態か?変態だな。
「おお、ことりちゃんいらっしゃい、そして誕生日おめでとう。ほら、これチーズケーキ。母さんが頑張って作ってくれたぞ」
「まぁ〜お父さんに褒められたらわたしドキドキしちゃう」
「はいはいわかったからお皿持ってきて」
「はぁーい」
「すまないねことりちゃん、うちの母さんはあれが平常運転なんだ」
「は、はぁ…」
「絶対俺のバカは母さんからの遺伝だと思う」
「そんなことはないぞ。母さんだってちゃんと4年制大学卒業してるんだから」
母さんを何とかしようと思っていたら、キッチンの方から父さんが来た。ありがたい、我が家きっての常識人だ。
「4等分は切りやすくていいな。よっと」
「お皿持ってきたわよぉー」
「ありがとう。何故フォークを2本しか持ってこなかったのかが気になるところだけど」
「いやん。『あーん』ってやるために決まってるでしょー?」
「はっはっはっお戯れをせめて瑞貴を巻き込まないでくれたまえ」
「ああん先に2本持ってきたのね」
「それくらいお見通しだよまったく…」
「じゃあわたしが持ってきた分はしまってくるねぇ」
「「待てい」」
普通に各自1本使わせろ。
その後、母さんの下ネタを受け流しつつチーズケーキを食べ、そのまま自室へ向かう。母さんの相手は父さんにまかせた。俺には荷が重い。
「はぁ、まったく…」
「いつもだけど、お母さん元気だね…」
「元気すぎる。もう少し落ち着いてほしいところだ」
ことりとしても、あの変態を相手するのは大変だろう。だからといって俺がことりの家に出向くと階段を上らなければならないため(ことりが)嫌がる。なかなか2人で過ごす空間を守るのは大変だ。
「…と、改めて。誕生日おめでとう」
「うん!ありがとう!」
「で、プレゼントなんだが…」
期待全開の瞳で見られると非常に恥ずかしい。そして言いにくい。
「…いくつも作ったんだが、納得できるものは作れなくてな。あまりいいものではないかもしれないが、作った服の中から好きなだけ持っていけ」
部屋に新設したクローゼット3つを順に開けていく。みっちり詰まった服が…何着だったかは忘れた。
それを見たことりは、
「わぁあああ…!!」
めちゃくちゃ喜んでいた。
そんなに喜ぶか?
「…さっきも言ったが、いい出来の服ではないぞ。言ってみれば失敗作だ」
「ううん!全然そんなことない!全部ステキな服だよ!!わぁ〜、これを好きなだけくれるの?!」
「あ、ああ…」
「ふあぁ、どれにしよっかなぁ!これとー、これとー」
嬉々として服を手にとっていくことり。まあ喜んでいただけるのは全然いいんだが。
「そんなに嬉しいか…?」
「うん!だって、瑞貴さんが私のためにって、こんなにも沢山の服を作ってくれたんだもん!」
「そ、そうか…」
喜んでもらえたなら俺も嬉しいんだが、予想外な反応と喜び方に戸惑うしかない。
「あーっこれも可愛い!こっちも素敵!こっちの…も…」
「…どうした」
猛烈にはしゃいでると思ったら突然フリーズした。忙しいやつだな。
「…あ、あの…このすごく生地の薄い…あの、透け透けの服は…?」
「透け透け…?ああ、ネグリジェか。寝間着だ」
「それはわかるよ!」
「じゃあどうした」
「えっ?えっと…その、瑞貴さんはこういうの着てほしいのかなって…」
「似合いそうなものを片っ端から作っただけだが」
「うううやっぱりあんまり深いことは考えてない…!!」
「何故顔を赤くしてるんだ」
「何でもないっ!」
ネグリジェは気に入らなかったのか。通気性の良い生地を使っているから夏の夜にはぴったりだと思うんだが。
「…?まあいいか。気に入った服があったら着てみてもいいぞ」
「え?いいの?…あ、でも着替える場所が…」
「?ここで着替えれば
「もう!!!!!!」
「うおっ?!」
試着を提案したら車椅子から叩き落とされた。そこそこ痛いぞ、何をする。
「だ!か!らぁ!!人前で!特に好きな人の目の前では着替えられないって何度も言ってるでしょ!!」
「別に着替え程度で欲情したりは
「ふん!!」
「人の話を
「やあ!!」
「ちょっ、待っ
「てい!!!」
こちらの言葉には聞く耳を持たず、というか反論する隙すらももらえず枕で殴られる。さほど痛くはないんだが、避けられない。というか人の枕を武器に使うな。
そして。
「あらやだことりちゃんってば大胆ねぇ!いいわよそのまま引っぺがし
「ひゃああ?!」
「はいはい息子の邪魔をするんじゃない」
「いやんお父さんってば大胆」
「ナチュラルに人の部屋覗いてるんじゃないぞ変態」
「いやん瑞貴ったら純情」
「そろそろ殴っても怒られないんじゃないか?」
突然バンッ!と扉を開けて母さんが飛び込んで、来ようとして父さんに連れていかれた。
なんだかしっちゃかめっちゃかな誕生日になってしまったが、ことりは顔を真っ赤にしながらも気分を悪くした様子はない。
これはこれで楽しいひと時だったんだろう。楽しんでくれたなら、それもそれでいい。
ちなみに結局服はほとんど全部持っていかれた。ネグリジェ含む。結局欲しいんじゃないか。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
ことりちゃんや雪村君よりクセが強い雪村母がご登場。一応、波浜君の過去編にあたる「ひとりの盲信の真相」(何話か忘れちゃった)にてちょっとだけ登場しています。具体的にどんな人なのかは今後の本編で出てきますが、とりあえずスケベ系人妻のようです。需要高そう。
ことりちゃんは焦ったら自爆する子だと思ってるので、バンバン自爆していただきました。かわいい。