笑顔の魔法を叶えたい   作:近眼

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ご覧いただきありがとうございます。

ついに土日に投稿できなくなりましたね!!申し訳ありません!!資格試験とかあったんですあーはいわかってます言い訳してないで筆を動かせって話ですねわかります!!(自己解決)

あと延々とスクスタしてました。いやん皆様かわいい。しかも動く!!ぬるぬる動く!!うひゃあ!!あーいえわかってますわかってますとも筆動かしますともー!!

さて、今回は才悩人編第二弾です。アニメ本編よりはるかにサクサクフラグが立ちますねえ!!アニメ中では本来男性が出てこないので当然といえば当然ですが。


というわけで、どうぞご覧ください。




才は諸刃、逆巻く牙

 

 

 

 

 

「というわけでですね!困ったことに私は先輩に敬語を使ってはならないことになってしまったんです!!」

「いいではないですか」

「いいんですか?!」

 

 

ある日の夜のこと。無事に音ノ木坂学院に入学し、アイドル研究部に入部した奏が興奮しながらそんなことを言っていました。

 

 

その集団の中でルールを決めて、それに遵守するというなら、よほど極端なもので無い限りは敬語程度は構いません。

 

 

そもそも奏は誰に対しても敬語ですし。呼び方くらい自由にしても構わないと思います。

 

 

というかいくら僕を尊敬してくれているといってもそこまで徹底しなくてもいいのではないでしょうか。「嫌われたくないんです!!」という心の声は読心するまでもなく聞こえてきますが。

 

 

「同じものを目指す者同士、忌憚無く意見できるように配慮されているということですよ。そういった理に適った善意はちゃんと受け取っておきましょう」

「すみませんキタンナクってどういう意味ですかお兄さま!!」

「正直でよろしい」

 

 

わからないことをわからないと正直に言うのはいいことです。自信満々に言うのがいいことかは不明ですが。

 

 

「簡単に言うと「遠慮なく」とほとんど同じ意味ですよ」

「なるほど!また一つ賢くなりました!」

 

 

あと我が妹ながらポジティブすぎて怖いです。

 

 

「あと、今日はことりさん…えっと、ことりちゃんがなんだか嬉しそうでした!」

「…確かに奏がμ'sの方々を敬称抜きで呼ぶと違和感ありますね…。まぁ、嬉しそうならよかったじゃないですか。悲しそうだと言うなら心配ですが」

「『元』μ'sですよ!」

「あっはい」

 

 

そういえばもうμ'sではないんでしたね。

 

 

「嬉しそうなのはいいんですけど、なんだか上の空ぁ〜って感じだったので、それはそれで心配です」

「ふむ、上の空ですか」

「上の空ぁ〜、です!」

 

 

流石に僕にはそんな表現はできませんよ。文字なら別ですが、口頭ではできません。奏ほど感情豊かではありません。

 

 

「とりあえず、南さんの心配はいらないでしょう。おそらく少ししたら戻りますから」

「お兄さまがそう言うなら大丈夫ですね!」

 

 

そして相変わらずの信用度です。僕でも間違う時は間違うんですが。

 

 

「そういえば、元μ'sの卒業なさった方々はお兄さまのいる大学に入学されたんですよね」

「はい。流石にまだ会っていませんが、皆様文系のようですし、僕の講義を受けることもあるでしょう。来年にはもしかしたら僕のいるゼミに来るかもしれませんし」

「お兄さまも元μ'sの皆様と何かとご縁がありますね!」

「ふふ、そうかもしれませんね」

 

 

確かに、園田さんをはじめとして、天童君や波浜君経由で頻繁に関わっている気がします。悪い気はしませんが、天童君が関わっていると彼の思惑が絡んでいそうで複雑な気分です。

 

 

「さあ、今日も疲れたでしょう?早めに寝て、明日に備えましょう」

「はい!おやすみなさい!!」

 

 

寝る前だというのに元気ですね。きっとベッドに入った瞬間に眠るんですが。

 

 

ああ、でも。本当に、口から出る言葉に一切の偽りのない奏は。

 

 

こんな偽りだらけの世界で唯一の光です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて。

 

 

今日は休日なのですが、珍しく外出しています。

 

 

いつもはひたすら本を読んでいるので正直引きこもりなのですが、こうして外に出なければならないこともあります。

 

 

特に。

 

 

最近は天童君が「悪人狩り」に消極的なので、僕一人で何とか悪人を減らせるようにしなければなりません。

 

 

しかし、残念ながら僕は力や体力があるタイプではありません。天童君のような先読み能力もありませんし、力技も抜け道も使えません。

 

 

何とかしようとして思いついたのは、僕自身の力を使うこと。読心がもっと使いこなせるようになれば、道行く人々の思考まで読み取れるかもしれません。

 

 

こういった才能も、天童君のように鍛えることができるはず。そう思って街に出て、沢山の人の心を読めるように努力をしているのです。

 

 

…しかし、思った以上に大変です。沢山の人の心の声を聞くこと自体は容易いのですが、それを大量に聞くとなると、正直処理が追いつかなくて頭痛がします。天童君を甘く見ていました。そういえば彼は基本スペックが非常に高いんでした。

 

 

「…うっ、しかし、本当に想像以上の負担です…」

「本当に大丈夫なのですか?」

「え、ええ…大丈夫…ってうわぁ?!そっ、園田さん、いつのまに?!」

「あの…さっきからずっと声をかけているのですが…。どうしたのですか?」

「い、いえ…なんでもありません…」

 

 

頭痛にやられて壁に寄りかかっていたところに、いつのまにか園田さんが隣に来ていました。ここまで注意散漫になっているとは…気をつけなければなりませんね。

 

 

「…園田さんこそ、どうしたのですか?お買い物ですか」

「はい、今日は練習が休みなので。…しかし、本当に大丈夫ですか?顔色も良くないですし…」

「大丈夫ですから…。僕のことはお気になさらず、お買い物を続けてください。それでは」

「あ、ちょっと…!」

 

 

頭痛も治まってきましたし、早めに退散しましょう。園田さんにも迷惑かけられませんし、何より僕の読心が原因なのではないかと勘繰っているようです。実際正しいですし、何をしているかを正直に答えれば、また怒ってしまうでしょう。余計なことはするべきではありません。

 

 

追っても答えてくれなさそうだ、ということは伝わったようで、園田さんが追いかけてくることはありませんでした。今のように知人と遭遇しても面倒ですし、少し遠出するとしましょうか。

 

 

車で移動すると頭痛が怖いので電車を使いましょうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はあ、明の様子がおかしいと?」

「はい…。先日見かけた時も顔色が悪かったですし、何か無理をしているようで…」

「風邪引いてるだけじゃないの」

「症状だけ聞くとそんな感じだよなぁ」

 

 

海未ちゃんに相談があるって言われてきてみたら、珍しい人の話だった。松下さんが話題に上るの珍しいよね。松下さんの妹の話は最近聞くけど。あれ、つまりあんまり珍しくない?

 

 

ちなみに天童さんはいつのまにかいた。何でいるんだろう。海未ちゃんが呼んだわけでもないらしいし。

 

 

「う…そう言われてみれば…」

「まあ、出不精筆頭の明が外に出るのは確かに珍しいけどな」

「てゆーか天童さんならなんでもお見通しなんじゃないんですか」

「お見通しにも限度があるっつーことだよ。才能があるだけで天才ではないんだよ天童さんは」

「天童さんいつも自分は天才みたいに言ってるのに」

「まあ…出来ないこともあるって知ったんだよ俺も」

「天童さんが素直だ…まさか偽物…」

「おいこらー?」

 

 

天童さんが緩くなってる。希ちゃんパワーかな?希ちゃん強すぎでは。

 

 

「まあ天童さんはおいといて、そんなに気にすることじゃないんじゃない」

「いや病気だったら心配すべきだろ」

「天童さんに正論言われた」

「風邪…うーん…」

「なんか気になることでも?」

「あ、えっと…お話ししていいものか…」

「なになに黒歴史的な話?」

「目を輝かせんな愉悦部」

 

 

黒歴史ならいくらでも聞くよ。黒歴史おいしいです。

 

 

「いえ、そうではなくて…あの、お二人は…松下さんが、人の心を読めるって、聞いたことはありますか…?」

「なにそれ」

「…明が自分で言ったのか?」

「は、はい…」

「えっ何で天童さんは知ってました感出してるの」

「知ってたからに決まってんだろ?」

「うそんそんなファンタジー」

 

 

天童さんがそんなファンタジー発言を信じてるなんて意外。意外なんじゃなくて本当なのかな?マジ?あり得るそんなこと。

 

 

「ファンタジーじゃないんだなこれが。正確には読心というより、『限りなく正確に行間を読む』才能なんだろうけどな。言葉や文字からその真意から裏側までまるっきりお見通しだそうだ」

「へえ…ただ文系の才能があるだけだと思ってました」

「それだったら小説家として台頭してるだろうよ。文学者として成功しているのは、読んだ本の真の意図が完璧にわかるからだぞ」

「なるほど。なんか天童さんと似てますね」

「似てるようで全然違うわい。俺は心は読めんぞ」

「えっ読めなかったんですか」

「読めねえよ?俺の行動予測はただの予測だから統計でしかねぇよ」

「でも天童さんってハッピーエンドメイカーじゃないですか」

「それはただの俺の趣味じゃい」

「超いい人じゃないですか」

「今更なの?」

 

 

天童さん心読んでるわけじゃなかったの。どうりでたまに「嫌でもシナリオ通りの動きをするしかない」状況とかできるわけだ。ただのドSだと思ってた。

 

 

「天童さんはご存知だったんですね」

「ああ、お互いこういう才能持ちだからな。向こうは初めて会った時から、俺は何度か会ってから、お互い自分の才能と相容れないやつだってのは理解したさ」

「そうですか?お二人の力を合わせれば何でも出来そうですが」

「そうそう、光と闇が合わさり最強に見える感じになりそうじゃないですか」

「ならねーよ。俺は明を利用する気満々で、それがバレバレなんだぜ?絶対仲良くなれないだろ」

「そうですかねー」

「そーなの。俺としても、明は何が何でも自分がやりたくない行動は取らないようにしてくるし、そうでなくても想定外の動きをすることが多い。会うだけでシナリオが狂うんだよあいつは」

「なるほど」

「わかってないだろ」

 

 

なるほどわからん。あんまり仲良くないことだけはわかった。

 

 

「で、その読心がどうかしたのか、海未ちゃん」

「あ、はい…松下さん、以前人の心は裏ばかりだと言って嘆いていらしたので、街中で気分を悪くなされたのかと…」

「はっはっは、そりゃないさ。あいつの読心は沢山の人とコンタクトするのに向いてない。頭が処理しきれないからな。だからあいつ、外出するときは常にイヤホンしてるのさ。してただろ?イヤホン」

「え?いえ…」

「え?」

「え?」

「…イヤホンしてなかったの?」

「はい…」

「ちょっと天童さーん?」

「いや待て、えっマジか」

 

 

天童さんがフリーズした。どうしたのかな。

 

 

「…何のためにイヤホン無しで出歩いてたんだあいつは?」

「あの、やっぱり…」

「ああ、海未ちゃんの言う通りかもしれん。読心で負荷がかかってたんじゃねえかな」

「そんな顔色悪くなるほど負担かかるんですかね」

「知らんわい。だがその可能性も十分あるな…俺は予測する出来事を段階を踏んで時間をかけて組み上げるが、明はもしかしたら得られる情報を分割できないのかもしれん」

「まあ原因はわかんないけど、どうしてイヤホンしてなかったんだろね」

「…確かにそこは謎だな。いや、心当たりがなくもないんだが」

「あるんですか?!」

「うおお?!食いつきいいな?!」

 

 

作詞の指導してもらってるからか、やたら心配してるね。それともそんなにやばそうな感じだったのだろうか。

 

 

「悪いがそこらへんの事情は企業秘密

「…悪人狩りですか?」

「ん゛な゛っ」

「ちょっとまって何今の極めて不穏な単語」

 

 

初めて見る天童さんの本気びっくり顔と初めて聞く恐ろしい単語のせいでツッコミが追いつかないんだけど。

 

 

マジで何が起きてんの。

 

 

「あ、明…一体何考えてんだ…」

「そうなんですね?」

「うぐ…そこまで知られているとは計算外だな…。ああ、そうだ。そのことだ」

「ねぇ待って僕を置いてけぼりに

「静かに」

「ひん」

 

 

さすが海未ちゃん慈悲がない。仕方ないから頑張って話の流れから概要をつかもう。無理がある。

 

 

「どこまで詳細を聞いているか知らないが…俺と明は協力して犯罪者撲滅運動をしていた」

「はい」

「はいじゃないけど」

「まあ、最近は自粛してんだがな。ほら、希ちゃんが嫌がるから」

「何で嫌がるんです」

()()()()()()()()()()()()。止めないんだよ、犯罪自体は。例え殺人でも」

「なるほど外道だ」

「言うな。それがわからないほどバカじゃない」

 

 

わかっててやるあたりさすが天童さん。

 

 

「まあとにかく。もともと俺と明でやっていたその悪人狩りだが、俺はあんまりやらなくなった」

「やめてはないんですね」

「うっせーやらねばならんこともあるんじゃい。俺はほとんど動かなくなったけど、明は自力で何かしようとしているのかもしれんな」

「何か…?」

「具体的に何をしようとしているかはわからない。そもそも何であんなに悪人狩りに積極的なのかもイマイチ知らんのだよ」

 

 

要するに、犯罪者もしくは予備軍みたいなのを無理やり捕まえることをしていたんだけど、天童さんが働かなくなったから松下さんが自力でなんとかしようとしてるってことか。

 

 

ふーん。わけわからぬ。

 

 

「わけわからぬ」

「声に出てんぞ茜。しかし、明の目的もイマイチ不明なのは確かだ。俺もちょっと気にしておく」

「ありがとうございます。…本当に、いったいどうしたというのでしょう…」

「そんなに心配なの」

「心配ですよ」

 

 

なんかやたら心配してるなぁって思って聞いてみたら真剣に心配らしい。そんなにめちゃくちゃ心配しなくてもよかろうに。

 

 

「…だって」

「ん?」

「だって、松下さん…なんだか、知らないうちに崩れていってしまいそうで…」

「何いってんの君」

「知らないうちに崩れてた側の人間にはわからんだろ」

「天童さんは崩れてないみたいな言い方」

「崩れてないでしょお?!?!」

 

 

ふうむ、なんだか知らないけど不安らしい。それだけはわかった。

 

 

まあでも不安ならなんとかしたくなるよね。なるんだよ。具体的にどうしようっていうのはないんだけどね。

 

 

ちなみに僕は知らない間に崩れてたサイドの人です。わかってまーす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ああ。

 

 

あたまが。

 

 

われそうです。

 

 

遠くの喧騒からさえも、言葉の真意が頭に雪崩れ込んでくる。

 

 

これでは、誰が何を考えているかなんてわかるわけがありません。誰が悪人かなんてわかるわけがありません。布団に潜って、耳を塞いで目を閉じなければ頭痛は治りません。

 

 

これが試練だと言うのでしょうか。

 

 

僕はただ、奏の笑顔を、曇りなき心を、守りたいだけなのに。

 

 

何故僕はこんなに苦しまなければならないんですか。

 

 

もう十分苦しんできたのに、まだ終わらないのですか。

 

 

どうすればいいんですか。

 

 

 

 

 

誰か。

 

 

 

 

 

 

 

だれか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

知るわけがない。僕は松下さんとはそんなに深い関わりはなかったんだから。

 

 

こんな深刻な事態になってるなんて。

 

 

 

 






最後まで読んでいただきありがとうございます。

おかしい…また最初と最後のテンションが噛み合っていない…。誰のせいですか!!私ですね。その通りです。
というわけで今回は松下さん回です。あまりスポットのあたっていなかった男性陣の一人なのでぶっちゃけ難産でした。見た目は穏やか、中身はバイオレンスな松下さんダウン寸前。このままではシスコンが死んでしまう!!
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