笑顔の魔法を叶えたい   作:近眼
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ご覧いただきありがとうございます。

またまたお気に入り登録してくださってありがとうございます。私の寿命もうなぎ登りです。感想もくださってより一層長生きできそうです。仙人でも目指そうかな!!頑張ります!!

というわけで、どうぞご覧ください。




どうでもいいことを素晴らしい作品にするのが本物のプロ

 

 

 

なんだかんだあった割には日常はフツーに過ぎていくもので。

 

 

今日も元気に勉強会である。まあ結構久しぶりなんだけどさ。

 

 

「とりあえず絢瀬さん、機嫌治さないと頭まわんないよ」

「別に機嫌悪くなんて」

「にこちゃん起きな」

「聞いてない…!」

 

 

今日は絢瀬さんが朝からご機嫌斜めだった。いつもは氷の女王で、たまにかき氷お嬢ちゃんなのが、今日は極低温エンプレスだった。ネーミングセンス酷いな僕。

 

まあどうせ、不機嫌の理由はμ'sだろう。何故だかわからないけど毛嫌いしてるのに、順調にメンバーを増やして今や7人、無事部室も確保した。そりゃ目の上のたんこぶというか、とにかく腹たつだろう。

 

 

僕としてはそんなのどうでもいいので、絢瀬さんの相手は早々に切り上げてただいまにこちゃん起床チャレンジ中である。

 

 

「んんー、あと5分…」

「それは布団の中で言うセリフだよにこちゃん」

「にこっち起きる気配もないね」

「いつものことだよ」

「いつものことでいいのかしら」

 

 

いいわけない。どうせテスト直前で泣きついてくるんだから早めに勉強していただきたい。泣きついてくること自体は役得なんだけど、赤点取るか取らないかの瀬戸際でハラハラするのはいかんせん心臓に悪い。

 

 

「にーこーちゃーん」

「うー」

「波浜くん、うちに任しとき」

 

 

いくら揺さぶっても起きないのを見て、東條さんが立ち上がった。何事かわからないけど策があるんだろうか。そのままにこちゃんの背後に回る。

 

 

「にこっちー、起きないと…」

「起きないと?」

「わしわしマックスや!!」

 

 

瞬間。

 

 

東條さんの両手が、机に伏すにこちゃんの脇に向かった。くすぐる気かと思ったら、更にその先の胸に向かった。

 

 

「ひゃう?!」

「覚悟しぃ!」

 

 

咄嗟に目を瞑って顔を机に押し付け耳を塞いだ。ゴンっていったしとても痛いがそんな場合じゃない。これは見ても聞いてもいけないやつだ。しかしここまでしてもにこちゃんのアカン声が微妙に聞こえてくるので頭の中で必死に別のことを考えることにする。何考えようかな桃太郎朗読でもするか昔々あるところにおじいさんとおばあさんが以下略。

 

 

「波浜くん、にこっち起きたよ」

「どうも…」

「何で波浜くんが1番疲れてるのよ…」

「にこちゃんの悩ましボイスをシャットアウトするのにどれだけ頑張ったと思ってんの」

「な、悩ましボイスとか、言うんじゃないわよぉ…」

「にこちゃんストップ落ち着いてから喋って」

 

 

まだ艶の残るにこちゃんの声を聞いてるといろいろマズい。煩悩で溢れる。顔も見れない。どうせ火照って艶かしい表情してるんだろう。

 

 

「波浜くん、いつもにこっちを好き好きゆってる割には純情なんやね」

「純情とかそういうレベルかい今の」

「あ、茜は、ヘタレだもん…」

「だからにこちゃんストップ頼むからほんとに」

「焦ってる波浜くんは初めて見るわね」

「いつもヘラヘラしてるもんね」

「そっちが本来だよ」

 

 

顔は上げれないがどうせ東條さんも絢瀬さんもにやにやしてるんだろう。やめてくれ。いつも通りの裏が読めない系男子をさせてくれ。

 

 

何か突破する案がないかと思っていたら、東條さんが別の話題を振ってきた。

 

 

「そう言えば、生徒会で今、部活動紹介のビデオ撮ってるんやけど、アイドル研究部も撮る?」

「ビデオだって」

「なんか急に元気になったわね」

 

 

ビデオと聞いて飛び起きる。映像作品となれば僕の本業だ。

 

 

「機材はどんなもんだい?撮影時間と撮影場所は。時間帯と演出の有無は」

「え、えっと…」

「茜、引いてるわよ」

 

 

おっとしまった。復活したらしいにこちゃんに窘められて一旦落ち着く。

 

 

「おっと、失礼。取り乱したようで」

「そう言えば波浜くんって有名なデザイナーさんらしいわね」

「有名かどうかは知らないけどね」

 

 

絢瀬さんはおそらくμ'sのライブ映像に仕込んでおいた(というか載せざるを得なかった)クレジットを見て気づいたのだろう。まあバレるのは想定内だから別にいい。言いふらされると困るけど。

 

 

「プロの血が騒いだってことね」

「えりち、うちを置いて話進めんといてよぉ」

 

 

珍しく不機嫌顔の東條さん。なんだかんだいってこの子も疎外感は食らいたくないタイプなのだろう。口止めも含めて僕の本職の説明をしておいた。

 

 

「ふぇえ〜、波浜くんがSoSさんやったんやね…」

「あら、希はそのサウンドなんとかって知ってたの?」

「うちはどっちかって言うと裏方に目が向いちゃうから。舞台とか、映画の後援とかによく名前が載ってるんをよく知ってるんや」

「映画もなの?」

「たまにね」

 

 

感心されているけど、こういう反応は慣れている。あんまり顔出ししないし、作品の幅広さは随一だから。桜は音楽作品で、天童さんは脚本で有名だけど、僕は舞台演出、照明演出、グラフィックデザインウェブデザイン服飾デザインなどなど分野の広さがウリだ。何だったら音楽も脚本もできる。他2人ほどじゃないけど。

 

 

「波浜くん以外だと、BGMにサクラって人とか、脚本にNo.1って人とかよく一緒に見るよ」

「めっちゃ詳しいね」

 

 

驚いた。サクラは言わずもがなA-Phyの音楽担当である水橋桜、No.1はこちらもA-Phyメンバーで脚本担当の天童一位のことである。A-Phyとして3人で活動してるときもそれぞれ名前をちゃんと出しているとはいえ、全員覚えてるとはね。

 

 

「私は3人とも会ったことあるわよ。茜はここにいるし、たまに水橋くんも天童さんも茜と一緒にいるから」

「にこちゃん、本名出しちゃダメよ」

「あっ」

 

 

にこちゃん、今更口押さえても遅いよ。可愛いけど。お二人には念のためもう一度黙っておくように頼んでおいた。

 

 

「それにしても、波浜くんって友達いたのね」

「どういうことかな」

「意外よねぇ」

「にこちゃん勘弁して」

 

 

ひどいことを言ってくる。にこちゃんが追い打ちしてくるのは、以前「友達いたんだ」とか言っちゃったからだろう。ごめんって。

 

 

このままだと弄られるので話題転換。

 

 

「とにかく、部活動紹介ビデオ撮るんでしょ。メンバーにも確認とっとかないと」

「撮るわよ」

「今部長の独断で決まりました」

「…そんなんでいいの?」

「どうせ言ったら言ったでどこかの園田さんとか小泉さんとかが嫌がるし」

 

 

鶴の一声で撮影決定。絢瀬さんが呆れてたが、恥ずかしがり屋が反対するとめんどくさいのでこっちの方が都合がいい。というわけで連絡したら案の定恥ずかしがり屋お二人がテンパってた。

 

 

「早速やけど、明日でいい?」

「いいわよ。まだ新曲もできてないみたいだし」

「遅いねー」

「茜は水橋…サクラさんのスピードに慣れてるからそう思うのよ」

「一理あるね」

 

 

桜は2,3時間で一曲作るからね。

 

 

その後また絢瀬さんが若干不機嫌モードだったが、ほっといて勉強に励んだ。僕はラフ描いてるだけだけど。

 

 

 

 

 

 

「た、たすけて…」

 

 

で、翌日の放課後。

 

 

東條さんが構えるビデオカメラの先で、小泉さんが助けを求めていた。何に対してのたすけてなのだろうか。

 

 

っていうか。

 

 

「何で撮らせてくれないの」

「撮るのは生徒会役員って決まってるんよ」

「あとどうせあんたが撮ったら時間食いすぎるわよ」

「精々4,5時間で終わらせるよ」

「長いわよ」

 

 

やる気満々で来たのに僕はカメラマンですらなかった。そりゃないだろう。カメラを目の前にして何もできないなんて。

 

 

…、いや?

 

 

「そうじゃん、自分で撮ればいいじゃないか」

 

 

というわけで、早速自分のカバンから自前のビデオカメラを取り出す。結構なお値段のいいやつだ。仕事でも使うわけだしね。

 

 

「はぁ、茜が本気出した…」

「何で嫌そうな顔すんのさ。ほら笑って笑って」

「腕がいいのは知ってるけど、熱入りすぎて無理するから嫌なのよ」

「にこちゃんが心配してくれてる…」

「心配くらいするわよ」

 

 

塩対応が多いから心配されてないかと思った。

 

 

少し離れたところでは小泉さんが未だに撮ってた。星空さんに励まされているらしい小泉さんは東條さんに任せて、僕はこっちだ。

 

 

「はい西木野さんこっち向いてー」

「あなた何でそんないいビデオカメラ持ってるのよ…っていうか勝手に撮らないで」

「何をいう、撮影タイムにじっとしてられるほど僕は人間できていない」

「なんでそんなに自慢げなのよ」

 

 

創作意欲が湧くというやつだ。決して悪いことではない。多分。

 

 

「ほら、一応インタビューって形式なんだから意気込みとかどうぞ」

「…」

「…」

「…」

「…彼女は西木野真姫、寡黙で冷静な見た目と鋭い眼差しの裏に、音楽への熱い情熱を秘めた多感にして繊細なる15歳の少女…」

「何勝手にナレーション入れてるのよ!!っていうかなんか大仰!!」

「かっこいいじゃん」

「かっこよくない!」

 

 

喋らないから適当にナレーション入れたら怒られた。なんでさ。役者の不足を自ら補うから一流なんだ。

 

 

「茜、真姫ちゃんはツンデレだからしょうがないわよ。代わりに私を撮りなさい」

「誰がツンデレよ!」

「にこちゃんもツンデレじゃないか」

「違う!」

 

 

ツンデレガールズが元気に吠える。うむ、この2人仲良くなれそう。

 

 

その後もいくらか映像を撮ったが、印象としては女子高生が遊んでるだけだ。僕の映像の方はちょっといじれば日常ドキュメンタリーとかいけそうだが、東條さんが撮った方は流石にそうはいかない。

 

 

「まあ、スクールアイドルの本領といえばライブで、そのための練習でしょ。それ撮ればいい」

「せやね。元々練習する予定だったみたいやし」

 

 

というわけで、屋上へ向かう運びとなった。

 

 

 

 

 

 

「1,2,3,4,5,6,7,8…」

 

 

僕の手拍子に合わせてステップを踏むμ'sの皆様。元々は園田さんがやってたらしいのだが、全員踊らせてあげたいのと、僕のリズム感が随一であること、そして全体観察力が常人の比ではないということでこういう全員でやる練習の指揮は僕が取っている。

 

 

「小泉さん、若干遅れてる。手の振りが遅いのかな」

「は、はい!」

「星空さん逆に早い。腕を振り切ってない、もっと大きく動かして」

「はいにゃ!」

「高坂さん疲れた?足が乱れたよ、無理しないように」

「まだまだ!」

「西木野さん顔硬い。笑顔笑顔にっこにっこにー」

「わかってるわよ!」

「それ私の…!」

「にこちゃんそこ足違う」

「うぐっ」

「南さん、位置がズレてきた。重心ぶれてるよ」

「はい!」

 

 

全員に指示出しするのも疲れる。当然足りないので、毎回ビデオ撮りながら練習して後で見直すのだ。いつもは安いカメラだが、今日は撮影で使ったいいやつで撮ってる。ぶっちゃけ見直し程度なら大差ない。

 

 

「はいじゃーラスト」

 

 

ぱん、と手を鳴らすと同時に全員でポーズを決める。んー…

 

 

「高坂さんよし、南さんよし。園田さん顔もっとこっち向けて、西木野さん10cm左にずれてる。星空さんと小泉さん寄りすぎ…星空さんが下がりすぎなのか。もう15cm前、小泉さんはポーズもっと大きく。にこちゃん可愛いけど前すぎ。7cm後ろ」

「「「「「「はい!」」」」」」

「私だけ細かくない?!」

「にこちゃんならやれると信じてる」

 

 

ほんとはただのたまたまです。ごめんねにこちゃん。

 

 

「じゃー休憩しましょ。スポドリ取りにきなさいな」

 

 

そう言って、扉横に設置した机を指差す。机の上には紙コップとクーラーボックスがあり、クーラーボックスの中にはスポドリが入っている。ぶっちゃけあれ持ってくるだけで体力が限界を迎えるため、学校まではキャスターで転がしながら、ここまでは時間をかけて数本ずつ持ってくる。そのせいで夜明け前から学校来る羽目になってるが、にこちゃんのためなら頑張れる。余裕である。いやほんと余裕なんだって。

 

 

「というわけで東條さんもどうぞ。暑いっしょ」

「ん、ありがと」

 

 

紙コップにスポドリを注いで東條さんに手渡す。まだ春とはいえ、日差し直撃の屋上では結構暑くなる。

 

 

「…それにしても、練習の指揮って本来リーダーがやるもんやない?」

「そう?まあ誰がやってもいいと思うけど…」

 

 

一応発起人の高坂さんがリーダーなんだが、歌詞は園田さんだし衣装は南さんだし作曲は西木野さんだし、

 

 

 

 

おや?

 

 

 

 

「そういえば高坂さん何もしてないね」

 

 

まあリーダーだからなんかするってわけでもないだろうけど、みんなの士気的にそれでいいのかはちょっとわからない。

 

 

人も増えてきたし、1度しっかりと協議してもいいかもしれない。

 

 






最後まで読んでいただきありがとうございます。

前回ひっそり出ていた天童さんが名前だけまた登場。彼はまだ出て来ません。名前しか出ないなんて不遇…!!

もうすぐUAが1,000に到達するので何かおまけを書こうかなと思ったのですが、まだ全員揃ってないし何も思いつかないし…って感じです。特別編って何を書けばいいんですかね?



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