笑顔の魔法を叶えたい   作:近眼

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ご覧いただきありがとうございます。

前回からもまたお気に入りしてくださった方がいらっしゃいました!!ありがとうございます!!本編終わったら増えなくなると思ってたのに…ほんと頑張ります…(号泣)

After stories 1は前回の御影さん話で一旦おしまいなので、このお話はおまけ回です。感想で白鳥さん出演のご要望があったので、せっかくなのでこの機会にぶっ込んでみました。
「マジで?!俺何の準備もしてないんだけど!!」
After stories 2までにもう一話くらいお話を挟む予定です。ただ私が書きたい話を書くだけです。いや今まで全部そうでしたけど。
そんなお話も楽しんでいただけたら幸いですね。


というわけで、どうぞご覧ください。




ハーレム系主人公は自分からダメージ受けにいく説

 

 

 

 

 

 

秋葉の喫茶店なう。メンバーは僕、にこちゃん、絵里ちゃん、希ちゃん。

 

 

高校を卒業した後も、僕ら元μ's三年生の4人は定期的に会っている。っていうかにこちゃん達は同じ大学にいるしね。頻繁に会えないのは僕くらいだ。

 

 

「しかもレポートは手書きじゃないとダメってどーゆーことよ!!」

「あー、うちもそういう講義ある。せっかくパソコンあるのにね」

「どの講義も結局大変ね…」

 

 

しかも大体話の内容は講義の文句とか大学生活関連だ。僕居る意味なくない?

 

 

「僕帰っていい?」

「ダメよ。そこに居なさい」

「つまりにこっちが寂しいって言ってるんよ」

「言ってないわよ!」

「あふん」

 

 

今のは流石にとばっちりじゃないかな。

 

 

「いいじゃない。茜も話したいことを話していいのよ?」

「僕は女の子みたいに無限に話題が湧いてくるタイプじゃないんだよ」

「それはにこっちに全部話しちゃってるからやない?」

「一理ある」

「ないわよ!!」

「あぼん」

 

 

確かににこちゃんにはほぼ毎日会ってるし、色んな話をする。そこで話題が尽きてるんだね。さすがにこちゃん。でも殴らないでにこちゃん。

 

 

「じゃあ何か話そうかな」

「何かあるの?」

「んー、天童さんの話とか」

「…」

「天童さんの名前が出ただけで照れるんじゃないわよ」

「何となく話の内容が想像できる…」

「じゃあ問題ないね。天童さんが希ちゃんのお誕じょ

「やーめーてーーーー!!」

「ぐぇ」

 

 

それじゃあというわけで天童さんの話を出したら、希ちゃんにコップを投げられた。意外なほど高速モーション高速スロー。僕じゃなきゃ見逃しちゃうね。当たったけど。痛い。

 

 

「ちょっと何すんのよ!茜じゃなかったら怪我してるわよ!!」

「僕でも怪我はするけど」

「だって!その話は秘密だもん!!」

「ちょっと二人とも落ち着きなさい。他のお客さんに迷惑よ」

「ほんとだよ」

「被害者は落ち着きすぎよ」

 

 

まあ慣れてるからね。

 

 

っていうか秘密の話を嬉々として話す天童さんはダメな人じゃなかろうか。

 

 

「お、そろそろ時間だ。僕先行くね」

「どこ行くのよ」

「仕事だよ。僕は休日とか無いの」

「それは大丈夫なのかしら」

「しょうがないよ。画家だし、今日みたいな照明仕事は土日ばっかりだし。ライブを土日にやるもんだから」

「まあそれはそうやね」

 

 

そんなわけで僕は暇な大学生ではないのでお仕事行ってきます。

 

 

「何のライブなの?」

「ん?」

 

 

一番リアクションが面白そうな質問が来た。

 

 

それはね。

 

 

 

 

 

 

「A-RISEだよ」

 

 

 

 

 

 

君らもよく知る人たちだからね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんで君らもついてきたのかな」

「だって会いたいし」

「秋葉でやったライブ以来やもんねー」

「現役のアイドルの活躍も気になるじゃない?」

「そうかな」

 

 

なんかついてきた。

 

 

君らバイトとかしてないの。にこちゃんはしてないね。僕のお金があるからね。

 

 

裏口で待ってたら白鳥君が出てきた。相変わらずマネージャーしてるらしい。レストランでも開けばいいのに。

 

 

「よーっす、今日はよろしく…って、何でその子らが居るんだ?」

「さっきまで会ってたから」

「それは理由になってないぞ?」

「久しぶりね、白鳥くん」

「元気ー?」

「何でこの子達は微塵も動じないんだ」

 

 

そりゃまあ元μ'sのみんなはスルースキルがマックスだからね。強いよ。

 

 

「せっかく会いにきたんだから楽屋に通しなさいよ」

「アポなしで突撃しに来たのに、もの凄い高圧的でびっくりしてるんだが?」

「なんかごめんね」

「そうよにこ、急に来たのにいきなり会おうなんて無理があるわ」

「そうそう。絢瀬さんは理解が早くて助かる」

「お手伝いする代わりに会わせていただきましょ」

「おっとそんなに理解早くなかったぞぅ?」

「この子たち穂乃果ちゃんの突進力を少なからず取り入れちゃってるから諦めて」

「くっそ他人事みたいに言いやがって」

 

 

あと割とみんなゴリ押しに慣れてるからね、気を付けてね。気を付けてどうにかなることでもないけどね。

 

 

「はぁ…仕方ねぇな。とりあえず波浜君は照明設備の設営頼んだぞ。残り三人はちょっと雑用手伝ってくれ、片がついたらツバサ達に会わせてやるから」

「「「はーい」」」

「なんかごめんね」

「まあいいさ。手が増えるし、ツバサ達もリラックスできるだろ」

 

 

前向きだね。

 

 

とりあえず照明設備をさくっと片付けて、演出をプログラムして、準備おっけー。え?早すぎるって?面白くない作業はカットだよカット。

 

 

白鳥君に大方片付いた旨を伝えに来たら、丁度にこちゃんたちも戻ってきた。

 

 

「意外と机移動させたり大変じゃない!」

「別に俺は楽な仕事だなんて言ってないんだがな…」

「いいじゃない。裏方の仕事を経験できるなんてそうそう無いことよ?」

「そうだけど!」

「念のため言っておくけど、今まで君らのライブの雑用は全部創一郎が一人でやってたことは忘れないであげてね」

「そう思うと創ちゃんも頑張ってたんやね」

「今も頑張ってるよ」

 

 

今まで僕らが頑張ってたことも忘れないでね。

 

 

「はいはい時間がめちゃくちゃ余ってるわけじゃないんだからさっさと行くぞ」

「へーい」

 

 

白鳥君についていき、楽屋の前に来た。扉の横に「A-RISE様」って張り紙がしてある。当たり前だけどね。

 

 

「おーいお前ら、お客さんだぞー」

「あっ」

「ちょっ、ノックもしないで開けたら

「きゃああああああ?!?!?!」

「うごぶぇあ!!!!」

「…言わんこっちゃない」

「椅子と一緒に吹っ飛ばされてきたわね…」

「生きてるん?」

「い、いくらなんでも椅子を投げんな…」

 

 

白鳥君が微塵の遠慮もなく扉を開けて部屋に入ると、部屋の奥から椅子が飛んできて白鳥君のお腹に直撃した。なんて的確な投擲。僕じゃなきゃ見逃しちゃうね。まあでも自業自得だね。

 

 

「せめてノックしなさいよノック!!ばーかばーか!!」

「ツバサ、語彙力が無くなってるぞ」

「あら、お客さんってあなた達だったのね。ごめんなさいね、波浜くんはちょっと待ってて?ツバサがまだ着替え終わってないから。にこちゃんと絵里ちゃんと希ちゃんはどうぞー」

 

 

床に倒れ伏している白鳥君を置いて先に部屋に入っていく女の子たち。僕は待機。椅子投げられたくないしね。

 

 

「ちくしょう…頭に当たってたら死んでたんじゃねえかこれ」

「死なない死なない。あと自業自得だよ」

「今更ツバサの裸見たところで何も

「バーーーーカ!!!」

「痛っっってえ!!!」

 

 

着替え終わったらしい綺羅さんが扉を開けるなり空のマニキュア容器をぶん投げてきた。そして白鳥君の額にクリーンヒット。痛そう。

 

 

「マニキュアの容器ってやたら丈夫だよね」

「だからこそめちゃくちゃ痛えよ?!」

「っていうかそんな裸を見慣れた仲なの君達」

「まあ幼馴染だしな」

「僕もにこちゃんの幼馴染だけど、にこちゃんの裸見たら大興奮だよ」

「マジ?」

「まじまじ」

「何話してんのよ!!」

「おぶっ」

 

 

僕も僕で殴られた。痛い。

 

 

「っていうか渡、ツバサはってことは、私の裸だったら興奮する?」

「突然何言ってんだお前」

「私はどうだ?」

「突然何言ってんだお前ら」

「私にも興奮しなさいよ!」

「頭大丈夫かツバサ」

「何で私だけ当たり強いわけ?!」

「ひいいっ暴力反対っ!!ちょっとμ'sの皆様見てないで助けてっ!!」

「私たちもうμ'sじゃないしー」

「痛ってえ!!!屁理屈言ってないでこいつら止めて!!何であんじゅと英玲奈も殴りかかって来るんだよ!!」

「いやまあ…」

「どうしようもないなコイツと思ってな」

「酷くありませんかねお嬢さん方?!」

 

 

モテ男ってこうやって地雷踏み抜きにいくものなのかな。周りにあんまりモテ男いないからわかんないけど。

 

 

数分白鳥君を殴り倒して、やっとA-RISEの皆さんが落ち着いた。白鳥君は楽屋の外に放り捨てられた。南無。

 

 

「さて、久しぶりね。元気かしら」

「ええ、みんな元気に大学生してるわ。茜は知っての通りよ」

「君らはすこぶる元気みたいだね」

「ええ。外で伸びてるヤツのおかげでね」

「その割にはひどい扱いだ」

 

 

彼のおかげでって言われるような扱いには見えない。かわいそうに。

 

 

「今日は聴きに来てくれたのかしら?」

「いえ…茜がお仕事で会うっていうから、せっかくだからって会いに来たのよ」

「聴きたかったけどチケット取れなかったのよ」

「にこっちCDいっぱい買ってたもんね」

 

 

そういえば結構前にCD大量に買ってたね。

 

 

「あら、そんなに頑張ってもチケット取れないくらいの人気になってたのね私たち」

「そりゃそうでしょ」

「スクールアイドルでの実績から期待されているのかもしれないな。気を引き締めていこう」

「何言ってるの。いつでも気は引き締めるのよ」

「変わらないねぇ君達」

「これが私たちだからね」

 

 

もとからプロ志向な感じだったから、そう心構えを変える必要もないのかもね。

 

 

そんなことを話していたら白鳥君が戻ってきた。

 

 

「いてて…加減というものを知らんのかお前ら」

「渡が悪いのよ」

「何でこの時間まで着替え済ませて無かったんだよ…」

「リボン解けたりしてたのを直してたのよ!」

「つまりタイミングが悪かったのよ。そういうこともあるんだからノックしなきゃだめよ?」

「へいへい」

 

 

割と元気そうだ。彼も丈夫だね。

 

 

「つーか裸見て興奮しろとか言ってくるのはどうなんだよ…変態かお前ら」

「そこは女性としてのプライドがあんのよバカ!!」

「拳を握るな拳を!!大体俺に女性のプライドを見せてどうすんだ!!」

「ほんとあんたはそういうとこ!!!」

「まだ殴り足らんのかよ痛え!!」

 

 

衣装乱れるよ綺羅さん。あと白鳥君は喋ると喋った分だけ怒られるんじゃなかろうか。

 

 

「プロのアイドルになってからは初めてのライブなはずだけど、全然平気そうだね」

「いや、平気じゃないぞ。こいつら緊張すると暴力が増える」

「ストレス発散だね」

「渡が余計なこと言うからでしょ!」

 

 

ギャグ寄りのラブコメの主人公みたいになってるよ白鳥君。

 

 

「ていうか時間的にそろそろ袖に行ってないとヤバいんじゃないの君ら」

「ん、もうそんな時間か。なんかひたすら暴力振るってるだけですまんな」

「ごめんなさいね、渡がこんなんで」

「俺のせいなん?」

「いいわよ、みんな元気なのがわかったし。ライブ見れないのは残念だけど」

「関係者席で良ければやるぞ?」

「「えっ」」

「いいの?!?!?!?!」

「近い近い矢澤さん近い」

 

 

さすがマネージャー、チケットの予備を確保してたのか。

 

 

「はい3枚。もう開演30分前だから席に向いな」

「「「ありがとう!!」」」

「じゃあ僕も準備してくるね」

「ああ、頼んだ。後で差し入れ持っていく」

「ありがとー」

 

 

僕も本命のお仕事があるんだから行かなきゃ。白鳥君の差し入れ(というか料理全般)は異様に美味しいから楽しみだ。頑張ろ。にこちゃんもいるしね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…全く、もうちょい落ち着かんかいお前ら」

 

 

波浜君たちが出て行った後、舞台袖に向かう途中で文句を言った。結構殴られたぞ俺。あれ見た目以上に手心加えてくれてるから思ったより痛くないんだがな。

 

 

「渡が覗いたのが発端じゃない」

「悪かったってば。それよりその後の方がアイドル的にヤバいぞ。裸見て興奮しろとか言うんじゃねえよ」

「だ、だって…女の子として見てほしいじゃない…」

「はー?お前は女の子だろ」

「そうじゃなくて!」

 

 

ツバサは相変わらず理不尽に怒ってるし、今日は結構緊張してるみたいだな。仕方ない、アイドルとしての初ライブだ。元μ'sの4人が来てくれて多少リラックスしたみたいだが、まだ硬いか。

 

 

「はぁ…あのな、俺だって18歳男性だぜ?本気で何も思わなかったらちょっとまずいだろ」

「…へ?」

「だけど今更幼馴染になんとか思ったとか言いにくいだろ…」

「…」

「あら、ツバサだけずるいわ。私たちも上脱いでおけばよかったかしら」

「そうだな、渡が急に入ってくることを考えていなかった」

「だから何でお前らは裸を見られたがるんだよ」

 

 

本格的に変態かよ。それとも緊張で混乱してんのかどっちだ。

 

 

舞台袖に無事着いたので、携帯している保温水筒を取り出して、中身を紙コップに注いで3人に渡す。

 

 

「はいよ」

「あ、ありがと」

「これ…ジャスミンティー?」

「ご明察。匂いに慣れてきたか?今までより緊張してそうだったから、リラックスできるようにな。もちろん俺のオリジナルブレンドだ、効果はバッチリだ」

 

 

まあ緊張の度合いに関わらず飲ませるけどな。ハーブティーはカフェインが入ってない分、利尿作用もない。こういうライブの前とかにぴったりだ。

 

 

「お見通しだったか」

「当たり前だ。どんだけお前らを見てきたと思ってんだ」

「…ほんと、そういうとこよ」

「なんか言ったか?」

「バカって言ったのよ」

「何で俺罵倒されたん??」

 

 

こちとら善意のご提供だぞ。

 

 

「…ふう。ありがと、落ち着いたわ」

「どーいたしまして。さあ、行ってこい」

「……………えっと」

「何だ、まだなんかあるのか?…ああ、いつものヤツか」

 

 

空の紙コップを俺に渡したツバサがもじもじしているから何事かと思ったが、そういえばいつもやってる本番前の恒例をやってなかったな。

 

 

というわけで、俺はツバサに近づいて、右手をツバサの頭の後ろに持っていき。

 

 

 

 

 

 

顔を近づけて。

 

 

 

 

 

 

額と額をくっつけた。

 

 

 

 

 

 

幼い頃から、ツバサが不安になってる時とか緊張している時はこうして落ち着けてきた。

 

「頑張れ、ツバサ」

「うん」

「やっぱり側から見るとキスしそうな絵面よねぇ」

「渡、私たちも」

「はいはい順番順番」

 

 

続いてあんじゅと英玲奈にも同じことをする。

 

 

「行ってこい、あんじゅ」

「はい」

「魅せてこい、英玲奈」

「ああ」

 

 

やり終えると、3人とも満足そうな顔をしていた。あれで元気が出るのは相変わらず謎だが、まあいいか。

 

 

「じゃ、今度こそ行ってこい」

「うん」

「行ってきます」

「見ててくれ」

 

 

そう言って舞台に向かう3人は、その瞬間から凛々しいアイドルだった。

 

 

ああ、今回も大丈夫そうだな。

 

 

始まる前から俺は確信していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ほんと、鈍いんだから」

「でも悪くないでしょ?」

「渡はああいうやつだからな」

「そうね。…アイドルでいる間は、恋愛なんてできないけど」

「終わったときに、彼の心が誰に向いているか」

「誰が渡を振り向かせるか、だな」

「負けないわよ?」

「こちらこそ」

「臨むところだ」

 

 

第1回ラブライブの覇者も。

 

 

中身は普通の女の子なのだ。

 

 






最後まで読んでいただきありがとうございます。

最後キスすると思った人!正直に手を挙げなさい!私は思いました!!(おい)
白鳥さんはキャラのネタ度が天童さんに似ているので書き分けが難しいです。一緒に出さないのが一番楽ですね!!
ツバサちゃんとかが照れて顔真っ赤にして白鳥君にうがーってしてるのを想像するとほっこりするので、たまに出演していただくことにしましょう。今決めました。

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