笑顔の魔法を叶えたい   作:近眼

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ご覧いただきありがとうございます。

前回からまたお気に入りしてくださった方がいらっしゃいました!!ありがとうございます!!今年も頑張ります!!
そしてあけましておめでとうございます。年末は年賀状書くのでスーパー忙しかったので投稿できませんでした…4枚しか書いてませんけどね!!
ただ、1枚ずつ送る人に合わせて絵を描いていたので疲れました。ひぃん。

今回は、フラグだけ立ててほったらかしの方々のラブコメになります。シリアスなお話が続いたのでバランス取らないと!!(何のバランス)


というわけで、どうぞご覧ください。




男女ペアチケットみたいなのって今時存在するのかな

 

 

 

 

 

しばらくの間、藤牧君はお母さんと二人きりにしてやることにした。肉親だけで話したいこともあるだろうし、そこそこ時間も遅くなってきたしな。

 

 

「…そういえば、天童さんってどうやって集中治療室に入ってきたんですか?」

「ん?そりゃ当然西木野先生…君のお父さんに頼んだんだよ。藤牧君のためにやらなきゃいけないことがあるからって」

「よくそれで通してもらえたわね…」

「まあ顔見知りだしな。俺様顔広いしー?」

 

 

各界に顔を広げておくのが未来を自由に動かすためには欠かせない。医療業界のパイプも当然持っておくものだぜ。医療費は安くしてくれないけどな!世の中甘くないのよ!!

 

 

「あれ?でも説得が大変だったって言ってませんでした?」

「あー…そりゃ西木野先生のことじゃねーのよ」

「?」

 

 

そう、確かにそう言った。でも西木野先生に関してはいい人だから俺を信じて通してくれた。

 

 

だがまあ、今日の病院訪問は元から予定してあったものじゃない。突発的なものだった。

 

 

お忙しい天童さんには先約があったのさ。

 

 

「…………………………」

「へい希ちゃん待たせたな☆」

「…もしかして、説得が大変だったのって」

「へいその通り。希ちゃんのことさ」

 

 

病院から出ると、激おこぷんぷん丸の希ちゃんが仁王立ちしていた。通行人が横目で見ながら避けていくほどの殺気…俺じゃなきゃ倒れちゃうね。恐ろし☆

 

 

「……うちをこーーーーんなに長く待たせておいて、天童さんは真姫ちゃんと仲良くゆっくり歩いてくるんやね?」

「あー、うん、すまん。悪かった。思った以上に時間かかったのは間違いない」

「むーっ!!もうすっかり夜だよ?!真っ暗!!」

「はい仰る通りでございます姫君!!!」

「せっかくのデートだったのにぃ…!!」

「わーっ!わかったわかったわかってる!!俺が全面的に悪いから!!だから泣かない!!大丈夫俺の天才的先見の明でディナーの予約は取ってあるから!!」

「…ディナーって?」

「お高い焼肉」

「………天童さんの奢りね」

「当然でっせマイハニー」

「そこはフランス料理とかじゃないのね…」

 

 

そう。希ちゃんとのデート中に雪村君からメールが来て、つい未来予測しちゃったもんだからこんなことになってしまった。できるだけ多くの人の幸せを勝ち取るためなんだって必死に説得しましたわよ、ええ。お財布の厚さが犠牲になった。致し方なし。

 

 

「あと腕組んで」

「う、腕組む…だと…?世界に誇るバカップルの象徴をこの俺にやれと?な、何を言うんだ希ちゃん。それじゃあ罰ではなくご褒美になるだろうぇっへへへへ…」

「………………………………………」

「…………………………………マジで言ってやがります?」

「マジで言ってやがります」

「何がそんなに嫌なのよ…」

 

 

しかし!希ちゃんは俺様の財布のみならず心までも責めてくるのだ!!愛されるの怖いっつってんじゃん。そんなラブラブムーブしたら吐血しちゃうって。

 

 

そんな俺と希ちゃんのラブコメ風マインドクラッシュ大戦を見ている真姫ちゃんは、呆れながらもどこか羨ましそうな顔をしていた。

 

 

ほう。

 

 

(希ちゃんよ)

(うん、あれは…)

「「恋する乙女の顔っ!!!」」

「うぇえっ?!い、一体どうしたのよ急に!」

「大丈夫だぜ真姫ちゃん…人間とは恋をする生き物なのさ…」

「こっ、ここ、恋?!なんっ何を、何の話よ?!」

「安心して真姫ちゃん。恋の力は無限大、何も怖くないよ」

「だから何の話?!」

 

 

真姫ちゃん、顔真っ赤だぜ。照れてあたふたする姿はとても初々しい。恋愛初心者って感じだ。なかなか萌える。希ちゃんには敵わんがな。希ちゃんには敵わんがなぁ!!

 

 

「べっ、別に私は恋なんて…」

「この天童さんに見抜けぬことがあると思うかい?」

「思います」

「まさかの即答」

 

 

せめてもうちょっと躊躇して欲しかったなー。ほらいつも先読みしてるじゃん俺。すごいと思わない?思ってなさそうだなー。へこむ。

 

 

「まあいい、そこは気にしないでおこう。とにかく、今後きっとあいつは良い奴になる。早めに素直にならないとすぐに女が寄ってくるぜ」

「私は別に藤牧さんが誰と付き合ったって…」

「俺一言も藤牧君だなんて言ってないが」

「………………………………………!!!」

「よし希ちゃん逃げるぜ」

「抱っこ」

「うんヒールだもんな君」

 

 

湯気が出るほど真っ赤な真姫ちゃんが憤慨して突撃してきた。というわけで三十六計逃げるに如かず。ヒール履いてて走れない希ちゃんをお姫様抱っこして全力ダッシュ。俺と真姫ちゃんの身体能力の差を鑑みると割とギリギリの勝負な気がするんだけど。勘弁してけろ。

 

 

夜の秋葉を全速力で逃げてる最中、希ちゃんは俺の首に手を回してとても幸せそうだった。よくよく考えたらなかなかのラブラブムーブじゃんこれ。吐血しちゃう。

 

 

早いとこ真姫ちゃんを振り切らないと俺が死ぬ恐れが出てきたぜ。人生って辛いな!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「はぁあ………」」

 

 

大学内の喫茶店。

 

 

僕と、一般の大学生に擬態した御影君は2人して深刻に悩んでいました。

 

 

「どうしようね松下君…」

「僕が聞きたいくらいですよ…」

「えぇ〜…君は文学者なんでしょ…?そういうの得意なんじゃないの…?」

「自分が当事者なのはまた別ですって…」

 

 

周りからしたら辛気臭いことこの上ないでしょうが、そんなことも気にしていられない状況です。

 

 

「ねぇほんと僕はどうしたらいいの…。俳優が女子大生好きになっちゃうとかダメじゃない?スキャンダルの塊なんだけど」

「いいじゃないですか女子大生なら…。僕なんて現役女子高生ですよ。わかりますか?准教授が女子高生に恋してるんですよ。字面の強烈さが伝わります?」

「どっちもどっちじゃないかなぁ…」

 

 

まあつまりそういうことです。

 

 

僕はいつぞやの件で園田さんに。御影君は知らぬ間に絢瀬さんに。思いっきり恋してしまったようなのです。

 

 

ようなのです、じゃなくて、しちゃったんです。困ったことに僕に対して感情を誤魔化すことは無理です。自分自身さえも。

 

 

ちなみに恋したのは数ヶ月前なのですが、未だに僕ら2人はこうして延々とため息をついているわけです。解決策らしきものは何一つ思い浮かびません。天童君ならなんとかしてくれそうですが、生涯永遠にネタにされるのが目に見えているので絶対頼みません。

 

 

「いい加減なんとかしないと…精神衛生上よくない…」

「それ先月から言ってますけど」

「つまり先月からずっとしんどいんだよ…」

「重症じゃないですか」

「君もそうだろう?」

「まあ…でも御影君ほどじゃないです」

 

 

御影君は今はこんな感じですが、普段は持ち前の演技力で自然に暮らしているようです。羨ましい限りです。僕はゼミ生に「松下先生最近元気ない」って心配されていますから。

 

 

「ああ〜誰かなんとかしてくれ〜」

「情けない声を出さないでくださいよ。それに自分の事情まで他力に頼るんじゃありません」

「そうは言われてもなぁ…」

 

 

ちなみに、御影君の特殊性のことは僕もちゃんと知っています。心読めますから。

 

 

ただ、綾瀬さんとの一件があってから何やら心境の変化があったようで。自我が強くなって良いことだとは思うのですが、逆に今はそれが災いして思い悩んでしまっているようです。

 

 

僕が言うのもなんですが、心って難しいですね。

 

 

「天童君にでも頼んでみたらどうですか?」

「天童かぁ…天童なぁ…余計な回り道をさせて後ろから笑ってくる気がするんだよなぁ」

「まぁ一理ありますね…」

「おいおいそんなにネタシナリオを御所望なら言ってくれていいんだぜお二方」

「「うわぁ?!?!」」

「へい素敵なリアクションをどうもありがとう。しかし俺はこっそりディスられていたことにちょっと悲しみを覚えているんだゾ」

「な、何でここに…」

「何でって俺この大学の生徒だし。講義受けてきたんだよ真面目にな!」

「とかいいながらうちに会いにきただけですよ。お久しぶりです」

「あ、ああ、お久しぶり東條さん…って、あ、あああああ絢瀬さん?!」

「み、御影さん…お久しぶりです…。あの、その節はありがとうございました」

「ふぉっあのっ、いえっこちらこそありがとうというかなんというか」

 

 

いつの間にかテーブルの横には天童がいました。本当に音もなく現れるんですよね彼。

 

 

また、東條さんと絢瀬さんも同行しているようです。読心する限りでは波浜君と矢澤さんもいるようですが、お二人は別の席に座ったようです。

 

 

というか御影君うろたえすぎです。バレますよ色々。っていうか天童君と東條さんにはバレてますよ。今まさに何かこそこそ話してますよ。

 

 

当の絢瀬さんは御影君の様子に気が回っていない様子です。声を出してくださったので読心したところ、絢瀬さん側も少なからず意識していらっしゃる模様。天童君と東條や、僕も同じようなものですが、「窮地から救う」というのは精神的な影響力が大きいようですね。吊り橋効果のようなものです。

 

 

以前なら吊り橋効果なんて信用に値しないと思ってましたが、誰かに恋する当事者となった今は吊り橋効果だろうが何だろうが両想いであるというのは至極羨ましいです。

 

 

すっっっっっごく羨ましいです。

 

 

(希ちゃん、目の前で顔赤くしてわたわたしてる男女の奥にいるメガネ野郎が見えるかね)

(メガネ野郎っていうのは失礼だから『うん』とは言わないけど見えるよ)

(見るからに両想いな男女を見てあの不機嫌顔…これは間違いなく)

(うん、恋する人の顔やね)

(おっしゃ恋愛マスター天童さんの出番キター!)

「聞こえてますからね。君の出番はありません」

「辛辣極まりねぇ!!」

 

 

勝手に人の顔見て判断しないでくれませんかね。

 

 

天童君に関しては手解きするように見せかけて傍観して笑いのネタにする気満々なのわかってますからね。

 

 

「ほれ詰めろ詰めろ満席なんじゃい」

「うわぁちょっと押すなよ!」

「ごめんなさい、私たちが来た時には2人席しか空いてなくて…」

「にこっちと茜くんに譲ってあげて、残り3人は相席ってなったんです」

「理屈はわかってますよ。天童君が押すのが悪いんです」

「うっす」

 

 

当然のように相席しないでください。

 

 

「まあまあ気にすんな。お詫びにこれやるから」

「なんですかこれ」

「茜の画展と桜のコンサートのチケットだ。そうそう取れないやつだから感謝せいや」

「…なんでこれペアチケットなんですか」

「はっはっはっ聞かなくてもわかるくせに聞くなよ」

「僕ってそうそう暴力に訴えないんですけど、今回に限っては殴っていいですか」

「ヤメテー」

 

 

相席を見越していたとばかりに僕らに封筒を渡す天童君。中には2種類のチケットが2枚ずつ、計4枚入っていました。なんでペア何ですか。園田さんと行けってことらしいですね。余計なお世話です。心底余計なお世話です。

 

 

でもそれを言うと「えー俺海未ちゃんと行けなんて言ってないぜー妹ちゃんと行けばいいじゃーんやだ煩悩の塊魂ぃー」とか言ってくるのがわかっているのでこれ以上何も言いません。

 

 

「あれ?僕の方には2枚しかないけど」

「そりゃお前のは違うヤツだし」

「何これ。世界のチョコレート展?」

「あ、それえりちが行きたいって言ってたやつや」

「の、希!」

「そ、そうなんだ…何でこれを僕に?しかも2枚」

「チョコレート好きな人と一緒に行けばいいだろ?」

「誰さチョコレート好きな人って」

「え?そこにいるじゃん」

「え?」

「え?」

 

 

天童さんが手のひらを向けた先にいるのは絢瀬さん。

 

 

…ほんとに余計なお世話しますね彼。

 

 

「「…………えぇ゛っ?!?!」」

「やばい声出てるぜ君達」

「いやっえっちょっ、あ、あああや、あああああ絢瀬さんと?!」

「そそそっ、そうですよ!な、なんで私と?!」

「え、嫌なんか?」

「嫌じゃないけど、えっ、あの、い、いいんですか絢瀬さん…」

「あっ、あのっ、はい、だ、大丈夫です…」

「おうこら明、白けた目で俺を見るな」

「僕は何も言ってませんよ」

「目が物語ってんだよ目が」

 

 

絶対親切心でやってるわけじゃないんですよねこれ。天童君本人もチケット持っていて、こっそり様子を観察する気のようです。東條さんとともに。

 

 

とりあえず僕の方を尾行する気は無さそうなのでそこは安心です。どう頑張ってもチケットが取れなかったようです。

 

 

…まあ、相変わらず根っからの愉悦部ですが、以前よりも他人の幸せにも目を向けるようになったのは良い変化なんでしょうかね。

 

 

「あ、この展示の近くに休憩をやたら推してくるタイプのホテルあるんだけ

「死ね!!!」

「どいひー!!!」

 

 

…やっぱりただのバカかもしれません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とりあえずチケットは貰いましたが、本当にどうしましょうか。

 

 

両親を誘う気には全くなれないですし、奏を呼びましょうか…でも奏、基本的に見境なく予定を入れるのでコンサートの日付どころか画展を開いている期間中も出かけている気がしますね。

 

 

一応聞いてみましょう。

 

 

「というわけなのですが、どちらか片方だけでも行きませんか?」

「ふええええぇぇぇ、お兄さまがお出かけに誘って下さるなんて…!!待っててくださいね、キャンセルできる予定を探しますので!!」

「いえ、先約があるならいいんです…って、画展はまだ2ヶ月くらい期間あるんですが。いつまで予定埋まってるんですか」

「…3ヶ月先くらいですかね??」

「ほぼ今年中埋まってるじゃないですか」

「遊びたいんですっ!!!」

「素直でいいと思いますよ…限度はあるかもしれませんが」

 

 

やっぱりそうですよね。いや規模は予想外でしたが。管理できてるんですか予定。できてなさそうですね。

 

 

「仕方ないですね…誰か知人を呼びますか…」

「どうなさるんですか?」

「うーん…一番妥当そうな御影君は忙しいでしょうし…」

「へ?」

「え?」

「…………それ男女ペアチケットですよ?」

「………………………えっ??」

 

 

咄嗟に確認してみると、ええ、確かに男女ペアチケットと書いてあります。なんですか男女ペアチケットって。今時そんなものあるんですか。需要どこなんですか。ちょっと安くしてるとかでしょうか。

 

 

「じゃあ…」

「あっ!海未さんはダメですよ!!最近お兄さまと海未さんちょっと怪しい雰囲気なので!!」

「あやっ…怪しくないですよ?!いやそもそも怪しいってなんです?!」

「なんだか雰囲気が怪しいんです!!一緒にお出かけしてそのノリで夜の街にお出かけしかねない雰囲気してます!!」

「待ってくださいそんな言葉そんな知識をどこで学んで来たんですか」

 

 

誰ですか奏に変なことを教えたのは。いや、こんな時こそ読心です。むしろこのための読心です。ええ、なるほど。情報化社会の悪しき側面を垣間見てしまいました。

 

 

「うわーんだめですー!お兄さまはまだ結婚なさるには早すぎますー!!」

「段階をすっ飛ばしすぎではありませんか?!」

 

 

流石にお付き合い程度で止めていただけませんか。

 

 

僕と疎遠になりそうで不安なようですが、仮に僕が結婚したとしても奏は大切な妹ですよ。

 

 

というか奏も奏で独り立ちしましょうよ。僕が言えたことではないのですが。

 

 

自室に戻ってから、とりあえず園田さんにメールしてみます。いえ、正直な話、仲のいい女性なんて園田さんくらいしか思いつかないんです。

 

 

文面を作るのはお手の物なのでさくっと送信。恋心を悟られることはないでしょう。数分で返ってきた文面は、『はい、是非ご一緒させてください。』とだけ書いてありました。やけに素っ気ない気がしますが、とりあえず予定をとりつけることには成功です。

 

 

ちなみに、先日の騒動のおかげで読心のコントロールができるようになったため、園田さんとのやり取りでは読心しないようにしています。

 

 

怖いですから。

 

 

こっちは恋してしまったのに、向こうは実は避けていますなんてことがあったら割と病む気がします。無理です。リスクが高すぎて心を覗けません。

 

 

しかし、とりあえずは僕の誘いを受けてくださっているので、少なくとも嫌われてはいないかと。それだけで十分です。

 

 

「さて…波浜君の画展はいつ行ってもいいんですが、水橋君のコンサートはこの日しか行けませんからね。予定を空けておかなければ」

 

 

天童君が用意したものなので、当然のように僕の予定は空いています。僕がイレギュラーなことをしなければ、当然のように予定は入らないのでしょうが…念のため気にしておきましょう。

 

 

「あとは…服なども用意しておきましょうか。あまり無様な服装で行くわけにもいきませんし」

 

 

あと気にするべきは見た目でしょう。御影君のように見た目が麗しいタイプではないので、ちゃんと身に付けるものにも気を遣わねばなりません。

 

 

…正直な話、天童君と東條さんの仲の良い様子や、御影君と絢瀬さんのおどおどした様子が羨ましいと思うのです。だって彼らは両想いなのですから。

 

 

彼らと違い、はっきりと恋を自覚する僕だからこその羨望でしょう。

 

 

ええ、やってやりましょう。准教授であるとはいえ僕はまだ19歳なのです。誕生日が来たらやっと20歳なのです。恋に邁進するのも若者の特権ではないでしょうか。

 

 

そういうことにしておいてください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ま、松下さんから…お出かけのお誘いが…」

 

 

練習が終わって帰宅し、自室に戻った直後のことでした。

 

 

珍しく松下さんからメールが届いたと思ったら、茜の画展や桜さんのコンサートのチケットを頂いたのでご一緒しませんか、とのことでした。

 

 

デートじゃないですか。

 

 

もう完全にデートじゃないですかそれ。

 

 

「いえ、松下さんに限ってそんな…ええ、デートのお誘いではないはず…少なくともそのつもりで誘ってくださったわけではないはずです!」

 

 

どういうわけか、あの日…松下さんのお部屋を訪問したあの日以来、松下さんのことが気になって仕方ないのです。

 

 

松下さんはこころが読めるので、直接お会いする時もメールのやり取りをする時にも全力で心を塞いでみてはいますが、気が緩むとどうしても気にしてしまいます。

 

 

これってまさか…恋なのではないでしょうか。

 

 

ことりが雪村さんとお付き合いしていると知ったとき、正直少し羨ましいとも思いましたし。私は本音を話してくれた松下さんに対して心理的距離が近づいてしまったのかもしれません。

 

 

そしてそれは確実に松下さんにバレています。

 

 

読心できるあの人にバレないわけがありません。

 

 

その上でこのようなお誘いをしていただけるとは…一体どういった意図があって…ううう、私も読心能力が欲しいです!!

 

 

とりあえず、心の内がバレないように『はい、是非ご一緒させてください。』とだけ返事をしました。無駄な抵抗かもしれませんけど。

 

 

「はわわわ…どうしましょう、服とか、失礼のないものを着ていかないと…!」

 

 

期待と不安と焦燥で軽くパニックになりながら、私はクローゼットやタンスの中身を引っ張り出すのでした。

 

 

 

 






最後まで読んでいただきありがとうございます。

いつ見ても面白い天童さんと希ちゃんのカップルを今回も配置いたしました。これからももっとイチャイチャしていただきたいところです。天童さんのメンタルを犠牲に。
そしてAfter stories 1でフラグだけ立てておいた御影さんと松下さんのお話も何か始まりそうです。どちらも割と硬派かつ初心そうな組み合わせなので、「はよ結婚しろ」との声が飛ぶこと間違いなしです。たぶん。
そもそもフラグ自体が不十分な組が2組くらいいますけど、それはもうちょっとお待ちください。
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