笑顔の魔法を叶えたい   作:近眼

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ご覧いただきありがとうございます。

前回からまたお二人!!お気に入りしていただけました!!ありがとうございます!!もっともっと頑張ります!!

しかし、先週投稿できなかった上に花陽ちゃんの誕生日話も書けなかったこの犯罪者をお許しください…いえもういっそ鞭で打ってください!!

今回はフラグ立てっぱなしの方々を成就させようプロジェクト第一弾です。さて誰の出番でしょうか!!


というわけで、どうぞご覧ください。




リア充オールスターズと追加メンバー

 

 

 

 

 

 

 

「ま、松下さん…お待たせしました」

「いえ、僕も今来たところですよ」

 

 

なんということでしょう。

 

 

この僕がこんな、初デートのテンプレートみたいなことを言ってしまうなんて。いえ確かに人生初デートではありますけど。

 

 

ですが、待ち合わせ30分前に来たら直後に園田さんが来るだなんて思いませんでした。「今来たところ」というのは真実なのです。決して気を遣って言ったわけではないんです。

 

 

こんなベタベタな王道展開を天童君に見られたら悲劇では済みません。幸い彼は今日は仕事で仙台に行っているはずなのであり得ませんが。

 

 

そして園田さんはなんだかいつもよりお洒落な気がします。心なしかお化粧もしているように見えます。なんでしょう、迷った挙句無難な服装で来てしまった自分を呪いたい気分です。そしてすごく読心したい。でも怖いのでやめときます。これだけ期待しておいて「いつも通りです」などと言われてしまった日には凹みます。

 

 

でもお綺麗なのは間違いないので言っておきましょうか。

 

 

「おや、今日はいつもお会いする時よりお洒落なさっていますか?普段以上にお綺麗ですね」

「はぅっ!き、綺麗…あの、はい…ちょ、ちょっとだけ…」

「大きな画展だそうですし、絵画の前でみっともない格好をするのは正しいことでしょう。僕ももう少しまともな服装ができればよかったのですが」

「いえ、そういう理由では…んんっ、なんでもありません。それに松下さんも普段よりお洒落していらっしゃるじゃないですか」

「それはまあ…多少は。遠出しますからね」

 

 

我ながらよく照れないで言えたものだと思います。他意はないアピールも万全です。顔を赤くして目を伏せるという園田さんのリアクションの意図が猛烈に気になるところではありますが。

 

 

今更すぎますけど、読心無しで会話するのって難易度高すぎませんか。いや読心するのも恐ろしい状況ではありますけど。逃げ場無いですね。

 

 

「さて、早速行きましょうか」

「はい、今日はよろしくお願いします」

 

 

とにかく、不安なのがバレる前に移動しましょう。あまり無様を晒したくないですし。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(なっ………なん、ななな何ですか!開口一番に「綺麗ですよ」だなんて!そんな歯の浮くようなことを言うタイプじゃないでしょう?!)

 

 

私は動揺していました。

 

 

普段の松下さんなら絶対言わなさそうなことをいきなり言われたせいです。

 

 

(確かに自分なりに頑張ってお洒落をしてきましたけど!…まさか褒められたいという思いがバレて…いえ、でも松下さんと会うからお洒落してきたということはバレていなさそうでしたし…)

 

 

駅の改札を潜りながら悶々と考えてしまいます。松下さんは一体どこまでわかっているのでしょうか。

 

 

(でも、心が読める松下さんには全部ダダ漏れな気が…はっ!まさか全部お見通しな上で私をからかって遊んでいるのでは…?!)

 

 

そう、松下さんには全部バレているに違いありません。だって心が読めるのですから。でも心を読んだ上であの対応というのは一体どういうつもりなのでしょう。私を手玉にとって楽しんでいるのでしょうか。

 

 

(そういうことなら私だって…ええ!やり返して差し上げます!ちょ、ちょっと手を握るくらいなら…そう、黙っていれば心を読まれないんですから、ちょっとくらいびっくりしてくれる…はずです!!)

 

 

そう思ったら悔しくなってきました。私だって負けていません。そう、あまりはしたないことさえしなければ…驚かせるくらいはできます!

 

 

…たぶん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さあ着きましたよ」

「ここが…」

 

 

それなりの時間電車で揺られて辿り着いたのは、大きな展示会などでよく使われる有名な場所。

 

 

「ここが虹ヶ咲学園…」

「いつ見ても学校には見えない造形していますね…。部活動に力を入れている学校だそうで、生徒の作品を展示できるように大きな展示室を用意しているそうです。学会などで利用させていただくことも多いようですね」

 

 

そう、虹ヶ咲学園。波浜君と天童君は「どう見ても学校じゃない」と言って、勝手に「ビッグサイト」と名前をつけていました。確かに大きな区画ですが。

 

 

「こんな大きな場所で展示会を開くなんて…」

「波浜君も世界的に有名な画家ですからね。それに作品自体も多いそうですから、やはりそれなりの広さが必要なのでしょう」

「それにしても大きすぎませんか?」

「まあ、全区画を使っているわけではないそうですから。使っていない部分は他の展示会や学会で使われているそうですよ」

「そういう問題でもないような…」

「それにおそらく、彼の個人的な趣味でもありますよ。ほら、特徴的な形してますし。彼が好きそうな構造じゃありませんか?」

「確かにそうですね…。茜ならそちらを理由に会場を選びそうですね」

 

 

何度かお会いした限りでも、波浜君は見た目の美しさや鮮烈さを重視するようです。平凡な見た目の建物よりも、多少奇抜な構造物の方が彼の気を引くのでしょう。

 

 

展示会場は絵画の種類ごとに区分けされており、現代的なアニメーショングラフィックから印象派やシュルレアリスムのような美術的な絵画まで様々なジャンルが展示されているようです。しかも油絵や水彩画だけでなく、デジタルの絵やCGグラフィック、木版画やフレスコ画まであるそうで。何でもできますね彼。

 

 

「おまけに会場の隅で即売会も行っているようですね。毎日開催しているわけではないようですが、今日は…やってますね…」

「ということは、今日は茜がここに?」

「ええ、いますね」

 

 

お昼時以外は一日中やっているようですし、確実に波浜君は既にここにいるのでしょう。

 

 

こんなデートみたいな(僕はデートのつもりですが)状態を見られたくないので、即売会場には近づかないようにしましょう。

 

 

(茜のいる所には近づかないようにしなければ…)

「園田さん、どうかしましたか?」

「はっ!い、いえっなんでもありません!!」

「…?」

 

 

何やら深刻な表情ですが大丈夫でしょうか。気になります。気になりますがちょっと読心する勇気は出ません。ええ、やめておきましょう。

 

 

会場は既に多くの人がいましたが、絵画の展示であるから非常に静かです。読心をコントロールできるようになった今でも雑踏は苦手なので、静かというだけで美術を好きになれそうです。

 

 

「なんだか見たことがあるような、無いような…そんな作品ですね」

「未公開作品展、という名目ですから見たことはないはずですが…画風というのでしょうか。このあたりの絵は印象派らしいので、モネ等の有名な画家の作風と似ているのでしょう」

「なるほど。…というか、この区画分の絵を描き分けられるってことですよねこれ…」

「あはは、そういうことになりますね。まあそこはほら、天才ですから。僕だってラテン語とフィンランド語とロシア語で論文書いたりしてますから、それと同じことですよ」

「考えてはいけないことだけはわかりました」

 

 

天才の所業は理解されるものではありませんからね。僕でさえ理解できませんし。

 

 

他の作品も見事なものです。流石は天才。精密模写なんかは意味がわかりませんが。

 

 

「はあ…どれも素晴らしい作品ですね…」

「なんだか僕も考えないで見るのが正解な気がしてきました」

 

 

芸術は考えるものではないってことでしょうか。

 

 

と、目の前の水彩画に見惚れている時でした。

 

 

「あ、海未ちゃん!」

「ひぃっ?!こ、ことり…?!」

「海未までいるなんて…そんなこともあるのね」

「真姫まで…どうしてここに?」

「私たちが誘ったからだよ、園田嬢。私や瑞貴は必ず茜から招待券を貰うからな」

「…タイミングが被ったのはたまたまだがな」

 

 

振り向くと、そこには車椅子に乗った雪村君、それを押す南さん、そして二人並んで歩く西木野さんと藤牧君がいました。雪村君と南さんがお付き合いしているのは聞いていましたが、藤牧君と西木野さんがこんなに親密になっていたとは知りませんでした。ええ、読心しました。藤牧君はデートのつもり満々ですし、西木野さんはデートであることを期待しているようですし。

 

 

なんで最近僕の周りでは恋心が蔓延してるんですか。

 

 

「しかし松下氏がここに来るとはな。文学専門だと思っていた」

「いえ、間違いないですよ。ほとんど文学専門なのですが、たまたまチケットをいただけたので来させていただきました」

「…いただけた?ここのチケットを?」

「そう簡単に手に入る代物ではないはずなのだがな。それでも手放しそうなのは…天童氏あたりか」

「ご明察です」

 

 

藤牧君は頭の回転が速いので、読心をした上でちょうどまともな会話ができます。一般の方々からすると話についていけないかもしれませんね。

 

 

「何で今の流れで天童さんが出てきたのよ…」

「一般的に手に入りにくい貴重品を手に入れた上で、躊躇いなく他人に引き渡せる人間は限られている。さらにこのチケットは転売防止策が施されているため、私たちのチケットのような一部の『他人に引き渡す前提で作られたチケット』以外は入場時点で引っかかる。そんなものを持っていて、それをさらに他人に渡すために入手するような人は天童氏くらいしかいないだろう」

「その説明が抜けてるから伝わらないんじゃないの!」

「ふむ、他人を理解するというのは難しいな」

 

 

やっぱりついていけてなかったようです。雪村君に関しては説明を聞いた上でよくわかっていない様子。

 

 

「…まあ、理由なんて何でもいいだろ。たまたまここに6人集まった、それだけだ」

「さあ、どうだろう。天童氏が関わってると確定した今、あの人が仕組んだ可能性が高い」

「何でわざわざそんなことするのよ?」

「………トリプルデート?」

「何言ってんのよことり。そもそも私たちはデートじゃないのよ?藤牧さんに誘われ

「ん?デートだぞ?」

「……………………………うぇえっ?!」

「静かに。大声を出す場所ではない」

「あぅ」

 

 

藤牧さんは人差し指を立てて、西木野さんの唇を押さえて黙らせました。読心するまでもなく無自覚なのですが、これでは西木野さんの心臓が保つか不安ですね。

 

 

「…どっちにしろ、そこの二人がデートかどうかがわからないだろ。それにダブルだろうがトリプルだろうが、デートの邪魔をされるわけにはいかない」

「えへへ…」

「僕らは今何を見せられているのでしょうか」

「よくわかりませんが恥ずかしいものを見ていることだけはわかります…」

 

 

南さんと雪村君のカップルはやたらラブラブでした。砂糖を吐けそうです。

 

 

「で、海未ちゃんはデートなの?」

「「違いますよ?!?!」」

「お静かに」

「「は、はい」」

 

 

何を言い出すんですか突然。楽しんでますねあなた。園田さんに好きな人ができたのが嬉しいんですかそうですか。いえ僕自身は好かれてるかどうかわからないですけど。

 

 

「んん、とにかく。あまり立ち止まってもご迷惑でしょうし、歩きながらお話しましょうか」

「…嫌味か?」

「車椅子だからって卑屈すぎませんか?!」

「その通りだ瑞貴。それにお前は義足だってあるだろう」

「まだロクに歩けない」

「でもすっごく上手になったよ!」

「…まあ、前よりは」

「ははっ。随分と素直だな」

「…うるさいな」

「君達そんなに感情豊かでしたっけ」

 

 

褒められて照れる雪村君やそれを笑う藤牧君。以前は、雪村君は世の人々を丸ごと恨むような、藤牧君は世の人々を丸ごと見下すような…そんな心模様だったのですが。今は随分とさっぱりしたというか、ポジティブな心模様ですね。

 

 

これが恋の力なんでしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…な、なぜ出口に茜が…」

「だって今休憩中だし」

 

 

全ての展示を見終えて会場から出ると、当然のように波浜君が立っていました。即売会の休憩時間だったようです。まあ、デートだとは思われていないようで安心しました。

 

 

「…休憩とか言っても、どうせほぼ売り切っただろ」

「もちろん。今日もお金がもりもり貯まったよ」

「どんだけ売ったのよ…」

「あれ、真姫ちゃんもいるの。にこちゃん呼んでこようか」

「何でにこちゃんもいるのよ?」

「お手伝いさんだよ。もしもーしにこちゃん?今真姫ちゃんとことりちゃんと海未ちゃん来てるよ。愛しの真姫ちゃんだよ。みんな大好きにこまきコンビぐふぇ」

「どーゆー呼び方してんのよ!!」

「速いな」

「感心してないでたちけて死ぬ死ぬ首が」

 

 

矢澤さんもすっ飛んできました。リア充オールスターですかこれ?

 

 

「ん、雪村はいると思ってたけど…藤牧と松下さんもいるのね」

「…にこちゃん、苗字とはいえいつの間に瑞貴さんを呼び捨てに…」

「同い年なんだからいいじゃないの!ことりあんた目が怖いわよ目が!!」

「…別にいいだろ。『瑞貴さん』と呼ぶのはことりしかいないんだから」

「ぅえへへ」

「変な声出てるわよ」

「そういえば藤牧さんってにこちゃんと同い年だったわね…」

「どうした真姫。そんなに老けて見えたか」

「いやお医者様なんだからそんなに若いと思わないじゃない」

「それを言ったら僕も准教授ですよ?」

「松下さんは見た目が子供っぽいじゃないですか」

「それ言っちゃいます?」

 

 

まあ年齢不詳な男性が多いのは確かですけど。

 

 

「むっ。松下さんはしっかりした方ですよ。見た目は小さいですけど」

「海未、それフォローしたついでに追い討ちかけてるわよ」

「小さい方ではありますが貴女達よりは大きいですからね?!」

「おや僕に喧嘩売っておいでですか」

「飛び火が面倒ですねもう!!」

 

 

あっちもこっちも気にしなければならない人間関係なんて築いたことないですからね?

 

 

「茜、そろそろ戻るわよ。結構人待ってるし」

「えー、売れる絵はもうそんなに残ってないのに」

「残ってないからいっぱい居るじゃない。ここからが大変よ、オークションみたいになるから」

「ひいん」

「なんだか矢澤さんの方がしっかりしてますね」

「まあ、にこはお姉さんですから」

「ほら、早く行くわよ」

「にこちゃんおんぶ」

「ふんっ」

「ぐえっ」

「…そういう問題でしょうか?」

「そういう問題じゃないかもしれません…」

 

 

波浜君は矢澤さんに引きずられて戻っていきました。僕以外の人は動じていないあたり、平常運転のようです。大丈夫なんでしょうか。

 

 

「さて…僕らもそろそろ移動しましょうか。水橋君のコンサートもありますし」

「そうですね。それではお先に失礼します」

「海未ちゃん楽しんできてね!」

「またね」

 

 

まあ、展示自体は見終わったので次にいきましょう。コンサート自体は16:00からですが、早めに行った方が良いでしょう。

 

 

…なのですが。

 

 

「すみません、園田さん」

「はい?」

「あの…、コンサート会場ってどうやって行くんでしょう…?」

「…はい??」

「あ、あの…調べてはきたのですが、僕、重度の方向音痴でして…ここはほら、何度か来たことあるので迷わなかったんですけど、今から行くホールには行ったことなくてですね」

 

 

困ったことに、僕には道がわかりません。

 

 

地図を見たらわかる、なんて生温いレベルの方向音痴ではないのです。

 

 

恥ずかしながら隠すわけにもいかないので正直に申し出ると、園田さんは一瞬ぽかんとした後に笑い出しました。

 

 

「…ふふっ」

「ううっ…お恥ずかしい限りです」

「いえ、意外な弱点を聞けて得した気分ですよ。それに、会場の場所なら私も確認してありますから問題ありません」

「ありがとうございます…」

 

 

顔から火が出そうです。

 

 

恥ずかしくて俯いていると、不意に手を握られました。

 

 

「…ほぁっ?!」

「さあ、行きますよ!」

「えっはいわかりました?!」

 

 

突然のことで理解が追いつきません。

 

 

僕は今園田さんと手を繋いでいます??

 

 

どうしましょう。今心臓発作で死んだら死因はトキメキになるんでしょうか。

 

 

僕の手を取り、笑顔でずんずん進む園田さんがやけに煌めいて見えるのはだいぶ重症なのかもしれません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

超満員のコンサートは素晴らしいものでした。流石は世界一の音楽家です。

 

 

2時間のコンサートはたった一曲で、水橋さんただ一人による演奏でした。自身の演奏を多重録音し、それを再生した上でご自身はヴァイオリンによる生演奏を披露していました。顔出しNGなのか、仮面をしていらっしゃいましたが。

 

 

「いやぁ…音楽ってすごいですね…」

「はい…夢のようなコンサートでした」

「本当に夢のようでしたね…」

 

 

嘆息しか出ませんね。

 

 

「まあそういうテーマで作ったからな。『ヴァイオリン協奏幻創「ドア・トゥ・ドリーム」』…μ'sのユメノトビラから着想を得て作った曲だ」

「わぁっ?!み、水橋君…いいんですか、素顔で出てきて」

「どーせ顔出ししてねーからバレねーっすよ。それより、来てくれてありがとうございます。よくチケット取れたっすね」

「いえ…天童君からいただいたものですから。何故か二枚」

「ああ、それで園田がいるんすね」

「お疲れ様です、桜さん」

「はいはいどーも」

 

 

余韻に浸っていると、まさかの本人がやってきました。2時間ノンストップだったはずなのに疲れているようには見えません。すごいですね…。

 

 

「あー!桜さん!!」

「うるせー!!」

「むぐっ」

 

 

突然近くから大声が聞こえたと思ったら、高坂さんでした。すぐに水橋君に取り押さえられていましたが。

 

 

「俺は有名人なの。しかもこの場には俺のファンがたくさんだ。だが誰も俺の顔を知らない、だからこうして出てこれるんだ。わかるな?」

「むぐむぐー」

「わかったならよろし「がぶっ」いってえええええ?!?!何しやがる!!」

「苦しいよ!!」

「わかっとるわ!!」

「ひどい!!」

「仲良いですね…」

 

 

この二人はいつも通りでなによりです。

 

 

「ったく、せっかく呼んでやったのに。俺のコンサートがどんだけ人気だと思ってんだ」

「知らないもん」

「知ろうとしてないんだろうがこのバカ」

「バカじゃないよ!!」

「まあまあ、落ち着いて。注目集めてますよ」

 

 

仲が良いのは大変よろしいのですが、あまり騒がしくすると目立ちますよ。

 

 

…それにしても、このお二人はこんなに仲が良いのにお互い恋愛感情を持っていないんですね。いえ、正確には持っているけど気づいていないのでしょう。

 

 

水橋君に関しては何故か読心が難しいというか、何か違和感があるので正しいかどうかわかりませんが。

 

 

「穂乃果をわざわざ呼んだのですか?」

「ん?ああ。いつも穂むらを使わせてもらってる礼みたいなもんだ」

「それだけなの?!」

「何が不満なんだよ」

「もっと何かないの?穂乃果頑張ってるから、とか!穂乃果ちゃん可愛いから!とか!!」

「無いわバカ」

「…………穂乃果ちゃん可愛いからとか!!!」

「ゴリ押すな」

 

 

高坂さん、これで自分の恋愛感情に気づかないって相当ですね。

 

 

この二人を見ていると自分が恋愛で悩んでいるのが馬鹿らしくなって来ます。この二人は自覚すらないんですから。

 

 

いえ、この二人だけでなく、今まで会った人達の誰と比べても、僕の恋は些細なのかもしれません。

 

 

依存し続けた波浜君、愛を知らない天童君、自分を嫌悪する雪村君は壮絶な経験や有名な立場を乗り越えて恋を成就し、天才医師の藤牧君も立場などお構いなしにアプローチしているようです。水橋君はなんとも言えませんし、御影君は同類ですが、自分の立場を理由に躊躇している知人は誰一人居ないようです。湯川君はちょっとわかりませんが、彼は立場も何もないですし。

 

 

そもそも年齢差はそんなに無いですし、警戒することもなかったかもしれません。

 

 

愛する人と共に歩むためなら、躊躇いも恐れも乗り越えなければならないのでしょう。

 

 

「…天童さんがチケットくれたって言いましたっけ」

「はい、そうです」

「今日の曲は夢がテーマで、苦悩と努力の末に夢を叶える話を想定してます」

「ええ、聞いているだけで伝わってきました。素晴らしい演奏でしたよ」

「どーも。いえ感想を求めてるわけじゃなくてですね。天童さんがそれを見越してあんたを寄越したんなら、何か意味があるんでしょう。()()()()()()()()()()()っていう意思表示だと思いますよ」

「…ええ、そうかもしれませんね」

「何の話?」

「知らねーよ。お前にもわからない話だろ多分」

「すぐバカにする!」

「今のはバカにしたんじゃねーよ」

 

 

まあ、天童君ならこういうお節介を焼くというのはなんとなく想定できていました。

 

 

たまには乗ってあげてもいいかもしれませんね。

 

 

「さて、僕らもそろそろお暇しましょうか」

「そうですね。暗くなってきましたし、お先に失礼させていただきます」

「あっ、じゃあ私も帰る!」

「お前はちょっとこっち来い」

「え!お菓子くれるの?!」

「お前そのノリで変質者について行くなよ?」

「桜さんにしかついていかないよ!!」

 

 

高坂さんは水橋君が引き受けてくれました。ありがたい話です。まあつまりは色々バレたのでしょうけど、気にしないことにします。

 

 

夕日も落ちてきて暗くなってきた道を歩き、秋葉に帰る…前に、少し寄り道しました。人が少なくて、景色の良い場所はたくさん知っていますから、そのうちの一つへ。読心のこともあって、人が少ないところを探すのは日課だったんです。

 

 

「もう日も沈んで暗くなってきましたね」

「はい。ですが、夜になる直前の空も綺麗ですね」

「そうでしょう?僕のお気に入りの場所の一つなんです」

 

 

ひとつだけ置かれたベンチに腰を下ろすと、隣に園田さんも座ってくれました。なんだか距離が近いような気がします。

 

 

「…今日は楽しかったですか?」

「はい!誘ってくださってありがとうございます」

「どういたしまして。せっかく誘ったのに楽しくなかった、と言われたらどうしようかと思いましたよ」

「ふふ、何を言っているんですか。あなたは心が読めるのですから、言わなくてもわかるはずでしょう?」

 

 

柔らかく笑う園田さんに見惚れつつ、当然の問いかけに一瞬返事を躊躇いました。

 

 

「…いえ、それがですね」

「…?」

「実は、あなたが僕の部屋に来てくれた時から…あなたの心は読んでいないんです」

「…えっ」

「あなたの心を読むのが怖くなってしまって。その理由を言うべきかずっと迷っていたのですが、今日一日一緒に過ごして決心しました」

 

 

園田さんが不思議な表情を浮かべていましたが、僕はもう言うと決めました。だから遠慮なく言わせていただきます。

 

 

 

 

 

 

 

「僕は…あなたを好きになってしまいました。もし良ければ…僕と付き合っていただけませんか」

 

 

 

 

 

 

 

この言葉を絞り出すだけで恐怖で頭が麻痺しそうになります。

 

 

それでも言わないわけにはいかないんです。迷ってばかりはいられない。

 

 

どんな返事が来ようとも覚悟しなければ…と今更警戒していたのですが。

 

 

そのお返事は。

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………………………………心、読んで無かったのですか…?」

「へ?は、はい」

「わ、私が…どれだけ…」

「あ、あの?」

「私が!あなたに心を読まれていると思って!!私の恋心がバレてると思って今日一日過ごしたというのに全部私の思い過ごしだったというのですか?!?!」

「えええええ?!?!」

 

 

 

 

 

 

 

 

予想外も予想外な流れになってきました。

 

 

「今朝!あなたが綺麗だって言ってくださったのもそれがバレてるからだと思ったのに!!手を握ったのも仕返ししようと思って勇気を振り絞ったからなのに!!というかあの日から毎回毎回どうしたらあなたに恋心がバレないか考えながらメールや電話をしていたのは全部私の一人相撲だったということですね?!?!」

「えっちょっ落ち着いてください、なんでそんなにお怒りに

「怒ってません!!」

「怒ってないんですかそれ?!」

 

 

結論だけ纏めれば告白成功なのですが、なんだか妙な展開になりました。言葉遣いやμ'sでの立ち位置や、弓道や日本舞踊をしているというからお淑やかなのかと思ったら随分と感情ぶちまけますねこの子。

 

 

「ああ恥ずかしい…自分で勝手にアピールしてしまっただけではありませんか…」

「いえ…結果的に両想いだったのですから問題ないのでは…」

「それは結果論です!!」

「いえ仰る通りですけど!!」

 

 

あ、なんだか勝ち目無さそうな気がします。

 

 

「もう責任取ってください!」

「いえ元々そのつもりだったん

 

 

 

 

 

園田さんが突然接近してきて。

 

 

唇が重なりました。

 

 

 

 

 

「…幸せにしてくれないと怒りますよ」

「勿論です」

 

 

急にしおらしくなってしまった園田さんが堪らなく可愛らしくて、そのまま抱きしめてしまいました。お互いの心音が聞こえそうなくらい…

 

 

…って、お互い心臓バクバクじゃないですか。

 

 

わかります、ものすごく恥ずかしいのは僕もわかりますよ。

 

 

「…園田さん、

「海未です」

「はい?」

「海未って呼んでください」

「…あの、海未さん」

「はい」

「心臓バックバクですが大丈bうぐっ」

「…それ以上言うと締め落としますよ」

「ばっバイオレンスですね…?!」

 

 

これは「海未」って呼んだ瞬間心音が跳ね上がったのは言ったら死にますね。

 

 

「…まあ、そういうところも好きですよ」

「明さん…Mなんですか?」

「違いますよ?!?!」

 

 

なんだか有らぬ疑いをかけられてしまいました。

 

 

でも、まあ。

 

 

物理的に苦しいのを除けば、幸せではありますね。

 

 






最後まで読んでいただきありがとうございます。

というわけで松下さん&海未ちゃんでした。いやあ尊い!尊いですなぁ!!(自画自賛)
今回はノリでビッグサイトをラブライブ時空効果で虹ヶ咲に変えました。スクスタ時空ではないので虹の皆さんは出てきませんが、こういうネタも面白いと思いませんか?思いませんか??(同調圧力)

忙しくなってきて執筆時間も限られてきたので、横道に逸れるお話は控えめにして全員ハッピーエンドまで駆け抜けようかと思います。どうせ最後の1人が長いんですけどね!!

そんなわけで私はラブライブ!フェスDay2現地勢なので今日は早めに寝ますね!!現地にいらっしゃる方はどこかでお会いするかもしれませんね!!
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