笑顔の魔法を叶えたい 作:近眼
ご覧いただきありがとうございます。
そしてスクフェス5周年おめでとうございます!!5年ですよ5年!!何も特別編とか用意できませんでしたけど!!なんだか漲りますね!!何がというわけでもありませんけど!!
というわけで、どうぞご覧ください。
「リーダーに誰が相応しいか…。大体、私が部長についた時点で一度考え直すべきだったのよ」
そんなわけで部室に全員集まり、リーダー決め会議勃発。にこちゃんは自分がなる気満々みたいだけど、さあ果たして。
「リーダーね」
「わたしは穂乃果ちゃんでいいと思うけど…」
「だめよ。今回の取材でわかったでしょ、この子はまるでリーダーに向いてないの」
「まるで向いてないとまでいうかな」
まあ部の運営に関わってる部分はゼロだけど。というか実際の資金繰りとかは全部僕がこっそりやってるので誰も関わってないっちゃ関わってない。彼女らは元気にスクールアイドルをしているだけである。
「それもそうね」
「まあ、PVも撮らなきゃいけないし、変えるなら早めにしないとね」
「PV?」
園田さんが疑問系で投げてくる。もしかしてご存知ない?さすがにそんなわけないか。おおよそ、PVとリーダーにどういった関係があるのかっていう疑問だろう。
「リーダーが変わると必然的にセンターも変わるでしょ。次のPVは新リーダーがセンター」
「そうね」
「でも、誰が?」
「それを今から決めるんでしょ」
目的忘れちゃだめよ皆様。
そんなことを言っていると、にこちゃんが立ち上がってホワイトボードをひっくり返す。そこには「リーダーとは」と書かれていた。昼に何か書いてると思ったらそれかい。
「リーダーとは!まず第一に、誰よりも熱い情熱を持ってみんなを引っ張っていけること!次に、精神的支柱となれるだけの懐の大きさを持っていること!そしてなにより、メンバーから尊敬される存在であること!この条件をすべて備えたメンバーとなると…」
「海未先輩かにゃ?」
「なんでやねーーーん!」
「おお、ナイスツッコミ」
素晴らしい流れで漫才を決めるにこちゃん。それはそうと、その条件でいくとにこちゃんは懐の大きさが微妙だから向かないよ、リーダー。そこも可愛いけど。
「私が?!」
「そうだよ!海未ちゃん向いてるかも、リーダー!」
「君が言うか」
高坂さんも同意の声を上げる…いや君が現リーダーなんだからね。なんでそんなノリノリなの。自分の立場追われるよ。
「そうですよ。それでいいのですか?」
「え?なんで?」
「だって、リーダーの座を奪われようとしているのですよ?」
「え?それが?」
それがって。
「…何も感じないのですか?」
「だって、みんなでμ'sやってくってのは一緒でしょ?」
「でも、センターじゃなくなるかもですよ?!」
園田さんの言及に続いて小泉さんも声を上げる。だからアイドルごとになると元気になるのは何なの。にこちゃんじゃないんだから。
「おお、そうか!…うーん、まあいいか!」
「「「「「「ええええ?!」」」」」」
「えぇ…」
軽い。すこぶる軽い。リーダーやる気満々だったにこちゃんでさえびっくりしてるし、僕も思わずえぇって言ってしまった。いやさ、リーダーに拘らないのはいいんだけど、もうちょっと躊躇いを見せてほしいな?数秒しか迷わなかったでしょ君。
まあ、しかし。
彼女にとって、自分が率いることよりもμ'sのメンバーでスクールアイドルをやることの方が重要なんだろう。
それがいいのか悪いのかわかんないけど。
「そんなことでいいのですか?!」
「じゃあリーダーは海未ちゃんということにして、」
「ま、待ってください!無理です、恥ずかしいです…!」
「…面倒な人」
「こら西木野さん」
「いたっ」
口の悪い西木野さんにはチョップを食らわせておく。園田さんが辞退することは想定済みだ。恥ずかしがり屋だし。リーダーとして最前線に立つのは、素質云々の前に性格的に難があるだろう。
「じゃあ、ことり先輩は?」
「わたし?」
「副リーダーって感じにゃ」
南さんも自己主張が少ないという意味では表方は向いてなさそうだ。一部自己主張が激しい部分もあるけど…おっとにこちゃんの視線が痛い。
「でも、一年生でリーダーっていう訳にもいかないし…」
「仕方ないわねー」
「やっぱり穂乃果ちゃんがいいと思うけど…」
「仕方ないわねー!」
「わたしは海未先輩を説得した方がいいと思うけど」
「仕方ないわねー!!」
「と、投票がいいんじゃないかと…」
「しーかーたーなーいーわーねー!!!」
「にこちゃんどこからメガホン持ってきたの」
「で、どうするにゃ?」
「どうしよう…」
「君たちも、もうちょっとにこちゃんを気にしてあげて」
混迷する議論に全力で自己主張していくにこちゃんだが、メガホンまで使ってもみんなの意識はにこちゃんへは向かわなかった。いやみんなスルースキル高すぎでしょ。
「まったく…話し合っても埒があかないね。別の手で決めよう」
「私にいい考えがあるわ!!」
意気揚々も宣言するにこちゃん。…にこちゃん、それは一般に負けフラグと言われる流れだぞ。
「こうなったら歌とダンスで決着をつけようじゃない!」
で、カラオケなう。要するに、にこちゃん的には歌とダンスが最も上手い人がリーダーってことだろう。まあにこちゃんのことだから負けないように細工しているだろうけど。
「決着?」
「みんなで得点を競うつもりかにゃ?」
「その通り!一番歌とダンスが上手い人がセンター!どう、それなら文句ないでしょ」
文句は出ないだろうけど、それ僕いらないじゃん。
「でも、私カラオケは…」
「私も特に歌う気はしないわ」
そして乗り気じゃない子が若干2名。園田さんは恥ずかしがり屋だし、西木野さんはノリ悪いし。小泉さんも反対するかと思ったら星空さんと楽しそうに曲選びしていた。
「なら歌わなくて結構!リーダーの権利が消失するだけだから!…ふふふ、こんなこともあろうかと、高得点の出やすい曲のピックアップは既に完了している…!これでリーダーの座は確実に…」
「にこちゃん声に出てる声に出てる」
「…っは!に、にっこにっこにー」
「誤魔化すにしても無理ないかい」
本音ダダ漏れのにこちゃん。別にそんな小細工しなくても上手だと思うんだけどねえ。他のメンバーが上手かどうかが不明だけど。
「さあ、始めるわよ!」
「カラオケ久しぶりだねー」
「何歌おうかなー」
「にこちゃん、既にただのカラオケ会になってる」
「あんたら緊張感なさ過ぎー!!」
にこちゃんが意気揚々と開始を宣言する頃には、みんな思い思いに行動していた。フリーダム極まる。
「は、恥ずかしかった…」
「とか言って93点とか出すんだね」
最終的に結局園田さんも西木野さんも歌うことになり、なんだかんだみんな90点オーバーだった。にこちゃんは狙って出してるからそりゃそうだが、その他も結構な実力者だったらしい。
「これでみんな90点台だよ!みんな毎日レッスンしてるもんね」
「ま、真姫ちゃんが苦手なところ、ちゃんとアドバイスしてくれるし…」
西木野さんのアドバイスのおかげ…らしいが、それにしても見事なもんだ。もともと上手かったのか、指摘が的確だったのかは不明だけど、まあ結果が出るなら同じだろう。
「こいつら化け物か…!」
「化け物はひどいんじゃない」
「うるさい化け物筆頭」
「僕歌ってないんだけど」
にこちゃんも戦慄している。別ににこちゃんが負けてるわけでは決してないんだけど、勝ってるとも言い難いわけだし。あと僕関係ない。
「そうだ。波浜先輩は歌わないんですか?」
「念のため言っとくと、君たちのリーダー決めのために来てるんだからね」
「そんな堅いこと言わずに!」
「この緊張感のなさよ」
高坂さんに謎のゴリ押しを受ける。ほんとにただカラオケしに来ただけになってる。
「穂乃果、やめときなさい。いろんな意味で後悔するわよ」
「え?」
「そう言われると俄然やる気出るけど」
「激しい曲はダメよ」
「ちぇ」
「えっえっどういうことですか?」
「聞けばわかるわよ」
お許しが出たので早速曲を入れることにする。カラオケなんてにこちゃんに止められるから随分久しぶりだ。何歌おうかな。
「きゅ…」
「「「「98点………」」」」
「…言ったでしょ。後悔するって」
こんなもんである。
ぶっちゃけ運動以外で隙はないのだ。
では、カラオケは運動であるか?
「…っふ、に、にこちゃ、僕、もう、」
「はいはい。こうなるってわかってたんだから、やめとけばよかったのに」
答え。
運動である。
よって僕は今死にかけてる。
運動というよりは肺活量的な問題だけど。まあ何にしても死にかけてにこちゃんに膝枕してもらっていることに変わりはない。あれ、これご褒美じゃない?
「えっと…あの、ごめんなさい…」
「ほらね。いろんな意味で後悔するでしょ」
「いやいや、高坂さ、そんな謝rごふっ」
「そんな息も絶え絶えで喋るんじゃないわよ」
なんか僕のせいで空気が沈鬱になってしまったけど、弁明する体力もない。こういう時にはボケるのが正解なはずだ。
「に、にこちゃ」
「はいはいなーに」
「太もも柔らか」
「ふんっ!!」
「んごっ」
セクハラしたらヘッドロックを極められた。あ、やばい、今それやられるとマジで死ぬ…と抵抗する前に、意識は持ってかれた。
僕の意識が持ってかれてる間にそこそこ騒いだようだけど、今はもう元気だ。元気になったところで退散することになった。ちょうど時間だったらしい。
みんなで部屋を出たところで。
「ん?茜か」
「うわ桜」
「うわってなんだてめえコラ」
桜がいた。カラオケで出会いたくない人ナンバーワンだ。こんな音楽の才能の塊みたいなやつはカラオケで会うと悲しい気分になる。
「あ!桜さん!こんにちは!」
「ん?穂乃果…ああ、μ'sで来てたのか。矢澤もいるな」
「うわぁ…」
「何であんたまで嫌そうな顔してんだ」
にこちゃんも僕と同じ気持ちらしく、アイドルがする顔じゃない顔してる。
…あれ?
「え、高坂さん、桜知ってんの?」
「はい。よく店に来てくれます!」
「…店?」
「穂むらって和菓子屋があんだよ。そこの娘さん。よく手伝いしてるしな」
「へぇ…そうだったの」
高坂さんの家、和菓子屋だったのか。知らなかった。
(穂乃果、この人は一体誰ですか?)
(目が怖い…)
「海未ちゃんもことりちゃんも怖がらなくて大丈夫!桜さんいい人だから!」
「説得力に欠けるわね」
「波浜先輩もにこ先輩も嫌そうな顔してるにゃ」
「や、やっぱり目が怖いです…」
高坂さん以外みんな警戒してる。まあ桜、目つき悪いからねえ。怖いよね。
「何で俺は初対面でこんなボロクソ言われなきゃならんのだ?」
「目が怖いんだよ目が」
「余計な御世話だクソッタレ」
「あと口が悪いのよ」
「余計な御世話だクソッタレ」
聞く耳は持たない模様。
「てゆーか何しにきてたの」
「作曲だよ。今度は歌唱曲を依頼されたからな、自分で歌ってみてんだ」
「桜さんって作曲出来るんですか?!」
「それで稼いでんだよ近寄んな鬱陶しい」
めっちゃ桜に詰め寄る高坂さん。他のメンバーは萎縮してるのに…この子のメンタルはどうなってるんだ。あと警戒心もどうなってるんだ。
「まあ、作曲してるって言ってるのに邪魔しちゃ悪いわ。早く行くわよ、次はダンスで勝負するんだから」
「勝負?」
引っ付いてくる高坂さんをぐぐぐっと引き剥がしながら、にこちゃんの言葉に疑問符を浮かべる桜。まあ何言ってるかわかんないよねぇ。というわけで僕が軽く経緯を説明すると、桜は心底面倒くさそうな顔になった。いや僕だって面倒だよぶっちゃけ。でも出た議論を放り投げてはおけないじゃない。
「またアホくさいことしてんなあ…。穂乃果にやらせておけばいいだろうに」
「ダメよ、穂乃果はリーダーに向いてないって昨日わかったの」
「向いてないって…ああ、そうか…それがわかってねーからこんな事態になってんのか…」
「どういうこったい」
顔に手を当てて天を拝む桜。彼には何かしら、高坂さんが適任だと感じる理由があるらしいけど…こっちはさっぱり思い当たらない。μ'sの面々も同様、高坂さん自身も同様。
「いや、何でもねえよ。そのうちわかるだろ…。それより茜、新曲聞いてけよ」
「だからμ'sの活動があってだね」
「あ!私桜さんの曲聴きたい!」
「だから次はダンスで勝負って言ってんでしょ!!早く行くわよ!!」
「ええ〜!!」
するっとはぐらかして僕を仕事に拉致しようとしてきたが、乗ってきたのは高坂さんの方だった。しかも高坂さんはにこちゃんに連行された。
「…ほんと元気だなあいつ」
「どうでもいいけど、何で桜は高坂さんを名前呼びなの?」
「穂乃果の家族全員高坂だろうが。名字で読んでたら店で呼ぶときややこしい」
「なんだ深い事情があるんじゃなかったのか」
「何で残念そうなんだてめえ」
桜が高坂さんを穂乃果って呼ぶからそういう関係なのかと思ったら違った。つまらん。まあ、桜だし、そんな青春くさいことはしないとはちょっと思ってたけども。
「ほら茜も行くわよ!」
いつの間にかμ'sのメンバーたちは受付まで移動して僕を待っていた。これでは置いていかれる。困る。
「まあ、そういうわけだから。また今度聴かせて」
「チッ」
「舌打ちよくない」
露骨に嫌そうな顔をしながらも引き止めはしない桜に内心感謝しつつ、受付でまつμ'sの方に足を向けた。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
スクフェス5周年は嬉しいんですが、曜ちゃん限定勧誘が来るのは予期していなかったので石が足りませぬ。課金か…!!