笑顔の魔法を叶えたい 作:近眼
ご覧いただきありがとうございます。
前回に引き続きクリスマス回!!全員分のシーンをそれぞれやろうと思ったら大変な長さになりそうだったので2分割しました!!お話が進まない!!
後半戦も可及的速やかに投稿します…。
というわけで、どうぞご覧ください。
「ふーむ。クリスマスパーティーしたかったけど…」
「真姫ちゃんがいないんじゃ仕方ないわねー」
「確かに山合宿行った時に煙突からサンタさんが云々って言ってたもんね。毎年あそこでホームパーティー的なことしてるんだねきっと」
「いいわねーホームパーティー」
「今僕らもやってるじゃん」
「規模が違うじゃないの規模が」
クリスマス当日、僕はいたって自然に矢澤家にお邪魔していた。毎年お邪魔してるよ。半分家族みたいなものだし。
本当は穂乃果ちゃんの家でクリスマスパーティーやろうって話をしてたんだけど、真姫ちゃんが家族で別荘に行くから行けないってなってそのまま無くなってしまった。仕方ないね。
仕方ないけど、個人的にはまっきーがどうするつもりなのか疑問だよ。ご丁寧にプレゼント用意してたのに相手がお出かけしてたんじゃ渡せないし。
まあまっきーならなんとかするか。
「フライドチキンできたよー」
「ありがと。毎年ありがとね」
「どういたしまして。にこちゃんも毎年ケーキありがとね」
「どういたしまして」
とりあえず料理も一通り出来たし運ぼうかな。
「あら、もう夫婦の共同作業は終わっちゃった?」
「まだ夫婦じゃないですよ」
「まだとか言うな!!」
「痛い痛いチキン落とすよ」
食卓の方で子供たちの相手をしていたにこちゃんママがこっち来た。変なこと言うと僕がにこちゃんに攻撃されるからやめてください。今のは僕の自業自得だって?そんなぁ。
「わぁっ今年も美味しそうな料理ですね!!」
「ありがとね、こころちゃん。さあ手を洗って来たら食べようか」
「はい!」
「いただきまーす!!」
「ここあちゃんも手を洗って来なさい」
「えーっ」
「えーじゃないの。サンタさん来なくなるよ」
「洗ってくる!!」
「お元気だ」
「けーきー」
「虎太郎君、ケーキはデザートだから後でね。はい手を洗ってきて」
「うふふ、まるでお父さんみたいね」
「まだお父さんじゃないですよ」
「だからまだとか言うな!!!」
「ふぎゃ」
今日も拳のキレがいいね。
まあそれはおいといて、毎年恒例の矢澤家クリスマスパーティーはいつもどおり進んでいつも通り終了。お子様たちにプレゼント渡そう大作戦までお邪魔させてもらう予定だったけど、
「ここは私に任せて、2人で性夜を楽しんで来なさい!」
とか言ってにこちゃんママが僕とにこちゃんを追い出してしまった。ラジャーって答えたらまたにこちゃんに殴られた。元気だねにこちゃん。
そんなわけでにこちゃんと2人で僕の家に来たよ。とはいえ、この家は絵具の匂いがハンパないからムードとかそういったものを演出できる場所じゃないよ。
「ただいまー」
「お邪魔しまーす。いつものことだけどほんっとにすごい匂いよねこの家」
「油絵描いたりアクリル絵の具使ったりしてるからね」
「消臭剤とか置いときなさいよ」
「それでどうにかなるレベルじゃないよ」
完全に消臭剤の想定したレベルを超えてるよ。
「この匂い嫌い?」
「そんなことないわよ。…茜の匂いなんだし」
「僕そんなに臭いかな」
「そうじゃない!!」
「ぶきゃる」
服の匂いを確認してたらパンチが飛んできた。痛い。
「…茜の人生が詰まってるってことよ」
「僕の人生はにこちゃ
「もう一発殴るわよ」
「理不尽」
「でも、このたくさんの絵ってあんたの人生の一部でしょ」
「まあ人生の大半がにこちゃんを愛でるか絵描くかだからね」
それくらいしかできることないしね。
だから僕の家に来てもやることないよ。ご飯も食べちゃったし。
あ、やることあった。プレゼント渡さなきゃ。
「そういえばにこちゃん」
「どうしたのよ」
「はいこれ、クリスマスプレゼント」
「えっ」
「何でそんなびっくりしてるの」
「いや…本当にもらえると思ってなくて」
「本当にってことは期待してたんだね」
「んん…まぁ…そうよ悪かったわね!!」
「おぶぅ」
ツンデレパンチありがとうございます。いや痛いけど。痛いけどにこちゃんが照れたことに価値がある。照れ顔にこちゃん可愛い。でもあんまり見てるとまた殴られそう。
「だって付き合いだしてから初めてのクリスマスなんだから期待だってするわよ!!」
「ふへっ」
「にやけるな!!」
「ぐぇっ」
「ふん…で、中身は何なのよ」
「開けてみて」
にこちゃんが目の前で包みを開ける。中からピンク色のリボンが出てきた。
「リボン…」
「すっごい迷ったんだけどね。アクセサリーとかも考えたんだけど、やっぱりにこちゃんにはリボンかなって。いつもツインテールだし」
「…ふふっ」
「お気に召さなかった?」
「まさか。私がいつでも身につけてるものを選んでくれたってことでしょ?…ありがと」
「どういたしまして」
喜んでくれたようで何よりだ。選ぶのに本当に迷ったし、ゆっきーの手伝いしたり創一郎と一緒にμ'sのみんなへのプレゼント探しに行ったり色々してて時間もなかったから大変だったからとりあえず失敗しなくてよかった。でもお手伝いに関わった各位は恨む。
「じゃあ私からも」
「マジで」
「当たり前でしょ。私だけ貰うなんてできないわよ」
「にこちゃんいい子すぎて死んじゃう」
「生きなさいよ」
まさかのにこちゃんからのプレゼントもあった。これはキュン死する。
「じゃあ目閉じて」
「えっ」
「えっじゃないわよ」
「怖いんだけど」
「うっさいわね目潰しするわよ」
「理不尽の極地」
こんな場面で攻撃されるとは思ってないけど、怖いものは怖いんだけど。
目潰しれたくないから目は瞑るけどさ。がさごそしてる音だけ聞こえるんだけど。何してるの。何を取り出したの。
しばらくして首元にふわっとした何かが巻きつけられた。おっとこれは…絞殺フラグかな?
そんなわけない。このふわふわ触感はアレしかない。
「にこちゃん」
「何よ。もうちょっと待ちなさいよ」
「これ目瞑る意味あるの」
「あるの。出来があんまり良くないからあんまり見えないようにしてんのよ」
「その場しのぎじゃない?」
「黙んなさい」
「んむっ」
キスされた。これは黙るしかない。しかし不意打ちキスとはにこちゃんやりおる。これはトキメキ溢れちゃう。もう溢れてるけど。
「もう目開けていいわよ」
「…おお」
「…どうかしら」
「にこちゃんの手編みマフラー」
「そうよ」
「にこちゃんの…手編み…くんかくんか」
「においを嗅ぐな!!!」
「ぐぇ」
嬉しくてつい変態化してしまった。仕方ないよね。仕方ないんだよ。
「ふへっ」
「人に見せられない顔になってるわよ」
「にこちゃんしかいないんだからいいの。…ありがとう、にこちゃん」
「どういたしまして」
幸せいっぱいでにやけちゃうね。まあにこちゃんもにやけてるからお互い様だ。
だけどこのままだと永遠ににやけちゃうから早く寝よう。そうしよう。
「よし、じゃあお風呂入って寝よう…あっ」
「何よ。着替えは持ってきたわよ」
「いや着替えじゃなくて。…お布団が一個しかない」
「えっ」
「…僕どこで寝よう」
「……………一緒でいいでしょ」
「……………………ふぇ?」
「一緒の布団で寝ればいいって言ってんのよさっさと風呂入ってきなさい!!!」
「ぐふぇ」
勢いで押し切られたけどほんとにいいのかなそれ。
お風呂入って寝る準備をしてにこちゃんを待ってたら、風呂上りにこちゃんが本当に僕の布団に潜り込んできた。なにこれ。
当然そのまま…何事もなく2人とも寝ちゃった。
ここで何事も起こらないあたり熟年夫婦。でも翌朝早起きして朝ごはん作ってたらにこちゃんに飛び蹴りされた。
なんでさ。
へい諸君、天使天才天童さんだぜ。前から使ってるけどこの前口上の語呂めっちゃよくない?コーレスで使ってくれていいんだぜ?俺はアイドルじゃないけどな!
まあそれは置いといて、今日は聖なるクリスマスだ。こんなにクリスマスにテンション上がったことあったか?!いやない!!
つーわけで本日は希ちゃんの家にお邪魔している。こんな日も希ちゃんのご両親は帰って来れないらしかったが、代わりにお高いディナーの出前を頼んでくれたそうだ。バッチリ2人前らしく、知らぬ間に恋人ができたことがバレてて希ちゃんは恥ずかしがっていた。可愛すぎて鼻血出るわー。
「ふう、ご馳走さま。いやーお高い出前なんて初めて食ったな!」
「ごちそうさま。美味しかったね!」
「ばっちり神戸牛のステーキとか入ってるあたり君の好き嫌いを理解してらっしゃるな…いやー美味かった」
しかしいいもん食べると元気出るな。食は大事。日頃から美味いもんを食べるんだ諸君!!
まあそれはそれとして、運命のプレゼント交換だ。
2人で向かい合って後ろ手にプレゼントを隠しているわけだが、実はお互い中身を知っていたりする。理由は簡単、一緒に買いに行ったらからだ。
「フフフ…準備はいいかね希ちゃん」
「もちろん!」
「よし、じゃあ…せーのっ」
「「メリークリスマス!!」」
掛け声と共に、2人同時にプレゼントが入った小箱を差し出す。連携バッチリな姿がなんか可笑しくて、2人して笑い出してしまった。うーん、こそばゆい。甘酸っぱい恋の波動を感じる。ついでに愛の気配を感じ取って若干冷や汗が出る。いい加減なんとかならんかねこの現象。
「さて、中身はわかってるが改めて確認させてもらおうかな」
「わぁー!」
「我慢出来なくて即開けてるしぃー」
まあ今日一日中そわそわしてたし、そうなることは容易に想像できたけどな。なんだかんだ言って子供っぽいんだよなこの子。
そんな子供みたいな希ちゃんの姿を微笑ましく見つつ、自分の小箱も開ける。
中に入っているのは、指輪だ。
…婚約指輪じゃねーかんな。
ペアリングだからな。
希ちゃんの方は柔らかくてしなやかな植物の蔓と花のようなデザインの薄紫色の外殻と、濃い紫色の鉄線のような中心部を持つ二層構造。
俺の方は鋼鉄の金網のような濃い緑色の外殻と、薄い緑色の若葉のような中心部の二層構造。
…言うまでもないが、これは雪村君にスライディング土下座して作ってもらったものだ。2人でペアリング探していたんだが、なかなかピンとくるものが無くてな…。最後の手段で雪村君に泣きついたわけだ。彼のプレゼント探しも手伝ってやったことだしな。
最初はドン引きする値段をふっかけられたんだが、希ちゃんが「うちも半分払う!!」って言って聞かなくてわちゃわちゃしてるのを見て数万円まで下げてくれた。逆に申し訳ねぇ。つか値段の落差激しすぎて不安になる。
ちなみに「渡す時まで中身は見るな」と言われたからデザイン自体を見るのはこれが初めてだ。そしてやっぱすげーわと感心。茜も似たようなものは作れるんだろうが、実際に身につける物を作る場合は雪村君の方が上手だな。
「すごい…」
「ほんとにすげーなこれ。二層なのにちゃんと指輪の形してて、違和感も無い。達人技だな…」
「…ねぇ、天童さん」
「なんだ?」
「指輪…はめて?」
そう言って右手と指輪を差し出し、若干顔を赤くして目を逸らす希ちゃん。見よこの表情、どことなく煽!情!的!!先生っ!うちの彼女がえっちです!!!
しかし状況が状況なだけに天童さんの息子(意味深)も元気が出ないのだ。なんたって頼まれてる行為は指輪交換そのもの、つまり愛の誓いに他ならない!天童さんが一番恐れてるやーつ!!
つまり下半身が燃え滾る前に血の気が引くわけだ。ヘタレかな?うるせぇ誰がヘタレだこんにゃろう。嘘ですヘタレです。
「…………………………………そっ、そういうのは結婚する時までとっておきなさい!!おっ俺はっもう帰るからなぁあああああ!!!」
「ええっ天童さん!待って!」
というわけだから俺は勇気ある撤退を選んだ。そして童貞卒業の機会を逃したことに軽く凹む。うるせぇ誰が童貞だこんにゃろう。嘘です童貞です。
「うおっ?!す、すんません!」
マンションの階段を駆け下りている途中で見知らぬ夫婦にぶつかりそうになってしまった。くそっ未来予測の達人たる天童さんが情けねぇ!!
…マジで情けないのでそろそろ何とかしなければならん。
「…け、結婚する時までってことは…結婚まで考えてくれてるのかな…?」
天童さんが逃げちゃった後、私は一人で枕を抱いてぼーっとしていた。
天童さんをいじって遊んでたらやりすぎちゃったみたいやけど、代わりに嬉しいことを聞けちゃった。
それに、右手の薬指に着けた指輪。
ちょうど天童さんと対になっているデザインのペアリング。
いつか…こんな指輪を、左手の薬指に
ぴんぽーん
「うひゃあっ?!はっはいっ今出ます!!」
ぼーっと指輪を眺めてにやにやしていたら急にインターホンが鳴ってびっくりした。天童さんが戻ってきたのかな?
そう思って内線カメラの映像を見て。
「あっ…!」
走り出す。
まさか、まさか、
来てくれるなんて、思ってなくて、
急いで鍵を開けて、扉を開いて。
ちょっと震える声で、
「おかえり…お父さん、お母さん…!!」
そう、言った。
「メリークリスマース!」
「メリークリスマス!今日は呼んでくださってありがとうございます」
「ありがとうございます!」
「いいのよぉ!今日はじゃんじゃん飲みましょおねぇ!!」
「じゃんじゃん飲んだ後のグロッキーな紗枝を介抱するのは俺の役なんだからほどほどにな」
「酔った勢いで抱いてくれていいのよ!!」
「俺はアルコールに弱いので飲みませーん」
「じゃあわたしが押し倒すわねぇ!!」
「ほんとに色んな意味で元気だな君は」
「…騒がしい」
何故か。
何故か、我が家にことりとことりの母親を呼んでクリスマスパーティーをする運びとなった。
で、まさにその真っ最中だ。
「今日はことりちゃんが来てくれるっていうからチーズケーキ焼いたのよぉ」
「ええっ?!あ、ありがとうございます!」
「すみません、わざわざ…」
「いいんですよぉ、せっかくのパーティーなんですもの!みんなで楽しく!」
「おっ珍しくいいこと言うじゃないか。紗枝の料理は美味しいからぜひ食べていってくださいな」
「いやん心華さんったら。はいあーん」
「今そのフォークに謎の液体を塗ったのを見逃すと思ったかな?」
「じゃあわたしが食べちゃう」
「なん…だと…?」
「…ことり、一旦部屋に引っ込むぞ。この後母さんはやばいことになる」
「えっ」
ああやって母さんが変なモノを摂取する時はだいたい媚薬だから、ロクなことにならない。本当に勘弁してほしい。
…って父さんが言っていた。媚薬って何だ?
とりあえず一旦自室に避難する。
「…瑞貴さん、お部屋の真ん中になんだかすごく大きな箱が…」
「………………くそっコイツがあるのを忘れていた」
避難先には背丈ほどもある木箱が鎮座していた。無論クリスマスプレゼントだ。食事して落ち着いたら渡そうと思っていたんだが、予定が狂った。
まあいいか。
「…………………あー、その…クリスマスプレゼント、だ」
「えっこんな大きな?!」
「…諸事情でな。前が開くようになっているから、開けてみな」
「う、うん」
ことりが恐る恐る手を伸ばして木箱の側面にある扉を開くと、中にある純白のドレスが姿を現した。
しかし、これはただのドレスではない。
その証拠に、ことりは目を見開いて両手を口元に当てて驚いている。
「み、瑞貴さん…!これ…このドレスは…っ!」
「…ああ。前に君が言っていた、
そう。
俺たちが付き合い始めたあの日、ことりが言っていた、俺の作品の一つ。
何年前のことだったとかそういう情報は何も覚えていなかったが、不本意ながら蓮慈や天童さんの手を借りて「ことりが作った衣装の着想や傾向、推定経験年数などからその作品を推測する」ことに成功した。
人の手を借りてまで服を作ろうとしたのは初めてかもしれない。
「何で…だって、私教えてないのに…それにこのドレスはもう…」
「…色んな人に手伝ってもらった。頑張って、君が一番影響を受けたであろう作品を探したんだ。探して、当時の雑誌を見て再現した」
「すごい…そんな、そんなこと…嬉しい、すっごく嬉しい!!」
「あー、どういたしまして。…だが、完全に同じものじゃない。昔の作品だからどうしても改良したい部分があった、というのもそうだし…」
半泣きで喜ぶことりを見られるのは嬉しいが、この作品の説明をするのは色々と恥ずかしい。
「…オリジナルのようなパーティードレスではないんだ」
「え?」
「あー………………えっ、と…………ウェディングドレスなんだ」
木箱の隅に隠れていた、もう一つの小さめな木箱を取り出して開く。中にはウェディングドレス用のベールが入っていた。
「あ、あの…あれだ、いつか、その…着てくれたら、いいな…とか、思ったり、つまりまぁ、そういう…」
「えっ…そ、それって…」
ダメだ、これ以上は恥ずかしすぎて喋れないしことりを直視することもできない。どうしていいかわからなくて2人して動けない。
「…………あの
「もーーーーー!そこは押し倒しなさいよもーーーー瑞貴くんのいくじなしーーー!!!」
「だーから人の会話を盗み聞きしてしかも突入するんじゃないって」
「あぁんっ」
「こら寄っかかるな。軽く首引っ張っただけなんだから」
「……………あなたぁ……」
「なんだなんだ」
「…………今のでちょっとイっちゃった」
「もはや俺ですら怖いと思う領域まで行ってしまったのか君は」
「いやぁ〜もっと言ってぇ」
「…もう君は寝てきなさい。瑞貴はともかくことりさんは高校生なんだから、R18モードの君は教育上よろしくない」
ことりが何か言おうとした瞬間に母さんがまた突撃してきた。…もうことりを我が家に呼ぶのはやめた方がいいかもしれない。
父さんが母さんを寝室に放り投げ、ちゃんと食事をしてから解散する運びとなった。が、さっきことりが何を言おうとしていたのか気になりすぎて食事どころではなかった。いや、チーズケーキを美味そうに食べることりは可愛かった。
結局そのままことりは帰ってしまったが、少し後にメールが届いていた。
『私が大人になったら、よろしくお願いします』
何がよろしくなのだろうか。
ウェディングドレスのことか。
つまり…何がよろしくなんだ。
そう返事したら、『知りません!!』と返ってきた。何だったんだ。
「メリークリスマス!」
「待て」
「さあ、今日はいっぱい食べなさい!」
「待ってください」
「わぁー!ケーキだ!!」
「待てやコラ」
「何か私にだけ当たり強くない?!」
本日はご存知クリスマス。
何故か俺は高坂家に呼ばれていた。
なんなんだ。一旦状況を整理しよう。今日も今日とて穂むらで作曲をしていた。そうしたら穂乃果が今日は家でクリスマスパーティーだよ!とか言ってきた。そうか、俺は帰って寝ると答えた。そしたらなぜか俺も参加することになった。
本当に何故だ。
家族で団欒してろよ。
何故俺を巻き込む。
「ほらほら、桜くんも遠慮しなくていいから!」
「いやいやあなたも何でノリノリなんです。俺の分の飯なんて用意してないでしょう?」
「もちろん!用意してあるわよ!」
「クレイジーかよ」
「桜さん、あーん!」
「あーんじゃねーよ。お前の脳みそは豆腐で出来てんのか?」
「さっきから酷くない?!」
「酷くない」
家族丸ごとバカだった。まあ穂乃果のお母さんだから当然と言えば当然か。いや当然じゃねーよ。
「くっそ…なんでこんなことに…」
「…」
「お父さんが『だったらケーキなんて持って来なければよかっただろう』って言ってるわよ」
「………くそっ」
そう、そうなのだ。
予約してあったケーキをここに持ってきてしまったのが運の尽き。そもそも何で俺はケーキなんか頼んでしまったんだ。しかもわざわざ穂乃果が好きそうな苺のやつを。
いや理由はあるんだが、何でそんな気が起きてしまったのかが自分でもわからん。
どういう理由かって?言うかバカ。
「んー美味しい!」
「あーっ!お姉ちゃんそれ私の!!」
「みんなで分けるタイプのやつだから誰のとか無いよ!」
「オードブルな」
「私が食べようと思ってたのー!」
「もう食べちゃったよ!」
「静かに飯を食え静かに」
「じゃあ私これ食べる!」
「あーっそれ食べたかったのに!」
…合宿の時とか、この姉妹こんなに騒がしくなかったと思うんだが(多少は騒がしかったが)、これがクリスマスの力か。
「早く食べないと2人に全部取られるわよ?」
「………太るぞ」
「「!!」」
一言呟いたら姉妹の動きが一瞬止まった。
が。
「「練習増やせば大丈夫!!」」
「あんたの娘さんたちバカですよ」
「育ち盛りだから仕方ないわ」
「いいんすかそれで」
アホな理論で突き抜けた。ダメだこいつら。
ここで食い尽くされても困るし、ちょっと摘んで食ってみる。…まぁ、なるほど、美味いな。飲食を仕事にしているだけのことはある。
「つーかお前ら野菜食え野菜。栄養バランス崩すとそれこそ太るし、体力にも影響出るだろ」
「いつもは食べてるから大丈夫!」
「うるせー食え」
「ぎゃー!!そんな顔掴んで無理矢理?!」
「口を開けろこんにゃろうキャベツ突っ込んでやる…」
「あだだだだ!ゆっ雪穂助けてぇ!」
「お姉ちゃん、このハムカツもらうね」
「あーハムkむぐぐぐ!」
それと姉妹はやかましいから野菜食って黙れ。
「ほら雪穂も口開けろ」
「えっ私も?!」
「当然だ馬鹿野郎。姉妹そろって肉類ばっかり食いやがって」
「い、いやそういうことするのはお姉ちゃんにだけでいいんじゃ痛ああああっ!!結構容赦nむぐぅっ!」
雪穂の口にもレタスをぶち込んで制圧完了。これで平和が(一時的に)訪れた。
「はぁ、全く…」
「ふふふ」
「何すか」
「何だかんだ言って桜くんも楽しそうじゃない」
「どこがです」
「さっきからずっと笑顔よ?」
「笑顔じゃないっす」
「ケーキも穂乃果が好きそうな苺のケーキ買ってきちゃって」
「穂乃果のために買ってきたわけじゃないっすよ」
「結婚するって決めたら早めに教えてね!!」
「会話が成り立ってないんすけど??」
ここの家族まるごとバカなのか?
そもそも結婚がどうとか、付き合ってすらいないのにそんなこと考えねーよ。付き合いたいわけでもねーし。そう、別に付き合いたいわけじゃねーぞ。違うからな。
「ごくんっ、ケーキ食べる!!」
「食うのはえーよ」
「んぐっ、私も!」
「雪穂もかよ」
そして平和タイム終了。速すぎる。噛んだのかちゃんと。
また騒がしくなったが、幸せそうにケーキを食っている穂乃果を見るとまぁ、買ってきてよかったな、とは思う。
別に好きなわけじゃねーぞ。
だが、あんな幸せそうな表情を時々でいいから見れたらいいなと思う。
…俺にそんな資格は無いけど。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
まずは幸せ絶頂期の4人をお送りしました。え?水橋君と穂乃果ちゃんはまだ付き合ってない??知らんな!!←
何気に希ちゃんの両親が帰ってくるところが一番好きだったりします。ご両親への挨拶を逃す天童さん痛恨のミス!!笑
あと、水橋君が不穏なことを言うのはよくあることなのであんまり気にしないでください!!
ちなみに当作品は全年齢対象なのでR18イベントは起こりません。全員全力で回避します。