笑顔の魔法を叶えたい   作:近眼

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ご覧いただきありがとうございます。

前回☆10評価をいただきまして、さらに日刊ランキングにまで名前を載せていただけました!!皆様ありがとうございます!!お気に入りしてくださった方も5人くらいいらっしゃいますし、これはまだまだ頑張れってことですよね!!頑張ります!!

今回は前々回から続くユニットデート編の3話目です。ついに主人公の波浜君の出番!!…忘れそうになりますけど波浜君が主人公なんですよね。


というわけで、どうぞご覧ください。




(延長戦)ユニットデート:BiBi

 

 

 

 

 

 

 

やあ皆様久しぶり。波浜茜だよ。

 

 

今日は朝からお出かけだよ。メンバーはにこちゃん、真姫ちゃん、絵里ちゃん、まっきー、御影さん、そして僕。つまり元BiBiのメンバーとその彼氏達だね。

 

 

なんか他のユニットのみんながお出かけしてたって話をにこちゃんが聞いて、たぶん羨ましくなって今回のお出かけが決まった。女の子達はともかく、僕らは珍しい組み合わせになったね。

 

 

「でも何で遊園地なの」

「デートって言ったら遊園地に決まってるじゃない」

「これデートだったんだ」

「何よ嫌なの?!」

「嬉しい嬉しい痛い痛い」

 

 

そんなわけで今は遊園地の入園チケットを買ってるところ。デートって話は今初めて聞いたんだけどね。まあにこちゃんとお出かけできるならなんだってウェルカムだよ。だから首絞めないでにこちゃん。

 

 

あっやっぱ山登りは勘弁。死ぬ。冗談抜きで死ぬ。

 

 

「遊園地とは一般的にスリルを感じるアトラクションが多い。それはつまりパートナーと共に困難に立ち向かうことに似た環境であり、信頼関係を築くには適した状況ということになる。単純に遊園地を嫌う人が少数派だと言う理由もあるだろうが」

「冷静に分析しなくていいんだよ」

「はは…そうだね、心理学的には正しそうだよね。ただまぁ、僕はお化け屋敷だけはごめんだけどね…」

「御影さん怖がりですもんね」

「お恥ずかしい…」

 

 

御影さんはこう見えて絵里ちゃんと並ぶくらい怖がりなのだ。映画では幽霊役もするし呪い殺される役もするのにね。なんかかわいそう。

 

 

「こうやって手の甲にリアルな目描いたらびっくりするかな」

「ぎゃあああああっ?!?!」

「きゃあああああっ!!!!」

「予想以上のリアクション」

「何してんのよ茜!!」

「誠にずびばぜんでじだ」

 

 

出来心でホラーな絵を描いたらすんごいびっくりされてしまった。ごめんなさい。反省はしてるから許してにこちゃん。首絞めは死ぬって。後悔はしてないけど反省はしてるから。ほんとに。

 

 

「何をしている。入園チケットは買ってきたぞ」

「みんなで買うのも時間かかるから先に6人分買っておいたわよ。お金は後でいいわ」

「今回収しとかないとみんな忘れるよ」

「最悪忘れられたとしても私達に経済的な問題は全く無いんだがな」

「じゃあ奢ってよ」

「それは不公平だと真姫が言うからな」

「ちくしょう」

 

 

知らない間にまっきーと真姫ちゃんがチケット買っててくれてた。さすがエリート仕事が早い。でもそんなにお金に余裕があるならお金出してくれてもいいのに。僕らの財布に余裕が無いわけじゃないけどね。

 

 

「もう、いつまでそこにいるつもりなの?早く行くわよ」

「真姫ちゃんがうきうきを抑え切れてない」

「うきうきなんてしてないわよ!!」

「すまなかった、真姫。さぁ行こうか」

「あっえっと、うん…」

「真姫ちゃんを一瞬で籠絡するとはさすがまっきー」

「藤牧のことまっきーって呼ぶとややこしいからやめたら?」

「今更変える気にはなれないよ。石倉と宍倉よりは間違えないよきっと」

「誰よ石倉と宍倉って」

 

 

まあまっきーと真姫ちゃんっていう呼び方が微妙にややこしいっていうのは僕もわかってたよ。でも今更だね。仕方ないね。

 

 

「真姫ちゃんとまっきー、二人合わせてまっきまき」

「何言ってんのあんた」

「面白くなかったかぁ」

 

 

語呂はいいと思ったんだけどな。こういうのは松下さんに任せた方がよさそうだね。

 

 

ま、とりあえず入園しようか。まっきーと真姫ちゃんは先入っちゃったしね。

 

 

「で、なんで御影さんと絵里ちゃんはそんな遠くにいるの」

「えっいやっべっ別に何か理由があるわけじゃないよ!!」

「そっそうよ!決して茜の手を見るのが怖いわけじゃないわ!!」

「つまり僕が怖がられてるわけか」

「自業自得でしょ」

「厳しい」

 

 

ちなみに御影さんと絵里ちゃんはかなり離れたところでそっぽ向いていた。そんなに怖かったのね。ごめんね。確かにホラー風味で描いたけどここまで効果抜群だと思わなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、それでは行こうか」

「にこちゃん何乗りたい?」

「あんまり怖くなさそうなやつ」

「ジェットコースターとか?」

「怖い系の筆頭じゃないの!!」

「ぶぎゃる」

 

 

というわけで早速乗り物探しだよ。僕としてはジェットコースターよりフリーフォールとかの方が怖いと思うんだけどね。自由落下って怖い…怖くない?まあ怖いから苦手ってわけでもないんだけど。

 

 

「私達はどこでも構わないわよ」

「うん、ジェットコースターが苦手なわけでもないし…むしろちょっと乗ってみたいかな」

「じゃあお化け屋敷行こうか」

「…かっ構わないわよ?」

「声震えてるよ」

「だっだだだ大丈夫だよ」

「呂律回ってませんよ」

「事あるごとに煽るんじゃないわよ」

「てへぺろ」

「ふんっ」

「ぐぅえっ」

 

 

どこでもいいなんて言われたらお化け屋敷勧めちゃうよね。だって愉悦部だもん。つまり自然な流れ。だから殴らないでにこちゃん。反省したから。後悔はしてないけど。

 

 

「開園直後の時間帯は最も待ち時間が短い。最初に人気のアトラクションを選ぶのが最大効率だろう」

「出た効率厨」

「後悔しないためには効率よく動くのも大切だ。後で乗っておけばよかった、などと言われても私は取り合わない」

「強いなあ」

「いいじゃない。今でさえ1時間待ちみたいだし、これからどんどん伸びるわよ?蓮慈の言う通り、先に乗っておかないと時間がもったいないわ」

「真姫と藤牧さんの言う通りね。人気のアトラクションに先に乗ってしまいましょう」

 

 

特に予定を決めずに来ちゃったけど、こういう時はまっきーがお便利だ。さすが何でもできるマン。さすまき。さすまきって真姫ちゃんとまっきーの区別がつかないから良くないね。

 

 

まあとりあえず並ぼう。

 

 

「全然関係ないけど、真姫ちゃんってまっきーのこと名前で呼ぶんだね」

「なっ、何よ悪い?!」

「あんまり藤牧を名前で呼ぶ人見かけないわよね。雪村くらい?」

「そうだね。ゆっきー以外に名前で呼ぶ人はいないと思う…いや、今はまっきーのお母さんも呼んでるかも」

「ほぼ親族しかいないじゃない」

「実際ほぼ親族だからいいんじゃない」

「ま、まだ親族じゃないわよ!!」

「『まだ』ねえ」

「あっ、いやっ、そうじゃなくて!!」

「間違っていないだろう?真姫が大学を卒業するまで待っているだけだ」

「うぇえ?!」

「不意打ちプロポーズだ」

「茜もそれくらいしなさいよ」

「照れちゃう」

「ヘタレめ」

「あふん」

 

 

そりゃ照れちゃうよ。告白だって結構一大決心だったのに。そりゃ僕もにこちゃんが卒業したらプロポーズする予定ではあるけどさ。意外と猶予無くない?光陰矢の如し。さすがにこちゃん。さすにこ。にこちゃん関係ないわ。

 

 

「でも真姫ちゃんが卒業するまでってだいぶ後になっちゃうねえ。お医者さんになろうと思ったら最低でも医学部出なきゃでしょ。博士号も取ろうと思ったら30歳前後だよ」

「それに医学部って6年制だよね?加えて修士2年と博士で数年…一度も躓かなくても11年かな?長いね…」

「なに、心配ない。飛び級すればいいことだ」

「発想が常人のそれじゃないんだよね」

「飛び級はしようと思って出来ることじゃないでしょ」

「私が協力しているのだから問題ないだろう?」

「問題無くないと思うんだけど。えっその言い方だともう飛び級目指してるみたいに聞こえるけど」

「再来年度には博士課程に編入できる見込みだ」

「発想が常人のそれじゃないんだよね」

「何回言うのよ」

「何回でも言いたくなっちゃうヤバさ」

「私たちが卒業する前に博士課程までいっちゃうのね…」

 

 

飛び級させようとしてること自体もびっくりだけど、マジでそれを既にやってるのももっとびっくりだ。まともな人間が思いつく手段じゃない。

 

 

「おかげで毎日大変なのよ…。こんなに勉強頑張ってるのは初めて」

「だろうね」

「忙しくはあるが、充実した日々だろう?それに西木野先生の跡継ぎとしては、飛び級したという事実だけで信頼度も高くなるだろう」

「そういうとこも考えてんの怖いわね」

「そもそもまっきーの仕事量でどうして家庭教師する暇があるのか」

「今までしていたことを3倍の速さでこなせば時間が空くだろう?」

「まっきー実は馬鹿なんじゃないかと思えてきた」

 

 

理論上はそうだけどそうはならんでしょ。世の中のお医者さんがどんだけ命削ってると思ってんの。ごめん僕も知らない。

 

 

ところで、なんかすっごい見られてる気がするんだけど何でだろう。いや何でだろうじゃないね。有名人だらけだったわ。さすがにまっきーは一般的に名が知れてるわけじゃないけど、まっきー以外は普通に有名人だ。御影さんは今日は変装してないし。注目を浴びないわけない。

 

 

「…なんか視線すごいわね」

「にこちゃんかわいいから仕方ないね」

「ふんっ」

「痛い痛い」

「大地さんがいるだけで十分目立っちゃうわよね…」

「うーん、やっぱり変装した方がよかったかなぁ」

「ダメよ。私は大地さんとデートしに来たんだもの」

「う、うん」

「おっ砂糖生産工場かな」

「余計なこと言うんじゃないわよ」

「あぼん」

「もう、余計目立つようなことしないでよ…」

「手遅れだと思うがな」

 

 

まあ確かに手遅れだね。既に周りはざわざわしててスマホ構える手が多数。今Twitterでエゴサしたら楽しそう。やらないけど。

 

 

今更目線集めるのを気にしてもしょうがないから平常心でいこう。にこちゃんが面倒に巻き込まれなければ何でもいいです。

 

 

「ところで遊園地デートって賛否両論あるらしいね」

「急に何の話よ」

「会話盛り上げてるんだよ」

「それ盛り上がる話?」

「遊園地でのデートは、多くのアトラクションに乗るために必然的に『待ち時間』が長くなる。何かを待つための空白の時間を如何に繋ぐかが試されることになるため、場合によっては気持ちが冷めてしまうケースもある」

「めちゃくちゃ食いつきいいわね」

「こんな余計な知識まで持ってるとは僕も思わなかった」

「この世に余計な知識などない。私が知りうる限りのことくらいは覚えておくのさ」

「向上心がエグい」

 

 

まっきーに勝てる未来が見えない。

 

 

「確かに…話をするのが苦手だと、こういう待ち時間は困っちゃうかもしれないね」

「一緒にいるだけで楽しいってこともあると思うけれど…」

「そう感じられるならそれはそれでベストマッチなんじゃないの」

「その通りだな。空白を繋ぐ手段は会話に限らない。仮に全くの無言であっても、互いに不満や不快感を感じないのであればそれでいいのだろう」

「さすがにベストマッチにはツッコんでくれないんだね」

「仮面ライダービルドだろう?」

「知識量の暴力」

 

 

仮面ライダーまで網羅してるとは思わなかった。まっきーが知らないことってもはや無いんじゃないのかな。

 

 

基本的に今日の面子は頭がいいから、まっきーのスーパー知識量無双にも感心しながら聞いてた。にこちゃん?にこちゃんはまあ、うん。時々僕にツッコミを入れる仕事があるから。

 

 

「しかし、特にスリル系アトラクションがある遊園地であればデートに優位だと考える。同じスリルを体験することは吊橋効果と同等の効果を持つため、互いの絆を向上させることが期待できる」

「吊橋効果って錯覚じゃあ…?」

「錯覚でも何でも、仲を深めることに有用なら利用すべきでしょう。自己暗示やプラシーボ効果も有用な錯覚の一つですから」

「病は気からとか言うしね」

「病は気から、の『気』は精神のことではなく、オーラやエネルギーとしての『気』を指すから厳密には少し違うのだが…大まかには同義と見ていいだろう」

「えっそうなの」

「黄帝内経素問という古代中国の医書の一文に由来する。そもそもの『病気』という言葉の語源でもあるな」

「知らなかったわ…」

「いやいや知ってる人の方が少ないよ今の話!」

 

 

感心しながら聞いてた(理解できてるとは言ってない)。どこからそんな知識を拾ってくるんだこいつ。頭の中にパソコン入ってんじゃないの?インテル入ってる?入ってない?

 

 

「思いの外盛り上がっちゃった」

「盛り上げようとしてたんなら成功でしょ」

「確かに。もっと褒めていいんだよ」

「調子乗んな!」

「ぐぇ」

 

 

今日も握力絶好調だねにこちゃん。

 

 

そんなことしてたらもう順番来ちゃった。案外早いね。

 

 

カップル同士で三列使ってジェットコースターに乗り込む。絵里ちゃん達が先頭で、真姫ちゃん達が二列目で、僕らが三列目。ジェットコースター自体は苦手でも何でもないけど、ちょっと緊張するね。いやメンタル的な苦手とは別ベクトルで苦手ではあるんだけど。

 

 

「というかいつぞや創一郎と凛ちゃんのデートを尾行した時にジェットコースター乗せられたのを思い出すね」

「嫌なこと思い出させるんじゃないわよ」

「やめて…あの日はお化け屋敷の記憶しか残ってないのよ…」

「天童は処す…」

「びっくりするほどトラウマになってる」

「私は蓮慈が全然怖がらなかったことしか覚えてないわね」

「おおよそ何が来るかわかっていれば驚くこともないだろう?」

「そんなことないわよ」

 

 

ジェットコースターと関係ないところに意識が持ってかれてる。

 

 

「ジェットコースターって何でスリル感じるんだろうね」

「急に根本的なところに疑問持ったわねあんた」

「いやこういう話の解説をしてもらったら怖くないかなって」

「そんなわけないじゃない…」

「単純に速度、落下、拘束、場合によっては不安定さも含めた総合的な『生命の危機』に通ずるからだろう。精神的恐怖がお化け屋敷ならば物理的恐怖がジェットコースター類というわけだ」

 

 

自分から聞いといてなんだけど、途中からまっきーの話は聞いてなかった。

 

 

だってあいつが話してる間に落ち始めたもん。

 

 

むしろ周りが絶叫してるのに平然と喋ってるまっきーには狂気を感じる。

 

 

「ああああああああああああああ」

「ぎゃああああああああああ!!」

「きゃあああああああおああ!!」

「わぁああああああああああ!!」

「何で蓮慈はそんな平気そうなのよぉお!!!」

「叫んだ方がよかったか?」

「遅いわよおおおお!!」

 

 

目の前で真姫ちゃんがまっきーにしがみつきながら罵倒していた。いいなぁにこちゃんも僕にしがみついてくれないかな。くれなさそうだね。完全に下向いちゃってるわ。

 

 

ちなみに絵里ちゃんと御影さんは叫んでる割には楽しそう。多分慣れてらっしゃる。

 

 

え?僕?

 

 

僕は風圧で死にかけてるよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「きゅう」

「何の抵抗もなくジェットコースターに乗り込んでたから平気になったのかと思ったじゃない」

「なわけ」

「まったく。私が考案したトレーニングをやっていれば、この程度の風圧でやられることもなかっただろうに」

「やだよあのトレーニングキツいもん。縄跳び10回とか腹筋5回とか」

「貧弱すぎるでしょ」

 

 

言ってなかったけど、僕はジェットコースター乗ると死にます。風圧で息が苦しくなっちゃうから。じゃあ何で乗ったんだって話だよね。

 

 

もちろん、前に創一郎の尾行してた時も死んでたよ。

 

 

ワンチャンあるかと思ったけど無かったね。無念。

 

 

「仕方ないな。肺への負担も考慮してアトラクションを選ばなければ」

「置いてっちゃえばいいわよ」

「無慈悲なり真姫ちゃん」

 

 

もっと優しくしてくれていいんだよ。

 

 

「何、案ずることはない。遊園地に絶叫系のアトラクションしかないわけではないのだからな」

「富士急以外はね」

「富士急ハイランドも全てが絶叫系ではないだろう?」

「8割がた絶叫な気がするけど」

「8割は全てではないだろう?」

 

 

8割はほぼ全部でいいんじゃないの。

 

 

「どっちにしろまっきーが絶叫することなんてないじゃん」

「そんなことはないぞ」

「僕まっきーが絶叫してるとこなんて見たことないけど」

「それは茜が知らないだけだ。真姫なら知っている」

「そりゃ親族と友達じゃ関わってる密度が違うじゃん」

「だからまだ親族じゃないってば!!」

 

 

相変わらず「まだ」親族じゃないった主張してくる真姫ちゃん。超両想いじゃん。本当に何がこの二人の距離をここまで縮めたの。まっきーが心理学的な何かを使ったのかな。ずるくない?ずるくないのか。

 

 

僕らがわきゃわきゃしてる間に、いつのまにか絵里ちゃんと御影さんが若干距離を離していた。あれだな、お化け屋敷に行きそうな気配を感じ取ってるんだな。だってジェットコースター的なスリルアトラクション以外の絶叫系ってお化け屋敷が筆頭だもんね。

 

 

逃げ切られる前に提案しよう。怖がりのお二人のリアクションみたいもんね。そう、愉悦部ならね。

 

 

「スリルを求めるならお化け屋敷がいいんじゃないの」

「「え゛っ」」

「ん?お化け屋敷は御影氏と絢瀬嬢が苦手だろう。呼吸を阻害しないアトラクションならフリーフォールが最適だと思うが?」

「…まさか一瞬で論破されるとは思わなかったんだけど」

 

 

仰る通りだよ。フリーフォールなら正面から風圧が来ないから平気です。でも今僕が求めてるのはそーゆーのじゃないんだよ。もうちょっとこう、人の不幸は蜜の味みたいなアレが欲しいの。クズじゃん。どうもクズです。

 

 

「…………いや、お化け屋敷、行こう」

「だっだだだ大地さん?!」

「怖いのは苦手だけど…ずっと苦手なままってわけにもいかない。絵里ちゃんに相応しい男になるためにもね」

「大地さん…」

「にこちゃん、僕ブラックコーヒー買ってくる」

「私の分も買ってきて」

 

 

御影さんの決意のおかげで狙い通りにはなったけど、代わりに砂糖爆撃を食らった。ケツイと共に砂糖でも満たされた。

 

 

「わざわざ全ての苦手を克服する必要は無いと思うが…本人が望むならいいだろう」

「なんだ、まっきーって苦手なことは全部克服しちゃえタイプじゃないんだ」

「私にも苦手なことはあるからな。人に強くは言えないさ」

「えっ何それまっきーの苦手なこととかなんて魅力的な脅迫材料」

「教えないぞ」

「真姫ちゃんに聞こう」

「真姫も知らない」

「えー」

 

 

ついでに素敵な情報のタネが降ってきた。完璧超人まっきーの苦手分野とかとても興味ある。今度天童さんと相談して解明してやろう。うへへ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

というわけでお化け屋敷…を抜けてきたところだよ。僕らは。最後に入った御影さんと絵里ちゃんがやたら遅いから待ってるとこ。

 

 

中の様子の実況とかはないよ。だってにこちゃんがビビり散らしてるのなんて他の人に見せたく無いもんね。僕だけの秘密。あとまっきーは面白くない。

 

 

そんでにこちゃんと真姫ちゃんは暇だからクレープ買いに行った。

 

 

「今更なんだけどさ」

「なんだ?」

 

 

だからずっと気になってたことを本人に聞いておこう。

 

 

「いつから真姫ちゃんと仲よかったの」

「いつから、か…。真姫がどう思っているかはわからないが、私は彼女が幼い頃から仲が良かったと思っている」

「あー、僕らが意識不明の間にまっきーは真姫ちゃんと会ったことあるんだったっけ」

「その通りだ。西木野先生に頼まれて家庭教師をしていてな」

「片腕片目を失った重症患者に労働を頼むとは」

「その程度で遠慮することもないだろう」

「その程度ってレベルの怪我ではないんだよね」

 

 

ほんとに基準がバグってるなこいつ。

 

 

「…まぁ、あの当時は少し私もショックを受けていたんだよ。だから真姫が私を天才だと信じてくれたのが心の支えになったのさ」

「まっきーってショック受けるんだね」

「私とて人間だぞ?」

「人間にしてはできることが多すぎるんだよね」

 

 

意外だ。まっきーもメンタルダメージ受けてたんだね。そう考えるとあの事故で一番平気だったのはゆっきーなのかもしれない。てゆーか家族が巻き込まれてないんだから精神的には一番マシだったかも。

 

 

「母様の手術の時にも…成り行きではあるが、側にいてくれてな。あの時は真姫がいなければ…どうなっていたか」

「何、なんかあったの。いや何かあったらしいことは聞いてるんだけど誰も詳細教えてくれないんだけど」

「ふふっ秘密だ」

「うわあ知識披露したいマンのまっきーから秘密なんて言葉が出るとは」

「何だ知識披露したいマンとは」

 

 

まっきーのお母さんが回復したって話は聞いてるし、手術の際に何かしらあったのも聞いてるけど、具体的に何があったのかは未だに聞いてない。天童さんも教えてくれないし。気になる。私気になります。

 

 

「とにかく、真姫のおかげで今の私がいるのは事実。彼女に救われたこともまた事実だ」

「僕とにこちゃんみたいな感じかな」

「近いかもしれん。一番辛い瞬間に側にいてくれることが、これほど大きな意味を持つとは思っていなかったな」

「まっきーにも想定外のことあるんだね」

「私も天才では無いからな」

「昔は天才だ天才だって言ってたくせに」

「傲慢だっただけさ」

 

 

僕とまっきー、性格も生き様もまるで違うけど、愛情を感じたポイントは似たようなものだったみたいだ。

 

 

人間って不思議だねぇ。

 

 

「真姫は素直じゃないし照れ屋だが、心の中では優しさが満ち溢れている。私がずっと共に歩んでいきたいと思うほどにな」

「そういうことならにこちゃんも負けてないんだけど」

「やめておけ。お互いの彼女自慢など平行線にしかならないだろう?お互いの中で一番であれば、それでいい」

「なんか大人な考え方で若干ムカつく」

 

 

そういえば真姫ちゃんとにこちゃんって割と似たもの同士だ。二人ともツンデレだし負けず嫌いだし、その割に困ってる人をほっとけないタイプだし。なんだかんだいって助けてくれる。

 

 

そんな二人を好きになった僕ら、案外似てる部分があるのかもしれない。

 

 

「でもやっぱにこちゃんの方がかわいいよ」

「まだ言うか。私の中では真姫が一番なのだよ」

「にこちゃんのかわいさに気づけないなんて可哀想に」

「ふ。真姫の可愛らしさの方が上だと思うがね」

「ほー。彼女のかわいさ自慢合戦でもしてみるかい」

「そのような語彙力の勝負で私に勝つ気か?」

「語彙力は愛でカバー」

「それならば私が勝つな。それこそ愛情で負けることはない」

「ほーう、じゃあ

「「恥ずかしいことすんな!!!」」

「ぶぎゃる」

「おっと」

 

 

負けられない戦いをしようかと思ってたら二人とも帰ってきちゃった。無念。そしてにこちゃんいつもより強めに殴ったね。照れてるんだね。やっぱり可愛い。にこちゃんかわいいヤッター。

 

 

対するまっきーは真姫ちゃんの拳をしっかり受け止めていた。ぐぬぬ。

 

 

「何だ、わざわざ後ろから回り込まなくてもよかっただろう?」

「何か二人で話してるみたいだったから驚かせようと思ったのよ。そしたらあんたたちが恥ずかしいことしようとしてたからつい殴っちゃった」

「『つい』で殴られるとは恐ろしいな」

「それに恥ずかしくなんかないよ」

「私が恥ずかしいっつってんのよ殴るわよ」

「ぐへあ」

 

 

殴るって言う前に殴るのはズルくない?

 

 

まっきーも真姫ちゃんに何かわーわー言われてるけど、物理攻撃は全く効いてなそう。ていうか当たってないし。

 

 

でもまっきーの顔が微妙に赤くなってるから、聞かれて恥ずかしいという気持ちはあったみたい。意外だね。

 

 

まっきーもちゃんと人の子なんだね。

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ、はぁ…た、助かった…」

「ふええ…」

「…そういえばあんたたち、やっと出てきたのね」

「忘れてたわ」

 

 

ちなみにお化け屋敷苦手カップルはたっぷり1時間くらいらかけてやっと出てきた。そんなに何度も足を止めてる方が怖いと思うんだけど。

 

 






最後まで読んでいただきありがとうございます。

BiBiだけ長くなっちゃった。主人公だもんね!仕方ないね!!(仕方なくない)
あんまり藤牧君の心中に焦点を当ててこなかった気がしたので藤牧君のお話になりました。御影さんは既に何回かカッコいいとこ見せてるのでいいかなって。

いい加減Aqours編書けって怒られそう。
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