笑顔の魔法を叶えたい   作:近眼

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ご覧いただきありがとうございます。

またまたお気に入りしてくださった方がいて喜びの舞を踊っております。ありがとうございます!!さらに寿命が伸びました!!
本日のお昼からぷちぐる配信ですね。楽しみで楽しみで震えます。スクスタも早くリリースしないかなー。

というわけで、どうぞご覧ください。




高校数学ってガウス積分とかできたっけ

 

 

 

「大変申し訳ありません!」

「ません!」

 

 

部室に戻ってきて、みんなに頭をさげるオレンジ髪ガールズ。オレンジは勉強できないカラーなんだろうか。

 

 

「小学校の頃から知ってはいましたが、穂乃果…」

「数学だけだよ!ほら、小学校の頃から算数苦手だったでしょ?!」

「算数」

 

 

そこからかい。

 

 

「7×4は?」

「…………2……6………?」

「嘘だろ」

 

 

圧倒的に手遅れな気がする。園田さん、南さん、幼馴染ならどうにかできなかったの。この子和菓子屋の子なんじゃないの。だいたいなんでこの子両手使って数えてるの。両手じゃ届かないよ。二進数か。二進数なのか。

 

 

「凛ちゃんは?」

「凛は英語!英語だけは肌に合わなくて!」

「肌に合わない」

 

 

こっちはこっちで生理的な問題にし始めた。

 

 

「た、確かに英語は難しいもんね…」

「そうだよ!だいたい凛たちは日本人なのに、どーして外国の言葉を勉強しなきゃいけないの?!」

「屁理屈はいいの!」

「真姫ちゃん怖いにゃあ〜」

 

 

よく言うけど、英語はできないと大変だよ。海外旅行がしんどくなるのが殊更に辛い。個人的な理由じゃないかまったく。

 

 

「これでテストの点が悪くてエントリーできなかったら恥ずかしすぎるわよ!せっかく生徒会長も突破したのに」

「ま、ままま全くその通りよ!ああああ赤点なんてとるんじゃないわよ!」

「にこちゃん人のこと言えない」

「うっ」

「あとにこちゃん、教科書逆さだぜ」

「うううっ!」

 

 

にこちゃんはまあいつも通りアウトなので、いつも通り僕が面倒見ることになるだろう。

 

 

「とにかく、試験までは私とことりが穂乃果の、花陽と真姫は凛の、波浜先輩はにこ先輩の勉強を見て弱点教科をなんとか底上げしていくことにします」

「まあ、それがいいだろうねえ」

 

 

園田さんの提案に僕は全面的に賛成。赤点リーチガールズ以外もそれで同意した。赤点リーチガールズには人権はない。

 

 

のだけど。

 

 

「それよりも、うちがにこっちの勉強を見て、全体の総監督を波浜くんにお願いする方がええと思うよ?」

 

 

急に扉を開けて発言したのは東條さん。聞いてたんかい。盗み聞きはよくないよ。そして僕からにこちゃんを奪うのはもっとよくないよ。

 

 

「にこちゃんの面倒は僕が見るし、他の子の面倒は見る気ないよ」

「相変わらずぶれへんなあ…。じゃあうちと波浜くんの役割を交代する?」

「総監督とかいる?」

「いるいる。だってにこっち、ふざけるときあるやん?そういうときに…」

「ひぃっ!」

 

 

東條さんはにこちゃんの後ろに回り、凄まじい速度と正確さで背後からにこちゃんの胸を鷲掴みにした。速攻で目を背けた。

 

 

「お仕置きが必要やん?」

「ひ、ま、真面目にやるからぁ…」

「…うん、それは勘弁してあげて」

「ほーら波浜くんこっち見て」

「悪魔か」

「ご褒美やん」

「いやいや…いや、なんか揉むと大きくなるとかいう都市伝説があるからなんだかんだにこちゃんにとってはご褒美では」

「死ね!」

「あふん」

 

 

天才的発想を伝えたら、にこちゃんは胸をつかまれているというのにペットボトルを投げてきた。中身入ってなくて良かった。痛いけど。目を背けてるから避けれなかったよ。見てても避けれないけど。

 

 

「そういえば、波浜先輩って成績はいいんですか?」

「まあ、そこそこ?」

 

 

南さんに尋ねられたけど、適当に返事しておく。能ある鷹は爪を隠すとかいうでしょ。正確には注目を集めたくないだけですはい。っていうかにこちゃんからの暴虐はスルーなのね。リーダー決めの時から思ってたけどスルースキル高いね君ら。

 

 

「試験はいっつも一位よ。二位が絵里で、三位が希」

「えええ?!」

「全然そこそこじゃないです?!」

「意外…」

「誰だい意外って言った子」

 

 

なんで言っちゃうのにこちゃん。なんでそんなに驚いてんのみなさん。そんなに僕頭悪く見えるかい。意外って言っちゃう正直な子はどうせ西木野さんだろ。知ってる。知ってるのに誰だって聞いちゃうのよくないね。

 

 

「僕の頭よりも、赤点回避の方が大事でしょ。ほらやるよ、練習よりも勉強だ」

「えー!練習したい!」

「したいにゃー!」

「君ら自分の状況理解してる?」

 

 

息抜き程度の運動は構わないけど、勉強しないと如何に練習しても本番ではステージに上がれないのだ。頼むから勉強して。日頃から。

 

 

 

 

 

 

「えーっと、試験範囲どこだっけ。ガウス積分?」

「何よそれ」

「なんでガウス積分ピンポイントなん?」

 

 

そういえば授業さっぱり聞いてないからテスト範囲とか知らない。知らなくてもどうせ解ける。

 

 

「まあどうせ微分積分はやるでしょ。とりあえず微分やろう微分」

「微分って聞くだけで頭痛くなる…」

「んじゃあ間違えた分だけバストサイズ増強ということで東條さんよろしくね」

「まかしとき」

「鬼!悪魔!」

 

 

誰が悪魔だ誰が。善良な一市民に対して言うことじゃない。僕、善良だろ?

 

 

「とりあえず微分のやり方を覚えてるか確認しようか。はいどうぞ」

「そのくらい覚えて…るわよ」

「…」

「…」

「東條さんステンバーイ」

「ラジャー」

「待って待って待って!い、いいい今できそうだから!!」

 

 

どうも簡単な微分すらできないようだ。まあそれくらいは許容範囲で予測圏内。冗談でスタンバイさせた東條さんにはキャンセルを入れておいて、しっかり教えていこう。

 

 

「できないのに無理しない、意地張らない。ほら、やり方教えるから」

「ううう……」

「にこちゃん、萌えちゃうから涙目禁止」

「萌えちゃうからって」

 

 

にこちゃんが半泣きで睨んできたので不覚にもきゅんきゅんしてしまった。あー可愛い。東條さんにジト目で見られたけど気にしない。

 

 

にこちゃんに微分を教えながら横目で後輩たちを見てみると、星空さんは小泉さんにフェイントを入れて西木野さんに怒られており、高坂さんは南さんを目の前にして寝ようとしていた。園田さんはそんな様子を見て辟易しつつ、弓道部に向かったようだ。

 

 

うん、これ大丈夫かな。

 

 

 

 

 

 

そんで翌日。にこちゃんを呼びに行ったら既に教室には居らず、部室に向かったら赤点リーチガールズは1人もいなかった。どこいったんだろう…と一瞬思ったけど、どうせこっそり練習しに行ったんだろう。連れ戻さねば。

 

 

というわけで屋上の扉を開くと、何故か床でびくんびくん痙攣している赤点リーチガールズと、外を神妙な面持ちで眺める東條さんがいた。大体察したので一旦扉を閉めた。深呼吸して、もう一度ゆっくり扉を開く。何度見ても、にこちゃんの色々やばい表情に変化はなかった。

 

 

うん。

 

 

戻ろう。

 

 

あの場に僕は居られない。

 

 

というわけで僕は部室にとんぼ返りした。戻ったら残りの面子は揃っていた。とりあえず予測される現状を伝えていたら4人とも帰ってきた。あーにこちゃんその顔でこっち見ないで僕死んじゃう。

 

 

「今日のノルマはこれね!」

 

 

バァン!と大量の本を机に叩きつける東條さん。立派に総監督していらっしゃる。もう全部君でいいんじゃないか。

 

 

「「「鬼……」」」

「あれぇ?まだわしわしが足りてない子がおるん…?」

「「「まっさかぁ!!」」」

「勘弁して」

「波浜くんがダメージ受けるのは予想外やったなぁ」

「そっそうよ!茜がいるんだから、あ、あ、あんなお仕置きはやるべきじゃないわ!!」

「そうですそうです!お嫁にいけなくなっちゃいます!!」

「っていうか既にギリギリアウトくらいにゃ!!」

 

 

大量の怨敵を目の前にして戦慄する3人に追い打ちをかける東條さん。そして僕の呟きを拾って反撃する3人。いいぞがんばれ。ただし星空さん、残念ながらギリギリでもなんでもなくあれはアウトだと思う。

 

 

「じゃあ次サボろうとしたら波浜くんの目の前でわしわしするね」

「待って」

「悪魔だわ…!!」

「赤点回避にお嫁さんがかかってるなんて…」

「逃げ場がないにゃ…」

「待って」

「じゃあノルマ、頑張ってね」

「「「はーい…」」」

「異議申し立ての隙すらくれないのか」

 

 

悪いこと何もしてないのに僕に災いが降りかかる罰を提案され、自然な流れで実行される感じになっていた。待って。僕は悪くない。ほんと待って。もうこれ御三方が逃亡しないように頑張るしかないのか。

 

 

「ことり、穂乃果の勉強をお願いします」

「え?うん…」

 

 

こっちで最悪の事態を回避すべく頭をフル回転させていたら、園田さんが何故かさっさと退避してしまった。破廉恥禁止病が発動したのだろうか。

僕も逃げていい?

 

 

「ごめんね、うちも少しだけ出てくるわ」

「マジで」

 

 

東條さんもログアウトしてしまった。そしてここぞとばかりに逃げ出そうとする御三方。

 

 

仕方ないので積まれた本をバシンと叩いて、真顔で睨んで威嚇。絶対確実に何があっても僕の目の前でわしわしMAXなんていう事態は避けなければならない。絶対本当に何が何でもいやマジで。

 

 

「えっと…波浜、先輩?」

「目が…目が怖いにゃ…」

「ま、待って茜、ちゃんと勉強するから、」

「よし君ら」

「「「はいっ!」」」

 

 

低音ボイスで声出したら大いにビビってくれた。低音便利。

 

 

「一瞬でも逃げ出す素振りを見せてみろ」

「み、見せたら…?」

 

 

おそらく条件反射で罰則を聞いてくる高坂さん。にこちゃんは小声で「聞かない方がいいわよ」って言ってるけど気にしない。

 

 

「僕は優しいから選択肢を3つ提案しよう」

「嫌な予感しかしないにゃ…!」

「絶対優しくない…」

 

 

何か言ってるけど気にしない。

 

 

「一つ目。マイクロビキニ姿で一曲分PV撮ってもらう。曲も衣装も振り付けも僕が直々に考える」

「わしわしよりよっぽどお嫁にいけなくなりますよ?!」

「知るか。二つ目、下着姿かつ全力で恥ずかしいポーズでグラビア撮影をさせていただく」

「えげつないにも程があるにゃ!!」

「うるさい。三つ目、君らが主役のエロ同人を描かせてもらう」

「どれ一つ救われない!!」

「何で救いがあると思ったの」

 

 

とりあえず思いついた恥ずかしい限りの罰則を提案したら3人とも、というか全員引いていた。外野関係ないでしょう。

 

 

「さあ気張れ、痴態を晒したくなければね」

 

 

もう一度本の山に手のひらを叩きつけ。

 

 

今ここに、主に僕の心を守る戦いが始まった。

 

 

 

 

 

 

 

その日の夜。あの後戻ってきた園田さんが高坂さんの家に泊まり込み勉強するとか言い出したので、対抗して僕はにこちゃんの家に単身乗り込んでいた。対抗する意味?ないよ。

 

 

「じゃがいもこのくらいの大きさでいいかい」

「ん、ありがと。あとにんじんもお願いね」

「あいさ。終わったらコーンスープの準備しとくね」

 

 

それで何をしてるのかと言われれば、見ての通り、料理だ。今日はシチューだそうなので勝手に追加させていただいたコーンスープと共に作るのをお手伝い中である。ついでにフランスパンも買ってきたので虎太朗くんがフランスパンで遊んでる。食べ物で遊んじゃだめよ。

 

 

「にんじん完了。ここ置いとくね」

「ありがと。コーンスープの前に虎太朗からフランスパン取り上げてきて」

「容赦ないね」

「食べ物で遊んじゃダメなのよ」

 

 

流石お姉ちゃんだ。そういうわけなのでフランスパンは没収させていただいた。虎太朗くんは悲しそうに「うあー」って言ってたけどこれは返せない。ごめんよ。

 

 

そんなこんなで矢澤家の食卓は完成。本日はにこちゃんママはいないが、実際いる方が珍しいので気にしないし気にならない。それよりもにこちゃんがシチューwithフランスパンを美味しそうに食べてるのが眼福だ。今死んでもいい。嘘嘘今死んだらにこちゃんの未来が見れない。

 

 

ご飯を食べて、お風呂を済ませたらにこちゃんお勉強タイム開始である。お子様たちはすでに寝かせた。

 

 

「基本的に過ナントカって名前の化合物は酸化力が高いから覚えとくといいよ。過マンガン酸カリウムとか過塩素酸とか」

「そもそも名前を覚えられないのよ…」

「じゃあ雰囲気で」

「何でそこ適当なのよ」

 

 

にこちゃんはなんだかんだ言いつつ文系教科はそれなりにできる。特に国語。でも理系が悲惨なので数学やら化学やらは集中的にやんないとにこちゃん死んじゃう。

 

 

「酸化還元が試験に出ないなんてことはないと思うからちゃんと覚えないとね。しかしどうやって覚えようか」

「茜はどうやって覚えたのよ」

「僕は苦労しなくても覚えられたから困ってるんだ」

「あーいいわねー頭良くてー」

「馬鹿言うな。僕は歴史は苦手なんだぞ。覚えられない用語は300回書いて頑張って覚えたんだ」

「ゲシュタルト崩壊しないのそれ」

 

 

実際、一部ゲシュタルト崩壊しかけたから途中でやめた。墾田永年私財法とか。指痛くなるわ。

 

 

「とにかく、頭に入らないなら気合いで体に叩き込むのも大事だよ」

「体に…」

「何でそこに注視したの」

「いや…わしわしの恐怖が」

「なんかごめん」

 

 

僕は悪くないのにココロが痛くなった。くそう、東條さんめ。

 

 

…何も返事が来ないのでにこちゃんの顔を見ると、何だか真剣なような、悲しそうなような、よくわかんない顔で机を、いや虚空を見つめていた。どうしたの急に。

 

 

「にこちゃん、どうかした?」

「…」

「…にこちゃん?」

 

 

返事がない。何故だろう、何か悪いこと言ったかな。わしわしMAXってそんなに精神ダメージを食らうものなのかな。怖いわー。

 

 

「…ねえ、茜」

「なーに」

 

 

やたらと真剣な声色だった。なんというか、推理ドラマで事件の真相に気づいてしまった一般人Aみたいな。伝わらないか。ていうかそれ死亡フラグだよね。とにかく、何か重大なことに気づいたみたいな、それを伝えようとしてるみたいな。そんな声。

 

 

「…ううん、何でもない。それよりもう寝ていいかしら。そろそろ日付超えるわよ」

「ノルマ終わらせないとわしわしMAXが待ってるけど」

「ううう、逃げ場がない…!」

 

 

先の真剣さはどこいったと言わんばかりにいつもの調子になった。まあ、にこちゃんが何でもないと言うなら何でもないんだろう。それよりもノルマ終わらせようね。あと少しなんだから。

 

 

 

 

 

 

 

そして、試験返却日。

 

 

相変わらず満点だらけの答案を即刻鞄にしまったところでにこちゃんが教室に飛び込んできた。走っちゃだめよ。ぶつかるよ。

 

 

「茜、見なさい茜!全部平均点以上だったわよ茜!!ちょっと聞いてんの茜!!!」

「聞いてる聞いてる聞いてるから落ち着いて。そんなに注目浴びたくないよ僕は」

「早く部室行くわよ、これで凛とか穂乃果が赤点取ってたら話にならないし!!」

「僕の話は聞いてくれないのね」

 

 

反応する間も無く腕をガッチリ掴まれて連行される。絢瀬さんは鞄を持ったままため息ついてるし東條さんは困ったような笑顔で見てくる。助けてよ。

 

 

部室には僕らが一番乗りだったため、にこちゃんは早速特等席でふんぞり返っていた。ご丁寧に答案を机に並べて。まあ全部平均越えはいいことなんだけど、君の周りの同級生はトップ3だってこと忘れないようにね。

 

 

程なくして1年生組が部室に入ってきた。西木野さんの心配は元よりしていないし、小泉さんも大丈夫だとは思っていた。本人は安堵の表情だけど。

 

 

で、肝心の星空さん。

 

 

「ふっふっふー!にこ先輩どうでした?」

 

 

…もうちょっとポーカーフェイスを身につけるといいんじゃないかな。赤点が無かったのが丸わかりだ。対するにこちゃんは余計ふんぞり返った。倒れるよ。後ろに。

 

 

「ふふん、この答案を見なさい!なんと全部平均越えよ!」

「えええ?!」

「すごいです!」

「そうかしら」

「西木野さん、そういうのは言っちゃダメよ」

 

 

驚く星空さん、感心する小泉さん、そして平常運転西木野さん。平均越えは統計上は全体の半分の人しか取れないんだから馬鹿にしちゃいけないよ。

 

 

「とりあえず、その様子だと星空さんもセーフだったみたいだね」

「なんだか素直に喜べないにゃあ〜…」

「どーゆーことよ!」

「にこちゃん落ち着きな」

 

 

赤点取る取らないのレベルで喧嘩しないの。っていうかにこちゃん煽り耐性なさすぎよ。昔からだけど。

 

 

にこちゃんをなだめていると、南さんと園田さんがやってきた。この2人も心配はない。多分。南さん凡ミス多そうだけど、勉強はきっちりやってそうだし。

 

 

そして、少し遅れてやってきた高坂さん。

 

 

「どうだったかな」

「凛は大丈夫だったよ!」

「あんた私たちの努力を水の泡にするんじゃないでしょうね!」

「穂乃果ちゃん!」

 

 

いろいろ言われながら扉の前に立つ高坂さんは、どうやら後手に答案を隠しているようだった。

 

 

「…もうちょっといい点だったらよかったんだけど…」

 

 

そう言ってみんなに見せつけた答案の点は、53点。

 

 

半分以上取って赤点なんてあるわけない。

 

 

「じゃーん!!」

「わざわざ不安を煽るような言い方しないでよ」

「あはは…ごめんなさい」

 

 

まあ、後手に答案隠していた時点で無事なのはわかっていた。だってアウトだったら見せたくないでしょ、答案。見せる準備をしていたってことは見せてもいい点数だったってことに他ならない。

 

 

「よーし、早速練習だぁ!!」

「うん、それはいいんだけど着替えるのは僕が外に出てからにして」

「わあああ!波浜先輩のえっち!!」

「理不尽が過ぎないかい」

 

 

元気満タンの高坂さんにマッチポンプ的冤罪を吹っかけられながら、先に屋上に出向…こうとして、まずは理事長さんに報告すべきかと思い直して足を理事長室に向ける。のんびり歩いていたら後ろから高坂さんが鼻歌スキップで追いついてきた。着替え早いね。南さんと園田さんも一緒だ。自力で報告する気だったらしい。それにしてもゴキゲンだなぁ。

 

 

しかし。

 

 

「あれ?」

「どうしたの」

「中から生徒会長の声がして…」

「絢瀬さんの…?何か用事あったのかな」

 

 

そういえば、絢瀬さんはにこちゃんが突撃してきた時点で既に鞄を持っていて、外出準備完了してた気がする。理事長さんに呼ばれてたのだろう。

 

 

がちゃっと高坂さんが扉を薄く開けると、中から声が聞こえてきた。いやノックしなさいよ。理事長室は本来ノックするべきところでしょうよ。前回来た時もノックは…あ、してないか。東條さんが開けちゃったから。

 

 

そして、その瞬間、絢瀬さんの叫びが飛んできた。

 

 

「そんな…?!説明してください!!」

 

 

いったいどうした。いくらかき氷お嬢ちゃんでも、こんな悲痛な焦り方しないだろ。

 

 

そう思った矢先の、続く理事長さんの言葉は。

 

 

 

 

 

 

「ごめんなさい。でも、これは決定事項なの。音ノ木坂学院は、来年より生徒の募集を止め、廃校とします」

 

 

 

 

 

 

淡々と告げられ。

 

 

この場の全員を釘付けにした。

 

 






最後まで読んでいただきありがとうございます。

さあ早くのぞえりを加入させたいところですが、あんまり急いで描写が疎かになるのもよろしくないと思うので…
まあ既に30話以上書けてるですがね()


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