笑顔の魔法を叶えたい   作:近眼
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ご覧いただきありがとうございます。

なんとなんと、また☆10評価をいただきました!お気に入りも増えました!!寿命が爆上がりです!!いつも感想を下さる方もいてもう私頑張りますの極みです!!今なら雷に打たれても無傷でいられる!!!気がする!!!(うるさい)

今回はお待ちかね、枕投げ回です。前座を挟みますが。R18な出来事は起きないってタイトルでネタバレしてますがね!!!

というわけで、どうぞご覧ください。




実は男女混合で雑魚寝しても何事も起きない

 

 

 

 

風呂から上がって、穂乃果たちと入れ替わりでリビングに戻ってきたら、なぜか布団が敷いてあった。

 

 

しかも12人分。

 

 

「バカじゃねーのか」

「馬鹿だろ」

「ストレートすぎるよ」

 

 

いやバカだろ。何で一緒に寝る気満々な感じになってんだよ。寝るわけねーだろ、二階に腐るほど部屋あるだろ。

 

 

今のうちに片付けるか。

 

 

「滞嶺、やるぞ」

「おう」

「頑張れー」

 

 

というわけで即撤去。茜はどうせ布団など持てないから待機。

 

 

「片付けたらさっさと上階に行って閉じこもるか…」

「サーチしてきそうだけどね」

「休まる場所がねぇな」

「何の罰ゲームだ?」

 

 

女の子の隣で寝させられるとかご褒美じゃねーからな。むしろ苦行なんだよ。奴らが何を考えてんのかはわからんが、親睦を深める要因にはならん。無理がある。

 

 

というわけでさっさと二階に向かう俺たち。せっかくだから一人一部屋使うことにした。せっかく部屋あるんだからな。

 

 

適当な部屋に入ったら、何故かピアノが置いてあった。…リビングにもあったよな?何台あるんだ。

 

 

せっかくだからちょっと触ってみる。流石にしばらく使ってないからか調律は合っていないようなので勝手に少しいじる。本当は弾く曲によって調律は変えたいんだが、流石に面倒だからやらない。

 

 

何を弾こうか若干考えたが、月もよく見える綺麗な夜空だしゆったりした曲を即興で弾くことにしよう。なんかのヒントになるかもしれないからこういう時に録音は欠かさない。スマホを脇の机に置いて、静かに弾き始める。

 

 

しばらく適当な曲を弾いていたが、せっかくμ'sもいることだしあいつらをイメージした曲にしようかと考える。どんなイメージかと言われると困るが、まあ和気藹々としている感じなら何だっていいだろう。その上でゆったりした曲となると難しいが…なんとかなるか。

 

 

歌詞はないので鼻歌だ。当たり前だそんな速攻で歌詞を思いつけるか。曲を作るのは早いが歌詞は別物だ。だからμ's2年生には歌詞を持ってくるように言ったんだ。そういえばあれから誰も持ってこないんだがいいのだろうか。いや期待しているわけじゃねーが、

 

 

 

 

『あれ?ピアノの音がするよ?』

『本当ですね。一体どこから…』

 

 

 

 

速攻でピアノから離れた。

 

 

なんだ意外と風呂時間かからねーな?!と思って時計見たら1時間経っていた。1時間もピアノ弾いてたのかよ、なんか恥ずかしいなおい。スマホ置いてたのに時間は確認してなかったな。おっとスマホ忘れるところだった。

 

 

『桜さんかな?茜くんとか創ちゃんがピアノ弾ける気がしないし!』

『茜はピアノ弾けるわよ。それよりわざわざ連れてこなくてもいいじゃないの』

『嫌!桜さんも茜くんも創ちゃんも一緒に寝たい!!』

『せっかくの合宿だもん!!』

 

 

恐ろしい会話が聞こえる。本当にバカじゃねーのか。いや穂乃果はバカだわ。

 

 

『うーん、この部屋にもいないなぁ…』

『もしかしてこっそり帰っちゃったとか…』

 

 

…その手があったか。帰ればよかったな。

 

 

『靴があるのは確認したじゃない。もう…早く寝ましょ、無理に連れてくることもないわ』

 

 

おお、西木野その調子だ。ぜひともさっさと寝てくれ。寝ろ。頼むから寝ろ。

 

 

『この部屋にもいない…』

『聞いてるの?!』

『あー!創ちゃんみっけ!!』

『ほんと?!』

 

 

…、

 

 

今がチャンスか?

 

 

 

 

 

 

 

「くっ…まさか全部屋探し回ってんじゃねぇだろうな?!」

「ふっふっふ…そのまさかにゃ!!」

「何でそんな自信満々なんだテメェは…!」

 

 

男3人で別々の部屋に入ってから、どこからか聞こえるピアノを聴きながらしばらく筋トレしていたのだが…予想外にも、いや予想通りか。風呂上がりどもが俺たちを探しに来た。咄嗟に隠れたが、隠れるには体がデカすぎるか。奇襲とか性に合わねぇからな、隠れるなんて経験はほとんどない。覚えねぇとな。

 

 

「観念して一緒に寝るにゃ」

「断る」

「えっ」

「…何でそんな半泣きなんだ」

 

 

女と一緒に寝れるわけねぇだろ。しかもお前らスクールアイドルなんだぞ。身を守れ。泣くな。

 

 

「でも、せっかくの合宿だし…もっと仲良くなりたいな」

「私はどっちでもいいけど」

「お前らなぁ…」

 

 

花陽と真姫まで同意してくる。正確には真姫は同意していないが、髪の毛をくるくるしてソワソワしているあたり実は期待しているだろう。ほんとに素直じゃねぇな。

 

 

つか他のメンツはどこ行った。

 

 

「…お前ら、茜ならともかく、俺は誰が抵抗しようが勝ち目がない相手だってのは理解してるか?」

「でも、そうやって注意してくれるってことはそんな気は無いんだよね?」

「…」

 

 

花陽はちゃんと理解した上で「俺なら大丈夫」というわけだ。思わず頭を抱えそうになる。いや事実抱えた。この純粋培養どもめ。

 

 

「だいたい、創ちゃんが犯罪起こしたら弟くん達が生きていけなくなっちゃうにゃ」

「!!!」

 

 

確かに。

 

 

下手を起こしたら、あいつらの生活が余計厳しくなってしまう。

 

 

それはまずい。意地でも理性を保たねばならん。…いや意地になるほど発情しているわけではないが。

 

「さ、わかったら早く行きましょ。眠いわ」

「…真姫もノリノリじゃねぇか」

「のっノリノリじゃないわよ!!」

「創ちゃん、凛の隣で寝るー?」

「馬鹿め、寝返りに潰されるぞ」

「突然のマジレスにゃ」

「ふふっ、創ちゃんもμ'sに馴染んできたね」

「花陽…お前まで創ちゃんと呼ぶのか」

 

 

創ちゃんはやめろと言っている。

 

 

反論材料が無くなってしまった以上、もう反撃はできない。大人しくついていくしか無さそうだ。しかし、こいつらが純粋なのは逆に助かったのかもしれない。変に意識されるよりはこちらも気が楽だ。おそらく。

 

 

つーか凛も何が危ないかちゃんと理解してるっぽかったな。ちゃんと教育してくれたのか…っと、昼に水着でくっつかれたのを思い出してきた。まずいまずい。要らぬ考えは頭を振って吹っ飛ばした。

 

 

 

 

 

 

 

「さあ茜、覚悟しなさい!!」

「というわけでにこちゃんだけ貰っていくね」

「あれっ?!」

「自然な流れで攫う側にチェンジしたわね」

「流石やね」

「ちょっ助けなさいよ!!」

 

 

にこちゃん達が部屋を捜索して僕らを捕らえようとしてきた。ので、逆ににこちゃんを捕まえた。やったね。

 

 

「ふふふ、別にみんなで寝るのは一向に構わないんだけど、にこちゃんと2人で寝られるなら断然そっちを推すよ」

「何言ってんのよあんた」

「照れてるね」

「照れてない!!」

 

 

にこちゃん顔赤いよ。相変わらずかわいい。

 

 

僕自身はにこちゃんにしか興味ないのでみんなで寝ようが平気だし、仮に誰かを襲ってしまってもパワー的な問題で誰にも勝てない。わー泣ける。

 

 

「しかしこの場に3年生しかいないのはどういうことだい」

「1年生は創一郎を拉致しに行ったし、2年生は桜さんを追っかけてるわよ」

「なるほど。お悔やみ申し上げなきゃ」

「殺さないであげて?」

 

 

創一郎は多分落とされるだろう。なんだかんだ言ってお人好しだし女の子に弱そうだし。桜は見つかったら負けだな、高坂さん足早いし。桜そんなに運動神経良くないし。昼のビーチバレーでも判明してることだね。

 

 

「そもそも何でみんなで寝ることになったのさ」

「せっかくの合宿だもの。それに元々は先輩後輩の垣根をとるためのものだし、たくさん交流したいのよ」

「僕は関与しないと言ってるのに。というか警戒しなさいよ色んな意味で」

「みーんないい人やから心配いらんよって話になったんよ」

「重い信頼というやつ」

 

 

僕はともかく、桜と創一郎が可哀想だ。

 

 

「いいじゃないの。茜ももっと仲良くしなさいよ」

「仲良くしてるよそれなりに」

「それなりでいいわけないでしょマネージャーなのに」

 

 

それなり以上にどうしろと。

 

 

「とりあえず茜くんは連れて行くのに苦労はしないから楽やね」

「ちなみに抵抗したらどうすんの」

「にこっちがお願いする」

「全面降伏だね」

 

 

にこちゃんにお願いされたら死ねと言われても受け入れるわ。これは勝ち目がないね。

 

 

と、その時。

 

 

『あー!桜さんいた!!』

 

 

桜の死刑宣告が聞こえた。

 

 

がんばれ桜。

 

 

 

 

 

 

やたらでかい別荘に感謝することがあるとすれば、それは逃げるスペースが存分にあることだろう。ああ、普通は感謝するところじゃないのは重々承知だ。

 

 

だが…

 

 

「桜さーーん!!逃がしませんよーーー!!!」

「うるせーバーカこっち来んな!!」

 

 

今は感謝しかない。身体能力だけでは確実に勝てん。遮蔽やスペースを存分に活かして逃げるしかない。見つかっても、距離が開いていればまだ何とかなる。隙をつけば逃げ切れる。

 

 

が、焦ると言動がバカっぽくなるのはちょっと悲しい。

 

 

この建物、何も二階建てではない。まだ上の階があるのだ。1階には他のメンツが集っている可能性もあるため上に逃げるしかない。恐らく追ってきているのは穂乃果だけだし、先で待ち伏せとかもないだろう。個室でやり過ごすという手だってある。そう、手段なら無くはない。

 

 

「うおおおお!!待て待てええええ!!」

「待て待て何であいつはあんなに早いんだ?!」

 

 

…穂乃果がバカみたいに早くなければな。

 

 

なんだあいつは、スプリンターか?

 

 

一瞬視界から外れた隙に部屋に飛び込む。扉の裏に隠れ、穂乃果が飛び込んできた隙に入れ違いで外に出るつもりだ。その場しのぎにしかならんし、2度は使えん手段だが。

 

 

「追い込んだ!!」

「ぶげっ?!」

 

 

…そういう予定だったんだが。

 

 

まさか開いている扉をわざわざ更に押し開くとはな。おかげで壁と扉の間に潰された。くっそ痛え。

 

 

「あれ?桜さんどこだろ」

(まさかのバレてない)

 

 

そこそこの音量の奇声を発してしまったはずなんだが、自身の声のせいなのかバカなのかはわからないがこっちには気づいていない模様。ベッドの下を覗いている間に脱出し、痛みを堪えて足音を立てないように階段を降りる。

 

 

後ろからついてくる音は聞こえない。

 

 

急場は凌いだ。

 

 

「はぁ…あとはどこに潜伏するかだな。何で部屋に鍵ついてねーんだよ…まあホテルじゃねーんだから普通ついてないかもしれんがよ」

「そうやねー、大きいっていっても真姫ちゃん家の別荘やもんね」

「そうだよなー…ってんん?!」

 

 

独り言に返事が来たから普通に返したら、いつの間にやら後ろに東條が控えていた。嘘だろ、いつの間に。ジャパニーズニンジャかよ。

 

 

「…何でいるんだよ。茜を連行してるかと思ってたが」

「茜くんはにこっちに任せればすぐやし?」

「全く妥当だな」

 

 

既に茜の扱い方を会得していた。高性能だなこいつ。

 

 

「じゃあお前は何しに来たんだよ」

「うちは穂乃果ちゃんのお手伝いや」

「勘弁してくれ」

 

 

お前ら俺に何の恨みがあるんだよ。

 

 

「ほら行くでー」

「お断りだ…引っ張んな上着脱げる」

「何で夏でパジャマなのに上着着てるん??」

「俺の勝手だろ」

 

 

いいだろう、別に寝巻きに上着でも。

 

 

「…桜くんのことはうちはよく知らんけど、穂乃果ちゃんが懐いてるし、悪い人じゃないっていうことはμ'sのみんながわかってるよ」

「そういう問題じゃねーんだがな」

「ううん、そういう問題。みんなあなたと仲良くなりたいのよ。たった数日しか関わりがなかったとしても」

 

 

急に標準語になった東條の本気の目線のせいで何も言えなくなってしまった。

 

 

そうまでして俺と仲良くしたいか?変な奴らだな。お前らのマネージャーの友人ってだけだぞ。

 

 

だが…。

 

 

そりゃ俺だって仲良くしたいさ。

 

 

「…はー、めんどくせえ奴らだな」

「桜くんも素直じゃないよね」

「悪かったな」

 

 

自覚はあるさ。

 

 

「あー!桜さんみっけ!」

「かくれんぼしてんじゃねーんだぞ」

 

 

突然上から穂乃果のでかい声が降ってきた。四六時中元気だなこいつ。そのままダダダダッと階段を駆け下りて飛びついてきた。

 

 

「なんっ、何で飛びついてくる?!」

「だって捕まえないと逃げちゃうじゃん!」

「もう逃げねーよ…」

「それより希ちゃんと何してたの?!」

「話してただけだ」

「どうせ希ちゃんのおっぱい見てたんでしょ!!」

「おいコラでかい声でふざけたこと言うんじゃねー誤解を招くだろ」

「や〜ん桜くんのえっち〜」

「ぶっ殺すぞ」

 

 

マジで何なんだお前ら。

 

 

 

 

 

 

 

「結局全員揃うわけね」

「せっかく片付けたのにな」

「諦めが肝心」

 

 

結局全員1階に連行されてしまった。創一郎が片付けた布団はいつの間にやら再召喚されていた。用意いいね。

 

 

桜は上着を脱いでハンガーにかけ、近くのハンガーラックにかけてから戻ってきた。桜が上着を脱ぐとか珍しい。

 

 

「じゃ、寝る場所を決めましょ」

「私ここー!」

「えーっそこはにこでしょ!」

「凛はかよちんのとーなりっ!」

「元気だね」

「今から寝るんだよな?」

 

 

寝る前なのに超元気だ。いや、こういう子に限って寝るときは一瞬なものだ。知ってる。ここあちゃんのおかげで知ってる。にこちゃんもすぐ寝るし。

 

 

「俺らは端っこだからな」

「えっ僕はにこちゃんの隣がいい」

「何なんだよお前は」

「じゃあ創ちゃんも凛の隣に来るにゃ」

「断固端っこだ」

「桜さん!」

「断る」

「まだ何も言ってないのに!!」

 

 

…波乱万丈だ。

 

 

結局男は端っこに寄せられることになった。僕はにこちゃんの隣が良かったのに。ぐすん。

 

 

「それじゃ、電気消すぞ」

「はーい」

 

 

寝たくてしょうがない桜がさっさと電気を消す。一瞬誰かの悲鳴が聞こえた気がするけど…気のせいか。

 

 

まあにこちゃんも隣にいないし、さっさと寝てしまおう。

 

 

……。

 

 

「…ねえ、ことりちゃん」

「…なに?」

「なんだか眠れなくて…」

「そう言ってるといつまで経っても眠れないわよ」

「ごっごめんなさい…」

「何度も言うけど、遊びに来てるわけじゃないのよ。明日はしっかり練習するんだから早く寝なさい」

「はーい」

 

 

寝なさいよ。

 

 

枕変わると寝れない派なの。場所変わると寝れない派なの。てかあんだけ遊んだら疲れるでしょ、早く寝なさいよ。

 

 

…。

 

 

 

 

……なんかパリポリいってる。

 

 

 

 

「え、ちょ、何の音?!」

「私じゃないよ!」

「凛でもないよ!」

「いや暗くてわからないし」

「もう!誰か明かりつけて!!」

「…せめて平和に寝かせて欲しいんだがな…」

 

 

正体不明のパリポリ音にビビってついに再度電気をつけることに。何事なの。っていうか、何だかんだ言いつつ動いてあげる桜はツンデレ属性持ちなのかな?いやー笑うわ。

 

 

そして電気をつけると。

 

 

「………何やってんだ穂乃果」

「いやー、何か食べたら寝れるかなって…」

「アホだろ」

「アホじゃないもん!」

 

 

とりあえず虫歯が心配だね。

 

 

「もーっうるさいわね!」

「にこちゃんそれまたやってたの」

「何よ」

 

 

ついににこちゃんも飛び起きる。しかしその顔には顔パックの上に輪切りのきゅうりという出で立ち。よくやってるけど効果あるのそれ。

 

 

「な、なによそれは」

「美容法だけど?」

「ハラショー…」

「何だその顔面きゅうりおばけ」

「誰がきゅうりおばけよ!」

 

 

うーん、否定できない。きゅうりおばけだわ。可愛いから許す。

 

 

「いいから早く寝るわ…ぶふっ?!」

「異次元からの枕シュート」

「真姫ちゃんなにするのー?」

「えっ何言ってるの?!」

「いや今東條が投げ…うおっ?!」

「いくらうるさいからってそんなことしたらだめ…やん!」

 

 

次々と投擲を繰り返す東條さん。桜の言から、一投目も東條さんなのだろう。二投目は桜の脇腹を擦り、三投目は星空さんがキャッチ。

 

 

「何する…にゃ!!」

「うわっ!…よーし、えい!」

「わっ?!」

「投げ返さないの?」

「あなたね…ぶっ?!」

「うふふ」

「…いいわよ!やってやろうじゃないの!!」

 

 

何このカオス。

 

 

何故か始まった枕投げ大会、すやすや眠っている園田さんと創一郎以外のほとんどが参加していた。僕は掛け布団ガードしてる。桜は逃げてる。にこちゃんは当たってる。にこちゃんマジ不遇。

 

 

「ちょっ、てめーら何してんだ?!寝ろよ!いや寝させてくれ!頼むからよお!!」

「桜さんくらえ!!」

「ぬおお?!」

「隙ありー!」

「ぐあっ!南貴様ぁ…!!」

 

 

まさかの南さんに直撃弾をもらった桜がついに枕を掴んだ。桜って運動できたっけ。できないよね。でもやるのね。

 

 

桜は大きく振りかぶって、

 

 

「ぶっ殺す!!」

「ぐえ」

「しまった」

 

 

すごいノーコン弾がこっち来た。やっぱり桜も運動できないマンだったか。ちくしょうやりおったな。

 

 

「桜覚悟」

「覚悟ってお前、」

「ていっ」

 

 

ぽいっと。

 

 

投げた枕は数十cm先にぽてっと落ちた。

 

 

全力で投げたんだけどなあ。

 

 

「…まあ、そうなるな」

「ぐぬぬ」

 

 

こうなるとは思ったけどさ。

 

 

「…隙あり!」

「ぶへっ?!」

「ああにこちゃん…」

 

 

一瞬僕に気を取られたにこちゃんが真姫ちゃんの直撃弾をもらってた。ああっごめんよにこちゃん、そんな予定じゃなかったの。

 

 

「はっはっは貴様ら全員葬ってやるわ!!」

「うわわっ!」

「桜超ノリノリじゃん」

 

 

桜が超笑顔だ。初めてみた。悪い笑顔だけど。ノーコンだけど。

 

 

…と、そんな感じの枕投げ戦争の途中。

 

 

「……ぶっ」

「あっ」

 

盛り上がってるところに、誰かの流れ弾が眠っている園田さんに直撃した。わお、これは悲劇の予感。

 

 

「……何事ですか…?」

「ひっ!」

 

 

なんか最早魔人のごとくなんか…オーラが出てる。ヤバいんじゃないのこれ。命が。っていうか寝起き悪いね。血圧低いのかな。

 

 

「どういうことですか」

「ちがっ…狙ってやったわけじゃ!」

「そっそうだよ!そんなつもりは全然!」

「…明日は朝から練習すると言いましたよね…?」

「…う、うん」

「それをこんな夜中に…ふふっうふふふ」

「おいおいなんかやべーことになってんぞどーすんだこれ」

「私に言われても!」

「とりあえずその枕をっだああ?!」

「へぶっ!!」

「ああにこちゃん!!」

 

 

魔人モードと化した園田さんの豪速球が桜の後ろにいたにこちゃんにヒットし、にこちゃんが吹っ飛んだ。マジで。何事。どゆこと。にこちゃん大丈夫かな。

 

 

「そもそも何で茜くんと桜さんまで一緒になって遊んでるんですか…?」

「あっああ?いやまあ、止めようとした、流れ?つーの?」

「僕はほぼ何もしてないんだけど」

 

 

こっちまで飛び火するの怖いんですけど。僕あれ食らったら死ぬんじゃない?死ぬね?

 

 

「うふふふふふ、覚悟はできていますよね…?」

「ごめん海未…ぶわっ?!」

「絵里ちゃん?!」

「容赦ねぇ…!」

「悪鬼羅薩だよもう」

 

 

あれはどうしたらいいのさ。

 

 

「と、とりあえず離れなきゃ…うわ!」

 

 

逃げようとした星空さんが何かに躓いて転んだ。迫る園田さん、立ち上がる影。

 

 

 

 

 

 

…立ち上がる影??

 

 

 

 

 

 

「にゃ、にゃにゃにゃ…!」

「おいコラなんてモノ起こしてくれたんだ」

「あーもうめちゃくちゃだよ」

 

 

 

 

 

 

何に躓いたかと問われれば。

 

 

 

 

 

 

それは創一郎であったと。

 

 

そういう話。

 

 

「…」

「あっあのっ」

 

 

全員動きが止まった。悪鬼羅薩モードの園田さんさえ止まった。オーラは消えないけど。でも創一郎のオーラの方がやばい。あれだよ、走馬灯見える感じのやつ。

 

 

「………」

「はっ早く布団に戻ろう!電気消して!!」

「え?!ま、待って急に電気消さないで!!」

 

 

無言で威圧感を放つ創一郎に怯えて逃走を開始する皆様。それで逃げ切れるんだろうか。無理じゃない?

 

 

 

 

 

だってほら。

 

 

 

 

一歩で数mは移動できる男だし。

 

 

 

 

 

ズバンッ!!という凄まじい音。いつのまにか放たれた枕。「ぐぇっ」という微かな悲鳴。倒れ臥すにこちゃん。…何でにこちゃんばっかり。

 

 

「に゛ゃっ」

「きゃっ」

「ぎゃっ」

 

 

星空さん、小泉さん、高坂さんが連続被弾。何だあの超兵器。

 

 

「おっおい?!冗談じゃねーぞこれ?!」

「死ぬわ」

「海未もまだ…あれっいつのまにか撃破されてる?!」

「……これはあかんのやない…??」

 

 

残されし17歳組(にこちゃん除く)+西木野さん。あれ、南さんどこ行った?と思ったら自前の枕を大事に抱えてインザオフトゥンしていた。いやあれは撃破されたやつだ。創一郎がご丁寧に掛け布団かけてるんだ。何こっそり優しさみせてんの?

 

 

「………」

「せめて何か言えよ…!!」

「死ね」

「怖えわ!!」

「もうちょっとなんかなかったの」

 

 

怒り心頭なのだろうか。マジで悪かったって。ほんとに。マジで。

 

 

「っ真姫ちゃん!!」

「え?!あっ希!!」

 

 

西木野さんに向かって放たれた創一郎のスーパーノーモーション枕ショットを東條さんがかろうじて防ぐ…が、吹っ飛んだ。マジかぁ。振りかぶることすらせずにその威力なのおかしくない?

 

 

「希!大丈夫?!」

「…ふふ、名前、自然に呼べるようになったやん?」

「そんなこと言ってる場合じゃないでしょ!」

「何急に感動秘話垂れ流してんがっ」

「桜お疲れ」

 

 

何故か今際の際みたいなセリフを流す東條さん、それにツッコミ入れようとして意識を刈り取られた桜。うーん、枕が意識を刈り取る形をしているように見えてきた。怖いわー。

 

 

「さてどーすっかなー…?」

 

 

なんか静かだと思ったら、知らぬ間に西木野さんと絢瀬さんも撃破されていた。うそん。悲鳴すら聞こえなかったんだけど。

 

 

「………」

「あー…うん、おやすみ」

 

 

まあ、避けれないよね。

 

 

死ぬよね。

 

 

わかってる。

 

 

わかってたから、顔には衝撃を受けても驚かなかった。

 

 

正確には驚くも何も意識を持っていかれた。

 

 

 

 

でもなんで顔狙ったし。

 

 






最後まで読んでいただきありがとうございます。

巻き込まれ大魔王水橋氏、今回も無事ノルマ達成。ついに謎のテンションになりました。深夜テンションなのか素なのかどっちなんでしょう。でも楽しそうなので問題ないですね!

そして枕投げ戦争、勝者は滞嶺君。きっとこの後電気消して寝ました。流石です。



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