笑顔の魔法を叶えたい 作:近眼
ご覧いただきありがとうございます。
前回またお気に入りしてくださった方が増えました!!ありがとうございます!!湿気と低気圧でもりもり元気が奪われますが頑張ります!!!
雨すっごいですが、3rdライブ福岡に行く方々はお気をつけて。私は行けませんので…行きたい…せめてライブビューイング…
というわけで、どうぞご覧ください。
起きた。
「…なんでこんな散らばってんだこいつら」
起きてみたら、何故か全員不自然な場所で寝ていた。布団がちゃんと掛かっているのが不思議なくらいだ。真姫と希は密着しているし、大概意味がわからん。
まあいい、早起きしたから飯でも作るか…いや、全員分一人で作るのは流石にキツい。せめて水橋さんと茜が起きてくるまで筋トレでもしていよう。幸い日の出前の涼しい時間帯だし、砂浜で足腰鍛えるのがいいだろう。
裸足で外へ出て、砂浜を歩く。足に伝わる砂の冷たさ、細かな粒子、夏でも涼しい朝の潮風。こんなところでトレーニングできるなんてそうそう無いだろうし、存分に活用せねばな。
早速軽くストレッチをしてから、ランニングを始める。砂で足を取られるため意外と負荷がかかる。これはいい。
しばらく走っていたら私有地の端まで来てしまったため、今度は波打ち際でダッシュ。波が来ると足にかかる抵抗がかなり大きくなるため、かなり足に負担がかかる。最高だ。本当はもっと深く足を沈めたいが、あいにく昨日のように濡れて海水でベタベタになるわけにはいかないから諦める。
と、走って元の位置に戻ってきたら、いつのまにか希と真姫がいた。
「何してんだこんな時間に」
「あ、創ちゃんも来たやん」
「創ちゃんはやめろ」
「えー、かわいくていいと思うけどなー」
いかにも残念といった顔をする希。何が良いんだよ。俺がかわいい必要あるか?真逆だろ。
「ま、そんなことより。早起きは三文の徳、お日様からたーっぷりパワー貰おうか」
「希の謎パワーの源は太陽なのか?」
「うちのパワーは神様みんなのものやで。それを言うなら、創ちゃんのパワーはどこからくるん?」
「無論筋肉だ」
「…わあ」
「何だよ」
引かれた。何故だ。筋肉は嘘をつかないとはよく言うだろ。
「…どういうつもり?」
真姫が昨日と同じことを聞く。また知らぬ間に希がお節介を仕掛けたのだろう。
「んー?何のこと?」
「…しらばっくれ、」
「別に真姫ちゃんのためじゃないんよ」
うむ、何がなんだかわからんから黙って聞いておく。
「海はいいよねー!見ているだけで大きいと思っていた悩み事が小さく見えてきたりする。創ちゃんですら小さく見える」
俺の例えいらねぇだろ。あと創ちゃんをやめろ。
「…ねぇ、真姫ちゃん。うちな、μ'sのメンバーのことが大好きなん。うちはμ'sの誰にも欠けてほしくないの。…たしかにμ'sを作ったのは穂乃果ちゃん達だけど、うちはずっと見てきた。何かあるごとにアドバイスしてきたつもり。それだけ、思い入れがある」
希がμ'sに対して何してきたかとかは、俺はあまり知らない。俺がマネージャーとして入ったときには既に全員揃っていたからだ。
だが、今まで見てきただけでも。…こいつは、全体の動きを見て、不足しているところにお節介してきたんだろう。ああ、きっとそうしている。細やかな気配りができるやつだから。
そうしないと、気が済まないやつだから。
「ちょっと話しすぎちゃったかも。みんなには内緒ね?」
「…めんどくさい人ね、希」
めんどくさいといいつつ、しかし真姫は笑っていた。珍しく、笑っていた。きっと何か吹っ切れたのだろう。俺が活躍する場面がねぇ…いや活躍したいわけでも活躍できるわけでもないんだが、何か癪だ。
「あ、言われちゃった」
希も笑っていた。ああ、お前らは笑ってる方が似合うだろう。スクールアイドルなんだからな。
「…」
「…」
「…創ちゃんは言うことないの?」
「創ちゃんやめろ」
ここで?ここで来るか?無理がある。無茶振りだ。
「…あー、なんだ」
「…」
「…」
二人して期待して耳を傾けるのやめろよ。
「…二人ともめんどくせぇな」
「「はぁ?!」」
「シンクロすんな」
「いやそれはないわ創ちゃん…」
「もっと気の利いたこと言えないの?」
「お前らは俺に何を期待してんだ?」
無茶振りしといて返す反応じゃねぇだろそれは。落ち込むだろうが。俺が気の利いたことを言えるように見えんのか。見えねぇだろ。自分で言ってて悲しくなってきた。
「あのなあ、いちいちそんなあれこれ考えてねぇでやりたいようにやればいいだろうがよ。何事か我慢してやるのは…こう、心にくるんだよ、辛いだけだ」
「…初めからそれを言いなさいよ」
「創ちゃんも不器用やなあ」
「だから創ちゃんをやめろっつってんだろおい」
言ったら言ったで非難されるんじゃねえか。なんなんだお前ら。
「真姫ちゃーん!希ちゃーん!創ちゃーん!おーーーい!!!」
「創ちゃんと呼ぶなッ!!!!!!」
あっちもこっちも創ちゃん創ちゃんと…!!気持ち悪いだろうが!!
「あれ?桜くんは?」
「意地でも起きないって」
「彼朝弱いからねえ」
水橋さんがいないが、まあ仕方ない。
μ'sのメンバーたちが集まって海に向かい、一列になって手を繋ぐ。随分と一体感が増したようだ。
「ねぇ、絵里…」
「ん?」
「…ありがと」
「…ハラショー!!」
真姫も、素直に感謝を口にできるようになったようだ。かなり照れ臭そうではあるが、それでも確かに素直になったのだ。
それぞれ何かしら成長があったということだろう。
…だが返事がハラショーなのは合ってるのだろうか。ハラショーってどういう意味だ。マジで。
「…茜は何で写真撮ってんだ」
「この構図いいなと思って」
「茜も創一郎も早く来なさい!日が昇るわよ!!」
「はーい」
「はーいじゃねぇよ何で俺まで」
茜は平常運転か。あと俺は並ばんぞ。並んだら手を繋ぐ流れだろ。無理だ。
「創ちゃん早く!!」
「やめろっつってんだろ」
全員から非難の視線が向けられた。わかったわかった行けばいいんだろ行けば。
「ん!」
「あ?」
「手!!」
「いや、」
「早く!!」
凛の隣に並んだら、無理やり手を繋がされた。こっそり手を繋がずにいるという選択肢は無かったらしい。ちくしょうめ。
…凛の手小さいな。
「よーし!ラブライブに向けて、μ's頑張るぞー!!!」
「「「「「「「「「おー!!」」」」」」」」」
まあ、ここからあと約1ヶ月だ。
更なる研鑽を重ねていこうじゃねぇか。
合宿も終わり、やっと帰ってきたところで2年生組と共に穂むらに直行。久しぶりにほむまんを食わねばならん。時刻は昼過ぎでまだクソ暑く蝉もうるさいが、別段煩わしくは感じなかった。
「ただいまー!」
「「お邪魔します」」
「ほむまん10個入りお願いします」
「あら穂乃果おかえり。海未ちゃんとことりちゃんもいらっしゃい。桜くんも来ると思ってたから用意してあるわよ」
「ありがとうございます」
早速ほむまんをいただき、イートインスペースに行ってパソコンを開く。合宿中は仕事は進まないだろうとは思っていたが、本当に見事に全く進まなかった。さっさと進めなければ。
「桜さん!歌詞できましたよ!!」
「ああ、まあ仕事が進まねーとは思ったよちくしょうめ」
「ご、ごめんなさい…合宿にも時間使っていただいたのに…」
空気読まない系女子である穂乃果は俺の都合はまるで頭にないご様子。南が謝ってくれたが、どうせ君も歌詞できてんだろ。そう思っていたら申し訳なさそうに渡してきた。やっぱりな。
「…園田はねーのか?」
「わ…私は、詩を引用したいと思っているので、作者様に許可をいただかないと…」
「律儀なやつだな…まあ本来そうすべきだが」
昨今でわざわざ詩の利用許可もらってるやついるのだろうか。無許可で使って後で怒られるパターンがやたら多い気がする。
まあまだだと言うならいい。まず穂乃果の歌詞を読ませてもらう。
曲名は、「愛は太陽じゃない?」だとよ。
穂乃果らしいっちゃ穂乃果らしい。元気で、みんなの幸せを願う歌になるだろう。
「…しかし歌詞にするには単調すぎるな」
「えー!!」
「お前各パートで文字数同じならいいと思ってんだろ」
「ダメなの?」
「園田お前何とか言わなかったのかよ」
「すみません…言ったのですが…」
本当にポンコツだなこいつ。
「ちょっと弄るが文句言うなよ」
「えー」
「殴るぞ」
まともな歌詞作ってから文句言え。
一応イメージの湧きやすい曲ではあるから、やかましい穂乃果はほっといて南の歌詞を見ることにする。
…。
「スピカ…テリブル?」
「は、はい」
「曲名が既に後ろ暗そうなんだが大丈夫か」
「え、えへへ…」
terribleはまずいだろ。
スピカは…乙女座の恒星だったか?絶対失恋するだろこれ。
実際読んでみてまさにそんなんだった。「言えないよ、でも消せないから、扉を叩いて」…なるほど…。
「なんというか…お前怖いな…」
「ええっ」
「桜さんひどい!ことりちゃんこんなに可愛いのに!!」
「中身の話だ」
「見た目が可愛いことは否定しないんですね…」
「…やかましい」
南の見た目はともかく、微妙に裏に狂気を感じてしまう。普通に「好きって言えない」的なストーリーにすればいいじゃねーか。「まだ見ぬ夢が醒めぬようにと怯えてる」って何を表した比喩だ。あと扉の比喩が怪しいぞ。アレじゃねーのかこれ。
なんか怨讐でもあるのかこいつ。
「何でこんな…昼ドラっぽいというか…後ろ暗い湿った感じの歌詞なんだ」
「えっと…穂乃果ちゃんも海未ちゃんもこういう歌詞は書きそうになかったから…」
「まあ書かねーだろうな」
メイド喫茶事件までは「他の2人がやらないこと」をする、なんて考えはなかっただろうからそこは素直に賞賛すべきなんだろうが、状況が状況なだけあって微妙に褒めにくい。
「…まあ、一回歌詞作ったことある分、出来はいい。このまま使わせてもらう」
「はい、お願いします!」
「私のは?!」
「ちょっと弄るっつっただろ離れろ邪魔くさい」
「あだっ」
身を乗り出して抗議してくる穂乃果にチョップを食らわせて撃退。額を押さえている間に園田にも話を振っておく。
「で、園田はまだだっけか。引用するっつっても誰の詩だよ」
「柳進一郎先生です。最近文学作品で有名な」
「あー、名前はよく聞くな。顔も知らないし作品も知らねーが、小説家だったか?」
「文学作品全般で活躍していらっしゃるので、小説家と呼ぶのが正しいかはわかりませんが…そうとも言えますね」
柳進一郎…俺らと同じく、顔出しNG系の作家だったはずだ。なんか天童さんが気に入ってた気もする。天童さんは存在がふざけてるくせに意外と本の虫だから、彼が気に入るとなると良作品なのかもしれない。
「詩も出してるってことか。今度見せてみろよ」
「はい…これです」
「今あるのかよ」
園田が鞄から取り出したのは「未来の花」と題された詩集。つーか合宿から穂むらに直行したのに何で持ってんだ。わざわざ合宿に持って行ったのか。
…つーか未来の花って。
「…これ、なんか天童さんが今度舞台でやるって言ってたやつじゃね?」
「え?!」
「急にでかい声出すなびびったじゃねーか」
突然園田が元気になった。
「す、すみません…しかし本当ですか?柳先生の詩集が舞台に?」
「仕事仲間がそんなこと言ってた気がする。が、まあまだ未発表だろうから他言無用だぞ」
「うん!」
「穂乃果は信用ならん」
「なんで?!」
天童さんもまだ製作段階だろうからあまり口外するのはマズいだろう。穂乃果は信用ならんがどうせ忘れる。
「桜さんや茜は交友範囲が広いのですね…」
「いや、俺はそんなことはない。仕事仲間の茜ともう1人くらいしかまともに会わねーよ。だいたいメールで連絡が済んじまうからな」
「えー、私たちとも会うじゃん!!」
「まともには会わねーだろ」
「一緒に寝たのに!」
「語弊がある言い方すんなよご両親に聞かれたらどうすんだバカ」
穂乃果がいらんこと言うもんだから焦る。声をひそめてご両親の方を窺うと、幸いお父さんは聞いてらっしゃらなかったようだが、お母さんはサムズアップしていた。なんなんだあんた。
「間違いではないですが、他に表現も思いつきませんね…」
「誤解を招くくらいなら秘匿していればいいんだよ」
「みんなで一緒に寝るのがそんなに悪いことなの?!」
「俺らにとっちゃ大問題だ声がでかいわアホ」
「ひどい?!」
穂乃果には黙ってていただきたい。
「そもそも俺が合宿に同行すること自体がおかしいんだよ」
「桜さんノリノリだったじゃん」
「ノリノリではねーよ」
「それでも来ていただいて本当にありがとうございました。とてもためになりました」
「普通に感謝されるのもなんか受け取りにくいな」
「何故ですか…」
周りに素直に感謝するやつらがいねーんだよ。穂乃果だろ、茜だろ、矢澤だろ、あと天童さん。まともなヤツがいねぇ。そういう意味では園田は随分まともだ。たまに狂うが。
「…桜さん照れてるの?」
「照れてねーよ」
「嘘だー、私と話すときそんな顔しないもん!!」
「どんな顔だよ」
「照れてる顔!!」
「どんな顔だよ」
何故か不服そうな顔で抗議してくる穂乃果。お前こそ何を思って膨れっ面なんだよ。
「桜さん…いつも穂乃果の相手をしてくださってありがとうございます」
「ほんとだよまったく」
「なんか私がバカみたいじゃん!」
「バカなんだよ」
園田が謝ってくるあたりこれが穂乃果の平常運転なんだろう。俺にだけこんなノリなのも困るが、俺以外にもこんなノリを押し付けているとなるとそれはそれでヤバい気がする。
この後も穂乃果がぶつくさ言っているのに園田が謝るというわけのわからん展開が続いた。
穂乃果の相手で手一杯ではあったからかもしれない。
途中から南が黙り込んでいたことには意識が向かなかった。
「…瑞貴に電話とは珍しいな」
「フランスの美大からだ。南ことりの留学について、本人の是非がなかなか来ないと」
「彼女も迷っているのだろう、そう急くものではないとでも言っておけ」
「何でお前が偉そうなんだ。しかしそう簡単に決められるとは思わないしな、似たような台詞は伝えた」
「しかし何故瑞貴にわざわざ電話するのだろうな」
「特に意味はないだろう。彼はよく目的もなく愚痴ってくるからな」
「鬱陶しい嫁のようだな」
「他に言い方は無かったのか?」
「この私に他の可能性を示すとはなかなかのものだな。私は特に適切な言葉を選んだぞ」
「なんで天才ってこうも腹立つんだ」
「そんなに褒めるでないぞ」
「ほんとに腹立つな」
「しかし…南ことり嬢については、留学には行かないと思うぞ」
「…彼女の才能からしたら、行くべきだと俺は思うがな」
「人心はそれほど単純ではない。瑞貴にはわからんかな」
「わかるさ、お前よりはな。そもそも俺も行かないとは思う。
だが…
高坂穂乃果が、どれだけ周りに目が向いているか。南ことりに目が向いているか。そこが心配だな」
悲劇の足音は。
きっと片鱗はあったのだろうけど。
ほとんどが聞き逃し、ちゃんと聞こえた人も気に留めなかったんだろう。
だからこそ、引き起こされる。
幕が上がる。
笑顔を踏み潰す、惨劇の幕が。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
枕投げ戦争は無意識の産物だった模様。さすが筋肉兵器。滞嶺君もメンタルなどでこっそり成長中ですね。
あとはおまけのソロ曲。スピカテリブルのせいでことりちゃんのヤンデレ化が止まらない…!!!そんなことない?
また、一つお知らせです。
次回からしばらく投稿ペースが…
超加速します。
具体的にはアニメ一期終了まで加速します。
理由は、諸々の事情で「ある日」までにアニメ一期を終わらせたいからです。大丈夫、ストックはたくさんあるので!!
1日に2話投稿したりはしませんが、毎日投稿とかもするかもしれません。だいたい2日に1話くらいになると思います。
よろしくお願いします。