笑顔の魔法を叶えたい 作:近眼
ご覧いただきありがとうございます。
目次にも追記しましたが、各章の頭に男性陣の自己紹介を追加しました。「こいつ誰だっけ…」って思った時などにもご利用ください。9人もいますからね!!
すこぶるどうでもいいですが、スクフェス以外のガチャが絶望的に奮わないので運を全部スクフェスに持ってかれている気がします。
というわけで、どうぞご覧ください。
というわけでまた部室へ。自由に使えるパソコンここにしかないからね。
「そう!A-RISEの優勝と大会の成功をもって終わった第1回のラブライブ!…それがなんと!その第2回の大会が行われる事が早くも決定したのです!!」
「テンション高いねえ」
「これがテンション上がらずにいられるか!」
相変わらずアイドル関係になるとテンション高い花陽ちゃんと創一郎。今回は殊更高い。暑苦しいよ。
「今回は前回を上回る大会規模で会場の広さも数倍!ネット配信のほか、ライブビューイングも計画されています!!」
「凄いわね…」
「凄いってもんじゃないです!!」
「非常に熱い」
燃え上がるほどヒートな花陽ちゃん。熱波でも呼び起こしそうな勢いだよ。てゆーかこの前ライブ配信の依頼来てたけどもしかしてこれか。
「そしてここからがとっても重要!…大会規模が大きい今度のラブライブはランキング形式ではなく各地で予選が行われ、各地区の代表になったチームが本戦に進む形式になりました!!」
「つまり、人気投票による今までのランキングは関係ない…という事ですか?」
「その通り!lこれはまさにアイドル下剋上!!」
「ランキング下位の者でも、予選のパフォーマンス次第で本大会に出場できるっつーことだ。実力が結果に直結する…前回以上に熾烈な戦いになるな!!」
「なんだか恐ろしい世界になってきたよ」
「何言ってんの茜。アイドルの世界はいつでも弱肉強食なのよ」
「怖いよ」
アイドルってそんなバイオレンスな世界なの。可愛い顔して狼かよ。メンフクロウかよ。いやメンフクロウは言うほどバイオレンスじゃないか、猛禽類なだけで。
っていうか、地区予選やるんだったらA-RISEともぶつかるんだけど大丈夫かな。主ににこちゃんのメンタルが。ファンだもんね。
まあ大丈夫か。
「でも、それって私たちにも大会に出るチャンスがあるってことよね!!」
「凄いにゃー!」
「またとないチャンスですね!」
「やらない手はないわね」
「そうこなくっちゃ!」
みんなもやる気満々のようだし。てか最初嫌がってた海未ちゃんとかツンデレ女王の真姫ちゃんまでやる気じゃん。みんなライブ大好きかよ。いや後天的に好きになったのか。
「よーし、じゃあラブライブ!出場目指して
「ちょっと待って」
ことりちゃんの声を絵里ちゃんが遮る。まさか君が反対とか言わないだろうねかき氷お嬢ちゃん。でも反対というよりか、なんかやばいことに気づいたみたいな顔だ。
「地区予選があるってことは…私たち、A-RISEとぶつかるってことじゃない?」
「「「「「「「あ」」」」」」」
「今気づいたの」
「承知の上かと思ってたぞ」
あ、じゃないよ。気づいてなかったのかよ。
「お、終わりました…」
「ダメだぁ…」
「A-RISEに勝たなきゃいけないなんて…」
「それはいくらなんでも…」
「無理よ…」
「いっそのこと全員で転校しよう!!」
「できるわけないでしょう!!」
「テンション下がり過ぎじゃない?」
そして落胆が激しいよ君たち。そこまでショックかよ。
「むしろ茜も創一郎もなんでそんなに平然としてんのよ?!」
「おうふ」
「んなこと言われてもな」
にこちゃんに首を掴まれた。苦しいよ。創一郎も止めないし。止めてよ。死ぬよ。
「どうせいずれ当たるじゃん」
「そうだけど!地区予選で当たるなんて、実質地区予選が最後になっちゃうでしょ!!」
「あうあう」
「…それ以上は茜が死ぬぞ」
首絞めたままがくがく揺らされて僕の意識はブラックアウト寸前。にこちゃん、手術終わってから扱いが過激になってない?死ぬよ僕。本当に好きなの?もしかしてヤンデレなの?まあにこちゃんがヤンデレでもそれはそれでアリ。あー嘘やっぱやだ。
「まだやってもいないのに諦めないでよ。以前のランキングでの追い上げを忘れたの?あれだけ周りを押しのけて上位に食い込む力があるんだから、そうそう負けないよ」
「それこそA-RISEさえも射程圏内だと踏んでいる。前回王者だが、たかが前回王者だ。最強なわけでも無敵なわけでもねぇ、一位を取った経験があるだけだ。…お前らなら勝てると俺は思う」
実際、出場を断念した前回だって優勝狙いだったんだ。A-RISEがどれだけ強かろうと、僕らは負けないって信じてる。
「…二人の言う通りかもしれません。確かにA-RISEとぶつかるのは厳しいですが、だからといって諦めるのは早いと思います」
「さっきまで悲嘆してたのに立ち直りはやぶへっ」
「無言の拳とは恐れ入った」
「助けてよ」
「余計なことを言うお前が悪い」
海未ちゃんが前向きなことを言ったので煽ったら正拳突きが横腹に刺さった。ねえ君たち、僕はサンドバッグじゃないんだよ。もっと優しくしてよ。
「三人の言う通りね。やる前から諦めていたら何も始められない」
「それもそうね」
「エントリーするのは自由なんだし、出場してみてもいいんじゃないかしら」
さらに絵里ちゃんが賛同したことによって、他のメンバーたちもやる気を取り戻したようだ。ナイス元会長。あれ、そういえば現会長はどうしたの。ちょっと探したら椅子に座ってお茶飲んでた。何をくつろいでるんだ君は。
「そうだよね…!大変だけどやってみよう!」
「じゃあ決まりね」
「よし、さっそく練習行くか」
「穂乃果ちゃんが賛成したらね」
「…え?穂乃果?」
みんな穂乃果ちゃんが話に参加していなかったことに気づいてなかったらしく、今初めてくつろぎモードの穂乃果ちゃんに視線が集まった。いや君、「ふぅ〜」じゃないよ。おばあちゃんかよ。
「出なくてもいいんじゃない?」
「「「「「「「「「「え?」」」」」」」」」」
「ラブライブ、出なくてもいいと思う!」
「「「「「「「「えええええええ?!?!」」」」」」」」
「ちょいちょい」
「マジで言ってんのか」
なんてことのないように、笑顔でそんなことを言い出した。
…おや?君あんだけラブライブにご執心だったじゃない。何?記憶喪失なの?
「よーしにこちゃん、とりあえず連行しよう」
「言われなくても!」
「うわぁぁ?!ちょ、ちょっと?!」
とりあえず隣の部屋へ。にこちゃんが穂乃果ちゃんを連行し、椅子に座らせ、その前に海未ちゃんが鏡を持ってステンバーイ。
「穂乃果、自分の顔が見えますか?」
「見え…ます…」
とりあえず正気度チェック。とりあえず冒涜的な神々に触れたわけではないらしい。でもこれ絵面やばいね。
「では、鏡の中の自分は何を言っていますか?」
「…何それ?」
「ほんとに何それ」
流石にその質問はファンタジーが過ぎないかい。それこそSANチェック案件だよ。
「だって穂乃果…!」
「ラブライブに出ないって!」
「ありえないんだけど!!!ラブライブよ、ラブライブ!!スクールアイドルの憧れてよ?!あんた真っ先に出ようって言いそうなもんじゃない!!ねえ茜!!ちょっと聞いてんの茜!!!」
「あうあうにこちゃん痛い苦しい死ぬ」
穂乃果ちゃんに熱弁を振るいながら僕の首を掴んで揺さぶるにこちゃん。なんでさ。虐待だ。ドメスティックバイオレンスだ。違うわドメスティックではないわ。仲間内という意味では正しいけど。
「そ、そう…?」
「何かあったの?」
「い、いや、別に?」
「だったら何で?!」
「なぜ出なくていいと思うんです?!」
「私は…歌って踊って、みんなが幸せならそれで…」
「今までラブライブを目標にやってきたじゃない!違うの?!」
「い、いやぁ…」
「穂乃果ちゃんらしくないよ!」
「挑戦してみてもいいんじゃないかな!!」
「あ、あははは…」
なんだか歯切れの悪い回答ばかり繰り返す穂乃果ちゃん。一体どうしたのかな。なんかトラウマでも
あ。
そっか。
トラウマ…とはちょっと違うけど、それに近いものだ。
それなら、ど直球で攻めても効果は無かろうな。じゃあどうしようかな。
あっいいこと思いついた。
「ねえ、遊びに行こうよ。明日からはまた練習三昧になるし、みんなで遊びに行くなんてなかなかできなくなるからね」
「はぁ?!急に何言ってんのよ!!」
「ぼへぇ」
いいこと思いついたから提案したら腹に肘が入った。痛いよ。
「そ、そうだよ!寄り道していこう?たまには息抜きも必要だよ!!」
「そうそう。あと皆様に僕の扱い方を見直してもらう必要があると思うんだ」
「それ息抜き関係ねぇだろ」
「でもいい加減僕死んじゃう」
穂乃果ちゃんが乗り気になってくれたので成功だ。あとは保身しておく。いつか死んじゃう。
「…まあ、茜が言うなら…何か考えでもあるんでしょ」
「まあね」
「はあ…ほんとに昔の茜らしくなったわね」
「どういうこと」
昔の僕のイメージが実は僕自身には無いんだけどね。
多分、周りが見えるようになったってことだろう。
とにかく、今日はこのまま遊びに行くことになった。僕はUFOキャッチャーでもしていよう。
というわけでゲーセンなう。何でゲーセンなの。
「にこちゃん、欲しいもの何でも取ってあげるよ」
「あんたUFOキャッチャーできるの?」
「やったことない」
「どこからその自信は出てきたのよ」
早速UFOキャッチャーに取り掛かる。うん、やったことないよ。まあ多分できるよ。多分。このアザラシのぬいぐるみくらいなら取れるよ。
100円入れて。
ボタン押して。
「あれ?」
「全然ダメじゃないの!!」
「意外と難しい…」
なんだい、キャッチャーのアームってこんなに緩いの。詐欺だよ。無理があるよ。
「詐欺だよ」
「詐欺じゃないわよ…見てなさい!」
今度はにこちゃんがプレイ。
100円入れて。
ボタン押して。
「ぬぁんでよ!!」
「今回もやっぱり駄目だったよ」
「何よ!!」
「あふん」
駄目だった。いやだいたいわかってたけど、やっぱり駄目だった。アームに引っかかってするんと抜けた。流石にこちゃん、フラグ回収が早い。でも正拳突きはやめて。
「あーもうこんなん詐欺よ!!」
「だからそう言ってるじゃないか」
ぷいっとそっぽを向いてしまった。うーん、こういうところも可愛いよね。いや贔屓目無しで可愛いよ。本当に。
詐欺に金をとられては困るので退散しようかと思ったら、ふと人影が近づいてきた。
「詐欺と言うのはちょっとストレートすぎますけど、不可能ではないはずですよ。発想の転換が重要です」
「こういうのは天童が得意だよね」
「おーっし、プロゲーマーお兄さんが本気見せてやるぜ?」
「…何してんの天童さん」
「えっ天童さん??」
「へーい茜とにこちゃんよ。ヒーロー参上だぜ」
誰かと思ったら、ニット帽にメガネにロン毛カツラ、チェク柄のシャツにでかいリュックという変装モードの天童さんだった。何してんの。あなたゲーセンユーザーだったのか。でも確かに格ゲーしてそう。
そんで一緒にいる人はどなただろう。
「…茜?あ、もしかしてSoSさん?」
「その通りですよ。そちらは?」
「変装していてすみません…僕は御影大地、俳優です。お噂はかねがね」
「なんと。変装お上手ですね、舞台で何度か見たはずなんですが。波浜茜、又の名をサウンドオブスカーレットです」
まさかの有名俳優さんだった。天童さんの舞台によく出演していらっしゃるから見たことはあったんだけど、変装されるとさっぱりわからない。
「僕は松下明…又の名を柳進一郎と申します。あなたがサウンドオブスカーレットさんでしたか。一度お世話になりましたね、あの時はありがとうございました」
「柳さん…ああ、『天極演舞』の。はじめまして、改めまして波浜茜です」
「え、茜は明知ってんの?」
「知ってますよ。一度カバーイラストを任せて下さって」
「素晴らしい絵でした。まさにあの作品の本質を描いているようでしたよ」
「字面がかっこよかったので抽象画にしたんですが、結構いい表現ができたと思っていますよ。最後まで読んだ時に、『ああ、だからこんな表紙なんだ』って思ってほしくて」
「一言一句違わず同じ表現をされた読者様が沢山いらっしゃいました。流石世界的グラフィックデザイナーですね」
もう一人は文学者にして小説家の松下明さん、ペンネーム柳進一郎さん。直接会ったことはないけど、作品を通して関係したことはある。この人も天童さんの知り合いだったのか。そういえば以前μ'sのみんなに行ってもらった舞台の元ネタらしいね。
「そちらはμ'sの矢澤にこさんですね。いつもライブ見ていますよ」
「ありがとうございます。…あっ、サインはダメですよ?今プライベートなので」
「にこちゃん、アイドルモードにならなくてもいいじゃないか。だいたい芸能人同士みたいなもんだよ」
「…な、なるほど!ついににこと対等な立場の人が現れるようになったのね!」
「…波浜さん、この子大丈夫?」
「大丈夫ですよ。自意識過剰で可愛いだけの女の子です」
「ちょっと!!」
御影さんに挨拶されて急に澄まし顔になるにこちゃん。なんかこの前「サインください」ってヒフミのお嬢さんズに言われた時にも同じリアクションしてたね。気に入ってるの?
「まあいいじゃねーか、実際そこそこ有名人になってるんだぜ?一般人感覚でいるよりはいいと思うぜ、俺は」
「そのぬいぐるみもう取ったんですか」
「ああ、二回かかっちまったけどな」
さらっと会話に帰ってきた天童さんの手には、僕らが取ろうとして断念したアザラシのぬいぐるみが抱えられていた。逆に二回で取れるんだね。早くない?
「流石ゲーセンのプロだね」
「なんかゲーセンのプロって廃人みたいに聞こえるからやめようぜ?」
「だいたい廃人じゃないですか」
「そんなことないぞ。俺だってできないやつはできない」
「例えば何ができないの?」
「ここにはない」
「やっぱり廃人じゃないか」
ゲーセン廃人だった。
所変わって休憩所。今度は一年生組も一緒だ。何故か天童さんたちもついてきたけど。まあこの前天童さんに頼んだお食事会に一緒に行ってるらしいし大丈夫なんだけどさ。
「…ねぇ、こんなところで遊んでいていいわけ?」
「明日からダンスレッスンやるんだし、たまにはいいんじゃないかな?」
「そうだよそうだよ!」
「リーダーがそうしたいって言ってるんだからしょうがないわ」
「実際、こういう交流も必要だろ。プライベートの付き合いも団体には不可欠だ」
「…ふん」
若干にこちゃんが不機嫌だ。まあそりゃそうかもしれない。にこちゃんはラブライブに出たいし練習もしたい。アイドルが大好きだからね。
「まあ、リーダーに従わなければいけないわけでもないんだけどね」
「そうだぞー。茜も桜も俺の言うことさっぱり聞いてくれねーし」
「そういえば天童さんリーダーでしたね」
「ほらー!そういうとこ!そういうとこだぞお前!敬意が足りてないぞ崇め奉れオラ」
「それは何かおかしくない?」
一応天童さんはA-phyの発起人ということでリーダー扱いになっている。まあ割と個人行動する三人だからリーダーなんて肩書きしか機能してないんだけどさ。
「でも…私たちは、次のラブライブが…」
「うん、わかってるよ」
「じゃあ何で!!」
にこちゃんが何事か言いかけたが、途中で遮った。
それは今、一年生もいる中で言うことではないよ。
それに。
「僕の意図は、僕から伝えるもんじゃないよ」
「…どういうことよ」
「にこちゃんが、穂乃果ちゃんの心に気付けるか。みんなが穂乃果ちゃんを見抜けるか。もしくは、穂乃果ちゃん自ら心の内を告白できるか。そこにかかってるよ。だってラブライブに出るのは僕じゃないんだし」
穂乃果ちゃんが何を思って「出なくてもいい」なんて言ったのか、それを考える機会を僕は与えたかった。
それは、μ'sの子らが自力で答えを出さなきゃいけない。僕はそう思うんだ。
「だから、穂乃果ちゃんを見てあげて。わからなければ本心をぶつけてあげて。本気を伝えてあげて」
にこちゃんの目を真っ直ぐに見て、そう伝えた。まあきっとにこちゃんのことだから力技に走るだろうけど、まあそれはそれでよし。今日一日の猶予を持って穂乃果ちゃんの真意にたどり着けるなら十分だ。
「おお、せっかくだからこのアザラシあげるぞ」
「え、ええ?あ、ありがとうございます…?」
「天童さん何してんの」
「いや取ったはいいけどいらなかったから…」
「だからって人に押し付けるなんてなんて酷い奴だ君は」
「それは感心しませんね」
「100%善意の行動にそんなに文句つけなくてもよくない?!」
あと天童さんが花陽ちゃんにアザラシのぬいぐるみをあげてた。餌付けかな?
最後まで読んでいただきありがとうございます。
察しが良くなった波浜君、代わりにサンドバッグ化。流石に可愛そうですね!誰のせいでしょうか!!私か!!
そして影薄い御影さんと松下さんのご登場。松下さんは特に影が薄い…ちゃんと登場させてあげないと。
ついでに天童さんはゲーム廃人でした。きっと格ゲーが強いと思います。きっと。それか音ゲー。