笑顔の魔法を叶えたい   作:近眼

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ご覧いただきありがとうございます。

最近急に涼しくなってきたので風邪を…別にひいてはいないんですが、風邪ひかないように気をつけてくださいね(紛らわしい)。
さて、今回は合宿後、言うならば「ユメノトビラ編」でしょう。波浜君はどんな活躍をしてくれるんでしょうか!

というわけで、どうぞご覧ください。




音響兵器ホノカチャン

 

 

 

 

合宿を終えた僕ら、今は部室に集合している。ラブライブのルール確認のためだ。多分よくわかってない人いるからね。にこちゃんとかね。穂乃果ちゃんとかね。凛ちゃんとかね。

 

 

そういえば、僕と創一郎が決死の覚悟で奪還したにこちゃんのリストバンドは結局リスに奪われたようだった。リスとバンドってことかな。ごめん今の無し。にこちゃんは半泣きだったけど、また買ってあげるって言ったら若干機嫌治った。

 

 

「各グループ、持ち時間5分」

 

 

演出開始から終了まで5分が制限時間だ。超えたら失格。まあ、入退場の時間を食われない分有情かもしれない。

 

 

「それぞれの出演時間に合わせてライブを開始し披露する。ライブの様子はネットで全国配信され、視聴者が一番良かったと思ったグループに投票。オンラインを有効活用している上にシンプルな方式だね」

「そして、上位4組が最終予選に…ってわけね」

「その通り。投票者数が予測できないのが怖いとこだね」

 

 

システム自体はとてもシンプルだ。ライブをネット配信して、人気が取れれば勝ち。だが、グループ自体の母集団の多さと、投票者の規模が問題だ。グループが多ければ票が割れ、投票者が多ければ逆転が難しくなる。逆転されにくくもあるんだけど、まああんまり楽観視しない方がいいだろうね。

 

 

「4組…狭き門ね」

「特にこの東京地区は激戦区…」

「そりゃ『東京』だけで一つ地区ができるくらいだもんね」

 

 

東京はいまやスクールアイドルの巣窟になっている。九州地区とか北陸地区とか東海地区とかに混じって一つの県だけで枠が埋まるほどの数のスクールアイドルがいるわけだ。やばいね。

 

 

「それに何と言っても…」

 

 

そう言って花陽ちゃんが目を向けるのは、パソコンの画面。今はラブライブの宣伝動画が流れている。

 

 

『『『こんにちは!』』』

『私、優木あんじゅ!』

『統堂英玲奈!』

『そして!リーダーの綺羅ツバサ!!』

『『『ラブライブ予選東京大会!みんな見てね!!』』』

 

 

そこに映っているのは、A-RISEのみなさん。前回覇者である。画面越しに見ても自信に満ち溢れてるね。すごいね。

 

 

まあとにかく、彼女たちも東京地区で出場するのだ。

 

 

「そう、すでに彼女たちの人気は全国区。4組のうち一つは決まったようなものよ」

「えーっ?!じゃあ凛たち、あと三つの枠に入らないといけないの?!」

 

 

そうなると、まず間違いなく彼女たちは最終予選に駒を進めてくる。まあ落ちたら落ちたで他のグループが脅威だ。流石に苦しい戦いになるだろう。

 

 

「まあ、でも

「ポジティブに考えよう!あと三組進めるんだよ!!」

「それ僕が今言おうとしたんだけど」

 

 

いいこと言おうと思ったのに横取りは良くないよ。

 

 

「まあ、事実そういうことだ。まだ三枠ある…μ'sなら十分狙えるだろ」

「そうね、悲観的に見ても始まらないもの。むしろA-RISEを打倒するくらいの気概でいきましょう」

「将来的には打倒するんだけどね」

「何で茜はそんな決定事項みたいに言えるのよ」

「信じてるんだよ」

 

実際、前回ラブライブ前には一気にランキング20位以内まで駆け上ったほどの実力がある。もちろん同じように急激に人気を勝ち取っているグループもあるだろうけど、μ'sがそれだけの力を持っていることに変わりはない。

 

 

「今回の予選は会場以外の場所で歌うことも認められてるんだよね?」

「そうだね。まあ普通だったら設備の問題で会場を使った方がいいと思うけど、僕がいるんだからどこを使おうが問題ないよ」

「すごい自信ね…」

「プロだからね」

 

 

なんなら田舎の田んぼでライブしても構わないよ。

 

 

「だったらこの学校をステージにしない?ここなら緊張しなくて済むし、自分たちらしいライブができると思うんだ!」

「なるほど」

 

 

穂乃果ちゃんの提案はなかなかいいと思う。緊張しなくて自分たちらしさが出せる、というのもそうだけど、ほぼ確実に他のグループと干渉しないのも利点だろう。場所が被るとセッティングめんどくさいからね。僕の都合じゃん。

 

 

しかし。

 

 

「甘いわね…」

「にこちゃんの言う通り…」

「事はそう簡単じゃねぇぞ…!」

「詰めが甘いのはにこちゃんぐぇ」

「なんか言った?」

「なんでもないでふ」

 

 

口挟んだらにこちゃんに顔掴まれた。痛いよ。殴られるよりマシだけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「中継の配信は一回勝負…やり直しは効かないの!失敗すれば、それがそのまま全世界の目に晒されて…」

「それに、画面の中で目立たないといけないから目新しさも必要になるのよ!」

「目新しさ?」

「それはどのライブでも同じじゃないかな」

「いつも以上に、ということだ。いつでもどこでも見られるライブだ、身内でやるライブよりも初見の興味をひかなければならない」

「ふうむ」

 

 

ところ変わって中庭。なぜ中庭。まあどこだっていいんだけど。

 

 

しかし、興味をひかねばならないのは間違いない。一度の配信で何グループも同時にライブを行うのだし、埋もれないようにする策は必須だろう。

 

 

「しかし目新しさって具体的になんだろね」

「奇抜な歌とか?」

「衣装とか?」

「ふふっ、例えばセクシーな衣装とか?」

「無理です…」

「やめてあげなさい」

 

 

お色気関連は海未ちゃんが拒否反応起こすからダメよ。あと歌も衣装も既にできてるんだから今更そこをなんとかするわけにもいかないよ。

 

 

「だいたいセクシー系はにこちゃんが割を食うぶげっ」

「何ですって?」

「何でもございません痛い痛い痛い」

 

 

いらんこと言ったらまた顔掴まれた。しかも今度は握りつぶさんばかりのパワー。ごめんて。ちょっと調子乗りました。許して。

 

 

でも今回の衣装既に結構露出多い気がするよ。そこはいいの?

 

 

「真面目な話すると、お色気作戦で一部の人の気だけ引いても大した効果は出ないよ。やるならもっと一般に通用する手でいかないと」

「確かに…」

 

 

実際、あんまり変なことすると固定ファンが減りそうな気もする。お色気系は特に否定的な人も多いし、あんまりすべきじゃないだろう。夏色笑顔の衣装は水着風だったから仕方なかった。今回?今回はことりちゃんのセンス。僕わるくない。

 

 

「まあでも需要自体はありそうだから、ライブ以外の宣材とかでやるのはアリだけどね」

「無理です!!」

「アリと言っただけでこの反応」

「相変わらずやね」

「あ、やるとしたら言い出しっぺの希ちゃんが最初に着てね」

「えっ」

 

 

実際衣装テーマとしてはそういうのもアリなのでそのうちやる。海未ちゃんもやるんだよ。そして言い出しっぺの法則に則ってまずは希ちゃんで。人魚とかでいいかな。

 

 

「…っていうか、こんなところで話してるよりやる事があるんじゃない?」

「やる事?」

「着いてきてちょうだい」

「何だろね」

 

 

突然、真姫ちゃんがなんかの提案をしてきた。そしてすたすた歩いて行く。どこ行くのさ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今度は放送室に来た。

 

 

「ほんとに?!」

「はい、お昼の放送でよければ構わないですよ」

「彼女、放送部員なの。こうやって実際マイクに向かって校内のみんなにアピールすれば応援してもらえるし、中継される時の練習にもなるでしょ?」

「おお、いい手だね。校内のみんなからの応援があるのは心強い」

「学校なら失敗しても迷惑もかからないし、外に漏れる心配もないものね」

「いや…迷惑はわからないなぁ」

「何故だ」

「なんかやらかしそうじゃん」

「失礼ね!」

 

 

真姫ちゃんが既に放送部員の子に話を通してくれているらしい。ありがたいね。票集めとしても優秀、トークの練習としても優秀。トーク下手そうな子が何人かいるからね。

 

 

「真姫ちゃん…」

「真姫が同じクラスの女子と仲良くなっているとは…」

「びっくり…」

「うぇえ?!べ、別に!ただ日直が一緒になって少し話しただけよ!!」

「などと供述しており」

「何よ!!」

「安心しなお嬢さん、真姫ちゃんはツンデレなだけだから」

「やめて!!」

「おっと危ない」

 

 

一年生組は真姫ちゃんに友達がいることに感動していた。まあツンデレだしね。愛想悪いしね。確かに意外だ。反応もテンプレの如くツンデレ。このままだと放送部の子が可哀想なのでフォロー入れたら拳が飛んで来た。しかし躊躇いのある拳なら見てから余裕だ。にこちゃんに比べたらね。今度は合宿の時みたいに障害物トラップもないしね。

 

 

「とりあえず、ちょうど昼なんだから使わせてもらおうか。とりあえず先鋒は穂乃果ちゃん」

「任せて!」

「で、そのあとは海未ちゃんと花陽ちゃんね」

「「ええっ?!」」

「練習だよ練習」

「ちょっと、私は?」

「にこちゃんは完璧だから」

「そ、そう?そうよね!なんたって宇宙ナンバーワンアイドルにこにーだもの!!」

「っていうか家でいつも1人で練習してぶぎゅ」

「黙ってなさい」

「酷い」

 

 

最初の挨拶は当然穂乃果ちゃんで、あとはシャイガールズに練習させよう。にこちゃんは練習のおかげで完璧だよ。それ言ったら殴られた。

 

 

「あー、皆さんこんにちは!私、生徒会長の…じゃなかった!μ'sのリーダーをやってます!高坂穂乃果です!」

 

 

そんなことをしているうちに、校内放送が始まった。別に生徒会長でもいいじゃない。事実だし。

 

 

「ってそれはもうみんな知ってますよねー」

「実際そうだろうけどそれ自分で言うのね」

「なんか腹立つな」

「ひどい?!」

 

 

みんな知ってますよねー、とはまた自信満々なことを。多分知ってるだろうけど。知ってるだろうけどさ。てか今のマイクに入ったかな。恥ずかし。

 

 

「えーっと…実は私たち、またライブをやるんです。今度こそラブライブに出場して、優勝します」

「いや出場自体は既に決まってんぐ」

「茶々入れないの」

 

 

口を挟もうとしたらにこちゃんに口を塞がれた。手で。できれば唇で塞いでくれないかなあーいや嘘そんなことされたら恥ずか死ぬ。

 

 

「みんなの力が私たちには必要なんです。ライブ、皆さんぜひ見てください!一生懸命頑張りますので、応援よろしくお願いします!!高坂穂乃果でした!!」

 

 

言い終わると、部屋の外から拍手が聞こえて来た。結構な喝采だ。嬉しいね、たくさんの人が応援してくれてるんだ。でも僕は今はにこちゃんに密着してることで頭がいっぱいだ。やわらかにこちゃんである。控えめに言ってやばい。やばい。

 

 

「そして他のメンバーも紹介…あれ?」

 

 

にこちゃんにクラクラしていると、穂乃果ちゃんの声が急にこちらに向いた。にこちゃんも手を離してくれたので後ろを見てみると。

 

 

「…あ、ぁぅ………」

「誰か助けて誰かたすけてダレカタスケテぇ…」

「何してんだお前ら」

「これはひどい」

 

 

海未ちゃんも花陽ちゃんもメンタルブレイクしてた。何してんの。そんなに嫌なの。

 

 

「ビビってる場合か。ほら立て行け」

「ひぃ?!」

 

 

創一郎が二人の襟首を掴んで立たせ、マイクの前に突き出す。見事な力技だね。でもそれ襟首伸びちゃう。

 

 

「…え、えっと…園田海未役をやっています…園田海未と申します…」

「何の役だよ」

「本人役ってまた珍しいね」

「そういう問題?」

 

 

園田海未役って。君はいつから声優になったんだ。蒼井翔太役の蒼井翔太じゃないんだから。実写版本人役声優をやってる場合じゃないよ。

 

 

「あ、あの…μ'sのメンバーの小泉花陽です…。えっと…好きな食べ物はご飯です…」

「アピールポイントそこしかないのかな」

「つーか声が小せえぞ。マイクに入ってるか?」

「はぁ…ボリューム上げて」

 

 

花陽ちゃんは花陽ちゃんでご飯好きアピール。まあ園田海未役よりはマシかな?でも小声すぎるよ。一応マイクは音拾ってくれてるみたいだけどね。聞き取れないかもね。

 

 

「ら、ライブ…頑張ります…是非見てください…!」

「おーい、声もっと出して、声!」

 

 

凛ちゃんが後ろから小声で助言してるが、余計緊張してる気がする。大丈夫かな。

 

 

と思ったら、凛ちゃんの言葉に謎のサムズアップを見せた穂乃果ちゃんがマイクに駆け寄った。

 

 

 

 

 

あ、これはやばいやつ。

 

 

 

 

 

「待って穂乃

「イェーイ!!!そんなわけで皆さんμ'sをよろしくー!!!!」

 

 

 

 

 

すんごい爆音が響いた。

 

 

そりゃね。花陽ちゃんに合わせてボリューム上げた直後だもんね。穂乃果ちゃんがさらに声を張り上げたら音響兵器だよね。やばい。主に鼓膜が。

 

 

「…あれ?」

「おっお前なあ!!」

「もう!何やってんのよ!!」

「でもμ'sらしくてよかったんじゃない?」

「それって褒め言葉?」

「μ'sらしさの在り方を考え直さねば」

 

 

全校生徒の鼓膜を貫くのがμ'sらしさなの?これはクレーム殺到ですわ。今までで一番鼓膜がやられた。難聴にならないかなこれ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まだ耳がキンキンする…」

「にこちゃん、僕の耳ちゃんとついてる?」

「流石に爆音で耳は取れないわよ」

 

 

とりあえず屋上へ戻ってきた。未だに耳がやばい。当の穂乃果ちゃんは、「私はもうむやみに大声を出しません。」と書かれた段ボールを首からぶら下げて正座させられ、創一郎の説教をくらっていた。説教というか半分威圧。怖いよ。穂乃果ちゃんが小さく見える。

 

 

「さあ、あとは場所ね」

「そういえばまだ決まってなかったね」

 

 

小指で耳の穴をぐりぐりしながら絵里ちゃんに答える。元々は場所探しをするつもりだったね。忘れてた。だってほら僕トリ頭だし。トリ頭だよ?

 

 

「カメラ撮影できるところであれば場所は自由だから…」

「まあ空撮さえできるから実質自由だね」

「どうやってるのよ…」

「でも、屋上はもうライブで使っちゃったし…」

「そっか、もうネットで配信しちゃってるもんね。だとしたら…」

「いっそ見て回ろうか?場所のイメージがあった方が練習もしやすいだろうし」

「そうだね!見て回ろう!」

「穂乃果、てめぇはまだだ」

「いやもう許してあげなよ」

 

 

とりあえず、場所は実際見てから決める方がいいね。あと創一郎、穂乃果ちゃんはもう反省したと思うから解放してあげて。多分反省したから。多分。

 

 

 

 

 

というわけでまずは講堂。

 

 

「ライブするならここ、って場所ではあるけど」

「もう2回もライブやったし…」

「定番って感じかしら。目新しさはないわね」

 

 

まあ王道にして安牌でもあるけど、新しくはないね。むしろ最も新しくない。

 

 

 

 

 

次は校舎。

 

 

「ここは、これからのSomedayに使ったね」

「この時はまだ7人だったけど…」

「今思うと校舎全体を使うとかすげぇことやったなお前ら」

「提案は僕だよ」

「ライブしたのはμ'sだろ」

「ちゃんと裏方も褒めて」

 

 

一曲で校舎全体を使ってしまったから、校舎はどこもかしこも目新しさは望めない。仕方ないよ、あれは学校PR動画でもあったんだから。

 

 

教室という手もあったけど、流石に狭すぎだね。

 

 

 

 

 

あとはグラウンド。

 

 

「僕らのLIVE、みんなのLIFEで使ったね」

「9人揃ってから初めてのライブ…」

「そして創一郎が手伝ってくれた初めてのライブでもあるね」

「…やめろ、わざわざ言うな」

「でも、あれがこの11人が全員揃った初めてのライブだったんだね…」

 

 

芝生のせいで苦難してるところを創一郎が助けてくれたんだっけ。あんな強面がこんなに頼もしくなるとは。

 

 

何にしてもここもだめかぁ。

 

 

 

 

 

そして体育館。

 

 

「ここなら!」

「いや。ライブでは使ってないけど、「それは僕たちの奇跡」でPV配信してしまったからダメだね」

「あっ…そっかあ…」

 

 

唯一ライブをしていないのはこの体育館くらい…だけど、実はもうPVの配信をしてしまっている。ちゃんと色んな曲を配信してるんだよ。何もライブだけがスクールアイドルの活動じゃないんだよ。それでもう使っちゃった。やっちゃった。てへぺろ。

 

 

 

 

 

「…結局使えるとこ無かったね」

「うう…せっかく私たちらしさが出せると思ったのになぁ…」

「目新しさと両立となると、やはり厳しいでしょうか…」

 

 

意外とたくさん校内を使っていて、もう使い尽くした感がある。もう校内ではライブできる場所は望めないね。

 

 

「もう学外で探すしかねぇな。どこかしらあるだろ」

「あるかなぁ」

 

 

そんなわけで、外に出て探すことになった。どこでもいいって言われると逆に困るね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で、何でアキバに来た?」

「さすがにここは…」

「何よりA-RISEのお膝元やん」

「下手に使うと喧嘩売ってるように思われるわよ」

「そっか…」

 

 

とりあえずまず向かったのは聖都アキバ。ゆーて1回使ってるんだけど、今回は勝負相手との戦いで使う舞台だ。ファンがどんな反応するかわかったもんじゃない。

 

 

戻るついでにUTX前に行くと、正面のディスプレイにA-RISEの皆様が映っていた。新曲発表らしい。まあ予選は未発表の曲で、って言われてるから新曲作るよね。

 

 

「やっぱりすごいね…」

「堂々としています…」

 

 

ことりちゃんと海未ちゃんのつぶやきが聞こえた。まあどこかで撮影した映像なら一番堂々としていたヤツを使えばいいんだからそんなに感心することではないと思うんだけど、自信満々であることは否定しない。

 

 

 

 

 

うん、自信満々なのはいいことだ。

 

 

 

 

 

「…負けないぞ…!」

 

 

 

 

 

でも、僕はそれに臆さない穂乃果ちゃんの方が頼もしいかな。

 

 

 

 

 

「うん、負けないで。僕らは君たちを信じてる」

「うん!」

 

 

隣で力強く頷く穂乃果ちゃんは、なかなか凛々しい顔つきだった。うん、こういう表情も悪くない。

 

 

にこちゃんは僕に、みんなのこんな表情を見て欲しかったんだろうか。

 

 

 

 

 

 

「高坂さん、波浜さん!」

「…え?」

「うん?」

 

 

 

 

 

 

不意に名前を呼ばれて、声の方を向くと。

 

 

 

 

 

「ふふっ」

 

 

 

 

 

そこに居るのは。

 

 

綺羅ツバサさんだ。

 

 

 

 

 

 

「ああっ

「しっ!!…来て!」

「わあ?!ちょ、ちょちょちょちょっと待ってぇ!!」

「待って待ってほんとに待って走るのは待って」

 

 

声を上げそうになった穂乃果ちゃんを一発で制し、綺羅さんは僕らの手を引いて走り出した。周りの人たちは画面に集中しているせいかこっちに気付かない…いや、にこちゃんと花陽ちゃんが猛ダッシュしてきた。

 

 

でも走るのはほんとに待って。

 

 

…手術受けといてよかったな。

 

 






最後まで読んでいただきありがとうございます。

相変わらず物理攻撃を受けまくる波浜君。何だかんだ言って頑丈です。
あとこの場面、真姫ちゃんもコミュ力を身につけているのがわかってなんだか嬉しかった記憶があります。しかし真姫ちゃんの拳は波浜君には届かない!!笑
そしてA-RISE登場です。さあここからどうなるんでしょうか!!

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