笑顔の魔法を叶えたい   作:近眼

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ご覧いただきありがとうございます。

梨子ちゃん&ルビィちゃん、誕生日おめでとう!!まだAqoursのみんなは取り扱っていないのでお誕生日記念話はありませんが…サンシャインの方も書いていきたいですね!みんな大好きなので!!

というわけで、どうぞご覧ください。




同じ場所を集中攻撃するのは釘パンチみたいなアレでやばい

 

 

 

「はぁ、はぁ…」

「…げほっ」

「ご、ごめんなさい…ちょっと飛ばしすぎたかしら…」

「き、気にしないで…体質、というか、なんか、まあ、そんな感じのアレ、だから…」

「そ、そう…?」

 

 

ダッシュでUTX学院に突撃した僕と穂乃果ちゃん。もちろん僕は瀕死。何年運動してなかったと思ってんの。転ばなかっただけでも褒めて。

 

 

「…コホン。では、改めまして…初めまして」

「は、初めまして…!」

「初めましおふっ」

「…あの、本当に大丈夫?」

「お気になさらず」

 

 

挨拶でむせるとか泣ける。

 

 

「それじゃあ…ようこそ、UTX学院へ!」

「あ、A-RISE?!」

「うわにこちゃんいつの間に」

「あ、あの…よろしければサインください!」

「ちょっと!ずるいわよ!!」

「何してんの君たち」

「ふふっ、いいわよ」

「いいのかよ」

「い、いいんですか?!」

「ありがとうございます!!」

「とりあえず落ち着いて」

 

 

いつの間にか学院内まで来ていたにこちゃんと花陽ちゃんが綺羅さんにサインを頼んでいる。今そういう状況なんだろうか。っていうかどうやって入って来たの。ここなんか外国の改札みたいな電子ゲートだったじゃない。

 

 

他のメンバーがどうなったか後ろを振り返って確認してみると、どうやらUTXの生徒に頼んでいるようだ。続々と侵入してくる。創一郎だけ少し躊躇っているけど大丈夫かな。女子耐性ないからな。でもしばらくしたら入ってきた。何故か女子生徒を複数連れて。何でそうなったの?

 

 

「でも…どうして?」

「わざわざ僕らを招いた理由がわかんないね」

 

 

問題は何の用事なのかだ。僕に関係なかったら帰りたい。いやμ'sには関係あるはずだから無責任に帰れないか。

 

 

「それは前から知っているからよ、μ'sのみなさん」

「え?」

「もちろん、波浜さんや滞嶺さんもよ」

「僕らそんなに知名度あったっけ」

「茜はあるでしょ」

「そうだった」

 

 

僕は世界レベルだったわ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなわけで、カフェスペースまで連れてきてくれた。何で学校にカフェスペースがあるの。お洒落だね。必要なの?もはや大学じゃん。

 

 

ちなみに、創一郎が女子生徒に囲まれていた理由については凛ちゃんが証言してくれた。

 

 

「怖がられてなかなか人を捕まえられなかったのに、急に髪型崩してサングラス外して、女の子に視線を合わせて『すまない、UTX学院内に用事があるのだが、入り方がわからない。入れてもらえないか?』って言ったら女の子たちがメロメロになったにゃ」

「メロメロではなかっただろ」

「メロメロだったにゃ!創ちゃんはにやにやしてたし!!」

「してねーよ」

「してた!!」

 

 

どこでそんな台詞を覚えてきたんだろう。髪型とサングラスはゆっきーがやってくれたヤツを真似たんだろう、メイド喫茶のときみたいなイケメンモードになってる。今はあの時みたいな紳士服じゃなくて学ランだけど。

 

 

てか凛ちゃんがやたら不機嫌なのは何故だろう。

 

 

まあそんなのは置いといて、今は目の前のA-RISEさん達である。今は統堂英玲奈さんと優木あんじゅさんも同席している。

 

 

「はいよ、コーヒーだ。ご自由にどうぞー」

「あ、ありがとうございます…?」

「ありがとうございますだけど、どちら様?」

「マネージャーよ、私たちの」

「あなたたちμ'sにマネージャーがいるって知ったときに、ツバサが『私たちもマネージャー欲しい!!』って言い出して…」

「それで、ツバサが幼馴染を拉致してきたんだ」

「拉致はしてないわよ!」

「いや拉致だろ…」

「なんか言った?」

「なんも言っておりませぬお嬢様」

 

 

なんか知らない人もいた。A-RISEのマネージャーだって。淹れてくれたコーヒーはとても美味しいし、なんか桜的な可哀想な雰囲気を醸し出してる。

 

 

要するに被害担当な感じ。

 

 

白鳥(しらとり)(わたる)だ。高校3年生で、UTXの生徒ではないが…ツバサにこのカフェでバイトさせられてる」

「ちょっと!その言い方だと私がやらせてるみたいじゃない!」

「その通りだろ!『UTXに出入りする口実にちょうどいいじゃない!』とかいって勝手に申請しやがったのはどこのどいつだアァン?!」

「しっ知らないわねそんな話!」

 

 

漫画でよく見るラブコメの夫婦漫才みたいだ。

 

 

「誤魔化したって結果は変わらねーぞ。おかげさまで英玲奈やあんじゅだけに留まらず、他の生徒からも注目の的だよ!圧倒的に浮いてるんだよ!辛ぇよ!辛いに決まってんだろ女子校に男子一人とかさあ!!」

「いや、渡は注目されてるというか…」

「ねぇ?」

 

 

自らの境遇を嘆く白鳥君に対して、A-RISEのみなさんの反応は微妙だ。何故だろう。

 

 

と思ったら。

 

 

「あ、あの…」

「し、白鳥さん!」

「あーはいはいコーヒーね。的場さんは酸味が強いのが好きだったか?柊さんも飲んでく?今日は生憎ラテアートさせてもらう時間は取れないと思うけど」

「は、はい!私もお願いします!」

「わ、私もいいですか?」

「あー、古池さんか。苦いの好きだっけ?この前いい豆とってきたからそれ淹れようか。ただ若干渋みが強いからお口に合うかどうかはわかんないな」

「いえ…あ、ありがとうございます…」

 

 

 

 

…なんだろうあれは。

 

 

 

 

μ'sのみんなや創一郎も唖然としている。そりゃそうだよ。単純に引くほど人気があるだけじゃない、寄ってくる女子生徒の全員の顔と名前を一致させ、味の好みまで把握しているとは。

 

 

だいぶおかしいね。僕らが言うことじゃないけど。

 

 

「はぁ…またあいつは…」

 

 

そう呟いて不機嫌そうな顔をする綺羅さん。あーなるほどね。

 

 

「綺羅さん、白鳥君のこと好きなんだね」

「ええええええ?!いやいやいやいやそんな!そんなこと!」

「まあ、好きだったとしても私たちはスクールアイドルだ。恋愛はご法度だな」

「英玲奈!まず否定して?!」

 

 

やっぱりね。リア充さんだったか。

 

 

「ん〜…でも、波浜さんの予想は百点満点ではないの」

「えー」

 

 

優木さんが不思議なことを言った。僕みたいな盲信なのかな。

 

 

 

 

 

 

「彼、ツバサだけじゃなくて、私や英玲奈も含めてほぼ全校生徒に好かれてるのよ」

「…ついに僕も幻聴が」

「だっ、だから私は!!」

「さ、流石に嘘ですよね…?」

「あれを見ても嘘だと思えるか?」

 

 

わたわたしている綺羅さんはほっといて、統堂さんの視線の先を見る。すると、カフェの前にはいつのまにか長蛇の列が。続々と入ってくる生徒たちは、皆一様に顔を赤くしてコーヒーを持っていた。

 

 

「…天然タラシというやつだね」

「おーいなんか遠方から聞き捨てならん言葉が聞こえた気がすんぞおらー!」

「あんたは早く私たちのコーヒーを持ってきなさいよ!!」

「バーカ今そんなに暇じゃねーんだよ!!欲しかったら自力で取りに来いや!そして手伝え手が足らん!!」

「むきー!誰がバカよこのバカー!!」

「ツバサ、μ'sの方々が困ってるぞ」

「大丈夫、面白いから痛っ」

「いえいえお気になさらずっ!!」

「痛いよにこちゃん」

「うるさい」

 

 

あんなモテる人ほんとにいるんだね。面白かったからずっとやってても構わないんだけど、正直に言ったらにこちゃんに机の下で足を蹴られた。スネはあかんよ。

 

 

「んんっ、ごめんなさい。渡のことは置いておきましょう」

「そんな急に真面目な顔されてm痛い痛い痛いってばにこちゃん」

「茜は黙ってなさい」

 

 

痴話喧嘩を中断して真面目にこちらを向くA-RISEのみなさん。でもさっきの今で真面目な顔されてもね。って言ったらにこちゃんに蹴られた。だからスネはあかんって。とても痛いから。

 

 

「あなた達もスクールアイドルなんでしょう?しかも同じ地区」

「一度挨拶したいって思ってたのよ、高坂穂乃果さん。」

「え?」

 

 

話を切り出したのは優木さん、続いて綺羅さん。わざわざ前回王者がμ'sに挨拶したいとはね。変なこというね。まあこの子たちすごいけどね。どや。何で僕がどやってるんだ。

 

 

「下で見かけたとき、すぐあなただとわかったわ。映像で見るより本物の方が遥かに魅力的ね」

「は、はぁ…」

「そりゃうちのリーダーだからね」

「何で茜が自慢げなのよ」

「何でにこちゃんは拗ねてるの」

「拗ねてない」

「ぐぇ」

 

 

綺羅さんが穂乃果ちゃんを魅力的だって。そうでしょうそうでしょう、うちのリーダー魅力的でしょう。なんとなく鼻が高くなってたけどにこちゃんに鼻をつままれた。痛いよ痛いけど嫉妬ファイヤーなら僕は嬉しい。痛いけど。

 

 

「私たちね、あなたたちのことずっと注目してたの」

「「「「「「「「「え?」」」」」」」」」

「実は前のラブライブでも一番のライバルになるんじゃないかって思ってたのよ」

 

 

なんと。そんなに注目されてたのμ's。知らなかったよ。

 

 

「そ、そんな…」

「あなたもよ」

 

 

絵里ちゃんが口を開くと、それを綺羅さんが遮った。あなたもってことは、しっかり全員見てるのか。それとも絵里ちゃんだけ特別見てたのか。にこちゃん見てあげてよ。

 

 

「絢瀬絵里…ロシアでは常にバレエコンクールの上位だったと聞いている」

「よく知ってるね」

「調べたんだ。彼女の驚くほどキレのいいダンスはちょっとやそっとで出来るものじゃないから」

「なるほど」

 

 

しっかり情報収集もしてるのね。優秀だね。才能だけでのし上がったわけではないということか。

 

 

「そして西木野真姫は作曲の才能が素晴らしく、園田海未の素直な詞ととてもマッチしている」

「星空凛のバネと運動神経はスクールアイドルとしても全国レベルだし、小泉花陽の歌声は個性が強いメンバーの歌に見事な調和を与えている」

「牽引する穂乃果の対になる存在として、9人を包み込む包容力を持った東條希」

「細部にまでこだわった衣装を作れる秋葉のカリスマメイドさんもいるしね。いや、元と言った方がいいのかしら」

「あぅう…」

「あれ、いつの間に辞めちゃったの」

「ラブライブに集中できるようにって、辞めさせてもらったの」

「もったいない…痛い痛い」

「何がもったいないのよっ」

「かなり仕事ぶりが様になってたからもったいないって言ったんだよ嫉妬ポイントじゃないよにこちゃん」

「嫉妬してない!」

「痛い痛い」

 

 

すごいべた褒めするじゃん。びっくりだよ。でもことりちゃんがメイドやめちゃった方がびっくりだよ。かなりプロだったのにね。珍しくゆっきーも褒めてたし。でもそれはにこちゃん関係ないじゃん。腕を抓るのはやめて痛い。割と痛い。

 

 

「そして、矢澤にこ」

「…」

「痛い痛いにこちゃん緊張する前に離して痛いちぎれる」

 

 

自分の名前が呼ばれた途端に真面目な顔になるにこちゃん。でも抓る指は離さない。なんでさ。

 

 

でもどんな評価なのか気になるね。

 

 

「いつもお花ありがとう!」

「「「「「「「「「え?!」」」」」」」」」

「昔から応援してくれてるよね。すごく嬉しいよ」

「いやぁ…μ's始める前からファンだったから…」

「2年前、A-RISEが発足した直後くらいから既に絶賛してたもんね痛いってほんとに」

「言わなくていい!!それよりも、私のいいところは?!」

「今この状況でいいところ言われても僕困っちゃう待ってにこちゃん僕本格的に肉がちぎれる」

 

 

お花へのお礼だった。まあいつも少ないお小遣いを叩いてお花送ってるもんね。よかったね、ちゃんと見てくれてて。でもそれより 自分の評価が気になるらしい。まずは手を離そうか。血出そう。

 

 

「ふふっ。矢澤にこ…グループになくてはならない小悪魔的存在。それに、アイドルへの意識の高さはμ'sの中でもトップクラス」

「にこが、小悪魔…!」

「ん、閃いた」

「何をよ!」

「衣装だよ痛いよねぇ本当に痛いってば」

「…ああっごめん!」

「無意識でありましたか」

 

 

小悪魔だって。いいね、にこちゃんらしい。そしていい感じの衣装案を同時に思いついた。小悪魔衣装、ゆっきーに作ってもらおう。にこちゃんメインで…もう1人はどうしよう。後で考えておこう。

 

 

でも抓ってたのは無意識っていうのは納得いかない。

 

 

「そして、滞嶺創一郎」

「はっはいっ!!!!」

「びっくりした」

「静かだと思ったらガチガチに緊張してたのね…」

「ほら創ちゃん、顔怖くなってるよ。笑顔笑顔」

「笑顔笑顔にゃ!」

「って頰の筋肉硬っ?!」

「やめろ」

「一年生ズ仲良いね」

 

 

なんかずっと黙ってた創一郎は、名前を呼ばれた途端飛び上がった。そういえば彼もドルオタだったね。緊張してたのか。それにしても男の子の顔をべたべた触る一年生ズは創一郎に慣れすぎだと思う。創一郎も慣れすぎだと思う。

 

 

「強靭な肉体と驚異的な身体能力でμ'sのメンバーを支え、また驚異から守る守護者のような存在」

「い、いや…俺はそんな…。だいたい、こいつらに驚異なんか訪れたことは…」

「そう、あなたたちはなんの驚異にも晒されていない。それが既にすごいことなのよ」

 

 

褒められたことに反論しようとする創一郎に、綺羅さんは真剣な声で被せてきた。

 

 

そして、綺羅さんの言い分は正しい。今まで気にしてなかったけど、あれだけ急に人気をかっさらっておいてなんの妨害もなかったのは不思議だ。

 

 

「私たちスクールアイドルに限らず、人は注目されるとそれだけ嫉妬なんかも集めるの。…私たちだって、憧れられるだけじゃないわ。前回のラブライブで沢山の人を倒してきたもの、お門違いではあっても恨まれることがあるわ」

「そう、こいつらを守るためにどれだけ俺が苦労したことか」

「あら、お店はいいの?」

「他のやつらに任せた。いつまでも俺が全部やるわけにはいかないからな。…ほれ、コーヒーだ」

「ありがと」

「で、話の続きだが…こいつらもこの手の嫌がらせは沢山あったんだぜ」

 

 

ふと横から現れた白鳥君が、カフェの制服のポケットから紙束を取り出した。無造作に僕らの前に放り出されたその紙には、「解散しろ」とかいったありがちな文言から明らかな脅迫文まで、様々な内容が書いてあった。

 

 

彼女たちの、栄光の裏側。

 

 

僕の元にもよく届くけど、これがただの女子高生に向けられるのだから心苦しい。

 

 

あ、僕もただの男子高校生だったわ。

 

 

え?「ただの」男子高校生ではない?気にしない気にしない。

 

 

「俺がマネージャーになったのは去年の夏ごろだったが、その時からこいつらは世間の悪意に悩まされていた。この数じゃあ、警察に届けても対応しきれない。封殺するしかなかった」

「それがあなたたちμ'sに無いのは、『μ'sの側には筋肉隆々のやばいやつがいる』って話が横行していたからよ。あなたたちが9人になったころから、ライブステージ設営や運営で滞嶺くんの姿がよく見られるようになったこともあって、μ'sに手を出そうという人はいなくなったんだと思うわ。…今はそうでもないけど、正直よく見るあなたは…ちょっと怖いもの」

「…そんなに怖いか」

「創ちゃんが露骨に落ち込んでるにゃ」

 

 

まあ、確かに創一郎に手を出したら生きて帰れない気はするね。まあ一歩で数メートル動けるしね。凛ちゃん投げるしね。でもメンタル豆腐なんだから手加減してあげて。

 

 

「でもそのおかげで、あなたはステージ設営みたいな目に見える活躍だけじゃなくて目に見えない抑止力になってるのよ」

「まあ多分顔怖くなくてもその筋肉見たら誰も喧嘩売ろうと思わないだろ」

「茜はバンバン売ってくるぞ」

「売ってないよ」

「茜は余計なこと言い過ぎなのよ」

 

 

余計なことじゃないよ、ツッコミだよ。

 

 

「だが…そうか。俺がいることで…」

「何感慨深くなってんのひぃっ」

「なんか言ったか」

「耳元を拳が掠める恐ろしさを始めて知ったよ」

「なるほど、確かに余計なこと言うな」

「失礼な」

 

 

創一郎がしんみりしてたから口を挟んだら、すごい速さの拳が顔の横を掠めていった。速すぎて硬直する暇も無かったし変な声も出た。勘弁してよ、口挟まないと愉悦部失格なんだよ。あっ愉悦部って言っちゃったテヘペロ。

 

 

「そして…波浜茜。別名Sound of Scarlet。その道の人なら知らない人はいない、グラフィック界の頂点。そして、μ'sの内部を支える大黒柱」

「照れるね」

「何照れてるのよ!」

「痛いよ」

 

 

褒められたんだから照れてもいいじゃん。蹴らないでよ。痛いよ。にこちゃん嫉妬ファイヤーなの?だったら嬉しいもっと蹴って嘘やっぱり蹴らないで。

 

 

「体力はないみたいだけど…絵の才能だけじゃなく、映像や演出においても最高峰のセンスを持つ波浜さんだからこそ、μ'sはあれだけ大掛かりなライブができるのね」

「あとは創一郎のパワーのおかげだね」

「そうね、2人いるからこそ、かしら」

 

 

大掛かりな装置はそう簡単には使えない。高いところに設置したりするならクレーンとかも必須だ。それを創一郎なら一人で全部やってくれる。何気にバランス感覚も神がかってるんだよね。絵里ちゃんも同意してくれたし、他のメンバーも頷いてくれている。

 

 

「しかし、なぜそこまで…?」

「これだけのメンバーが揃ってるチームはそうはいない。だから注目もしていたし、応援もしていた」

「そういえば、創一郎が以前そんなこと言ってたわね」

「よく覚えていたな」

 

 

まあ確かに、メンバーだけでも9人は破格だ。そう簡単に揃う人数ではない。

 

 

「そして、なにより…負けたくないと思っている」

「…!」

 

 

…おや、そう来たか。

 

 

上から目線の興味ではなく、対等なライバルとして僕らを見ていたか。

 

 

「ですが、あなたたちは全国1位で、私たちは…」

「それはもう過去の話」

「私たちはただ純粋に、今この時一番お客さんを喜ばせる存在でありたい。…ただそれだけ」

「…さすが、アイドルの鑑っすね」

「ふ、こいつらだって伊達に優勝を飾ってない。過去の栄光に浸る意味なんてない、過去でも未来でもなく、今この瞬間に最高であるべきだと知っている」

 

 

白鳥君の言葉を要約すると、A-RISEの皆さんは前回の順位に驕ることなく、あくまでその一瞬を飾るものであろうとしているようだ。要約したのに文字数あんまり変わんないね。

 

 

うん、スクールアイドルとはそうあるべきなんだろう。あくまで今のお客さんのために、歌い踊るのだ。

 

 

「μ'sの皆さん、お互い頑張りましょう。…そして、私たちも負けません」

 

 

それだけ言って立ち上がるA-RISEの皆さん。言いたいことは言ったからもうおしまいってことかな。

 

 

「あの!!」

 

 

まあ、穂乃果ちゃんはそれで黙ってるような子じゃないけどね。

 

 

 

 

 

「A-RISEのみなさん…私たちも負けません。今日はありがとうございました!!」

 

 

 

 

 

一瞬間が空いた。

 

 

ライバル宣言を真正面から受け止めたのが意外だったのかな。白鳥君だけ嬉しそうにちょっと笑ってるけど。何でさ。

 

 

「…ふふ。あなたって面白いわね」

「え?」

「ねえ。もし歌う場所が決まってないならうちの学校でライブやらない?」

「うちって、ここのことかい」

「そう。屋上にライブステージを作る予定なの」

「へえ」

 

 

急に綺羅さんがなんか言い出した。まさか自分たちと同じ舞台にライバルを呼ぶとはね。自信満々なのか舐めてるのかよくわかんない。意図がつかめない。天童さん呼んで来て。

 

 

「もし良かったら、ぜひ。1日考えてみて」

「1日しか猶予くれないのね」

「やります!!」

「「「「「「「「「「ええっ?!」」」」」」」」」」

 

 

穂乃果ちゃんが即答しちゃった。うそやん。1日考えるのすらちょっと足りないかと思ってたのに。綺羅さんも目が点じゃん。白鳥君爆笑してんじゃん。いや何でさ。

 

 

 

 

 

なんか波乱万丈がビッグウェーブに乗って来た感じだわ。よくわかんない?僕もよくわかってない。

 

 






最後まで読んでいただきありがとうございます。

オリキャラは9人と言ったな?あれは嘘だ。
色んな人の作品読んでたらハーレム男子を導入したくなっちゃったんです…許してください何でもはしません()
まあさほど白鳥君の出番は多くない(予定)なので今回は顔見せ程度です。
A-RISEの方々に褒められるμ's、そして男たち。緊張でガッチガチの滞嶺君を想像して一人で笑ってました笑

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