笑顔の魔法を叶えたい   作:近眼

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ご覧いただきありがとうございます。

前回からまたお一人、お気に入りしてくださった方がいらっしゃいました!!ありがとうございます!!うぞ…今月お気に入り増えすぎ…?(4人)
本当に、皆様の応援のお陰でこんなにも続けていられます。ありがとうございます。だって初投稿3月ですもん…いつの間にこんなに…。

あとですね、Aqoursの4thライブ2日目に行ってきました!ええもう!!最高でした!!号泣でした!!5thも絶対行きますよ!!来年度は社会人ですし!!

さて、今回はお待ちかね(?)、凛ちゃん回です。さあ可愛くなる凛ちゃんをご覧あれ!!


というわけで、どうぞご覧ください。




リズム取るのってメトロノームで十分じゃん

 

 

 

 

現在、穂乃果ちゃん達2年生組が不在であーる。

 

 

何故かって修学旅行だよ。沖縄に。僕も去年行ったんだけどね。まあその時は青い海も白い砂浜もガン無視でにこちゃんしか見てなかったわけだけど。逆にすごいよね僕。当然僕は海なんか入らないしね。ひたすらパラソルの下からにこちゃんを眺めるだけのお仕事だったよ。なんか変態っぽい。変態じゃないよ?

 

 

まあ過去のことはどうでもいいや。とにかく穂乃果ちゃんたちがいなくても練習は続けなきゃいけないのだ。

 

 

「はぁ…止まないね」

「台風来てんだから雨くらい降るだろ」

 

 

でも土砂降りでした。現実は非情である。まあ部室が広くなった今、雨降っててもある程度のことはできるんだけどね。

 

 

「そろそろ練習時間よ」

「って言っても、今日もこの6人…もう飽きたにゃー」

「それはこっちの台詞よ!」

「何で11人だと飽きねぇのに6人だと飽きるんだよ」

「つまんないって言いたいんじゃないの」

「仕方ないよ凛ちゃん。穂乃果ちゃんたちは修学旅行だし、絵里ちゃんと希ちゃんはその間生徒会のフォローがあるから…」

 

 

そんなわけでここにいるのは僕とにこちゃんと1年生4人。計6人。全メンバーの半分くらいだね。寂しいね。

 

 

と、突然教室の扉がガラッと開いた。続いて教室に入ってきたのは件の絵里ちゃんと希ちゃんだ。お久しぶり。いや君らはクラス一緒だから毎日会ってたわ。

 

 

「そうよ。気合いが入らないのはわかるけど、やることはやっておかなきゃ」

「君らは今日も臨時生徒会なのね」

「ええ、まあね」

「3人が戻ってきたら運営しやすいように整理しておくって張り切ってるんや」

「まとめ癖でもついてるのかな」

「えーっ!また練習凛たちだけ?!」

「今週末は例のイベントでしょ?穂乃果たちが修学旅行から帰ってくる次の日よ。こっちでフォーメーションの確認をして、合流したらすぐできるようにしなきゃ」

 

 

何で生徒会長から降りても生徒会のお仕事をやる気満々でやってんの。

 

 

まあそれはともかく、実は今正真正銘の外部依頼イベントが僕らには舞い込んでいる。A-LISEであろうと、所詮僕らは学生なのでガチの一般イベントに呼ばれることってあんまりない。というかμ'sには今まで一度もない。A-LISEは何度か見たけど、芸能人みたいに頻繁にじゃない。

 

 

まあ外部イベントとは言っても、別に大手企業のお偉いさんから声がかかったわけじゃない。

 

 

他でもない、ゆっきーからの頼みだ。

 

 

ウェディングイベントのために新しくステージドレス型ウェディングドレスを作ったから、そのモデルをしてほしいって言ってた。ついでにライブをしてくれるとより良いとも言ってた。元アイドルの方とか、歌って踊れるタイプの声優さんとか、そういうのを夢見る一般の方とかを狙ったものらしい。

 

 

それなら、本当に歌って踊れる女の子を起用すればいいってことでゆっきーが僕に打診してきた。みんなに話したら即オッケー出た。日程確認したら修学旅行の翌日だった。スケジュールがやばい。そんな感じ。依頼受ける前に日程確認しなさいよ。僕もだわ。むしろ僕がだわ。マジごめん。

 

 

まあでもそういうことである。

 

 

「きっとモデルさんたちと一緒のステージってことだよね…なんだか気後れしちゃうね」

「そうね。絵里や希はともかく…」

「…何よ!」

「大丈夫、にこちゃんは宇宙一かわいいから」

「言わんでいい!!」

「あふん」

 

 

真姫ちゃんのにこちゃんディスりが酷い。だから僕がフォローしといた。そしたら殴られた。何でさ。

 

 

「穂乃果ちゃんたちは野生のちんすこう探しに夢中でライブのこと何てすっかり忘れてるやろうから、にこっち達がしっかりしとってね」

 

 

希ちゃんはそんなことを言って、絵里ちゃんと共に退散してしまった。

 

 

「…にこちゃん」

「何よ」

「野生のちんすこうって何」

「私が聞きたいわよ」

 

 

ちんすこうって焼き菓子じゃなかったけ。焼き菓子じゃないの?自生してるの?もしかして生き物なの?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

で、その日の夜。

 

 

『臨時のリーダー?』

「そう。リーダー不在のまま練習するよりは臨時でも誰か立てた方がいいかなって思って」

 

 

2、3年生+創一郎で通話中。僕の隣にはにこちゃん。いつも通りだね。

 

 

『私と希は生徒会の補助で忙しいし、そもそも私たち3年生は来年には卒業してしまうから…1年生に頼もうかと思ってるの』

『だから俺以外1年がいねぇのか』

「っていうか創一郎いつのまにスマホ買ったのよ」

「僕があげた」

「あげたの?!」

『相変わらずポンと高価なものを出しますね…』

 

 

とりあえず全体の趣旨は今言った通り。1年生に臨時のリーダーを頼もうということ。創一郎には連絡用も兼ねてスマホ買ってあげた。通信料は彼持ちだけどね。機種代だけね。

 

 

「まあそんなことより、誰に頼むかだけど」

『誰がいいのかなあ…?』

「ちなみに僕はもう決まってるけど」

『俺もだ』

『私もよ。みんな同じかしら』

「多分ね」

 

 

話し合う前に結論固めちゃう系僕ら。こういうことすると反対意見が強い時に泥沼化するから良い子のみんなはマネしないでね。

 

 

『うーん、私は凛ちゃんがいいと思うな!』

「やっぱりね」

『同意見だ』

『私もそれがいいと思うわ。やっぱりみんな同じだったわね』

「何で凛なのよ?花陽も真姫ちゃんもできると思うけど」

 

 

そう、僕らみんな凛ちゃん推しだ。凛ちゃんなう。ごめん今のなし。

 

 

『花陽は自信がないところがあるし、リーダーとしてはそれは「頼りない」って言われもするだろ。真姫は頭はいいが頭が硬いし融通が利かん。それはよくない』

『凛なら行動力があってみんなを引っ張れると思ったのよ』

「あと単純にスペック高めだしね」

「でも頭は悪いわよ?」

「それをにこちゃんが言うかい。だいたい頭だったら穂乃果ちゃんも悪いよ」

『ちょっと?!』

 

 

創一郎と絵里ちゃんが言う通り、消去法的にもポジティブな意見としても凛ちゃんが適任だろう。てか僕の中では次世代リーダー凛ちゃんはのぞえりが加入する前に行ったセンター決め戦争の時から決まってた。カラオケしてゲーセン行ってビラまきしたアレね。遊んでるだけだったね。

 

 

「先陣切る人はちょっと頭悪いくらいで丁度いいよ。考え込んで行動できなくなるよりはね」

『あまり考え無しすぎても困るがな。どこぞのリーダーみたいに』

『…あっ私?!』

 

 

基本的には、動かなきゃ状況は変わらない。考えるよりも行動した方が案外状況がよく見えるものだ。

 

 

以前の解散危機みたいなことになっても困るけどね。

 

 

もちろん君のことだよ穂乃果ちゃん。

 

 

「まあ、明日凛ちゃんに言ってみたらいいんじゃない」

『まあ、凛なら調子よく乗ってくれそうだけど』

「…案外そうでもないかもね」

『え?』

「何でもないよー。じゃあ明日、とりあえず提案はしてみようか」

『ええ。それじゃあおやすみなさい。穂乃果たちも夜更かししちゃだめよ?』

『えー!台風来てて外で遊べないのに夜更かしもダメなの?!』

『ダメに決まってんだろ。肌の健康を考えろ』

「女子かよ」

『殺す』

「ど真ん中ストレートとは恐れ入った」

 

 

凛ちゃんはリーダーの素質はあると思う。

 

 

…でも、本人にその志があるかどうかは別だ。自信がない、興味がない。そんな理由で拒否することもある。凛ちゃんの場合は前者だろうけどね。

 

 

 

 

 

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これは僕らの問題だから、僕らでなんとかしようか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ええっ?!凛がリーダー?!」

「そう。暫定でもリーダーを決めておいた方がまとまるだろうし、練習にも力が入ると思って。もちろん穂乃果たちが戻ってくるまでよ」

 

 

翌日、練習前に実際に言ってみたら案の定非常にびっくりしていた。

 

 

「で、でも…」

「穂乃果ちゃんたちにも連絡して相談した結果なんよ。うちも、えりちも、創ちゃんも、みんな凛ちゃんがいいって。2人はどう?」

「いいんじゃない?」

「私も凛ちゃんがいいと思う!」

 

 

真姫ちゃんと花陽ちゃんも賛成らしい。ここで真姫ちゃんが素直に肯定できたことの方がびっくりだよ。素直になったもんだねツンデレちゃん。にこちゃんもツンデレだったわ。じゃあツンデレ2号ちゃん?変だね。やめよう。

 

 

「ちょ、ちょっと待って!何で凛?絶対他の人の方がいいよ!…あっ、絵里ちゃんとか!!」

「絵里ちゃん希ちゃんは生徒会補佐のお仕事で忙しいじゃん。練習にいない人をリーダーにしてどうすんの」

「そうよ。それに、今後のμ'sのことを考えたら1年生の方がいいでしょ?」

「つまりにこちゃんリーダー説も潰えたのであった」

「言わんでいい!!」

「ぐえ」

 

 

思いのほか本気で嫌そうだね。天童さんなら予測してたかもしれないけど僕はそんなの無理。なのでびっくりしてる。ついでににこちゃんがリーダーになれない現実に涙してる。そして殴られる。痛いよ。

 

 

「そ、そっか…じゃあ創ちゃんは?!」

「マネージャーがリーダーできるわけねぇだろ」

「僕ら裏方だからね」

「こんなに目立つ裏方いるかしら…」

「「なんか言った」か?」

「何でもないわ…」

 

 

そこで創一郎は出てこないでしょ。選択肢に入らないでしょ。そして僕らは目立たないよ。いや創一郎は目立つね。僕もその筋の人には有名だね。目立つわ。反論不可能だったわ。

 

 

「だったら真姫ちゃんがいいにゃ!歌も上手いしリーダーっぽいし!!」

「うぇえ?!」

 

 

なんだか久しぶりの真姫ちゃんびっくりボイスだね。

 

 

「話聞いてなかったの?!みんな凛がいいって言ってるのよ!!」

「でも、凛は…」

 

 

ついに半ギレモードに突入した真姫ちゃんに対して、はっきりと返事できない凛ちゃん。どうしたんだろうね。言いにくい理由でもあるのかな。

 

 

「凛…嫌なのか?」

「嫌、っていうか…凛はそういうの向いてないよ」

「向いて、ない…?」

「意外ね。凛なら調子よく引き受けると思ったけど」

「凛ちゃん、引っ込み思案なところもあるから…」

「特に自分のことに関してはね」

「ふうむ」

 

 

自分に関しては引っ込み思案。

 

 

なるほど確かに、加入当時は花陽ちゃんの後押しをした流れで入った感じもあるし、自分自身をアピールしてるのはほとんどなかった気がするね。自己主張、という観点ではある意味海未ちゃんや花陽ちゃんより少ない。海未ちゃんは脳筋だし、花陽ちゃんはドルオタだからその方面での主張は激しいもんね。

 

 

これはちょっと考えものだ。

 

 

「凛、いきなり言われて戸惑うのもわかるけど…みんな凛が適任だと思ってるのよ。その言葉、ちょっとだけでも信じてみない?」

「あっ」

「…わかったよ。絵里ちゃんがそこまで言うなら…」

「どうしたのよ茜」

「…いや、何でもないよ」

 

 

考えものだと思ったからちょっと保留にしようと思ったのに、絵里ちゃんが後押ししてしまった。絵里ちゃんに影響力がありすぎるのも困りものだね。

 

 

本人が乗り気でないのに押し付けるのはあまり好きじゃないんだけどね。

 

 

…ちょっと根回ししとこう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

というわけで、臨時リーダー凛ちゃんによる練習のはじまりはじまり。

 

 

「え、えっと…では、練習を始めたいと思います…」

「わあー!」

「拍手するところじゃないでしょ」

「えへへ…」

「スタートから不安なんだけど」

「黙ってろ」

「はい」

 

 

開幕から緊張でちぎれそうな凛ちゃんに不安しかない。そこで拍手する花陽ちゃんは緊張を解そうとしてるのか、ただ感激してるだけなのか。後者な気がする。多分後者。

 

 

 

 

 

 

「えっと…では最初に、ストレッチから始めていきますわ。みなさんお広がりになって!」

 

 

 

 

 

 

「「「「「…」」」」」

「それが終わったら、次は発声ですわ…」

「はいストップ」

「…何それ」

「凛ちゃん!」

「な、なんですの?」

「なんですのじゃねぇよ。何だその喋り方」

 

 

開幕から総ツッコミだった。今のはいただけない。どっかのツインテ変態テレポーターさんみたいな喋り方になってた。ドロップキックされちゃう。

 

 

「…凛、何か変なこと言ってた?」

「変どころの騒ぎじゃないよ」

「別にリーダーだからってかしこまることないでしょ。普通にしてなさい!」

「そ、そっか…えっと、じゃあストレッチを…はっじめっるにゃー!!」

「急にテンション高くなったね」

「もう、ふざけてる場合じゃないでしょ!」

「まあ今のはまだいつもの凛ちゃんじゃないの」

「さっきよりマシだろ。元気あるのも悪いことじゃねぇ」

 

 

かしこまりテンションとの落差が激しいよ。

 

 

ストレッチ自体は個人でやることだから凛ちゃんは関係なし。ここはいつも通りでおっけー。

 

 

で、次のステップの練習はいつもは僕がリズムとってるんだけど、今後のことも考えてとりあえず凛ちゃんにやらせることに。ここは真姫ちゃんか創一郎がいいんじゃないの。まあいいけど。

 

 

「1.2.3..4.5...6..7.8...」

「凛ちゃんリズムがえらいこっちゃになってるよ」

「えっ、にゃ、にゃにゃにゃ、にゃにゃにゃにゃ!!」

「おい落ち着け。一旦止まれ」

 

 

緊張のせいか、リズムがズレまくりである。指摘したら余計テンパってさらに悪化。見かねた創一郎がストップをかけた。緊張しすぎじゃないの。

 

 

「っていうかメトロノーム使えばよくない?」

「メトロノームなんてどこにあんだよ」

「部費で買えばいいじゃないの」

 

 

新しく買うっていう発想はないのかね。でもそもそも何故メトロノームすらないのこの部活。僕が買ってないからか。僕のせいじゃん。当方猛省。

 

 

そしてダンスの練習ではいつも通りにこまきコンビがなんかやり始めた。

 

 

「ねぇ、私はここから後ろに下がっていった方がいいと思うんだけど」

「何言ってんのよ、逆よ!ステージの広さを考えたら前に出て目立った方がいいわ!」

「だからこそ引いてステージを広く使った方がいいって言ってるんじゃない!」

「いーや!絶対前に出るべきよ!」

「むう!!」

「2人で言い合ってないで僕に言いなさい僕に」

 

 

相変わらず意見はぶつかるお二人だ。反抗しなきゃ気が済まないのか。お子様か。ツンデレチャイルドか。何かちょっとかわいい感じになったね。なってない?

 

 

ちなみにここは前にも後ろにも行かない方が全体の構成としてはいいのであった。真姫ちゃんが目立つ場面ではないし、ステージを広く使う必要もない。というかステージの奥行き的に下がったところでたかがしれている。

 

 

ちゃんと考えてありますぅー。

 

 

「…そうだ!凛はどう思う?!」

「え?」

「そうよ、リーダー!」

「凛ちゃん!」

「丸投げしないの」

「うっさい!」

「あぼん」

 

 

なんか都合よく丸投げを始めた。何でもかんでも押し付けるんじゃないよ。そして突き刺さるにこちゃんナックル。威力増してきた気がする。なんでさ。

 

 

「え、あ…穂乃果ちゃんに聞いたらいいんじゃないかにゃ?」

「それじゃ間に合わないでしょ!」

「な、なら、絵里ちゃんとか…」

「…凛、リーダーはあなたよ。あなたが決めなさい」

 

 

…ああ。

 

 

答えが出せない凛ちゃんへのにこちゃんの言葉でなんとなく察した。

 

 

丸投げしてるんじゃなくて、決定権を渡してるのか。

 

 

リーダーとして、「決断すること」の重要性は計り知れない。どれだけ議論したとして、トップが「ダメだ」と言ったら先には進めないからね。いいことか悪いことかわかんないけど。

 

 

だって集団におけるトップというのは()()()()()()()()()()()()()()()()()()であり、かつ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()だ。多数派の勢いに待ったをかけるのも、消極的な集団でゴーサインを出すのも、リーダーだからこそ効力を発揮するもの。そこで明確な意思表示ができるかどうかは集団の能力に直結する。

 

 

穂乃果ちゃんなら後者を決断する能力が圧倒的に高い。不透明でも、やらなきゃ後悔すると思うなら「やろう」って言えるのが穂乃果ちゃんだ。

 

 

凛ちゃんにそういうことができるのか、にこちゃんは試してるんだろう。にこちゃんナックルの威力が高かったのも納得だ。嘘だわ納得はしてないわ。痛いものは痛い。僕Mじゃないし。Mじゃないよ?

 

 

そして、対する凛ちゃんは。

 

 

「そ、そっか…じゃあ………明日までに考えてくるよ…」

 

 

先送りにするしかなかったようだ。

 

 

いきなり決めろって言われても困るのはわかるけどね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はあ…疲れるにゃ…」

「上に立つっつーのはそれだけ労力を使うってことだろ」

「そうかもしれないけど…」

 

 

結局練習はあまり捗らないまま終わり、今は1年生の4人で下校中だった。絵里と希は生徒会の仕事があり、にこと茜は妹たちの世話のためにさっさと帰ってしまったからな。

 

 

「やっぱり凛にはリーダーは無理だよ…」

「そんなことないよ。きっとだんだん慣れていくよ!」

「そうよ。まだ初日でしょ?」

「前に立つセンスはあると思うがな」

 

 

とにかく、凛は相当へこんでいるらしい。なかなか珍しい状態だ。

 

 

 

 

 

「…そんなこと言って、三人ともリーダーになりたくなかったから凛に押し付けたんでしょ?」

 

 

 

 

 

…普段なら、こんな恨み言なんて言わないしな。

 

 

「えぇ?!」

「何言ってるの?本当に向いてると思ったから凛を推薦したの」

「そうだよ!私、穂乃果ちゃんたちが他の人を推薦しても凛ちゃんがいいって言ったと思うよ!」

「えぇー、嘘だぁ。だって凛なんて全然リーダーに向いてないよ」

「何故そう思うんだ」

「だって、ほら…凛、中心にいるようなタイプじゃないし…」

 

 

何言ってんだこいつ。

 

 

そう思っていたら、真姫が凛にチョップを食らわせた。なぜチョップ。

 

 

「いてて…真姫ちゃん?」

「あなた、自分のことそんな風に思ってたの?」

「そうだよ!μ'sに脇役も中心もないんだよ!」

「『これからのSomeday』、そういうコンセプトでやったんだろ。今更言うことじゃねぇと思ってたんだがな」

「それは、そうだけど…」

 

 

チョップに加えて励ましの言葉もぶつけてみたが、あまり効果は無さそうだ。俺の言葉が励ましになっている自信はないがな。

 

 

「…でも、凛は別だよ。ほら、全然アイドルっぽくないし」

「それを言ったら私の方が全然アイドルっぽくないよ!」

「そんなことないよ!だってかよちんは可愛いし、()()()()()()()!」

「ええっ?!凛ちゃんの方が可愛いよ!!」

「そんなことなーいー!!」

「喧嘩してんのか褒めてんのかどっちなんだお前ら」

「はぁ…よほどのうぬぼれ屋でもない限り、自分より他人の方が可愛いって思ってるものでしょ?」

 

 

もはやムキになるレベルで否定を重ねる凛に真姫は呆れている。本当に、何をそんなに必死に否定しているんだ。

 

 

 

 

 

「違うよ!!()()()()()!!!」

 

 

 

 

 

何故そんなに。

 

 

吠えるような圧力で否定するんだ。

 

 

「…引き受けちゃったし、穂乃果ちゃんが帰ってくるまでだからリーダーはやるよ?…でも、向いてるなんてことは絶対にない!」

 

 

そう言って、そう叫んで。

 

 

凛は、一人で走っていってしまった。

 

 

「凛…」

 

 

無意識に右手が伸びたが、手は空を掴み、凛には届かなかった。

 

 

あいつは、一体何を抱えているんだ。

 

 

「…もしかしたら、まだ昔のこと…」

「…昔?」

 

 

花陽の呟きを、俺は聞き逃さなかった。何か知っているのか?

 

 

「…花陽、何か知っているなら話してくれ」

「…うん」

 

 

 

 

 

 

凛が何か悩んでいる。

 

 

 

 

 

 

凛が何かに苦しんでいる。

 

 

 

 

 

 

それなら、俺は。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ごめんね。凛たちのために苦しませちゃったね。ありがとう、凛たちのために悩んでくれて。…いいんだよ。凛たちは友達でしょ?一人で悩まなくてもいいんだよ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの日の救いに報いるため。

 

 

 

 

 

 

 

自分から言っておいて一人で悩んでいる馬鹿野郎を、今度は俺が助けに行く。

 

 






最後まで読んでいただきありがとうございます。

さあ頑張れ滞嶺君。今回は君がヒーローだ!多分!!
というわけで凛ちゃん回前半です。アニメ二期の中でもかなり人気のあるお話なのではないでしょうか。私も大好きです。お陰で筆がノリノリでした。
また、ちょこちょこ伏線をぶん投げる遊びも気合いが入ってます。毎度思いつきで伏線投げてるので後で回収できなかったらどうしようって思ってます。誰だこんなことしたのは!私か!!笑
ちなみに一番闇が深い誰かさんの伏線はいつも張っています。彼のお話になったら種明かしの予定ですが、いつになるやら!!笑

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