笑顔の魔法を叶えたい 作:近眼
ご覧いただきありがとうございます。
今年ももうすぐ終わりですね。この作品も年を越せるほど続けられて良かったです…。読んでくださる皆様のおかげですね!ありがとうございます!そしてこれからもよろしくお願いします!!
今回はハロウィン回後編です。色々ネタに走ってますが、まあハロウィンですから!!
というわけで、どうぞご覧ください。
「…説明してもらえるかしら?」
「委細偽りなく、ね」
「え、えっと…」
僕らは揃って理事長室にいた。そりゃあんな格好してたらそうなる。当然のように呼び出し食らった。
食らったけど、今日の僕は理事長さん側にいる。
当たり前だよ。僕がいない間に何してんだ君ら。
「…なんだっけ?」
「覚えてないんですか?!」
キレそう。
「理事長、違うんです!ふざけていたわけじゃないんです!」
「嘘つけ」
「そうなの!ラブライブに出るためには、どうしたらいいかってことをみんなで話し合って…」
「今までの枠に囚われていては新しい何かは生み出せないと思ったんです!」
「そうなんです!私たち本気だったんです!怒られるなんて心外です!」
「そうですそうです!」
「うるさい」
「ひぃっ?!」
何をよくわかんない自己弁護してんだ君らは。自分の格好を鏡で見てみなさい。
「と、とにかく!怒られるのは納得できません!」
「へぇそうかい」
どうしても自分達に非はないと言いたいらしいので、理事長さんの方を見たら理事長さんもこっち見た。多分同じこと考えてるんだろう。
今の僕はマジギレモードなので手加減しないよ。
「じゃあその衣装で最終予選出るんだね」
「えっ」
「そこまで君らが正当性を主張するなら、その衣装が完成形というわけだね。オッケーそれなら僕から何も言うまい。それでどれだけ人気が出るかはちょっと保証しかねるけど君らがそこまで自信満々に正しいと言うならきっと問題ないんだね知らないけど」
「…え、えーっと…」
「そうね、それならば今後もその姿で活動することを許可するわ」
皆さま黙り込んでしまった。さあ喜びなさい。君らの望みは叶えてあげるので。結果は保証しないけど。
しばらくお互い顔を見合わせた結果。
「「「「「「「「「すみませんでしたあああ!!!」」」」」」」」」
目が覚めたらしかった。
遅いわ。
「どうしてこうなるの?!」
「にこちゃんうるさい」
「は、はい…」
場所を移していつものファミレスである。早速にこちゃんが叫んだけどここファミレスだから静かにね。
ちなみに僕はネバーエンディング激おこモードである。何のために絵里ちゃんとか創一郎が居るのかわからなくなるじゃんね。引き締め役しっかりして。他のみんなもふざけすぎだけど。
「そうです!もっと真面目にインパクトを与えるためにはどうしたらいいか話していたはずです!」
「最初は海未ちゃんだよ!色んな部活の格好してみようって!」
「そっそれは…ですがそのあとは穂乃果達でしょう!?」
「うるさい」
「「ごめんなさい」」
人に責任をなすりつけるんじゃないよ。
「それより今は具体的に衣装をどうするか考えた方がいいんじゃない?」
「何まだ衣装作ってなかったの」
「う、うん…」
「…」
「ご、ごめんなさい…」
本番もう明日なんだけどね。僕がいない間何してたのいや本当に。さっきも色んな部活の格好してたとか言ってたしね。それ自体は発想として悪くないと思うんだけど、このクソ忙しいタイミングでやることじゃないでしょ。
イライラが溜まりに溜まるので目の前のお肉を細切れにして誤魔化そう。
「え、えっと…一応考えてはみたんだけど、やっぱりみんなが着て似合う衣装にしたいって思うんだ…。だから、あんまりインパクトは…」
「何さ、原案あるなら早く作ればよかったのに」
「でもそれじゃA-RISEには…!!」
ちゃんと衣装のネタ自体はあるようなので安心した。さっさと作れば明日には余裕で間に合うね。僕もいるしね。
でも、にこちゃん的には不服な模様。
「にこちゃん」
「…な、何?」
そんなに警戒しなくても怒らないよ。いや怒ってるけど叱らないよ。どっちだよって言われそう。
「いやにこちゃんに限らずだけどさ。インパクトの方向性が違うよ」
「え?」
「まあそりゃ奇想天外なインパクトも有効な時は有効なんだけどさ。僕らにとっては違うよ。その一瞬だけ目に留まってもあんまり意味はない。そんな一発芸じゃ一時的に目立っておしまいなんだよ」
「えーっと…どういうこと?」
「僕らに必要なのは
まだ先があるんだから、一発屋では終われない。
この次もちゃんと見て聴いてもらわなきゃならない。
「だから、変に奇をてらうよりも正統派に行く方がいいんだよ」
「で、でも…A-RISEは…」
「彼女らは既に十分な固定層を得てるもの。『いつも通り』で得られる限界が近づいたら、その時は新規層を狙いに行くものだよ」
彼女らは年期も僕らより上だしね。当然μ'sよりも元々のファンが多いし、故に伸び代も少ない。それでも更にファンを増やそうというならちょっと奇をてらうくらいの努力はするものだよ。まあ失敗すると固定層も一部離れていっちゃうんだけどね。諸刃の剣。痛そう。
「そういうのは天童さんも得意そうやけど」
「あー…あの人は人心掌握に関しては怪物だからね。地道に人気を上げていく策なんて使わなくても、一発芸のような奇想天外な手を無限に叩き込んでくるから僕らみたいな『地上げ』が必要ないんだよね」
「どういうこと?」
「毎回違う一発芸やって全部大当たりさせるってことだよ」
「うわぁ…」
天童さんはこういう時に引き合いに出しちゃダメな人だよ。僕を前にして絵を、桜を前にして音楽を引き合いに出すみたいなもんだから。
「まあとりあえず、本番まで時間もないし…ダンスは君らを信じるとして、衣装作ってしまおうか。ほら創一郎いつまで落ち込んでんの」
「…デスメタ、イケると思ったんだがな…」
「おっけーテメェが原因かおい」
「茜くんキャラ変わってる?!」
「とりあえず刃物持ってくるから待ってて」
「だ、ダメよ刃傷沙汰は!!」
「おう…」
「…………そんなに落ち込まれると怒りづらいんだけど」
「おう…」
「ちょっと凛ちゃんコイツ何とかして」
「えっ凛?!」
創一郎がずっと黙ってるから相当落ち込んでるなーって思ってたのに、思いっきり主犯だった。君の提案かよデスメタ。イケるわけないでしょ。君ドルオタでしょ。デスメタしてるアイドルとかいないでしょ。いるの?
しかもハイパー落ち込んでるのでなんかこっちが申し訳なくなる。仲良しな凛ちゃんに何とかしてもらおうと思ったら凛ちゃんちょっと赤くなってしまった。ちくしょう青春しおってリア充爆発しろ。ダメだわ僕とにこちゃんが真っ先に爆発しちゃうわ。
「はぁ〜疲れた…」
「さっさと寝ろ」
「まだお店閉まってもいないのに!!」
「関係ねーだろ。明日ライブなら疲れを溜めない方がいいだろ」
「………桜さん、心配してくれてる?」
「してねー」
「即答?!」
穂むらでほむまんを食いながら作曲してたら、穂乃果が帰宅早々正面に居座ってグダり始めた。せめて着替えろ。
「うう、直前なのにあんまり練習できなかったから明日のライブが不安だよぉ…」
「…何でそんなことになったんだよ」
「えっとね!!」
「聞かなきゃよかったな…」
何か不穏なことを口走りやがったから思わず聞いてしまった。こいつ話し始めたら止まらないんだった、迂闊だった。
で、穂乃果が言うには、何やらインパクトを求めていろんなことをしていたら練習時間無くなった上に理事長さんや茜に怒られたらしい。自業自得じゃねーか。
「ほんとバカだな」
「バカじゃないもん!!」
「絢瀬とか園田とか西木野とか…それなりにまともなやつらは何してんだ」
「穂乃果は?!」
「お前はバカだろ」
「バカじゃないもん!!」
「うるせえっつってんだろやめろパソコンには手を出すなバカ」
「ううううう!!」
唸りながらパソコンを奪おうとしてくる穂乃果。そういうとこがバカだっつってんだよ。
「…で、結局どうなったんだよインパクトとやらは」
「うん…ことりちゃんが考えてた衣装がみんなに似合うようにって考えてくれてたから、インパクトはあんまりないんだけど…」
「まあそれがいいだろ。無駄な小細工してないで正統派でいってこい」
「でも、A-RISEはもっとインパクトが…」
「テレビでやってたやつか?まああれで目を引いてくれたならありがたい話だろ。A-RISE目当てで来たやつらをかっさらってこい」
「えー、そんなことできるかな…」
「らしくもねー心配してんじゃねー。やれるかどうかじゃなくてやるかやらないかだろ。どーすんだ、やるか、やらないか」
「うぇぅ」
珍しく落ち込んでやがるから、ほっぺたをぐにぐにして叱ってやる。お前勢いしかねーんだから勢いでなんとかしろ。下手な策を練ってるより、体当たりする方がこいつらにとっては上策だろう。
「…うん、ありがとう、桜さん!私頑張る!!」
「その意気だ。とりあえず着替えてこい」
「えーっ!!」
「穂乃果、もう閉店時間よ?」
「えっもう?!」
「あ、すみません。すぐ出て行きますんで」
「急がなくていいわよ。それよりいつも穂乃果の相手をしてくれてありがとう」
「いえ、こいつが勝手に絡んでくるだけなんで」
「そんなことないよ!!」
「そんなことあるわ。じゃあ、今日は失礼します。また来ます」
「ええ、ありがとうございました」
「またね!!」
「はよ着替えてこいアホ」
「アホじゃないもん!!」
なんだかんだ閉店までいてしまったらしい。穂乃果の話がやたら長いせいだろう。閉店までいたからか、穂乃果のお父さんも見送りに来てくれた。あの人引くほど無口だから何も言われなかったが、サムズアップはしてくれたので「また来いよ」というサインだと受け取っておく。
…残りの仕事は家さっさとで片付けて、明日はアキバまで行ってみるか。
で、ライブ当日。
アキバの街はそれはもうハロウィン一色だった。そりゃハロウィンイベントなんだから当たり前なんだけどさ。仮装してる人もいっぱいだ。仮装というかもはやコスプレの人も多いけどね。さすがアキバ。たまにクオリティの高いアイアンマンとかいるけど何なんだろうね。
子供がシンデレラしてたり、おじいさんが百式観音しそうな格好してたり…カオスだね。老若男女問わず大仮装大会だね。何なのこれ。
「で、何で桜もいるの」
「暇だったからな。たまには雑踏の音を聴くのも悪くない」
「穂乃果ちゃんならあっちだよ」
「穂乃果関係ねーだろ」
なんか言ってるけど絶対穂乃果ちゃん目当てだよね。
「へーい少年たち!!天童さんプロデュースのハロウィンイベント、楽しんでるかい?!」
「天童さんプロデュースだったんですか」
「いや、嘘」
「よし殺そう」
「桜クン目がマジだぜ待った待った刃物はよろしくない捕まるぞ」
突然後ろから肩を組んできた天童さんに桜がハサミを突きつける。どこから出したのそれ。
「それはそうと、天童さんは何の仮装ですかそれ」
「見てわからんかね?キリト君だよキリト君。いやーキリトかなやっぱww」
「やっぱり殺そうぜこの人」
「何でそんな思考がバイオレンスなんだよ」
言われてみれば、天童さんの格好は黒コートに模造の剣が二本。確かにかの有名なキリト君だ。敢えて雑な作りなのは多分目立たないようにするためだろうね。ネタにするつもりなのかもしれないけど。
変なポーズとってる天童さんの後ろから更に二人、松下さんと…なんか縮尺がおかしい大男が来た。メンバー的には御影さんだと思うんだけど、そんなにデカくなかったよね?創一郎よりデカいんだけど。
「てっ天童君!御影君が役に入りすぎて帰ってこないんですけど?!」
「あー、こいつそういうやつだから。いいじゃねーか、楽しそうで」
「だいたいコレ何なんですか?!」
「イヴァン雷帝だよ。知らない?」
「いや知ってますけどそこじゃないです!どうやって動いてるんですか?!明らかに彼の元のサイズと違うでしょう?!」
「さっすが文学の天才、ゲームのこともご存知とはな!」
「話聞いてます?!」
「余の威光を示さねばならぬ…」
「ちょっどこへ行くのですか御影君!!」
「余は
「ああもうどうすればいいんですか?!」
やっぱり御影さんだった。でも、いくらどんな役もやれるって言っても限度があると思うんだよね。流石に
ちなみに松下さんは新八のコスプレしてる。そんなんだからツッコミ役に回されるんですよ。そのうちどんだけーとか言いそう。
でも御影さんと天童さんに振り回されてかわいそう。
「それはそうと、うちのアイドル達はどうしたんだろう」
「あそこにいるぞ」
「わあ〜見て!おっきいかぼちゃ!」
「ほんとだ!」
「すごいおっきいー!!」
「この緊張感の無さよ」
この後ライブだというのに君たちは。まあある意味平常運転でもあるか。むしろ穂乃果ちゃんが騒いでないあたりびっくりだ。
「絵里ちゃん、私このままでもいいと思うんだ」
「え?」
「私達もなんとか新しくなろうと頑張ってきたけど…茜くんも言ってたけど、私達はきっと今のままでいいんだよ。だってみんな個性的なんだもん!」
「今更案件だね」
「今更だな」
今更の話であるけど、穂乃果ちゃんは穂乃果ちゃんでしっかり見てたみたいだ。
なんか色々やらかしてたけど。
まあそれも、自分たちの魅力を再認識するのに役立ったなら無駄ではないかな。
デスメタは許さないけど。
「まあ君たちは各個人が個性の塊だしね。そもそもインパクトがどうとか必要なかったよ」
「だからこそここまで来れたとも言うんだろうな。茜も滞嶺も変な野郎だし…ん?そういえば滞嶺どこ行った?」
「彼なら罰ゲームさせてるよ。ほらあそこ」
インパクトが必要なのは個性が目立たなくなった時だしね。9人もいるスクールアイドルって時点で十分だし、それぞれの個性も抜きん出ているんだからわざわざ他に求めなくてもよかったのさ。
で、滞嶺は変なこと提案した罰をやらせてる。
ちょっと離れたところで、仮装をさせて立たせているんだけどね。
「………………………何だあれ」
「プリキュアだよ」
「……………………………………………………」
「具体的に言うとキュアホワイトだよ」
「お前の発想が恐ろしい」
滞嶺には女装してもらった。
女装ってかコスプレしてもらった。
プリキュアになってもらった。
プリティでキュアキュアになってもらった。
やばいすごく愉しい。
「…茜よ。貴様は鬼か?」
「どうしたんです天童さん。天童さんもああいうの好きでしょ」
「バカ言うな。大好きだ」
「クズしかいねーなおい」
「…僕はよく見えないんですが、大丈夫ですか彼。気絶してませんか?」
「多分気絶してますよ」
「ええ…」
松下さんにドン引きされちゃった。事実、天を仰いで仁王立ちする創一郎は多分意識をシャットアウトしてる。メンタル豆腐だからね。いや鋼メンタルでも辛いかもしれないあれは。自分で提案しておいてなんだけどね。
「目立つ目印があると思ったから来てみたが、やはり茜がいたか」
「…なんだあのおぞましいのは」
「お、ゆっきーとまっきーだ。病院はいいの?」
「会場内の診療所を、西木野先生のとこの方々と交代で持ち回っている。今は非番だ」
「だからって仮装しなくてもいいのに」
「…こいつ、自分の右腕が無いのを武器にしてるからな」
「私にしかできない仮装だと思うのだがな」
まっきーはシャンクスの仮装してた。まあ確かにね、隻腕を生かしまくってるね。でも君が失ってるのは右腕だよね。ファンに怒られないかな。ちなみにゆっきーも申し訳程度にグリフィンドールの制服着てた。まあ車椅子に座れる格好じゃなきゃいけないしね、仕方ないね。
「まあみんなハロウィン満喫してるみたいだし、僕もお仕事しなきゃね。ほら君たちそろそろライブ会場行くよ」
「はーい!」
「いっくにゃー!」
「あっ、天童さんイキリトですね」
「イキる前からイキリト呼ばわり…」
「希ちゃん天童さんにちょっかいかけてないで行くよ」
「はーい」
さあ、そろそろ始めようか。
余計な小細工は必要ない。君たちの魅力を振りまく時間だよ。
「μ'sもなかなかやるもんだなぁ」
「まあ自慢のスクールアイドルだからね。このジュースすんごい美味しいんだけどなにこれ」
「そんなこと言ったらA-RISEだって俺の自慢だよ。ジュースの配合は企業秘密だ」
「そこはお互い譲れないよね、マネージャーだし。ラズベリーがベースだとみた」
「そりゃそうだ。マネージャーが自分の担当を信じられなくてどうすんだって話だな。残念、クランベリーだよ」
ステージ裏でくつろぎながら、白鳥君にもらったジュースを飲んでるなう。引くほど美味しい。なにこれ。
「俺たちはライブが終わったら仮装大戦争なんだが、μ'sは何かしないのか?」
「どうしよ。創一郎で遊んでたから何も考えてなかった」
「…滞嶺君は一体何をしたんだよ」
「色々あったんだよ。ってゆーか大戦争ってどういうこと」
「何故かUTXの生徒達が俺を押しつぶさんとしてくる」
「なるほど」
「何で納得してんだ」
つまりハーレム大戦争なわけだね。リア充爆発しろ。
まあでも、僕らもせっかくだから仮装くらいしてもいいかもね。コスプレじゃなくても、おばけとかならいけるでしょ。最悪ゆっきーが作ってくれるし。
創一郎にも今度はラオウの格好させてあげよう。我が生涯に一片の悔い無しみたいな気絶の仕方してたしね。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
キュアマッスル爆誕。
激おこ波浜君は滞嶺君の豆腐メンタルをズタボロにしていきました。かわいそうな滞嶺君。
今回はハロウィンなのでいろんな人にいろんな仮装をさせてみました。多分天童さんが一番面白いです。御影さんが一番リアクションに困ります。結果的に出てきたキャラをご存知ない方には色々申し訳ない話になってしまいましたけどね!!