笑顔の魔法を叶えたい 作:近眼
ご覧いただきありがとうございます。
ちょっと遅くなりました。ES書いたりしてて疲れたんですー!小説投稿してる場合じゃないじゃんね!!でも我慢できなかったから投稿!!お気に入り増えてたもん!!トトロ本当にいたんだもん!!
やっと原作に合流できそうです…。
というわけで、どうぞご覧ください。
どんな様子だったかは置いといて、とにかくライブは無事終了した。
「はぁ、はぁ、…っは、はぁ、死ぬ…」
「せ、先輩大丈夫ですか…?」
「あー、ちょっ、ちょっと、ハッスル、しすぎた、かも」
「いやあれはちょっとじゃないですよ」
そして僕は椅子に沈んで死にかけていた。そりゃあプログラムした照明効果に加えてオリジナルアレンジをつっこんであっちこっち手を動かてたからなあ。体力が人並み以下の僕には苦行だ。なぜやったし。絢瀬さんはどっかいっちゃうし。どうせμ'sに難癖付けに行ったんだろ、ほっとこ。
「あぅー、動画、へんっ、編集、しとかねば…」
「えええ、まだ働くんですか…」
「ふ、ふふふ、これが、しょく、職人って、もん、だから、ね」
ドン引きしてるお手伝いさん1号をほっといて、もぞもぞ手を動かしてパソコンを起動し、手早く動画の編纂に移る。あーよく撮れてるよかった、プログラムのおかげであんまりいじらなくても良さげだ。最後にクレジットいれて、ちょっと微調整してしゅーりょー。
『どうするつもり?』
画面を閉じると同時に講堂から絢瀬さんの冷たい声が聞こえた。初見の人はビビるだろうけど、あの子かき氷お嬢ちゃんだからなあ。あんまり怖くないよなあ。僕からしたら。
『続けます!』
答えるのは高坂さん。こっちは元気な感じに加えて力強さも感じる。壁を乗り越えられたようでなにより。
『なぜ?これ以上続けても意味はないと思うけど』
『やりたいからです!』
絢瀬さんの厳しい言葉にも高坂さんは即答して見せた。しかも、スクールアイドルをまだ続けたいって、やりたいって言ってくれている。うん、にこちゃんと一緒にやっていくにはそうでなくちゃ。
『今、私、もっともっと歌いたい、踊りたいって思ってます。きっと海未ちゃんも、ことりちゃんも』
高坂さんの言葉に頷く園田さんと南さん。高坂さんの独断ではなく、3人とも同じ気持ちなようだ。
『こんな気持ち、初めてなんです!やってよかったって本気で思えたんです!…今はこの気持ちを信じたい』
高坂さんはにこちゃんみたいに元気な子だけど、にこちゃんみたいに本心をしまいこんだりしないらしい。だからこそ、その言葉に偽りはなく、真っ直ぐ聴衆に届く。
ある意味、アイドルとして、他者を魅了するものとしての才能があるのかも。
『このまま誰も見向きもしてくれないかもしれない。応援なんて全然もらえないかもしれない。でも、一生懸命頑張って、私たちがとにかく頑張って届けたい!今、私たちがここにいる思いを!いつか、私たち必ず…ここを満員にしてみせます!」
なんか急にすごいこと言いだしたぞこの子。
講堂満員って結構キツいよ。
ここ500人くらい入るでしょ。
それはともかく、高坂さんは本気でスクールアイドル続けるようだ。絢瀬さんも何も言わず去ってしまったようだ。にこちゃんは椅子の上にちょっと顔を出して一部始終を見ていた。やっぱりいるんじゃない。眼鏡っ娘もまだいる…あれ、なんか1人増えてる。オレンジ髪短髪バージョンが増えてる。
ま、西木野さん含めても眼鏡っ娘が入ってくれれば5人に届く。そしたら彼女らも僕らのアイドル研究部に来るはず。にこちゃん待ってろ、君の希望が随分迫ってきたぞ。
で、翌日。
「μ'sのライブどうだった」
「行ってないって言ってるでしょ!」
「なんだい、感想聞きたかったのに」
「聴いてないのに感想なんてないわ。残念だったわね」
部室でお昼ご飯食べながら聞いてみたけど、案の定嘘つかれた。にこちゃんよ、いい加減僕には嘘つけないって学習しようぜ。
「でも結構いいダンスだったよ」
「あれのどこが…っは!」
「…にこちゃん、僕が言うのもなんだけど、ちょろいよ」
「うううううううう!!!!」
「わかったわかったわかったからパイプ椅子を振りかぶらないで」
雑に引っ掛けたら口を滑らせた。にこちゃんこういうところがあるから心配だ。でもパイプ椅子はダメ。死んじゃう。マジで死んじゃう。
「…でも、あれ茜の演出でしょ。あんたもやっぱり行ってたんじゃない」
「僕は別に行かないなんて言ってないよ」
「そうだけど!」
「一緒にいてほしかった?」
「そ……違う!!」
「最初なんて言いかk痛い痛い本を投げるんじゃない弁当が危ないし痛い」
暴力反対。あとやっぱりバレてたね。
「っていうか随分張り切ってたじゃない。無理しないでって言ってるのに、そんなにあの子達気に入ったの?」
「だから僕はにこちゃんのためならなんだってできるんだって。結構前に言ったような」
「そんな恥ずかしいこと何度も言わないで!」
照れてるにこちゃんかわいい。あーいや何時でもかわいいから「いつもより」かわいいだな。betterだbetter。
「だいたい私関係ないじゃない」
「あるんだなーこれが。まあそのうちわかるよ多分」
「隠さないでよ」
「サプライズだよサプライズ」
手をひらひらさせて誤魔化しておく。ここに彼女らが来てからのお楽しみ…いや来るかわかんないけど。
そーだ、一応言っといた方がいいのかな。
「まああの子たちが気に入らないなら絢瀬さんが協力してくれるでしょ。何か嫌いみたいだし」
「あー、何か文句言ってたわね」
「あのかき氷お嬢ちゃんがなあ」
「…かき氷お嬢ちゃんって何?」
にこちゃんには伝わらなかった。おかしいなあ、にこちゃんは絢瀬さんのポンコツモード見たことないのかな。
「絢瀬さんって氷の女王というよりはかき氷お嬢ちゃんだよねって話」
「そう?」
「だってたまにポンコツじゃないか」
「ポンコツってあんた」
にこちゃんが呆れ顔でこっちを見てくる。ポンコツ呼ばわりはダメなのかい。ダメか。
「ともかく、スクールアイドルの何がそんなに気にくわないかは知らないけど、にこちゃんがμ'sを相手取りたいなら強い味方だと思うけど」
「…まあ…」
「悩めるにこちゃんの選択やいかに」
「悩んでない!」
変なところでムキになって机をバンバンするにこちゃん。こんなに一緒にいても、にこちゃんの意地の張りどころはよくわからない。あと机を叩くのはやめなさいってば。
「まあ、僕はにこちゃんの味方だから安心して」
「余計安心できないわよ」
「死んでいいかな」
「冗談よ、ショック受けすぎ」
にこちゃんに拒否されたら死ねる自信はある。
結局にこちゃんがどうするかは聞けなかったけど、考える機会になっただけで十分だ。どうしたいか…だいたいわかってるけど、ちゃんと待ってあげよう。
最近は生徒会コンビが忙しいらしいので、勉強会はしばらくお休み。にこちゃんも今日はご兄妹の世話すると言って先に帰ってしまった。まあどうせ本当は1人で考え事したいだけだろうけど、先に帰ると言うなら止めない。が、僕はやることない。つまんない。
というわけで校舎内をうろうろしていると、掲示板にμ'sのビラが貼ってあるのに気づいた。「メンバー募集中!」らしいけど、あんまり人数増えても管理が大変な気がする。あと文字の色が薄いし余白が多い。カラーリング的にも文字に目がいかない…ってビラのダメ出ししてどうする。
ふと意識が途切れた瞬間に、視界の端になんか手帳みたいなものを捉えた。そっちを見てみると、誰かの生徒手帳が落ちている。拾って開いてみると西木野真姫と書いてある。西木野さんのかい。って躊躇なく開いてしまったけど普通に失礼かもしれない…いや持ち主特定のために必要なことだ、うん。
しかし、ここに落ちてたってことはμ'sのビラ見てたのかな。
「あっ…」
「ん?」
なんか声が聞こえたから横を向いてみると、茶髪で眼鏡な女の子がこっち見て固まってた。顔が赤いからなんか恥ずかしい思いをしてるのだろう。何故かは知らない。っていうかこの子ライブに来てた子じゃないか。この子もビラ見に来たのだろうか。
「やあこんにちは。μ'sのライブにいた子だよね」
「あ、え?は、はい、そうですけど…何で…」
後半は声が小さくて聞こえなかったが、多分何で知ってんだってことだろう。いかん、また初対面で警戒されてる。僕警戒されすぎじゃない?今回はどこで間違った?冗談は言ってないのに。
「あー、僕は照明演出でお手伝いしてたから窓から見てたんだよ」
「あ、なるほど…」
あっさり納得してくれた。この子も怪しい人に引っかからないか心配だ。
「ちなみに僕は波浜茜と言います。3年唯一の男子生徒…」
あれ。
そういえば1年生に男子生徒いるのかな。
2年生にはいないわけだし、1年生にもいなければ僕はめでたく学院唯一の男子生徒になる。全くめでたくない。
「…そういえば1年生に男子生徒っているの?」
「え?は、はい。1人だけ、
「一瞬で不良のイメージが」
男子生徒いるらしい。よかった。よかったけど怖いらしい。よくない?いやいい。それでも性別は男だ。
「まあいるならいいや。3年唯一の男子生徒、波浜茜です。君は?」
「え、あの…こ、小泉花陽です。1年生です」
「1年生なのはリボンでわかるよ。だからさっき1年生のこと聞いたんだし」
ああなるほどみたいな顔をする小泉さん。声は小さいけど表情はよく変わる子だ。見てて飽きない。この子もμ's入ってくれないかなぁ。
っと、それよりも。
「そうだ、ちょうどいいところに来てくれた。これ西木野さんの生徒手帳なんだけど、ここに落ちてたんだよね。男性である僕が行くとそれはそれで警戒されそうだから、代わりに届けてくれないかな」
「あ、はい。でも私も西木野さんの家がどこかは…」
「生徒手帳に書いてあるんじゃない。なければ西木野総合病院で聞けばわかるかと」
院長の住所くらい調べりゃ出てくるだろう、多分。
「あ、生徒手帳に書いてありました」
「割と躊躇なく覗いたね君」
「え?あ、あの、えっと」
「ごめんきっと僕が悪かった」
思わずツッコんだら半泣きになってしまった。困った、にこちゃん以外の女性の取り扱いが全くわからん。
「あー、そうだ。君はμ'sに興味あるの?このビラ見に来たんでしょう。メンバー募集中らしいけど」
ごまかしついでに聞いてみたら返事が返ってこない。涙こらえるので精一杯感じかな?と思ったけど、覗き込んだら別に泣いてなかった。泣いてはないけど沈鬱な表情してる。また西木野さんパターンかな?
「スクールアイドルをやりたいわけではないのかな。応援する側か、それとも自信がないだけか、もっと特殊な事情があるのか」
「えぅ…」
謎の声を出して答えに窮する小泉さん。あー、これはやりたいけど踏み出せない系の子だ。幼い頃のにこちゃんタイプだ。そういえばいつからあの子はあんなに猪突猛進になったんだろう。可愛いからいいんだけど。
「まあなんでもいいんだけど、」
せっかくだしちょっと後押ししてあげよう。
「やってみたら案外なんとかなるもんだよ。やりたいならね」
「…」
返事はなかった。
でも、ちょっと目が輝いた気がする。
気がするだけ。
「まあ、なんにせよこれからもμ'sを応援してあげてね。頑張ってる子は、ちゃんと報われてほしいから」
それだけ言って、特にもう言うこともなかったので踵を返して昇降口へ向かう。これであの子がμ'sに入るかどうかはわからないけど、この後西木野さんのところに行くわけだし、何かしらスクールアイドルの話題が出てくれると嬉しい。
「あ、あの!」
「うん?」
小泉さんの割と大きい声が後ろから飛んできた。大きい声出るじゃん。振り向くと、何か口をぱくぱくさせてる小泉さんが見えた。金魚かな。
「あの…あの、ありがとうございました!」
「あー、うん、どういたしまして?」
何故感謝されたのか。西木野さんのときもそうだけど、これはさっぱりわからない。
翌日、にこちゃんが今日も知らぬ間に帰ってしまったのでどうしようか考えていたら、中庭の方から声が聞こえた。発声練習してるみたいだけど、うちの合唱部ってわざわざ中庭で練習してたっけ。あとこれ2人分の声しか聞こえない。
試しに中庭に向かってみると、その途中で西木野さんとオレンジ髪2号ちゃんが小泉さんを引きずっている場面に出くわした。オレンジ髪2号ちゃんは小泉さんの後にいつの間にかライブに来てた子だろう、いやそれはいいんだけどこれどういう状況。
「だ、誰か助けてぇ〜!!」
なんか叫んでるし。
これをスルーしろという方が無理がある。
「…ちょいちょい、これ今どういう状況なの君たち」
「ああっ先輩!助けてください!!」
「うぇえ、波浜先輩…」
「今度は変な人が来たにゃ…!」
「ちょい待て、西木野さん露骨に嫌な顔しないで。あと誰が変な人だ誰が」
西木野さんもオレンジ2号ちゃんも失礼極まる。小泉さんの必死な表情が見えんのか。っていうか止まりなさいよ、ナチュラルに僕の横を素通りするな。そっち階段だぞどこ行くんだ。
「待て待て階段上るならせめて立たせてあげなさいよ、腰がやられるよ」
「それもそうね…」
「かよちんが怪我するのはよくないにゃ」
「そんなことより止めてくださいよぅうう!!」
小泉さんごめんよ、僕には止められそうにない。
仕方ないのでこの3人についていくついでに事情を聞いた。要するに屋上で練習してるμ'sのところに行って、小泉さんを入れてもらおうと。小泉さんはそんな急に言われても無理と。何だこの子たち、仲良しかよ。ちなみにオレンジ2号ちゃんは星空凛さんと言うらしい。この子もえらく元気だけど、オレンジは元気という法則でもあるのだろうか。あと平時で「にゃ」とか言えるにこちゃんの上位互換性能持ちだ。つよい。
「で、止める間もなく屋上来ちゃったわけだけど」
「止める間はありましたよ?!」
「さあかよちん、早くしないと先輩たち帰っちゃうよ!」
「えっええ?!」
「ほら早く!どうせここにいてもそのうち先輩たちこっち来るわよ!」
「うええええ?!」
扉の前で小声でせっつく先導者2人とビビる張本人。これは埒があかない。
じゃあ僕が道を開いてやろう。
「はいどーん」
「わああああああ?!」
「うぇえ?!」
「にゃああ?!」
ばーん、と扉を盛大に開放してあげたら、3人全員にびっくりされた。というか帰る準備してたらしいμ'sの3人までびっくりしてた。え、何。僕が空気読めてないみたいじゃん。やめて。
「…えっと、波浜先輩?」
「私たちになにか…」
「あ!花陽ちゃん!それと真姫ちゃんと凛ちゃん!」
「高坂さんは平常運転みたいで何より」
目をぱちくりしてる南さんと園田さん、そして1年生3人組を見て瞳に夕日を全反射させる高坂さん。高坂さんには僕が見えないのかよ。てか瞳眩しい。
まあ今回彼女らに用があるのは僕じゃないので横にどいて日陰にイン。あんまり陽に当たりたくない…あれ、ニートみたいじゃん。やだやだ、なんか仕事しよ。してたわ。
「ほら、お三方ぼーっとしないで何しに来たんだっけ?入れてくださいって頼みに来たんでしょう」
「そ、そうなんです!かよちんがスクールアイドルやりたいって!」
僕の声に真っ先に反応したのは星空さん。こういう子は行動が早くて読みやすいので助かる。にこちゃんに近い部分があるからかな。
「…つまり、メンバーになるってこと?」
答えるのは南さん。μ'sの3人は真面目な顔して1年生ズを見て、西木野さんと星空さんも真剣な表情をしていて、小泉さんはぐったりしている。ちょいちょい、主役が瀕死なんだけどいいの。
「はい!かよちんはずっと前からアイドルやりたいって思ってたんです!」
「そんなことはどうでもよくて、この子は結構歌唱力あるんです!」
「どうでもいいってどういうこと?!」
「言葉通りの意味よ!」
いや本当に何しに来たんだ君ら。
「わ、私はまだ…」
「もう!いつまで迷ってるの!絶対やったほうがいいの!」
「それには賛成、やってみたい気持ちがあるならやってみた方がいいわ!」
小泉さんが尻込みしてると2人とも発破をかけにいく。君ら仲良いのか悪いのかどっちなんだ。
「さっきも言ったでしょう、声を出すなんて簡単。あなたなら出来るわ」
「凛は知ってるよ。かよちんがずっとずっと、アイドルになりたいって思ってたこと」
「凛ちゃん、西木野さん…」
2人の言葉に押されていく小泉さんの顔は最後にこっちに向いた。ん?なぜこっち向いた?僕も何か言わなきゃいけないやつか?言って欲しいやつか?
「…君が自分をどう思ってるか、そんなこと昨日会ったばかりの僕は知らないんだけどさ」
せっかくなので日陰から出てきながら言葉を紡ぐ。後押しに必要な言葉は何だろうと考えながら。
…不思議なもんだ。
にこちゃん以外の人のために頭使うなんていつ以来だろう。にこちゃん以外のために頑張るなんてこの先ずっと来ないかもしれないと思っていたのに、いつの間にこんなに彼女らに肩入れしてしまったんだろう。
まさに偶像。
彼女らは、存在するだけで信仰を集められるのかもしれない。
だとすれば、神話の名を冠するに相応しいと言えるだろう。
「やってみたら、案外何とかなるもんだ。自信があろうがなかろうがね。さあ言ってみな。君は、どうしたい?どうなりたい?」
「波浜先輩…私は…、」
「返事は僕に向けるもんじゃないよ。向けるべき相手はあっちだあっち」
何か答える前に僕はμ'sの3人の方を指差す。それを見た小泉さんが一瞬ためらって、しかし力強く振り向く。
「がんばって!ずっと凛がついててあげるから!」
「私も少しは応援してあげるって言ったでしょう?」
「えっと…私は…」
意を決しても声は出ないらしい。どうしたものかと思っていたら、星空さんと西木野さんが小泉さんの背中を押した。それで少し吹っ切れたらしい。あれが友情なのかな。小泉さん半泣きだけど。
「…私、小泉花陽と言います!1年生で、背も小さくて、声も小さくて、人見知りで、得意なものも何もないです。でも、アイドルへの思いは誰にも負けないつもりです!!だから…μ'sのメンバーにしてください!!」
遂に。
今まで聞いた中でもっとも大きな声で言い切った。涙はぼろぼろ流すし声は震えるしで聞いてられない見てられないと言えばまあそうなんだけど、なかなか心打たれる演説だった。
そして、返事はもちろん。
「こちらこそ、よろしくね!」
そう言って手を差し出す高坂さん。その手をとる小泉さん。ここに満願成就と相成ったわけだ。
「かよちん、偉いよー」
「何泣いてるのよ」
「だって…って、西木野さんも泣いてる?」
「誰が!泣いてなんかないわよ!」
何してんだこの子たちは。
「それで、2人はどうするの?」
「「え?どうするって…え?」」
南さんの言葉に戸惑う本泣きガールズ。南さんなかなか強いな、メンタルが。
「まだまだメンバー募集中ですよ!」
園田さんも続き、2人に手を伸ばす。すごい笑顔だけど、まだ1年生2人は戸惑いから抜け出せないご様子。
さ、もう一仕事かな。
何で僕こんなに働いてんだろう。
「…西木野さんさ、自分の音楽がどうのって言ってた割には曲作ったんだよね」
「えっ、えっと…そうだけど!」
否定はされなかったけどキレられた。何でさ。
「だったらあの時の答えは出たわけだ。今のこれはその延長線上だよ。だから今度こそ聞かせてほしい。君は…どうしたい」
「わ、私は…」
「それと星空さん」
「にゃっ?!」
今度はこっち。今日会った人に助言とかハイ難度すぎないか。
「君のことはよく知らないけどさ、西木野さんと同じことだよ。君の素質とかは抜きにして、君は一体どうしたい?」
それだけ言って一歩下がる。まあ初対面の人に言えることなんてこの程度だろ、むしろ頑張った方だと思う。頑張ったよね?
努力の甲斐あって(多分)、2人は笑顔で先輩方の手を取った。うんうんよきかなよきかな、やりたいことができるのは素晴らしいことだ。
あと、これで6人だから、彼女らがアイドル研究部にやってくるのも遠くない。
あとはにこちゃんをどう説得するかだな。
「先輩はどうするんですか?」
「うん?」
考え事してたら、6人全員が笑顔でこっち見てた。…ん?僕を誘う気か?正気か?男だぞ。
「僕はやんないよ、男だし」
「いや、先輩なら女装すれば…」
「冗談だろ」
高坂さんの思考回路はにこちゃん並みかよ。おっとにこちゃんが頭悪いみたいな言い方になってしまった。悪いけど。
「さすがに女装は冗談ですが、マネージャーとしてはどうでしょうか。ヒデコたちから、先日のライブの件も聞いています」
「ありがとうございました!それで、これからもお手伝いいただけたらいいなーって、私たち思ってたんです」
「言っちゃったんかいあの子たち」
園田さんと南さんが続いてそんなことを言ってきた。そう言えば口止めしてなかった気がする。まあいいか。
「あー、どういたしまして。何にせよ、僕はもう部活入ってるから無理だよ」
「えーっ兼部すればいいじゃないですか!」
「軽々しく言うもんじゃないぞ」
兼部大変なんだぞ。多分。
そもそも。
「大体、わざわざ兼部することもないよ」
「え?」
「そのうちわかるよ。次は、然るべき手順を踏んで、正規のルートで会いにきて。そしたら考える」
意味深な言い方をしといたら、高坂さんだけでなくみんな揃って頭にハテナを浮かべ出した。まあわからないように言ってるからね。
「ともあれメンバー増加おめでとう。活躍、楽しみにしてるよ」
それだけ言って屋上を去る。新生μ'sの6人はまだ首を捻っていたけどほっといた。
昇降口についたあたりで、部活申請忘れないように言っとくのを忘れてた。まあ忘れないよな…多分。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
また長いこと書いてしまいましたが、ついに原作に乗ってきました。やー、原作沿いのお話にすると自分で読んでても楽しいですね。それだけ原作が面白いってことですね。そしてオリジナルの話がさほど面白くないってことですね。わーつらたん。
あと新キャラ登場ですね。名前だけ。滞嶺くんの活躍はもう少し先の話になります。大きくて怖い人がどうやって頑張るんでしょうか。