笑顔の魔法を叶えたい   作:近眼
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ご覧いただきありがとうございます。

花陽ちゃん誕生日おめでとう!!時間ジャストにはちょっと間に合わなかった…!!ごめんねええええええ!!
前回はまたお気に入りしてくださった方がいらっしゃいました!ありがとうございます!2019年初お気に入りです!!!嬉しい!!今年も頑張ります!!

さて、今回は花陽ちゃんの誕生日なので湯川君が頑張ります。時系列的には本編の2年後となります。頑張れ世紀の天才!!


というわけで、どうぞご覧ください。




花陽誕生祭:祝詞

 

 

 

 

 

 

もうすぐ花陽の誕生日だ。

 

 

今まではこの地下室で祝いの言葉を送るだけだったが、今は外に出て何か贈り物を買ってくることもできる…はずだ。贈り物について考えている間は思考停止の恐怖を感じることもない…と思う。

 

 

天童や松下の言う「人の心」というものは、流石に科学に推し量れないものらしい。

 

 

また、贈り物とは言っても、何を贈るかということも問題だ。相手が喜ぶと思うものを、とはインターネット上で見かけたが、花陽が喜ぶものなど検討もつかない。食事くらいだ。

 

 

 

 

 

「…じゃあお食事でいいじゃん」

「自分で料理、でもいいんじゃね?隠し味は愛情!なんてなぁ!!はっはっはっ!!」

「…愛情なんて食べ物は知らないが」

「…………Oh…なんか、すまん。心を込めて料理するって意味だぜ…」

「天童さん、湯川照真には冗談は通じないぞ。理解していないからな」

「うっす」

 

 

 

 

 

だから、暇だから遊びに来たという、波浜、天童、雪村にそういう話をした。

 

 

「まあでも手料理なんていいかもね。自力で正体不明の機械作っちゃうくらいだし、手先は器用でしょ」

「レシピ通りに作れるなら問題ねーわな。そこは結構才能によると思うが」

「…料理か。ことりを連れてこようか?」

「ゆっきーは事あるごとにことりちゃんを呼ばないの」

 

 

なるほど、実物を渡す以外にも、料理を作るというのも贈り物なのか。花陽の好物は白米だが、白米から作れる料理も数多くある。どれにするべきか。

 

 

「花陽ちゃんの好きなものって…」

「花陽ちゃんの好きなものは白米だ」

「でしょうね」

「…料理するのはいいが、そもそも湯川照真は料理ができるのか?」

「料理はしたことはない」

「でしょうね」

「まあ…料理に決めるなら、一回料理のセンス見てやった方がいいか?」

「その方が良さそうですねー。味音痴かもしれませんし」

 

 

一度試験するということか。構わない。

 

 

「とりあえずカレーにしとくか?ある程度失敗しても食えるからな」

「そうですねー。湯川君はそれでいい?」

「ああ、それでいい」

「…待って何かが動き出したんだけど何してんの」

「ん?何かが動き出したと言われても。カレーを作るマシンを

「「バカぁ!!!」」

「…それじゃ本末転倒だろ。天童さんも言っていただろ?心を込めて作るんだ。機械任せじゃなくて自分の手で作ることに意味がある」

「…ふむ、自分の手で作ることに意味があるのか。過程に重きを置いた実験か」

「おい、既に不安になってきたんだが」

「僕もだよ」

「なんか波乱万丈な予感がするぜ…」

 

 

カレーを作るというからカレーを作るためのマシンを作ろうと思ったのだが、どうやらマシンを使うのは禁止らしい。非効率極まりないが、いわゆる「人の心」に関係することなのだと思っておこう。

 

 

「ちなみに食材はもう買ってある」

「早いな」

「サラマンダーよりずっとはやい」

「誰がドラゴンじゃ」

「そこまで言ってません」

「サラマンダーよりずっとはやいとは何の話だ?」

「知るか」

「ゲームだよゲーム。前一緒にやった麻雀みたいなもんだ」

「何やってんですか天童さん」

「だから麻雀だって」

「そこじゃないです」

 

 

天童が持ってきた食材がカレーになるらしい。花陽もよくカレーを作ってくれるし、問題はないだろう。

 

 

ゲームは麻雀以外にも数多くをインターネットを経由して楽しんでいる。麻雀や将棋は簡単すぎるが、シューティングは自動でクリアできるAIを作るのが楽しい。RPGはよくわからないが、自動でクリアできるAIを作るのは楽しい。アクションは自力で勝利するのは難しいが、自動でクリアできるAIを作るのは楽しい。

 

 

さて、カレーはどのようにして作るのだろうか。

 

 

「よし、じゃあ台所に行くか。地上の部屋はちゃんと機能してんだよな?」

「地上の部屋はちゃんと機能している。花陽がよく使うから手入れはされているはずだ」

「…お前さんは使わないわけだな?」

「お前さんは使わないが?」

「さも当然のように」

「…大丈夫かこいつ」

 

 

俺の食生活は花陽が担っているから当然だろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、天童さんの3分クッキング…じゃねえわ。そう言っちゃうと本気にしちゃうんだったな」

「そう言っちゃうと本気にしちゃうが、3分では作れないのか」

「料理舐めんな」

 

 

地上の台所に移動してカレー作りを始める。どうやら3分では足りないらしい。反応時間の問題だろうか。

 

 

「あと今から手使うんだからそのメビウスキューブどっかに置いてくんない?」

「…………それは、困る」

「出だしからコケたぞ」

「そういえばそういう子だったね彼。っていうか天童さんよくソレの名前覚えてましたね」

「名前かっこいいからな!!」

「中二だ」

 

 

メビウスキューブが無いと一部の思考が止まってしまう。それは怖い。何とかならないものか。

 

 

「ふふふ…こんなこともあろうかと!桜に頼んで作ってもらった、いわゆる『天才ノイズ』!!こいつを流せば解決だ!!」

「それってヤバい音するやつじゃないですか」

「そもそも名前がノイズだぞ」

「我慢しろ貴様ら。これが真の天才が生きる世界だ…」

「別に湯川君はノイズ聴いて生きてるわけじゃないと思うんです」

「まあいいじゃねーか。ほれポチッとな」

 

 

天童がスマートフォンの画面をタッチすると、不思議な音が流れ出した。音が発する情報量が非常に多い。ある程度集中しなければ全てを拾うことはできないだろう。

 

 

「………ほらな、手の動き止まっただろ?」

「それはよかったですね。僕らは気が狂いそうなんですが」

「…頭痛え」

「……………おう、やっぱやめとこ」

 

 

止めてしまった。程よく集中力を使えるいい音だったのだが。

 

 

「何故止める」

「悪いけど僕らはアレを聴きながら料理なんてとてもできないよ」

「まかり間違って異界の神々でも召喚しそうになるぜ」

「?」

 

 

何か問題があったのだろうか。

 

 

「まあこんなこともあろうかと、Bluetoothのイヤホン持ってきたから使うと良い」

「最初から使ってくださいよ」

「いや俺もこの音気になって…」

「あらかじめ聴いといてくださいよ」

「巻き添えが欲しかった」

「…クズじゃないですか」

「そこまで言います??」

 

 

無線式のイヤホンを受け取り、今度はそれで音を聴く。会話ができるように音量は控えめだ。

 

 

「さて気を取り直して…まずは野菜類を切るか。肉は後にしないとまな板に細菌がついて食中毒したりするからな」

「加熱するから大丈夫だと思うんですけどね」

「安全牌だよ。リスクは少ないにこしたことはないだろ?」

「安全牌とは麻雀用語だが」

「心配事は減らしたいってことさ。実験器具をドライアップしておくのと同じことだぜ」

「ドライアップってなんですか」

「実験用語だよ。ガラス器具を真空加熱してわずかな水分も取り除く、禁水実験の下準備。…ねえなんで俺さっきから日本語の説明ばっかしてんの?早く料理しようぜ??」

 

 

同時に料理もすればいいのではないだろうか。

 

 

いや、花陽も「普通はそんなに一気にたくさんのことできないよぉ!!」と言っていたしな。できないのだろう。

 

 

「ったく。じゃあまずは野菜を洗って…人参から行くか。硬いっちゃ硬いが、逆に安定するだろ」

「硬いっちゃ硬いが、逆に安定するのか。円錐型だが」

「球に近いジャガイモよりましだろ?」

「球に近いジャガイモよりましだが、玉ねぎもあるぞ」

「いきなり玉ねぎとか涙止まんなくなるぞ」

「涙止まんなくなるのは知っている」

「知ってんのかよ」

「知っている。ジアリルスルフィドの刺激性によるものだろう」

「天童さんジアリルスルフィドって何」

「硫化アリルだよ!あーもう勉強しにきたんじゃねえぞ俺!!」

「頼んだ先生」

「誰が先生だ!!あと逃げんな雪村君!!」

 

 

玉ねぎの成分は以前分離したことがあるから知っている。涙腺刺激性が強いことも実験事実として知っている。当然予防策も知っているのだが、まあいいだろう。

 

 

まずは人参を水道水で洗い、乾燥機に

 

 

「「だからバカぁ!!」」

「…何をするつもりだ」

「何をするつもりか?乾燥させるのだが」

「何でだよ!!濡れたままでいいんだよ!!つかそれは食器用の乾燥機なの!!食べ物入れる場所じゃないの!!ドゥーユーアンダスタン?!?!」

「流石にそこまで気にしてたら何時間かかるかわかったもんじゃないよ」

「何時間かかるかわかったもんじゃないのか。すまなかった」

「うーんどうしても湯川君との会話はテンポ悪くなるなぁ」

「…先天的疾患の影響だと蓮慈が言っていただろう。聞いた言葉を繰り返してしまうとかいう。我慢しろ」

「我慢していたのか。すまない」

「いや君は悪くないんだよ。人参を乾燥させようとしたのは悪いけど」

「人参を乾燥させようとしたのは悪いのか」

「悪いよ」

 

 

乾燥させる必要は無かったのか。料理とは思ったより雑なものだな。

 

 

「ほんとにこれ大丈夫か…?心配だけど次行くか。ほら、人参はこうやって切る。まず輪切りにして、円柱状になったこいつを面積が等しくなるように4等分する」

「面積が等しくなるように4等分。確実ではないようだが」

「確実になんて出来るかっ!!大体でいいんだよ大体で!!」

「大体でいいのか」

「大体でいいの!!!」

「こんだけ時間経ってるのにまだ人参切ってる」

「前途多難なんてレベルじゃなかったな」

 

 

なかなか難しいな。

 

 

今度は包丁を渡されたので、人参を掴んで輪切りに

 

 

「「「おいコラぁ!!!」」」

「…?」

「何キョトンとしてんだテメェ!!何で鷲掴みして空中で切ろうとしてんだ!!置けよ!まな板使えよ!!怖えよもはや俺が怖えよ!!」

「発想がバイオレンスなんだよね」

「…つい叫んでしまった」

 

 

今度は雪村にも怒られてしまった。そんなにまずかっただろうか。

 

 

結局、料理をするのは断念した。何がまずかったのだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後日。

 

 

「まさか湯川君とお買い物する日が来るなんてね…」

「私も同感だ、御影氏。そもそも私は他人と買い物などほとんどしないのだが」

「あんたこの前真姫と買い物してたじゃないですか」

「…よく見ているな滞嶺氏」

 

 

今度は御影、藤牧、滞嶺を連れて贈り物を探しに来た。人選に意味はない。今日暇だという人物だ。

 

 

「まあ、贈り物なら得意だよ。いろんなところに贈ってるからね。任せて」

「俺もアイドルによく贈りますよ」

「私はよく貰うな」

「藤牧さん…あんた、俺らの中でも特にこの役割向いてなくないですか」

「何を言うか。私に向いてないなどということはない」

「どこからその自信は湧いてくるんです」

 

 

藤牧と滞嶺は仲が悪いのだろうか。

 

 

4人でやってきたのは、アクセサリーショップ。なるほど、女性が宝飾品好きだということはインターネット上で見たことがある。御影の狙いはそこだろう。

 

 

「一応、花陽ちゃんインストールすれば彼女の好みはわかるんだけど」

「ほう、流石だな、役者の天才。やってみせろ」

「バカですか。そんな反則技使っていいわけないでしょう」

「そんな反則技使っていいわけないのか?」

「だめだ。自力で選べ」

「自力で選ぶのか。料理と同じだな」

「…料理?」

「なんかこの前、天童たちが料理させようとして諦めたって言ってたよ」

「…湯川、お前もできないことはあるんだな」

「できないことはある。全て機械に任せればできるのだが…料理も贈り物も、わざわざ非効率な手段を取る方が推奨されるらしい」

「お前何で花陽に怒られないんだ?」

「何で花陽に怒られるんだ?」

 

 

やはり人の心の問題なのだろうか。

 

 

「まあでも滞嶺君の言う通りだよ。こういうチートはあんまり使うべきじゃない…。湯川君、君があげたいと思うものを選ぶんだ」

「…………なるほど」

「どうした急に静かになりやがって」

「考えているんだろう。並列演算で一気に」

「だからって通路のど真ん中で止まんなよ。こっち来い」

「なるほど。マルチタスクができるのに、集中するときはリソースの全てを一点に集束させてしまうのか。なんと不器用な」

「不器用って意味では僕らみんな人のこと言えないけどね…」

「私は不器用ではないぞ?」

「手先の話じゃないよ?」

 

 

花陽が喜びそうなもの…ネックレス、指輪、ブレスレット、髪飾り、髪留め、リボン、イヤリング、……………どれを想定しても、喜びそうだし、喜ばなさそうだ。全ての商品を見て回ったが、どれも同じように喜びそうだし、喜ばなさそうだ。

 

 

どうしたものか。

 

 

「…こんなに微動だにしない湯川君始めて見たね」

「いつも変なルービックキューブ弄ってますからね」

「メビウスキューブだ。私にも理解が及ばない部分があるが、どうやら回転操作によって高次元空間を投影しているらしい。表も裏も混在したより高次元を投影するための回転演算機…なるほど、メビウスリングに由来した名前をつけるわけだ」

「何言ってんですかこの人」

「僕に聞かれても…」

 

 

花陽という名前から取って花のモチーフを選ぼうか?流石に安直すぎるだろうか。ネックレスはどうだろう。まだ高校生では身に付ける機会に恵まれないだろうか。指輪は…婚約の象徴であるはずだ。流石に気がひける。イヤリングはどうだろう。やはり機会が少ないのと、踊る時に失くしやすいと思われる。

 

 

何をとっても満足いかない。

 

 

「………………決まらない」

「うおっ急に喋るなよ」

「何だかんだ1時間くらい黙ってたもんね」

「見ろ。このイヤリング、真姫に似合うと思わないか」

「あんたフリーダムすぎません?」

 

気がついたら、時計の短針が進んでいた。いけないな、集中するとすぐこうなる。

 

 

「でも意外だね。お得意の並列思考で一気に答え出しちゃうかと思ってたのに」

「それだけ花陽が大切だってことなんじゃないですか?あんたも絵里へのプレゼント、随分と迷ってたそうじゃないですか」

「うぐっ…な、なぜそれを…」

「…大切」

「そう、大切。どれを選んだとしても、1ドット分の欠点が不安で仕方ない…。大切な人へのプレゼントなんてそんなもんだ」

「…」

 

 

そんなもんなのだろうか。よくわからない。大体、それで贈り物を選べないのは困る。

 

 

「…そうだな、じゃあ一回考えるのやめろ」

「………何?」

「ちょ、滞嶺君!それは彼にとっては…」

「わかってます。その上で言ってんです。…お前が何も考えなくて済む瞬間、それは花陽が側にいる時だけだ。だからその状況を作り出せ。その状況の中で、今見たアクセサリーたちの中から一番安心できるやつを選べ。…それがお前の中で一番花陽のイメージに近いアクセサリーだ」

「そ、そういうものかなぁ?」

「そうです」

 

 

考えるのをやめろと。そうしなくていいようにわざわざ3人も知り合いを連れてきているというのに。

 

 

…だが、ほかに策はないかもしれない。

 

 

考えることを止める行為自体が怖くて、思わず目の前のアクセサリーに目が移る。

 

 

 

 

 

………なぜ、これを見たのだろう。

 

 

 

 

 

「…見つけたか?」

「…見つけたかもしれない」

 

 

原理はわからないが、これが一番いいと思えた。1時間、思考を総動員しても答えは出なかったのだが…これも人の心、なのだろうか。

 

 

少しだけ、わかった気がする。

 

 

 

「これも真姫に似合うな…」

「あんた何しについてきたんですか」

 

藤牧はいつのまにか色々買っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お邪魔しまーす…あれっ照真君?」

「…よく来たな、花陽」

「う、うん…。照真君が上にいるなんて、珍しいね?」

「珍しいか?…そうだな、珍しい。ちょっとした作業をしていた」

「作業?」

 

 

1月17日。私は誕生日に、いつも照真君のお家に行きます。そして、おめでとうって言ってもらって、ありがとうって言う。毎年、それだけだけど、私にとっては大切なこと。

 

 

なんだけど…今日はいつもと違う感じです。

 

 

まず、照真君が地下室じゃなくて居間にいます。

 

 

しかもエプロンをしています。

 

 

何だかいい匂いもします。

 

 

…これは…。

 

 

「…カレーの匂いがする…?」

「…ああ、カレーの匂いがする。…練習して、作ってみたんだ」

「……………えっえええ?!?!照真君が?!」

「ああ、俺が」

「そんな…昔みそ汁を作ろうとしていかにも体に悪そうなスープを作っちゃった照真君が…」

「…よく覚えていたな」

 

 

そう、そうなんです。照真君はすごく頭がいいのに、料理はびっくりするくらい出来なかったんです。…だから私がたまにご飯を作りに来ていたんですけど。

 

 

「…色んな人に聞いてな。最初は諦めたんだが、諦めきれなくて…。天童に相談したら、水橋と松下が教えに来てくれた。37回作ってようやく慣れたが…花陽はいつもこんなに頑張ってくれていたんだな」

「う、ううん…でも何で…?」

「…誕生日だろ。周りのやつらを見ていたら、俺も何かあげたくなった。それで練習した。…誕生日おめでとう。俺から初めての贈り物だ」

 

 

びっくりして声が出ません。照真君が誕生日に何かくれるだなんて思ってもいませんでしたし、苦手な料理までしてくれるだなんて…嬉しくてどうにかなっちゃいそうです。

 

 

「…こんなに、こんなに手を怪我して…!」

「何で泣いている。刃物を使えば怪我くらいするだろう」

「しないよ!」

 

 

よく見たら指にはすごい量の絆創膏が貼ってありました。どれだけ頑張ってくれたんでしょう。私のために、ここまでしてくれるなんて。

 

 

「食べないのか?」

「食べる!!!」

「うおっびっくりした」

「いただきます!!!」

「いただ…違うな。召し上がれ?」

「ほら照真君も!!」

「俺もか」

 

 

当然照真君も食べるんです!一緒に食べるんです!!

 

 

「「いただきます」!!」

「…んん〜!おいひい!!」

「…そうか、よかった」

「今まで食べたカレーの中で一番美味しいよ!!」

「そこまではいかんだろう」

「いくの!!」

「そ、そうか…まあ、ありがとう。とりあえず涙拭け」

 

 

照真君のカレーは、ちょっと水気が多くて、人参もちょっと硬いけど、絶対今まで食べた中で一番美味しいです。

 

 

だって照真君が作ってくれたんです。

 

 

居てくれるだけで嬉しかったのに、私のために頑張ってくれたんです。

 

 

美味しくないわけがありません!!

 

 

「おかわり!」

「…早いな」

 

 

驚きながらもちゃんとおかわりをくれました。言っておいてなんですけど、思わずおかわりって言っちゃいましたけどおかわりあってよかったです。

 

 

「ふう…ご馳走さまでした!」

「ああ」

 

 

すぐに食べ切ってしまいました。まさか照真君から誕生日に料理のプレゼントをもらえるなんて思ってもいませんでした!

 

 

「…ありがとう、照真君。びっくりして泣いちゃったけど…嬉しかったよ!」

「…ああ」

 

 

ステキなプレゼントも貰えた(食べられた?)し、家にも帰らなきゃいけないのでそろそろ帰ろうかな。

 

 

「…じゃあ、

「は、花陽!」

「えっはっはい!」

 

 

帰ろと思ったら、照真君に急に呼ばれて思わず背筋を伸ばしてしまいました。照真君が大きい声を出すのは初めて聞きました。

 

 

本当に、初めてです。

 

 

「えっ、えっと、あの、こ、これを…」

「はっ、はい…えっと、これは…?」

 

 

照真君が渡してくれたのは、小さな箱でした。箱に書いてあるのはアクセサリーショップのロゴです。

 

 

「…は、花陽に似合うかと、思って…ちょっと、買ってきた」

「えっ…!!プレゼント、カレーだけじゃなかったの…?!」

「…開けてくれ」

「うん!」

 

 

箱を開けてみると、中には四つ葉のクローバーの髪飾りが入っていました。小さく花の模様も入っていて、かなり凝ったデザインです。

 

 

「…花陽、μ'sではイメージカラーが緑だっただろう。花の模様と、緑の意匠。…花陽にぴったりだと、思った…んだが」

「どうかな?!」

「…着けるの早いな」

 

 

嬉しくて、すぐつけちゃいました。だって照真君は、出かけることすらできなかったのに!今は私のためにプレゼントまで探してきてくれたんですよ!!嬉しいにきまってます!!

 

 

「…ああ、似合ってる。思った通りだ」

「…え、えへへ」

「…よかった」

 

 

なんだか2人で照れちゃいました。…照真君も照れるんですね。

 

 

 

 

 

 

翌日から、私は毎日この髪飾りを着けています。

 

 

だって、照真君が初めてくれたプレゼントなんですから!!

 

 






最後まで読んでいただきありがとうございます。

最後の方は急いでいたので展開飛ばしてますが、変じゃないでしょうか。
湯川君が今までしたことないくらい本気で努力するお話をイメージしました。好きな女の子のためなら天才だって努力するんです。かっこいいですね湯川君!!
あとは、花陽ちゃんといるときは言葉を繰り返す癖が抜けているのもポイントです。緊張してるんです。彼自身は多分わかってないですが。
しかし天才を描くのは難しいですね…(自分のせい)


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