笑顔の魔法を叶えたい 作:近眼
ご覧いただきありがとうございます。
そういえば知らぬ間に投稿し始めてから1年過ぎてました。いつの間にですね!そしてまだ終わらない本編!長い!!オリジナル話を入れすぎた感がなくもないですね!!後悔はしてませんけど!!
今回は本編の続き、最終予選後のお話です。切なさが深くなってくるところですね。私の語彙力でちゃんと切なさを表現できるんでしょうか!!
というわけで、どうぞご覧ください。
気付けばもう年末、大晦日。
弟たちの寝かしつけは銀二郎に任せて、俺は外出用の服を着て外に出た。今日は…いや、明日か?とにかく今からμ'sのメンバー全員で初詣に行く約束をしている。待ち合わせの時間まで少し余裕はあるが、暇だからさっさと行く。
待ち合わせ場所に着くと、既に凛、花陽、真姫がいた。こいつらも俺と同じだったか。…真姫が着物姿でもじもじしているが、どうかしたのか?
「あっ!創ちゃーん!!」
「おう、早いな3人とも」
「こんばんは創ちゃん。みんなちょっと早く来ちゃった」
「…」
「真姫は何してんだ」
「うぅ…何で創一郎も着物着てこないのよ!」
「は?」
「真姫ちゃんさっきからずっと照れてるにゃ」
「照れてない!」
「そもそも俺は着物とか持ってねぇぞ」
勝手に着物着ておいてこっちに文句つけんなよ。
「そういえば、凛は今日はスカートか」
「うん!クリスマスに買ってもらったんだー。…ど、どうかな…」
「あ?ん…おう、まあ、似合ってる…んじゃないか…?」
「そ、そう…?えへへ…」
「もうっ何二人して照れてるのよ!」
「お前が言うな」
真姫が着物であるのと同時に、凛は珍しくスカート姿だった。私服でも女の子らしい学校ができるようになったようでなによりだ、よく似合っている。
面と向かってそう言うのはかなり恥ずかしいが。
そして恥ずかしがってんのはお前だ真姫。
「つーか、穂乃果たちはまだか?もう年明けちまうぞ」
「遅いね…待ち合わせの時間は過ぎてるけど…」
「穂乃果ちゃんが寝坊したんじゃないかにゃー?」
「夜中に寝坊なんてするか…?いや、穂乃果ならあり得るな。紅白見てて寝落ちとか」
むしろ寝落ちしていない方が驚くかもしれん。
と、まあ疑惑とともにしばらく待っていたんだが。
「…おい、年明けt
「明けましておめでとうにゃー!!!」
「自由か」
穂乃果達が間に合わないまま年を越してしまった。そしてそれを憂うこともなく大声を出す凛。元気だなお前。
「明けましておめでとうございます!今年もよろしくね!」
「あ、明けましておめでとう…」
「ああ、明けましておめでとう」
テンプレみたいな言葉しか出てこないが、友人と年越しするのはこれが初めてだ。なんとなく特別な気分がする。
「湯川君は来ないの?」
「うん…あ、みんなと会うのが嫌ってわけじゃなくて、今何かを集中して作ってるみたいで…多分聞こえてないみたいだから、仕方なくて」
「ほう、それなら仕方がないな。もしかしたらそのうち来るかもしれないしな」
「うん!」
この前あった最終予選を、湯川は天童さんに連行されて見に来ていた。表情は全くの無だったが、涙だけボロボロ零していた。終わった後にあった花陽が大慌てしていたのを覚えている。
しかし集中すると並列思考を全部使い切るのかあいつ。極端だな。
「あ、みんな!」
「おおっ!花陽ちゃん凛ちゃん創ちゃん!!」
「やっと来たか寝坊魔」
「あけましておめでとう!」
「おめでとうにゃ!」
「今年もよろしくね!」
「凛ちゃんその服かわいい!」
「そう?えへへ…クリスマスに買ってもらったんだー!」
「無視か」
「もしかして創ちゃんに…?」
「え゛っ、ちっちちち違うよ?!お母さんにだよ!!」
「何かすごい声出たぞ凛」
「えっなになに創ちゃんのクリスマスプレゼント?!」
「違うってぇ〜!!」
「違うっつってんだろいい加減にしやがれ無視すんな」
「あわわわわわ?!?!」
散々スルーした上に変な疑惑まで吹っかけられた。上等だコラ寝坊魔。穂乃果の頭を引っ掴んで睨みつける。大いに怖がってくれた。
「あれ、そういえば真姫ちゃんは?」
「あ?真姫ならそこに…いねぇ…」
「さっきまでいたんだけど…」
「恥ずかしいからって向こういっちゃったにゃ」
いつのまにか真姫は姿を消していた。凛は見ていたらしく、物陰に身を隠す真姫の赤髪が確かに見えた。恥ずかしいなら着てくるなよ。
「真姫ちゃんビューチホー!!」
「可愛い!」
「わ、私は普通の格好でいいって言ったのにママが来て行きなさいって…。っていうか何で誰も着てこないのよ!!」
「何でと言われても…」
「そんな約束してたっけ?」
「べ、別にしてないけど!!」
「理不尽すぎねぇか」
「うるさいわね!!」
「何故殴る」
顔真っ赤の真姫が一人で自滅している。最後は俺に八つ当たりして自滅していた。殴った側が痛がってどうすんだ。もっと腰を入れろ。インパクトの瞬間は拳を引け。
そんな茶番をしている時だった。
「あら?」
「あなたたち…」
「え?…あっ!!」
「やっぱり」
「…A-RISEの皆さん」
そう、綺羅ツバサさん、優木あんじゅさん、統堂英玲奈さん、白鳥渡さん。
A-RISEの面々だ。
「あけましておめでとうございます!」
「おめでとう」
「みんなで初詣?」
「はい。A-RISEのみなさんも?」
「ええ、地元の神社だしね」
「ですよねー」
「…」
「…」
当たり障りのない会話を終えたら会話が途切れてしまった。何か言えよ。いや俺も何も言えないが。
「じゃあ、行くわね」
特に語ることもないのだろう。ツバサさんは会話を切り上げて階段を下っていく。
が。
「ねぇ」
途中で立ち止まり、振り向いて、俺たちにこう言うのだ。
「優勝しなさいよ、ラブライブ」
最終予選で勝ち残るのは、ただ1組。
その軍配は…μ'sに上がった。
つまり、A-RISEは負けた。前回王者は最終予選で敗退し、μ'sが決勝に駒を進めたのだ。
どんな思いでそんな言葉を投げかけたのだろう。それはわからない。
わからないが、
「「「「「「「はい!!」」」」」」」
そう答えるのが当然だ。彼女たちに恥じないような成果を残さなければ。
ただ、珍しく白鳥さんが無言だったことだけ少し気になった。
どうも皆さん、天才画家であり天才グラフィックデザイナーであり天才写真家の波浜茜です。最近新しく「視覚の魔術師」って呼ばれだしたよ。かっこいい。
「だから写真撮るよ」
「誰に向かって言ってんのよ。っていうか撮るな!仕事中なのよ!!」
「巫女にこちゃんとは尊い」
「ちょっと聞いてんの?!」
今日はにこちゃんと絵里ちゃんが希ちゃんと一緒に神社でお手伝いしてる。可愛いよにこちゃん。超絶かわいい。まあお手伝い自体は、おみくじ係とかアルバイトの子ばっかりだし普通のことだ。とにかくにこちゃんがかわいい。それに尽きる。かわいい。
「あーもーあっち行きなさいよ!!」
「どっち?」
「死ね!!」
「破魔矢っ」
破魔矢が飛んできた。投げたのね。おでこに刺さったよ。破魔矢の先が本当に鏃だったら僕死んでる。
「昔から不思議だったけど、茜ってなんでこんなに丈夫なの…」
「愛パワーだよ」
「希ー!これこっちー?」
「にこちゃんは新技ガン無視を覚えた」
前からμ's全体にスルーされること多かったからあんまり効かないよ。いややっぱちょっと辛い。にこちゃんこっち見てー。
にこちゃんがそっぽ向いちゃったから微妙な顔になってるところに、穂乃果ちゃん達が現れた。初詣だろうね。
「にこちゃん!」
「うぅわっ!何よ来てたの?!」
「可愛いにゃ!」
「巫女姿、似合いますね」
「そ、そう?」
「そりゃもう可愛いの権化だよ。写真見る?ほらほら」
「わあっほんとだ!」
「わかったから押し付けんな逆に見辛い」
「っていうか何で創一郎は花陽ちゃんを担いでるの」
「さっきはぐれかけたからな」
「力技すぎる」
みんなもにこちゃんのかわいさに目覚めたみたいだからもっと布教していく。ほらほらまだいっぱい写真あるよ。
そして創一郎は花陽ちゃんを小脇に抱えていた。花陽ちゃんがすごく恥ずかしそうにしている。だって目立つからね。創一郎が大きいから余計に。下ろしてあげて。
「はぐれないようにするなら手でも繋げばいいじゃん」
「俺に死ねというのか?」
「なんで??」
「あっそれいいにゃ!凛がかよちんと手を繋ぐから、凛のもう片方と創ちゃんが手を繋ぐにゃ」
「は??」
「早く早く!」
「この展開も不思議だね」
「そういえば茜くんも実は鈍感さんやったねー」
「僕の感性は鋭いよ」
「そういうとこやで」
創一郎と手を繋げばほぼはぐれないもんね。そもそも遠目から目立つからはぐれても平気な気がする。
でも僕は感覚鋭いからこその美術センスだよ希ちゃん。この僕が鈍感だなんて。あと僕は人助けマンだからそういうの察知するの得意なんだけど。
「あら、みんな」
「絵里ちゃん!」
「かっこいい!」
「惚れ惚れしますね」
「絵里ちゃん一緒に写真を撮って!」
「ダメよ、今忙しいんだから」
「写真なら僕が四六時中撮ってるから気にしないで」
「何で私以外も撮ってんのよ!!」
「おっふ」
「にこも遊んでる場合じゃないわ。希も早く」
「はいはい。じゃあ、また」
絵里ちゃんも金髪碧眼巫女として人気みたいだ。カッコいい枠で。流石クォーター、イケメン。
って感心してる場合じゃないね。にこちゃんがどっか行っちゃう。写真撮らなきゃ。これは使命である。
「いつまで写真撮ってんのよ!!」
「破魔矢っ」
本日2本目の破魔矢がおでこに刺さった。痛いってば。破魔矢。矢だからね、破魔矢。矢澤にこだから矢を使ったの?矢澤だけに。うん、関係ないね。
「…それにしても」
「何よ、まだ何かする気なの?」
「違うよ。もう破魔矢食らいたくないし。天童さんがいないなぁって」
「天童さん?別にいなくていいじゃない」
「いやまあそうなんだけど、普段見れない巫女姿を見に来そうなものなんだけどなぁ」
「そう?天童さんだって忙しいと思うし、そこまでして見に来ないでしょ」
「そうかなあ」
うーん、天童さんなら今日にこちゃん達が巫女になるのを知ってるはずだし、予定を調整するのはなんとでもなるはずなんだけど。
まあ、いっか。
「はいはい。じゃあ、また」
希達を見送った俺たちは、そのまま帰路に着く。初詣の願掛けは、きっとみんな同じことを願ったんだろうって穂乃果が言っていた。俺もそうだと思う。叶えてみせるさ。
「仲良しだね」
「姉妹みたいだにゃー」
「茜はちょっと違うな」
「茜は茜ね。あの3人の兄妹とはちょっと言えないわ」
全員仲良しだが、同学年同士はやはり特質して仲がいい。まあ、茜はにこにご執心だから家族に換算できそうにないが。
「…でも、もう3ヶ月もないんだよね。3年生」
「花陽、その話はラブライブが終わるまでしないと約束したはずですよ」
「分かってる。でも…」
…そう。
当たり前のことだが。3年生の4人は、この春卒業する。
どれだけあがいても、それは変わらない。変えられない。必ずやってくる別れの日なのだ。だからこそ、後ろ髪を引かれないように、この話題はラブライブが終わるまで封印することにしたのだ。
だからといって、花陽の気持ちがわからないわけでもない。どうしても「終わり」だと意識してしまう。
「3年生のためにも、ラブライブで優勝しようって言ってここまで来たんだもん!頑張ろう、最後まで!」
「うん!」
穂乃果の言う通りだ。そもそもラブライブに出ようって言ったのも、3年生の意志によるところが大きい。それに報いるためにも、絶対に優勝してみせる。
…でも。
このまま別れに背を向け続けたとして。
本当に、笑って最後まで走り抜けられるのか?
「お疲れ様、にこちゃん」
「ありがと。…って言っても、大したことはしてないわよ」
「あら、そんなことないわよ。あっちこっち走り回って大変そうだったじゃない」
「僕が途中で力尽きたくらいだもんね」
「それは茜に体力がないからでしょ」
あれからしばらく働いて、初詣の方々も減ってきたからにこちゃん達のお仕事も無事終わった。相当あちこち動き回ってたから途中で僕は死んだ。あんなに忙しいなんて聞いてない。
「いい加減体力つけなさいよ」
「うぇー」
「なによその変な声」
「抗議の悲鳴だよ」
「相変わらずやねぇ」
「本当にね。高校生活ももう3ヶ月もないのに」
「おっと絵里ちゃん、その話はしない約束だよ」
「あっ…ご、ごめんなさい…」
体力つけるという選択肢は無いよ。だって創一郎が動いてくれるもん。いや今日は動いてくれなかったからこうなってるのか。ううむ困った。でも運動したくない。とてもしたくない。
で、卒業の話題はラブライブが終わるまでしない約束だよ絵里ちゃん。
「まあ避けられないことだから気になるのはわかるけどねぇ」
「だからって気にして練習が身に入らなくなったらどうすんのよ」
「どっちかっていうと
「じゃあどうすんのよ!!」
「破魔矢っ」
「何その遺言」
「遺言じゃないよ」
本日3本目の破魔矢をいただいた。流石にこれ以上破るべき魔は無いと思うんだけど。あと死んでないよ。生きてるよ。
まあそれはそれとして。
「どっちにしろ、僕らにできることはないよ。だって残るのはあの子たちだもん。卒業を前にして、どう乗り切るかは僕らには関われないことだ」
「それは…」
「もちろん何かしら手助けしてもいいんだけどね。
「でも、予算でごちゃごちゃしたときはなんとかしてたじゃない」
「1年生は?」
「え?」
「あの時は生徒会のメンバーにしか解決できなかった。
そもそも、あの時臨時のリーダーを立てるという案を考えたのは修学旅行中だった2年生と僕ら3年生だった。1年生だけでそれができただろうか。僕らの後押し無しで、1年生だけでリーダーを臨時で立てようとしたとして、凛ちゃんを説得できただろうか。
おそらく、僕や絵里ちゃんみたいな発言力の強い人の後押しがあったからしぶしぶ引き受けたようなものだったと思う。まあ穂乃果ちゃんのゴリ押しがあればやったかもしれないけど。そこはわかんないね。
わかんないから、この先僕らがいなくても大丈夫だなんて断言できないよね。
「僕らもう関われなくなる。だから見守れるうちに後輩たちだけで解決できるって確認しなきゃ多分安心できないよ」
「そうは言っても…」
「具体的にどうすんのよ。私たちに何もできないんじゃ、任せるしかないじゃない」
「うん。だから任せるんだよ」
「さらっと言うわね」
「そりゃね。僕だって君らばかり見てるわけじゃないから、きっと何かしらアクションを起こすって信じてる」
「何言ってるかわかんないわよ!」
「はふん」
前振りなんだからもうちょっと待ってよにこちゃん。
「創一郎がね。最近たまに渋い顔してるの」
「いつも渋い顔してるじゃない」
「ダンディな顔やね」
「そっちの渋いじゃないよ」
っていうか渋いどころかマフィアみたいなんだよ彼。いっつも執事みたいな服着てるから。そんなに気に入ったのその格好。ゆっきーが嬉しそうに執事服作ってるから逆に怖いんだよ。
「不味そうな顔してるの。きっとあいつはわかってるよ、別れから逃げていていいのかって。そもそも『逃げる』ことが頭に無いやつだし」
「そうなの?」
「だってほとんど物理で解決できるような生体兵器だよ?」
「そこまで言う?」
彼のヤバさは一回小脇に抱えられないとわからないかもしれない。人間が車を追い抜く様を見よ。あれはもう人間じゃない。
「だから、辛いものから背を向けるような選択に疑問を持つのは当然だよ。何かしら提言してくれるかもしれない」
「たしかに、ことりが帰ってきた頃からよく自分の意見を言うようになったものね」
「あと創ちゃんって言っても怒らなくなったね」
「そういえばそうね…。私はそう呼ばないから全然気にしてなかったわ」
豆腐メンタルの割にはちょっと成長してるからね、創一郎。そもそも物覚えは早いからね。舞台に関する仕事も恐らく僕がいなくても出来るようにはなってる。
ぶっちゃけ脳筋だと思ってた。ごめんね。
「……………ところで、茜はいつまでそこにいるの?」
「何か問題あるかな」
「いや、うちら…ずっと巫女服でいるわけにもいかないんやけど…」
「そりゃ大変だ」
「着替えるっつってんのよ!!はよ出てけバカ!!!」
「ゔぇあ」
「顔蹴った?!」
「かかとがおでこにクリーンヒットやね…」
そういえば君らまだ着替えてなかったね。忘れてたわ。いや悪気はないんだよ、にこちゃんの巫女服眼福おいしいありがとうございますって思ってただけだもん。はい僕が悪いです。
でも顔蹴るとね。
袴の中身が丸見えだよにこちゃん。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
お別れが近づいてきたということは、今作の(一応)主人公である波浜君も卒業なわけです。なので3年生サイドの様子も書きました。ついでにこっそり滞嶺君と凛ちゃんをいちゃつかせる遊び。今後もたまにやります。早く結婚しろ!
あとは白鳥さんがA-RISEご本人たちより落ち込んでるのもポイントです。自信満々でしたからね!急に湧いてきたオリキャラなので頑張って活躍していただきましょう。