笑顔の魔法を叶えたい 作:近眼
ご覧いただきありがとうございます。
真姫ちゃん誕生日おめでとう!!滑り込みセーフ!!いやあ危ない…!!書いてる暇が意外となかったので!
間に合ってよかったですけど、代わりに本編が書けてないので今週はちょっとお休みします。土日のうちに書き溜めておかなきゃ…!!
今回は藤牧さんと真姫ちゃんの誕生日話。本編2年後くらい…真姫ちゃんが高校3年くらいの予定です。
というわけで、どうぞご覧ください。
真姫誕生祭:Love your life
「まっきー、もうすぐ真姫ちゃんの誕生日じゃんね」
「突然何だ?私が忘れるとでも?」
「いやあまりにも何も準備してないからもしかして忘れてるのかもって」
「何を言うか。私に限って忘れるなどあるわけがないだろう」
「じゃあ何で何の準備もしてないのさ」
「しているぞ。ケーキの材料は既に買ってある」
「ケーキ作んの」
「何か問題でも?」
「問題がないからびっくりしてんだよね」
真姫ちゃんの誕生日が来週に迫ってるというのに、まるでそんな気配を感じないまっきーに直接聞いてみたら、めっちゃまともな回答が返ってきた。やめてよ、逆に不安じゃん。
「ゲテモノケーキ作らないでよ?トマトケーキとか」
「何を言うか。トマトはケーキに合わないなどと決めつけるものではない。上質なトマトならば十分に甘みがあるのだから、そこには何も問題はない」
「まっきーが言うとほんとにできそうだから怖い」
「できそうなのではない。できるのだ」
あまり想像はつかないけど、まっきーができるって言うならできるんだろうなぁ。まっきーには。僕らにはきっとできないけど。
とか言ってるまっきーは、ちょうど診察を終えて自分の病院から出てきたばっかりなのに即出かける準備をしていた。どこいくのさ。
「もうすぐ夜なのにどこ行くの」
「瑞貴のところへ。頼んでおいた品がある」
「えっ、まっきーがゆっきーに直接お願いしたの」
「そうだ。ここぞとばかりに金を請求してきたがな」
まさかの個人依頼だ。まっきーは基本的に人に頼ることは無い(自力でなんとかなるから)ため、個人依頼なんて幻聴モノだ。いやマジで幻聴かもしれない。
「それは真姫ちゃんのために…?」
「当然だろう?誕生日なんだぞ」
「ごもっともで」
「…さっきから何を驚いている。俺がそんなに思慮が欠けているとでも?」
「欠けてるじゃん」
よくわかった。普段ぶっ飛んでるやつがまともなこと言うと、むしろ不安になる。
普段からまともな発言を心がけないといけないね。それを僕が言うかって?そこはね。敢えてね。
「ともあれ、私は準備万端だ。僅かな時間であっても完璧に仕上げるのが私だからな」
「いちいち腹立つよね」
「何度も言われたことだな」
「じゃあ直してよ」
「何故だ?」
「狂ってんなぁ」
何度も言ってるし色んな人から言われてるんだから直そうよ。
「とにかく、私の心配は要らない。じゃあな、約束の時間が迫っている」
「なんか釈然としない…まっきーはもっとクソ野郎だったはずなのに」
「お前は何を言っているんだ?」
いやまっきーはもっと空気読めない大魔王だったはずなんだけどなあ。まあ、いっか。
「ほう、ホームパーティー」
「そう。誕生日にパパがホームパーティーをするって言いだして…だから誕生日当日は二人で会う時間は少ないかも」
「ふむ、そうか…一応私も呼ばれたわけだし、会えないわけではないが」
「色々準備してくれてたみたいなのに、ごめんなさい」
「いや、いいさ。何処でも渡せるプレゼントも用意してある。予定通りとはいかないが、問題はない」
「うん…」
茜と話した2日後、真姫から誕生日にホームパーティーが開かれる旨を聞いた。
急な話だが、おそらく以前から準備はしていたのだろう。西木野先生は愛娘の誕生日パーティーを突発的に思いつくような人ではない。
私と真姫が交際していることは西木野先生もご存知だ。隠す意味もない。まあ交際相手が私であれば先生も反対しないであろうことは想像に難くないしな。そして知っているからこそ、真姫を経由して私に招待が来たのだろう。サプライズのつもりだろうか。
「どうした真姫、随分と浮かない表情だが」
「…そうね、蓮慈さんがしてくれた準備が無駄になっちゃったらって思ったら、ちょっと」
「そんなことを気にするんじゃない。私ならその程度何とでもなる」
「ほんとに何とでもなりそうだから嫌よね」
「何故嫌がる」
何故か真姫は不貞腐れてしまった。
「そうじゃないのよ」
「ん?」
「あなたが僅かな暇を費やしてしてくれた準備が無駄になるのが嫌なの」
「…相変わらず物分かりが悪い子だな」
「何よっ」
「茜や瑞貴…天童氏を見ていてもわかるだろう?恋人のために費やした時間はそれだけで尊い。無駄なんかではない、私は楽しかった」
「…………ふーん」
「照れるな照れるな」
「照れてない!」
真姫の機嫌はわかりやすい。何度も言われている通り、私は人の心情を読み取るのが苦手だが、真姫のことはよくわかる。
それはそれとしてだ。
こちらは無駄を作り出したつもりは毛頭ない。そもそもケーキなら材料さえ保存してあればいつでも作れるのだから気にすることではない。
その過程だけで充分愛を語れる。
結果にこだわらないのは学術的には不足だらけだが、心理的には問題ないようだしな。
そもそもだ。
「そんなに私の時間の無駄を気にするなら、今回のパーティー、私が取り仕切ってみせようか?」
「………………………へ?」
私は天才だ。
天童氏曰く、「人の至れる最大値」だ。パーティーの企画くらい造作もない。
「というわけで招かれたわけだけどさ」
「…あいつは相変わらず人を人と思ってないな」
「つってもまだまだ良心的だと思うぜ?ワタクシ天童さんは環境をいじってその人の限界を超えさせちゃうもん」
「自分で言うんすかそれ。…ま、無理な仕事を頼まれたわけじゃなかったし、それは正しいかもな」
「君たちは一体何を頼まれたのさ…」
「僕や御影君はただ招かれただけですからね」
「飯が少ねえな」
「花陽はどこだ?」
「ちょっと一部フリーダムすぎない?」
そうして迎えたパーティー当日。
集めたやつらの一部を見に来たが、ふむ、やはり常軌を逸したやつらしかいない。滞嶺氏、飯はまだ出てくるからそんなに焦って食うんじゃない。
「茜と桜は準備できているか?天童氏に頼んだ台本の通りに頼む」
「はーい」
「わかってる…ん?天童さんさっき限界を超えさせるとかなんとか言ってたが、まさかこの台本…」
「いやいやいやいや、天童さんそこまで鬼畜とちゃうよ?やるとしてもみんなが知らない気づかない時にしかやんないぜ?」
「天童氏、あなたもだぞ」
「わかっちょるわーい。自分を登場人物に突っ込むなんてなかなか無い経験だしな」
「天童さん何するんです?かませ役?」
「こら茜クン人を勝手にかませ扱いするんじゃありません」
「えっ天童かませじゃないの??」
「訴訟も辞さない!」
…頼んでおいてなんだが、本当に大丈夫かこの人。
まあ、人の行動予測に関しては人間の限界を超えたような人であるのは確かだ。信用するしかないだろう。
「それじゃあ、よろしく頼む」
「天童さんがいじられてるこの状況でそれだけ行って立ち去れるなんて」
「スピードワゴンはクールに去るぜ…」
「うるさいです」
「酷くない??」
とりあえずこいつらは放っておこう。
少し離れたところには別の役者もいる。
「ねえ見て見て海未ちゃん!見たことない料理がいっぱい!」
「穂乃果…ご飯を食べに来たんじゃないですよ?真姫の誕生日を祝いに来たんですから」
「でもご飯美味しそうだよね…!」
「ボルシチがある…!!」
「絵里ちゃんだけ感動のポイントが違うにゃー」
「えりちはロシア生まれやからねー」
「チーズケーキ美味しそう…」
「ことり、よだれ出てるわよ」
わざわざ説明する必要も無いだろう。
元μ'sの面々だ。
「真姫が到着するまでは自由に飲み食いしてくれて構わない。どうせ真姫が来たら料理も変わるからな」
「あっ藤牧さん!」
「お招きいただきありがとうございます」
「何を言う。君たちが招かれない方がおかしいだろう?真姫の誕生日だぞ」
「でも、ホームパーティーって言ってたので…もしかしたら誘われないんじゃないかなって」
少し答えに困った。
実際、西木野先生の招待リストに元μ'sは居なかったからだ。そりゃあ西木野先生の知人を呼ぶとなると病院の関係者ばかりだから仕方ないが、真姫の人生を変えた彼女らがいないのはさすがに良くない。
だから私が呼んだんだ。
「…君たちがいることは非常に重要だ。だからこそ呼んだ。…手筈の通りに頼む」
「てはず…」
「何きょとんとしてるんです。頼まれて練習したでしょう?」
「あ、あれか!」
「本当に大丈夫ですか穂乃果…」
「ボルシチ…」
「チーズケーキ…」
「ごはん…!」
「…食べたらええやん?」
何人か料理に夢中であったり忘れていたりするが、彼女たちは本番に強い。気にしなくてもいいだろう。
と、ここで携帯に着信があった。天童氏だ。
「藤牧です」
『こちら天童。定刻だ、シナリオ通りならあと1分23秒で会場に真姫ちゃん到着。茜と桜は準備万端』
「了解。手筈の通りに」
通話を切った直後。
一気に会場の照明が落ちた。
代わりに、スポットライトの光が一筋、会場の入り口に投げかけられた。まさにそのタイミングで、真姫が扉を開けて入ってきた。
真姫は燃えるような赤色の西洋風のドレスを纏っていた。私が瑞貴に依頼して作らせたものだ。中世のようにコルセットのついたドレスは比較的長身でスタイルのいい真姫によく似合う。
「えっ…ちょっ、何?どうなってるの??」
「さあ、真姫」
「えっ蓮慈さん?暗くて何も見えないんだけど…」
「安心しろ。ただの演出だ」
「だから何の?!」
「そりゃ誕生日パーティーのだろ」
「それはわかるけど!っていうかこのドレス初めて見たんだけど!」
「私からのプレゼントだ」
「えっちょ、は、早くいいなさいよ!何も考えずに着ちゃったじゃない!」
「服を着るだけに何を考えると言うんだ」
「色々あるのよ!」
戸惑っているのはわかるが、そんなにわちゃわちゃ言わなくてもいいんじゃないのか。
「とりあえず落ち着け。このパーティーの趣旨は思い出を思い出すだけなんだから」
「またわけわかんないこと言って…」
「さあ、目を閉じて。あの日のことを」
「いつよ」
「わかりきっているだろう?」
スポットライトの範囲外は何も見えない状態で、目を閉じさせる。
何を思い出させようとしているかといえば。
当然。
「高校一年生、入学当初のことを。君の人生を変えたμ'sの思い出を辿ろう」
そう言って、真姫のまぶたに触れる。真姫は一瞬びくっとして、おそるおそる目を開く。
その時には既に、スポットライトの周りにもある景色が投影されていた。
「…音楽室…?」
「そう。ここから始まったんだろう?」
「そう、だけど…どうやってここに来たのよ?さっきまで私の家にいたのに」
「何を言う。ただのプロジェクションマッピングだ」
「え?」
「プロジェクションマッピング。要するに映像だ」
「これ映像なの…?」
「茜が卒業してから随分経っているから忘れているかもしれないが、ヤツは天才だぞ」
「そうだったわね…」
リアルすぎて本物かと見間違うような、音ノ木坂学院の音楽室。茜のプロジェクションマッピングによって忠実に再現されているらしい。
そして、映像の中のピアノの前に、誰かが座っている。
「…私…」
「そう。ここで一人でピアノを弾いていたんだってな」
「うん。もう、まともに音楽することはないかもしれないと思ったから」
「ところが、そこに高坂が現れた」
映像の中の扉が突然開き、映像の中の高坂が真姫に話しかけている。
「懐かしいか?」
「そうね…腕立て伏せとかやらされたし」
茜や他のメンバーの意見も聞きながら作った映像。とてもリアルで、一瞬その場にいるかのような錯覚すら覚える。
その後も色んな場面へ(映像の中だが)移動する私たち。小泉の応援をして、そのまま自身も始めたスクールアイドル。先輩後輩を無くした日。合宿した日。解散しそうになった日。色んな思い出が詰まっている。
私が知らない真姫でもあり、私がよく知る真姫でもあった。
そして。
「ここは…」
「アキバドーム」
「…」
「μ's最後の日か」
「…」
最後に流れた映像は、アキバドームの裏口だった。
「真姫」
「何?」
「こうやって見返すと、君は茨の道を歩いてきたんだな」
「何よ急に」
「いや、何となくな」
真姫の手を引いて会場を歩くと、映像も流れていく。アキバドームの舞台には、実際のラストライブとは異なり、ピアノが置いてある。
「誕生日プレゼントなんだがな」
「うん」
「色々考えたが、やっぱり私は君が生まれてきてくれたことそのものを祝いたかった。生まれてきてくれたことそのものに感謝したかった」
「…」
「そのドレスも、本来用意するつもりだったケーキもその前座にすぎない。…私を救ったのは、μ'sの一人である西木野真姫だ。だからこんな映像を用意した」
私は真姫を愛すると同時に、その存在に感謝している。しかし、やはり彼女の人生を大きく左右したのはμ'sだろう。
「そのピアノは本物だ。さあ、弾いてみてくれ。好きなように、好きな歌を」
今日は彼女の誕生日だ。
私は大仰なプレゼントより、思い出を重視したのだ。
「…愛してる、ばんざーい」
「ここでよかった」
「私たちの今が、ここにある」
真姫の指が鍵盤に触れる。
ピアノの音が響き渡る。
「愛してる、ばんざーい」
「始まったばかり」
私は君を愛している。
その生誕に感謝している。
今日はそれが伝われば、それでいい。
「明日もよろしくね、まだ…」
「「「「「「「「ゴールじゃなーい!!」」」」」」」」
「えっえ?!み、みんな?!」
「真姫ちゃん歌うよ!ほらセンター!」
「まっ、待って…!」
「演奏は桜さんがエレクトーンでしてくれるから!」
「ちょ、ちょっと!」
「もうなにしてんのよ!歌始まるわよ!」
「にこちゃんちょっと待ってってばぁ!何これ意味わかんない!!」
わちゃわちゃしているが、ちゃんと歌い始めたから問題ない。
さて、私も歌って伝えなければな。
そう、大好きだ、愛してると。
生まれてきてくれて、ありがとう。
ちなみに、歌い終わった後にはトマトを使った料理を用意したら凄くいい笑顔をしていた。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
かなりやっつけで書いてしまったので雑かもしれません…ごめんなさい。でも書きたかったんです!!
真姫ちゃん、物は何でも親に貰えそうなので物じゃないものをあげる感じにしました。物(ドレス)もあげてますけどね!!
藤牧さんのお話も早く書きたいですねー!