笑顔の魔法を叶えたい   作:近眼

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ご覧いただきありがとうございます。

前回からもまた!!お気に入りしてくださった方がいらっしゃいました!!ありがとうございます!!
さらに☆9評価もいただきました!!こちらもありがとうございます!!
もっと前ですけど、☆1評価もいただいてました!!ありがとうございます!!
☆1でも、読んで評価してくださったならとても嬉しいのです。もっと面白く書けるようになろうってなりますからね!

今回は劇場版の続きです。ちゃんと桜さんとか天童さんは活躍してくれるんでしょうか。


といつわけで、どうぞご覧ください。




百合百合ハネムーン推奨仕様のアメリカンホテル

 

 

 

 

「ううううう…」

 

 

というわけで、ホテルの一室。

 

 

どうやら穂乃果ちゃんがメモを写し間違えたようで、海未ちゃんたち御一行は変なところに連れていかれたらしい。

 

 

創一郎が全部抱えてすっ飛んできてくれた。ほんとにわけがわからないよ。でも創一郎がいてよかったね。

 

 

「ご、ごめん!絵里ちゃんにもらったメモ写し間違えちゃって…だって英語だったか

「今日という今日は許しません!!あなたのその雑で大雑把でお気楽な性格がどれだけの迷惑と混乱を招いていると思っているんですか!!」

「ひどい言われようだ」

「今回に限っては擁護しねぇ」

「お怒りだねぇ」

「まあ、ちゃんと着いたんだし…」

「それは凛がホテルの名前を覚えていて、創一郎がいてくれたからでしょう?!もし忘れられていて一緒にいたのが茜だったら今頃命は無かったのですよ!!」

「大袈裟だにゃ」

「何で僕ディスられたの?」

「茜は創一郎みたいなことはできないでしょ」

「僕なら僕で改めてタクシーを手配するくらいできるんだけど」

 

 

特に理由のないディスりが僕を襲う。理不尽では?っていうか出発前は創一郎をディスってたのにこの熱い掌返しよ。

 

 

「天童さんだって肝臓取られるって言っていましたし!!生きていても五体満足では済みません!!むしろ死ぬより悲惨ですよ!!」

「妄想に磨きがかかってる」

「天童さんも余計なこと言いやがって」

 

 

天童さんのせいでネガティヴが加速してる。そもそも天童さんはどこ行ったのさ。

 

 

「海未ちゃーん、みんなの部屋見に行かない?」

「…」

「ホテルのロビーもすごかったわよ?」

「…」

「じゃあ近くのカフェに…」

「…」

「この徹底抗戦態勢よ」

「むしろ清々しいな」

「創一郎なんとかしてよ」

「俺はもうここに連れてくるという大役を果たした」

「おっしゃる通りだよ」

 

 

意地でも動かないつもりらしい海未ちゃん。怖がりすぎでは?いや怖いか。

 

 

創一郎にぶん投げようと思ったら拒否られたし、仕方ないから僕の出番か。創一郎も割とお怒りらしいね。とりあえず出番だけどどうしよう。

 

 

「ねえ、気分転換におやつでもどう?カップケーキ買ってきたんだ!」

「おお、花陽ちゃんナイス!」

「ナイスなんだけどいつのまに買ってきたのさ」

「じゃあ、それ食べたら明日からの予定を決めちゃいましょうか」

「うん!海未ちゃんも食べるでしょ?」

「僕は返事待ちなんですけど」

 

 

どうしようか迷ってたら花陽ちゃんがファインプレーしてくれた。さすがご飯の精霊。でもほんとにいつの間に買ってたんだろう。12個も。桜の分も買ってきたんだね。ここに桜いないけど。桜もどこ行ったんだろ。まあここはμ's名義で取った部屋だからいないのは当然なんだけども。

 

 

そして天童さんの分は無いんだね。

 

 

で、海未ちゃんは。

 

 

「……………いただきます」

「ちょろい」

「ちょろいな」

 

 

ちょろかった。

 

 

女子高生はカップケーキで釣れるらしい。よくない知識を得た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

というわけでとりあえず夜ご飯だ。ごっはーんー。ごっはーんー。

 

 

「何で俺もお前らの飯に同席させられてんだ。あとなんだこのカップケーキ」

「桜は名誉部員だから」

「何言ってんだお前」

「はっはっはっいいじゃねえか!みんなでお食事とか楽しいだろぉ?!…ところで俺にはカップケーキ無いの?何で?Why I can’t get a cap cake?」

「忘れられてたんじゃないですか」

「なんてこったちくしょう!単独で車でホテルに向かってる場合じゃなかった!!」

「一人で行ってたんですね」

 

 

桜と天童さんもいるけど。桜は呼んだ。穂乃果ちゃんが。天童さんは知らない間にいた。

 

 

「私、あの鉛筆みたいなビルに登りたい!」

「ここに何しにきたと思ってるんですか…」

「なんだっけ?」

「相変わらず自由すぎるだろ」

「わかってたことじゃん」

 

 

穂乃果ちゃんはいつも通り。桜もいつも通り呆れてた。アメリカでも平常運転だね。

 

 

「ライブです!」

「分かってるよー」

「大切なライブがあるのです。観光などしている暇はありません!」

「えーっ!」

「真面目な修学旅行かな?」

「無駄に規律が固まってる学校のな!頭固いやつの典型だな!」

「天童さん何か言いましたか?」

「いえなんでもございませんハイ」

 

 

海未ちゃんもある意味いつも通りだった。よっぽど迷子が怖かったと見える。あと天童さんもいつも通り不憫。まあ天童さんだからいっか。

 

 

結構みんな異国の地でも平常運転してるわ。

 

 

「幸い、ホテルのジムにはスタジオも併設されているようです。そこで練習しましょう!外には出ずに!!」

「ええー!!」

「そこまでして引きこもりたいか」

「アメリカまで来た意味ね」

 

 

せっかくアメリカ来たんだから少しくらい観光しようよ。

 

 

「わざわざ来たのに?」

「よっぽど怖かったのね…」

「大丈夫大丈夫、街の人みんな優しそうだったよ!」

「穂乃果の言うことは一切信じません!」

「うう…」

「まぁ実際、善人ばかりじゃないさ。スリとかには気をつけな、人と衝突しないように注意するといいぜ」

「ほら、天童さんもこう言っています!」

「うそ…俺の発言が重要視されてる…」

「そんな感動ポイントじゃなかったと思いますが」

「つーか都合のいいところだけ重要視してるしな」

 

 

天童さんは「私の年収低すぎ…?」みたいな顔しないで。先ほど冷たくあしらわれたのを忘れないで。

 

 

「確かに、ラブライブ優勝者としてもこのライブ中継はおろそかにできないわ」

「その通りです!!」

「でも、歌う場所と内容については私たちも希望を出してくれと言われてる」

「この街のどこで歌うのが一番μ'sらしく見えるか。それも探すべきだよねえ。まさかライブまでこのホテルでやらせてもらうわけにはいかないし」

「室内に引きこもるのは精神的にも良くないだろう。外に出るのも必要なことだ」

「そ、それは…」

「そうだよそうだよ!」

「穂乃果は黙ってろ」

「何で?!」

「お前は戦犯だろーが!お前のハイテンションは園田にとって煽りでしかねーわ!!」

「せんぱん??」

「桜、穂乃果ちゃんは日本語わかってない」

「雑魚じゃねーか」

「ひどい?!」

 

 

実際、ライブ会場はこの目で見て歩いて触って確かめなきゃならない。触る必要はないか。とにかく、このホテルから出ないという選択肢は取るわけにはいかない。ごめんね海未ちゃん。

 

 

「だから、朝は早起きしてちゃんと練習。その後は歌いたい場所を探しに出かけるというのはどう?」

「それいいと思う!」

「こ、ことり…!」

「はーいでは賛成の方々挙手をお願いします!!!」

「何で天童さんが仕切ってるんです」

「俺も混ぜてよ!さっきから俺様影が薄いんだよ!!」

「だってあなた部外者ですし」

「桜もじゃんっ!!!」

 

 

まあ賛成は賛成なんだけどさ。事実12対1で海未ちゃんの歴史的大敗だ。そりゃそうなるだろうけどさ。

 

 

「決まりやね」

「よーし、そうと決まればご飯にしよう!」

「俺は帰っていいか?」

「だめ!!」

「何でだよ…帰らせろよ…」

「バッカお前、ラブライブ優勝者たちと会食だぞ?今後二度とあるかわからんぜ!!」

「天童さんは帰ってくださいな」

「ねぇみんな俺のこと嫌いなん??」

 

 

心配事が消えたらまずはご飯だ。でもアメリカのご飯多いんだよなぁ、僕少食なんだけど。

 

 

「とりあえず何を頼もうね」

「あ、私はチーズケーキ!」

「「「チーズケーキ?!」」」

「…どうしたのよA-Phy組」

「いやぁ…チーズケーキなぁ…」

「アメリカンサイズだぞ?」

「単独で食べる量じゃないぜ?大丈夫か?」

 

 

アメリカンサイズのケーキはお腹ブレイカーだよ?みんなで食べる用だよね?信じるよ?

 

 

「ねぇ、どれが何の料理?」

「英語読めばわかるだろ」

「読めないもん!!」

「高校生なんだからちょっとくらい読めるだろ…」

「茜、私の分も選んで」

「はーい。ハンバーグでいいかな」

「…実際、料理の名前は英語で書かれちゃわからんな」

「創ちゃん読んで!」

「わからんっつってんだろ」

 

 

みなさん英語ちゃんと勉強しなきゃだめだよ。

 

 

お、ことりちゃんのケーキが来た。

 

 

「…なにこれ?!」

「でかっ!」

「チーズケーキだよ!」

「いやそれは見たらわかるけど」

「こっちに来たら食べるって楽しみにしてたんだー」

「これが夕食なのですか…?」

「さすが自由の国やね」

「それ関係ある?」

「これは…期待できる…!!」

「創一郎だけリアクションがおかしい」

 

 

期待できるじゃないんだよ。明らかに多いんだよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんでお部屋はハネムーン仕様なんだろうね」

「男2人でこんな部屋通すなよ」

「まぁアメリカってそういう国だし」

「どういう国だ」

 

 

まぁ今言った通りだよ。

 

 

何故かお部屋がハネムーン仕様だった。

 

 

こういう部屋しかなかったのかな。冗談じゃない。

 

 

「僕にこちゃん連れてくるから創一郎はどっか行ってて」

「アホか」

「大真面目だよ」

「大真面目なアホか」

「どゆこと」

 

 

こんな部屋ならにこちゃん連れてくるしかない。2人で蜜月パーリナイ。いやでも緊張して過呼吸になっちゃうかも。なるわ。絶対なるわ。

 

 

「バカ言ってないで早く寝るぞ」

「でもちょっとにこちゃんに会ってくるね」

「何でだよ」

「せっかくアメリカに来たからお話したいだけ」

「わざわざ外国に来てまで話すことがあるか?」

「僕にはあるの。僕はしばらく出てるから、部屋で待ってるか、外に出るなら連絡してね。カードキーは渡しておくから」

「…ああ」

 

 

2人でパーリナイは精神衛生上よろしくないけど、それでも話したいことはあるといえばある。

 

 

なのでにこちゃんルームへ突撃。鍵は創一郎に託した。

 

 

というわけで、ノックしてもしもーし。

 

 

「はーい、どなた?」

「波浜さんだよ」

「ああ、茜。にこに用?」

「もちろん。ああ、でもわざわざ席外したりしなくていいよ」

 

 

ノックしたら絵里ちゃんが出てきた。パジャマ絵里ちゃんって多分純情系男子が見たら鼻血出しそうだよね。そんなことない?

 

 

「そう?でも私と穂乃果は海未とことりに用があるから今から出て行くわよ」

「そうやって自然を装って気を遣わなくていいんだよ」

「ふふっそんなこと考えてないわよ?」

「そんなわけ

「いつまでドア前で話してんのよ早くこっち来なさいよ!!!」

「おぐぅえ」

 

 

白々しい絵里ちゃんを論破してたらにこちゃんがすっ飛んできた。物理的な意味で。具体的に言うとドロップキックされた。パジャマだからおぱんつは見えなかった。残念。残念じゃないわ。ドロップキックとはまた痛いことを。

 

 

「わああ!茜くん大丈夫?!」

「大丈夫だよ」

「むしろ何で大丈夫なのかしら…」

「こいついつもギリギリでちょっと避けてんのよ」

「そうだったの…どうりでいつも平気そうにしてたのね」

「僕も今初めて知った」

「えっ」

「えっ」

 

 

さすがにこちゃん、僕より僕のことわかってる。

 

 

「で、どうしたの?」

「ドロップキックかましておいて『で、』って酷くない?」

「酷くないわ。とりあえず入りなさい」

「わーい」

 

 

ドロップキックと引き換えに入れてもらった。やった。にこちゃんたちのお部屋もハネムーン仕様なんだけど、3人でゆりゆりイチャコラしなさいってことなのかな。アメリカ寛容すぎでは?

 

 

「これは薄い本が厚くなる」

「何言ってんのよ」

 

 

なんでもないよ。

 

 

「じゃあ、私たちは行ってくるわ。穂乃果、行くわよ」

「えっ?」

「行くわよ」

「だからそんな気を遣わなくても」

「遣わせておきなさい」

「にこちゃんがやけに積極的うぶっ」

「何か言った?」

「なんでもないれす」

 

 

本当に絵里ちゃんは穂乃果ちゃんを連れてどっか行ってしまった。だから気を遣わなくていいって言ってるのに。でもにこちゃんがいいって言うから許す。許しちゃう。だから腰蹴るのはやめて。腰痛になっちゃう。

 

 

「…で、どうしたのよ」

「ん?いや、ハネムーン仕様のお布tんぐぉ」

「どうしたのよ」

「前振りの冗談を言わせてもらえない」

 

 

まずはにこちゃんを恥ずかしがらせようと思ったら先に正拳突きがきた。痛い。

 

 

「…こんなとこまで来ちゃったね」

「そうね」

「見てほら、アメリカの夜景。100万ドルかどうか知らないけど」

「…綺麗よね」

「うん。にこちゃんが頑張ったから見れた景色だよ」

「…」

「にこちゃんが諦めなかったからこんなとこまで来れたんだよ」

 

 

普通に考えて。

 

 

一介の女子高生が、一分野の未来のために海外まで出向くなんて有り得ない。全ては不断の努力が、諦めない心が作り上げた結果だ。

 

 

なんだけど。

 

 

「違うわよ」

「ん?」

「…私だけじゃない。μ'sのみんなが頑張ったから、諦めなかったから来れたのよ」

「…………にこちゃん」

「何よ」

「丸くなったね」

「うるさいわね」

「へぶっ」

 

 

にこちゃんは明確に否定した。

 

 

自分だけの功績じゃないって。

 

 

みんなで叶えた成果だって。

 

 

昔みたいに、一人で何でもやろうとしてたのとは大違い。本当に、とてもいい子に育った。

 

 

攻撃も枕でぼふってされただけだし。痛くない。珍しい。

 

 

「今度は私たちが未来に託すのよ。手は抜けないわ」

「そうだね。残るみんなのために、これからやって来る子たちのために。絶対成功させなきゃね」

「どこでライブやるかわかんないけど、照明頼んだわよ?」

「どこでやっても僕は最強だよ」

「私たちだってどこでやっても最強よ!」

「…あは」

「ふふっ」

 

 

ああ、そうだね。

 

 

僕らは何があっても負けない。どんな状況でも、絶対成功させる。成功する。

 

 

日本一なんだもんね。

 

 

そんな意思表示を遠回しにしてみたら、張り合ってきたから可笑しくなってしまった。久しぶりに自然に笑ったかもしれない。

 

 

笑い合う僕らの距離はとても近くて、ちょっと動けばキスするくらい余裕なんだけど…そうきうのはまだやめておこうか。全部、僕らの役割が終わってからだね。

 

 

だから。

 

 

「うん、心配なさそうだね。それなら僕は明日に備えるよ」

「わかった。絵里と穂乃果にも連絡しておくわね」

「うん、お願いね。おやすみ」

 

 

要件が済んだ僕はここで退散することにした。だって他にすることもないもんね。

 

 

僕もただ伝えたかっただけだもん。

 

 

こんなところまで来れたよって。

 

 





最後まで読んでいただきありがとうございます。

少し短め(当社比)かつお話が進まなくてつまらない回だったかもしれません。そういう回もありますって!!(超ポジティブ)
お部屋に残された創一郎がどうしたかは、想像してみてください。案外一人で筋トレしてるかもしれない。してそう。

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