笑顔の魔法を叶えたい 作:近眼
ご覧いただきありがとうございます。
前回からは☆3評価をいただきました!!ありがとうございます!!もっと面白く書けるようにがんばります!!
なんだか台風ができたらしいですし、みなさまお気をつけください。私は去年家の屋根瓦が一枚飛びました笑
さて今回はアメリカ旅行二日目夜からです。相変わらずフリーダムなμ'sをお楽しみください。
というわけで、どうぞご覧ください。
あちこち行ってたら夜になった。
アメリカで夜っていったらもちろんあれだよね。
「「「「「「「「「わぁー!!」」」」」」」」」
「さすが世界の中心…」
「綺麗やね。ライブのときもこんな景色が使えたら最高なんやけど」
「まあ世界の中心とまで言うかどうかはわかんないけどね」
そう、夜景だ。ホテルからも見えるわけだけど、せっかくだからもっと高いビルから見渡すことにした。こういう所もライブ会場としてはありかな?
「なんかどこもいい場所で迷っちゃうね」
「そうですね…最初は見知らぬ土地で自分たちらしいライブができるか心配でしたが」
「思ったよりいつもと変わんねぇな。心配することも無かったか」
「まあ国が変わっても街は街だからね」
郊外とか田舎ほどお国柄が出ないからね、都心部って。ビルみたいな高層建造物ばかりだからね、そりゃ見た目も似るよ。案外秋葉と大差なかったかもしれない。
「そっか」
「凛?」
「わかった!わかったよ、この街にすごくワクワクする理由が!」
「ワクワクする理由?」
「そもそもワクワクしてたんだね」
「この街って、少し秋葉に似てるんだよ!」
「この街が?」
「秋葉に?」
「言語違うじゃねぇか」
「今雰囲気の話してるんだよ」
そもそも創一郎もさっき「思ったよりいつもと変わんねぇな」って言ったじゃん。言語の話じゃないよ。
「楽しいことがいっぱいで、次々と新しく変化していく…街の雰囲気もそこにいる人たちの喧騒も似ているんだよ!」
「うん、実は私も少し感じてた!凛ちゃんもそうだったんだね!」
「うん!」
「言われてみればそうかもね。なんでも吸収してどんどん変わっていく」
「だからどの場所でもμ'sっぽいライブができそうって思ったんかな」
「街の規模は違う。言語も違うし文化も違う。でもどこか似てる…不思議だねぇ」
「不思議じゃないわよ。同じ人が住んでる街なんだから」
「にこちゃんたまにはいい事言うね」
「たまにはって何よ!」
「ふげっ」
大きな街が、目まぐるしく変化していく。常に新しく、輝かしく。そんな雰囲気が似てるのかもね。
にこちゃんの言う通り、同じ人間が住む街なんだから、方向性が似通っても不思議じゃないのかもね。
だからほっぺたぐにぐにしないで。あれっ痛くない。いつもより攻撃力が低い。どうしたのにこちゃん逆に心配。
「しかし、それじゃあ結局どこでライブするか決まらねぇじゃねぇか」
「大丈夫だよ。どこでやってもいいらしいし」
「だから逆に候補が多すぎるだろ」
「歩き回ってピンと来たところならどこでもいいってことだよ」
本当にどこでもいいなら、頼めば道のど真ん中だって行けるはずだ。秋葉らしいというなら、秋葉に近い環境を狙うのも悪くないかもしれない。
「ぅうう…」
「なにごと」
「花陽ちゃんが泣いてる…」
とりあえず夜ご飯食べに来たら、花陽ちゃんが泣き出した。何でさ。
「どうしたのよ?」
「にこちゃん、かよちんに何かした?!」
「してないわよ!」
「何でもにこちゃんのせいにしないの」
「具合でも悪い?」
「ホームシック?」
「足でも痛めたか?」
色々聞いてみるけど、お返事は無い。ただのしかばねのようだ。うそうそ生きてる。生きてるけどひたすらさめざめと泣いてる。ほんとにどうしたの。
「………くまいが…」
「くまい?」
「熊井…だれだろう」
「人の名前か?」
「白米が食べたいんです!!」
「あっはい」
心配して損した。
「こっちに来てからというもの、朝も昼も夜もパン、パン、パン、パン、パン!!白米が全然無いの!!」
「そりゃ小麦文化圏だし」
「……でも、昨日の付け合わせでライスが
「白米は付け合わせじゃなくて主食!!パサパササフランライスとは似て非なるもの!!『御』に『飯』と書いて『御飯』…白米があってご飯が始まるのです!!」
「すごいこだわりね…」
「ただひたすらにめんどくさいんだけど」
「言ってやるな」
というかさりげなくサフランライスをディスるんじゃないよ。美味しいじゃんサフランライス。っていうか花陽ちゃん自身もサフランライスもりもり食べてたじゃん。
ちなみに今しがた店員さんが持ってきたのもパンでした。南無。
「うぅ…あったかいお茶碗で真っ白な白米が食べたい…」
「残念だったね」
「あっこのパン美味しい」
「ブレブレじゃん」
一瞬でパンに浮気した。白米への愛はどうしたのさ。
「仕方ないね。白米食べれるとこに移動しようか」
「あるの?!」
「うわぁすごい食いつき」
「一応私も知ってるけど…」
「この辺で日本料理屋ってあそこしかなくない?」
「それはそうだけど…でもわざわざアメリカで日本料理屋に行く?」
「行きましょう!!」
「だそうです」
花陽ちゃんの一存で和食を食べることに。仕方ないね。
「この街にもこんなお店あるんだねぇ」
「世界の中心だからね。大抵のものはそろってるわ」
「だからこそというべきか、名前がド直球だな」
「いいじゃんわかりやすくて」
そんなわけで、「GoHAN-YA」ってお店でお食事した。もう日本語で書けばいいじゃんってくらい見たまんま。笑うわ。
まあでも海外の日本料理店なんてだいたいこんな感じな気がする。きっとこの響きが好きなんだよ。
「美味しかったぁ…やっぱり白米は最高です!」
「良かったねかよちん!」
「ご満足いただけたようでなにより」
「なんだかこうしてると学校帰りと変わらないね」
「全くだ。本当に外国かここは」
「紛れもなく外国だよ」
みんなでご飯食べて帰り道ってあたりは確かに学校帰りだけどさ。
まあご飯も食べたし帰ろうか。
「とりあえず駅構内はカオスだから迷わないでね」
「流石にアメリカでは俺も埋もれるから当てにするなよ」
「いや創一郎は埋もれないよ」
2m越えの身長がそう簡単に埋もれてたまるかい。
と、そこで穂乃果ちゃんが何かを見つけた。
「あっ桜さん!!」
「げぇっ…なんだ、お前らも今帰りか」
「今『げぇっ』って言ったよね」
失礼なやつだ。
「桜さんひどい!」
「酷くねーよ。一人で帰って引きこもる予定だったのに」
「一緒に帰りましょうよ!」
「どうせ一緒の電車に乗るだろ…」
「ご愁傷様」
「拝むな」
今日も元気に桜は巻き込まれ大魔王だった。今日はライブの打ち合わせって言ってたけど、たまたまこの辺りだったみたいだね。
「いやぁちゃんと改札があっていいねぇ」
「普通あるでしょ」
「ドイツとかはないよ」
「そうなの?」
「ん、ああ。ドイツは電子改札は無いな。チケットを買ったら自力で印字する」
「そんなのチケット買わなくても入れちまうじゃないですか」
「だからたまに警備員さんが車内を巡視してるよ」
いろんな国に行ってると改札のありがたみを感じるね。まあ無い方が混まないといえばそうなんだけど、あるとなんだか安心。
「混むとは言っても東京も相当なものだから慣れたもんだね」
「そうだけど、やっぱり周りがみんな外国人だと少し不安になるわね…」
「創ちゃん手繋いでぇー…」
「既に勝手に掴んでるだろ」
「逸れないでよー?」
「っ、しまった!」
「ん?あれっ桜どこ行ったの」
「さあ?どさくさに紛れて逃げたんじゃない?」
「あり得る」
知らない間に桜がどっか行った。まあそもそも僕の身長では全員見えないんですがね。創一郎でもこの雑踏ではみんなが視認できてるか怪しい。大丈夫かな。
桜はどうせアメリカも慣れてるだろうからどうでもいいや。
「おっあの電車だね」
「乗れるか?」
「乗れなくてもすぐ次の電車来るから大丈夫だよ」
アメリカの地下鉄はバンバン来るからね。
ともかく、良いタイミングで来た電車にみんなで乗り込む。狭いでござる。まあそれは秋葉でも同じこと。
「創一郎、みんないる?」
「ああ、俺を除いて9人…
…………9人?!」
「えっ一人足らない」
マジかい。
「くそっ、穂乃果か!穂乃果がいねぇ!!」
「あっ、あそこに!!」
「逆方向の電車乗ってるじゃん」
「穂乃果ー!そっちじゃないわよ!!」
「だめ…聞こえてない!」
「そりゃそうだよ」
またトラブル呼び起こしおってあの子は。
しかしこれは割と大問題。こんな異国で迷子となっては流石に無事ホテルまでたどり着けるかわからない。次の駅で降りて逆方向に乗り直すのも手だけど、こんだけ混んでてカオスな路線で正しい電車に乗れるかどうかは相当怪しい。言語だって違うし。
内心めちゃんこ焦ってると、扉が閉まりかけた反対側の電車に桜が駆け込むのが見えた。穂乃果ちゃんの腕を引いて急いで電車を降りようとしたが…だめ、扉は閉まっちゃった。
電車が動き出す直前でこっちに気づいた桜はすんごいスピードでメールをよこしてきた。
『なんとかする』
らしい。
アバウトすぎて困る。とりあえず『具体的にどうすんのさ』って返事しとこう。
「クソっ!こっちももう動き出しちまったし…次で降りて引き返すか?!」
「やめときなよ。君も迷うよ」
「一度既に辺境からホテルまで戻っているんだ、いける…」
「バカ、そっちじゃないよ。穂乃果ちゃんの元にたどり着けるかって話をしてるんだ。ホテルの位置がわかっても、穂乃果ちゃんの位置はわからないでしょ」
「駅のホームに行けば…!」
「この混雑で見つけられると思うかい」
「見つけるッ!!」
「見つけられなかったからはぐれたんだろ」
「やめなさいよ茜、創一郎が悪いわけじゃないじゃない」
焦るのはわかるけど、今から引き返して穂乃果ちゃんと合流できるかは正直わからない、というか恐らく無理だ。現実的じゃない。
けど、だからって僕も焦っちゃいけないね。八つ当たりよくない。
「むう、桜に任せるしかないかなぁ。なんとかするって言ってるし」
「桜さんが?」
「桜さんならアメリカに慣れてそうだし、連れて帰ってくれそう!」
「さあどうだろう。東京もびっくりな迷宮だし、桜コミュ障だし」
見知らぬ人に道を聞くようなタイプじゃないんだよね。っていうか道行く人に声かけられるタイプじゃないんだよね。
でもなあ。
「それでも、僕らが無闇に探し回るよりいいよ。土地勘の無い夜の街を歩き回るのは流石に危険だし、行き違いになったら目も当てられない」
「ですが…!」
「大丈夫、穂乃果ちゃんも一人なわけじゃない。桜がいる。連絡だってできる。焦って飛び出して君まで迷子になる方がヤバいんだよ」
「そ、それはそうですが…!」
特に海未ちゃんは迷子の記憶が新しい。余計心配にもなるだろう。
「茜の言う通りよ。穂乃果を探しに行って共倒れの方が危ないわよ、心配になる気持ちもわかるし、私だって心配だけど…ホテルで待つしかないわ」
「にこ…」
「僕だって心配なんだよ。でも、君らより土地勘のある僕ですら探しに行くのは得策じゃないと思う。夜のアメリカを焦ってうろつくのはあんまり推奨しないよ」
「……………わかりました」
納得はしてないみたいだけど、理解はしてくれたみたいだ。
何もできなくてごめんね。
何もさせてあげられなくてごめんね。
「っ、クソ!間に合わなかったか!」
「ど、どどどどどうしよう…?!」
「あーうるせー!そんな顔すんなバカ、なんとかする!!」
改札を抜けてホームに向かう途中、穂乃果が逸れたのに気がついて連れ戻しに行ったが遅かった。逆方向の電車に乗ったまま電車は出てしまった。仕方ないから次で降りて乗り直すなりするしかない。正しい電車に乗った茜と目が合ったから急いで「なんとかする」とだけメールをする。
というか、なぜ穂乃果が逸れたとわかったのかなんだが。
聴き慣れた足音ならどんな雑踏からも聴き分けられる。だから逸れたこともわかったし、どこにいるかもすぐにわかった。…雑踏が混みすぎていてすぐにはたどり着けなかったが。
「お前も早く連絡しとけ!」
「え、えっと…その、充電が…」
「ほんっっっっっっとにお前は………!!!」
青い顔で焦っていた割には、連絡させようとしたら顔を赤くしてバカなことを言いだした。ほんとにバカだなこいつは。
「もう次の駅に着く。急いで逆方向に乗り換えるぞ」
「う、うん」
「ほら、手」
「へ?」
「手を出せっつってんだ!また逸れるぞバカ!!」
車内アナウンスが聞こえたから、間違いなく降りられるように準備をしておく。今度逸れたら許さん。
「えっと…じゃあ…お言葉に甘えて…」
「何言ってんだお前は。ほら早く行くぞ!」
「わわわ?!」
穂乃果の手を引いてすぐに電車を降りる。急いだからってすぐに電車に乗れるかはわからないんだが…ん?なんだ、なんか混みすぎじゃねーか??
…くそ、聞くしかないか。外国人に話しかけるとか苦行でしかねーな。
「Excuse me. What this crowded?」
「I do not know clearly, but apparently there was an accident.」
「あぁ?!このタイミングでか…!!thank you for your kindness!!」
詳しくは不明だが、どうやら事故ったらしい。タイミング悪いな!!
「な、何て言ってるの?」
「事故だとよ!仕方ないな、地上を行く!」
「ええ?!だ、大丈夫なの?!」
「他に手は無いだろ!道はわかるから安心しろ!!」
うろたえる穂乃果の手を引いて地上に向かう。幸い辺境にいるわけじゃない、ホテルもデカい。無駄にうろちょろしなければ真っ直ぐ帰れるはずだ。
絶対に無事に送り届ける…!!
最後まで読んでいただきありがとうございます。
というわけで穂乃果ちゃん迷子化です。珍しく焦って、打てる手がないことにしょげている波浜君をお楽しみください。創一郎に八つ当たりする時に言い方がキツくなってるあたりが好きです笑
そして水橋君の突然の出番。まあ穂乃果ちゃんって言えば水橋君ですからね!!ついでに帰りの電車も潰しておいたのでこれは歩いて帰るしかないですねぇ!!笑