Linkage   作:enz

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扉の奥のセカイ

 ANTの宿泊施設で、一夜を過ごし、恐怖の特訓の日がやってくる。

 食堂にて、朝食を取る為に、ほのか達が集まると、他にも、いくつかのチームも来ていた。

「ねぇ、皆、逃げるのってありかな?」

「逃げる、絶対、後悔、させられる」

「おとなしく、扱かれるのが、いいんじゃないか?」

 そんな話をしていると、視界の隅に、見慣れた制服を見つける。周りをよく見ると、他のチームも、その人物を見ていた。

「おばちゃんのお任せで、よろしく」

「はいよ、じゃあいつものでいいね」

 漆黒の髪に、雨島の制服、を着た少年は、ここをよく利用しているようだった。

「しっかし、あんた、島に行こうと思えば、直ぐいけるんだろ。なんでとまったんだい?」

「ん?なんとなくだよ」

「はは!そうかいそうかい。それじゃあ、これ、いつものね」

 なれたやり取りをし、空いてる席を探す。

 振り返った少年のエンブレムを見て、食堂にいるチームのほとんどが、目を疑う。

 しかし、ほのか達は、昨日会った人物だと核心する。

「おや?Linkageじゃねーか。」

「八神さん、おはようございます」

「そっちの三人は、おはつだな。ああ、逃げんなよ」

 昨日と同様に、凶悪な笑みを見せる。動揺を見て、満足したのか、トレーを持って立ち去る。

「逃げるの、やっぱり無理だな」

 

 

 

 

 ANTの宿泊施設には、様々な施設があり、体育館のような場所もあった。

 刹那に呼び出された施設へ入ると、既に、準備が出来ていた。

「案外早かったな。レンタル用の制服があるから、着替えて来い。私服をぼろぼろにしたくはないだろ」

 各種サイズが取り揃えてあり、戦闘訓練が出来るようになっていた。

「なんで制服なんだろ?」

「ほのか、雨島の制服はね、繊維状にした特殊鉱石(ロスタイト)を使ってるから、普通の生地と比べて、頑丈なのよ」

特殊鉱石(ロスタイト)自体、夢の新素材とか言われてるしな」

「軽い、頑丈、高い、希少、と、いろいろ、揃ってる」

 媒体として使うには、適していないせいで、特殊鉱石(ロスタイト)を使っていることを、忘れている人が多い。

「ギアまで、準備してあるとは……」

 これを使え。と手書きで残してあった。置き方からして、刹那が用意したようだった。

「よし、準備完了だね」

 改めて、刹那が控えている施設へ入ると、突然、特訓が始まる。

「はーい、それじゃあ特訓その1。とりあえず、ボコられて見よう!」

 中央に立っている刹那が、攻撃を開始する。

 瞬間的に生成された、水の弾丸がほのか達に襲い掛かる。それを見て、全員が散らばるが、匠は、位置が悪く、数発受けてしまい、制服が濡れる。

「八神さん、いきなりなんて……」

「知ってるかー、戦闘ってのは、突然始まるもんだぜー。よーいどんで始まるのは、スポーツくらいだ」

 そんな会話をしつつも、水の弾丸による攻撃は、密度を増す。

「ホコられて見ようって、勝利条件とかないんですか!」

 ギアを駆使し、反撃を試みるが、ギアから力を引き出す時間を、そう簡単には、取れない。

「勝利条件か、力の源に気付け。俺の異能を見破れたら、ヒントをやる。そうそう、外れたら、お仕置きだから、即死はするなよ」

 そう言うと、攻撃パターンが変化する。

 水の弾丸による攻撃から、5大属性の弾丸へと変化した。

「ギアもない、間接制御、にしても、制御が、早過ぎ」

「5大属性全部!」

 司が、一か八かの答えを言う。

「ハイ、ハズレー。じゃあ、お仕置きな」

 刹那が、中央から突然動き、司の足を掛ける。体勢を崩し、後ろに倒れる。その瞬間、右肩を踏み砕く。

「――!」

 反射的に悲鳴を上げ、肩を触ろうとする。

 刹那が中央に戻る頃には、司の肩が、元に戻っていた。床に、多少の出血は見られるが、司本人や、制服には、傷を負った後がなかった。

「安心しろ。即死はさせない。怪我も一瞬だ。但し、めちゃくちゃ痛いから、気をつけろよ。回避できたら、お仕置きはなしだ。まぁ、間違えなければ問題ねーよ」

 無茶苦茶だ。ほのか達は、そう思う。移動が見えなかった。気付けば、姿を消し、司の足を掛けていた。しかも、異能による攻撃は、継続したままだった。

「踏み砕くなんて、無茶苦茶だ」

「嫌なら、止めてもいいんだぞ。お前らは、中途半端な力を持って、化物と蔑まれて、そんな中、生きていく気か?俺達は、もう後戻りできない領域にいる。だが、お前らは、まだ選べるんだ」

 刹那の力は、圧倒的だった。

 ほのか達は、迷う。しかし、自分自身が、雨島で暮らすことを望んだ。だからこそ。前へ進む。

 刹那も、五人の表情の変化を読み取り、攻撃を続ける。

「これが、ゴールドエンブレムの喪失者(ロスト)の力」

「そうだぜー。紫苑だって氷華だって、雨島で起きたバーストの時にやって見せたろ!」

 5大属性を弾丸として打ち出すという、攻撃方法は変わらないので、なんとか慣れてきた。

 全員、時折、反撃を入れている。しかし、刹那に近づくと、かき消される。

物質型(マテリアルタイプ)のどれかのはず、他のは、間接制御で、まかなってるはずだから。間接制御の過程を見抜――」

 ほのかの言葉を聞き、四人が頷く。しかし、最後までは、言えなかった。

「ハイ、はっずれー。お仕置きー」

 ほのかは、司と同じように転ばされる。そして、衝撃に耐える為、目を瞑り、歯を食いしばる。

 しかし、いつまで経っても衝撃が来ない。代わりに、全身を暖かさが包んだ。

「八神さん、ほのかは、やらせません!」

 額に汗を浮かべながら、さっきとは逆の、左肩を抑えていた。しかし、床の血以外に、変化はない。

「司、大丈夫!」

「なんとかな、ぼさっとしてると、攻撃、喰らうぞ」

 刹那は、そんな様子を見ながらも、攻撃の手を緩めない。

「庇うのは自由だが、この特訓の目的を忘れるなよー。俺の異能を当てるのは、おまけで、力の源に気付くことだぞ」

「八神さん、大声での相談はありにしてください」

 ほのかは、相談中に攻撃されていた。その為、答えと相談を別にしようとした。

「かまわんが、時間かかるぞ。よくあるだろ、死に掛けると、不思議な力に目覚めたり、何かを悟ったり、あるだろ」

 現実は、そんなにうまくいかない。ほのか達は、そう言いたかったが、下手に突っ込むと、何が起こるかわからないため、言えずにいた。

「力の源……」

 ほのかは、頭を切り替え、力の源について考える。

「力は、異能。異能の源、それは……。これじゃない。喪失者(ロスト)のになるには、負の感情と呼ばれるものが、個人個人の許容量を超えた時」

 喪失者(ロスト)について知っていることを、手当たり次第に上げていく。他の四人も、それに続く。

喪失者(ロスト)の制御能力は……これは関係ない」

喪失者(ロスト)、何かを、司る。物質型(マテリアルタイプ)、属性を、操作する」

 ほのかは、この時、違和感を覚える。

「何かを司るのに、私達は、操作しか、出来ない……」

「そーれーはー、残念だが、当ってるけど、今は違ーう。だから、マシンガンかなー」

 無数の衝撃が、ほのかを襲う。今までと違う攻撃に、恐怖を感じ、とっさに回避する。

 ほのかの後ろの壁に、無数の弾痕が現れる。

「今の、風の弾丸じゃなかった」

 四人は、透明な攻撃から、風属性の攻撃だと判断したが、ほのかの一言により、その考えを消す。

 何かをぶつけたのではなく、突然穴が開いたように見えた。

「突然、穴が開いたっていうのか!匠、土属性の可能性は?」

「そんな気配なかったぜ」

 弾丸による攻撃であれば、物質型(マテリアルタイプ)の気配があった。しかし、今の一撃は、まったく違う方法によって、引き起こされていた。

「今までの常識の外の力……まったくの未知数の力……」

 詩歌は、刹那の異能を当てることを止めていたが、未知の攻撃に、考えを引っ張られる。

「未知……わかっていない、不明、謎……不明!不明型(アンノウレッジ)!」

 司が、その一言を発した瞬間、刹那の表情に変化が生じた。その変化を見逃さずに、続ける。

「八神さん、あなたの異能は不明型(アンノウレッジ)に分類されていますね!」

 司の指摘に対して、刹那は、不敵な笑みを浮かべ、嬉しそうにする。

「とりあえず、50点だ!不明型(アンノウレッジ)は正解だ!さぁ、当ててみろ、俺の異能を!もっとも、当てても、力の源のヒントしかやらねーけどな。とりあえず、刀傷だな」

 そう言いながら、司に対して、横に大きく手を振るう。

 その行動に、嫌な予感がした司は、後ろに倒れこむ様に、重心を移動した。

 その結果、後ろの壁に、横一直線に大きな切れ目が出現した。

 司は、避けなかったらどうなっていたかを、想像し、背筋を凍らせる。

「四谷さんは、再生って能力だった。再生という概念。その言葉が付けば、何だって出来る」

 同じ不明型(アンノウレッジ)である、命のことを思い出す。

「傷をつけたり、傷を治したり……だが、5大属性の攻撃が、説明できない」

 匠が、一つの可能性を打ち消す。

「おいおい、俺の異能を当てるのか、力の源に気付くのか、どっちかにしとけよー。さっきから、いったりきたりだろ」

「兎に角、考えられることから、考えるしか、ないんですよ」

 詩歌が、床を経由して、振動を拡散させる。局所的な地震が発生する。

 また打ち消される。そう思っていたが、刹那は、宙に浮いた。

「ホバリング見たいかな?広範囲は結構だが、チームメンバーに、被害でてるぞー」

 四人は、バランスを崩していたが、大丈夫。と首を振るう。

「浮いている、状態?飛んでる?静止、はしてない。」

 刹那は、自分の異能のヒントを、出していた。そして、ほのかは、三つ目にして、そのことに気付く。

「ホバリング……最初は、マシンガンで無数の弾痕、次が、刀傷で直線の切れ目……」

 発言と、その結果を結びつける。

「ヘリコプターがホバリングしてるみたいに、若干上下してたよね……」

「結果を、作る……創る?いや、真似してる」

 刹那は、最初は、ため息をついていたが、後の一言を聞き、目を輝かせる。

「真似?違う、複製だ!」

 ほのかは、改めて、大きく声に出した。

「八神さん、あなたの異能は、不明型(アンノウレッジ)の複製ですね!」

「ご名答ー。まぁ、不明型(アンノウレッジ)の共通で、便宜上ってのは付くがな。さぁじゃあ本題である、力の源のヒントだ!」

 そう言いながら、5大属性の攻撃以外にも、様々な属性や、複製による攻撃を混ぜてくる。

 より激しさを増す攻撃に、身を守るので、精一杯になる。

「そうだなー。ばれると思ってなかったから、考えてなかったぜ。よし、お前ら、何で喪失者(ロスト)は普通の人間と比べて、身体能力が優れていると思う?」

 今考えたのか、疑問を投げかけられた。

「雨島で喪失獣(ロストビースト)を相手にしてるからって言ったら、お仕置きですよね!」

 お仕置きが怖いのか、匠は、質問で返した。

「ハイ、卑怯だから、お仕置き。『ガン・パレード』」

 刹那が、右腕を匠の方へ向けると、背後に無数の銃が出現する。そのまま、指を鳴らした瞬間、一斉に、銃口が火を噴く。

 避けきれずに、数発喰らうが、刹那が瞬間的に傷を治す。

「技名って必要だよな!ちなみに、傷を治す原理は、傷を受ける前の状態をコピーしてるだけだぜ」

 突然の技に、驚くが、今は、考えている場合ではなかった。

「身体能力の向上……細胞の仕事量が増えたわけじゃない。筋肉は関係なかったはず」

 紫苑達の話を聞いた後に、雨島レポートを読み直したが、予想を否定するだけで、結論はでなかった。

「もう一個ヒントだ。俺達は、媒体や、特殊鉱石(ロスタイト)を使っていない。別に、無から有を生み出してるわけじゃない」

 貯蓄型(チャージタイプ)であれば、エネルギーを蓄えるので、貯蔵量が多いと思えば、特殊鉱石(ロスタイト)はいらない。しかし、物質型(マテリアルタイプ)は、あくまでも、操作なので、媒体となるものは、必要だ。

「力の源、異能の源、会長が電気の元にしてるモノ」

「会長達は、それを使って異能の媒体にしてるのか!」

「でも、身体能力、上がる、理由、ならない」

「いや、空、理由はあるぜ。この人が、やけに漫画っぽいことしてるのも、意味があったんだ。気だとかオーラとか、よくあるだろ。つまり、それ見たいなのが、俺達にもあって、それが、身体能力の向上に繋がるんだ。そして、それを把握して、自由に出来るようになれば、媒体としても、使えるってことだ」

 匠は、先ほどの汚名を返上する為に、頭をフル回転させた。その結果。

「正解だが、一つはずれだ!漫画っぽいだー。伊達や酔狂でかっこつけてるだけだ!」

 そう言いながら、匠の背後に回り、一言呟く。

「『ペースト・インパクト』」

 その瞬間、匠が、反対側の壁まで、吹き飛んだ。

 力の源を知ったことで、一旦、攻撃がやんだ

「さて、俺達は、それをオリジンって呼んでる。何、簡単だ、源だからオリジンだ。そして、課題の内容は、気付くことだ!自身が持つオリジンに、気付け」

 力の源は理解した。だが、それをどうやって扱えるようにするか。それが、まだわからない。

「何かは、わかったんですから、攻撃を受ける必要あるんですか?」

 ほのかは、精一杯の抵抗をする。だが、相手が悪かった。

「ん?ないよ。それに、止める気もないよ。それに言ったろ。死に掛けると、何か掴むかもって」

「もうちょっとヒントくださいよ」

 匠は、図々しくも、きっかけを欲していた。

「一つ、見せてやる。名前だけは、聞いてるはずだ」

 そう言いうと、刹那が纏う雰囲気が変わる。そして、自身を切り替える為の言葉を発する。

「Limit Break-Mode”THE NEXT”」

 刹那の背中に黒い靄が現れる。それは、段々と濃くなり、禍々しい黒い翼を形成する。

 匠は、その翼に、見覚えがあった。

「う……うそ……だろ」

「匠君、どうしたの?」

 詩歌は、呆然としている匠のフォローに入ろうとする。

「俺が、助けられた時の黒い翼だ」

「ああ、何年ぶりだろうな。黙ってたけど、ちゃんと覚えてるぜ。男は、俺が担当してたからな」

 先ほどの技も、かつて見ていた。

「俺……あの……その」

 匠は、言葉につまり、うまくしゃべれない。

「言いたいことがあっても、それは後だ。今は、特訓中だぜ。この翼、これは、力の象徴であり、オリジンの塊だ!」

 禍々しい翼が、ほのか達に襲い掛かる。物理的な破壊力をもった翼が、そのまま振るわれる。

 司は、意を決し、その一撃を甘んじて受け入れた。

「ぐ……」

「司何やってんの」

「ちゃんと回避しないと、もたないぞ」

「今のが、オリジンによる攻撃……」

 覚悟をして受けたにも関わらず、予想以上のダメージを受け、直ぐには立ち上がれない。

 さらに、傷はないが、避け切れなかった小さなダメージが蓄積し、司の体は、限界を迎えていた。

「どうした、動けないなら、集中的に、狙うぞ」

 司に対しての攻撃密度が上がる。他の四人が、意識を逸らす為に、防御を捨て、攻撃に専念する。ギアから力を引き出さずとも、ウェポンギアというだけで、ある程度のダメージは通るはず。そう考えていた。

「司、はやく、起き上がって」

 司は、体を動かす為に、力を込める場所を、一部ずつ、確実に意識する。

「ギアで攻撃してるのに、通らねぇ」

「当たり前だ。喪失獣(ロストビースト)を倒す為に必要な何か。この話は知ってるだろ。その正体は、オリジンだ。喪失獣(ロストビースト)も、オリジンを纏ってるからな。俺が垂れ流すオリジンに、力を載せてないギアじゃ、太刀打ちできないって話だ」

 喪失者(ロスト)の異能は、必ずオリジンを含む。だからこそ、喪失獣(ロストビースト)のオリジンを突き抜け、ダメージを与えることが出来る。

「もう……ちょっとだ」

 司が、腕を上げた。いや、無理やり、腕を上げさせた。

「ほう。オリジンの精密操作に踏み込んだか」

 司は、オリジンを筋肉のように使い、無理やり体を動かす。そして、立ち上がることに成功する。

「皆、力の流れを意識しろ。体を動かす時に、何処にどうやって力を入れるか。そして、異能を使う時に、どうやっているかを!」

 無意識で行っていることを、意識的に解明する。それが、オリジンを知る上で、大切なことだ。

「だが、お前、そんなに操作に時間かかってると、ただの的だぜ」

「オリジンそのもので、防ぎます」

 司の答えに、刹那は嬉しそうに笑い、二つの片手に収まるサイズの黒い棒を取り出す。

「なら、防ぎきってみろ」

 黒い棒に、オリジンを注ぎ込む。

 その最中に、施設のドアが開いた。ドアを開けた人物を見て、刹那は、全ての攻撃を消し、黒い翼もしまう。さらには、傷つけた施設の全てを元通りにした。

「刹那、随分と派手にやったようだな」

 暴れていたのを、知っていたかのように話し始めた。

「天岡さん、お久しぶりです。今日は、どうしたんですか?」

 ANTの会長である、天岡だった。

「何、珍しく、お前が泊まったと聞いたからな、様子を見にきただけだ。しかし、邪魔をしてしまったようだな」

 大きな一撃を繰り出そうとしていた刹那が、全てをキャンセルしていた為、何をしようとしたかは、判断できなかった。

「いえ、合格祝いの一撃だったので、問題ないですよ」

 合格。ほのか達は、その言葉を聞き、一安心し、その場にへたり込む。

「そうか、ああ、土産を用意してある。食堂で、預かってもらっているから、受け取れ。多めにあるから、残りは好きにしろ」

 そう言い、天岡は立ち去る。そして、六人が残される。

「天野司、お前は合格だ。お前が、どの扉を進むのかは、わからんがな。俺達同様、ネクストを発現するのか、別の力を得るのか」

「ありがあとうございます。でも別の力ってなんですか?」

「それはわからん。俺達ユニオンは、全員がネクストだったからな。お前達に、ネクストを見せていなかったのも、先入観を与えたくなかったからだ」

 そう言いながら、後で食堂に来るよう言い残し、去っていく。

「そのネクストっていうの以外もあるかもしれないってことだね」

「とりあえず、シャワー、で、着替える」

 考えるのは、後回しにし、空の意見に賛成した。

 

 

 

 

 ほのか達が、食堂に入ると、天岡のお土産を用意し、刹那が待っていた。

「随分早かったな。天岡さんからの差し入れだ。食べてけ」

 ほのか達も、お土産を食べながら、刹那と話をする。

「あの……俺、あの時、あなたが助けてくれたから……」

 匠は、自分を助けてくれた相手に会うことができ、言葉がうまく出てこない。

「感謝か、何か知らんが、そんな状態じゃなくて、自分で誇れる姿を見せてみろ」

 刹那に言われ、匠は、自身の気持ちを切り替える。

「八神さん、俺、あなたを追い抜きますから」

 匠は、そう言いきる。

「やってみろ」

 刹那は、一言だけ返した。

「ところで、白い翼の人ってチームの方ですか?」

「ん?それは、本人に会えたら、直接きくんだな」

 そう言い、答えを拒んだ。

「そう、言えば、合格、したの、司、だけ。いいん、ですか?」

「コツは、本人から聞いたろ。なら問題ない」

「あと、ネクストの事なんですけど、先入観を与えたくないって言ってましたけど、見せちゃってよかったんですか?」

「俺達不明型(アンノウレッジ)は、そもそも不明な点が多すぎるから、お前らがネクストになったとしても、俺の様にはならないから、大丈夫だろ」

 様々な甘いものがあり、いつの間にか、食堂のおばちゃんたちも加わっていた。

「あんた達すごいねぇ、あの子は、すごい子なんだよ。それなのに、合格貰うなんてねぇ」

「いえ、私は、おまけみたいですし」

「そう言えば、ネクストになるか、それ以外かって、どういうことなんですか?」

 匠は、一つ引っかかっていることを聞いた。

「俺達ユニオンの中で、最初に次へ進んだやつが、ネクストになった。だから、他のやつがネクストになったのも、先入観があったからじゃないかって考えてる。だから、ネクストの条件の可能性がある、間接制御とオリジンに関して、だまってたんだ。まぁ、言い方はアレだが、実験みたいなものだよ。他にあるのかどうかのな」

 ネクストを公開してしまえば、それが、先入観となってしまう。それを恐れてのことだった。

「八神さん、今日は、いろいろありがとうございました。私達は、そろそろ島に戻る時間ですので、これで失礼します」

 そういい、ほのか達は、食堂から出ようとするが、刹那が、最後に話しかける。

「じゃぁな。ああ、さっきも言ったが、お前達はまだ、引き返せる。ネクストへの扉の鍵は開けてやった。だけどな、その扉を開くかどうかは、よく考えろよ」

 そう言うと、刹那は、手を振って別れを告げる。




ものすごく、チートというか、妙なキャラでした。

雨島の外でユニオン関連が出てくると、中2病が所々に出てくると思います。

最初の予定では、ここで修行回なんて存在しなかったのですが……

構成が色々と甘いようで、申し訳ないです。

いずれは、過去編も書く予定なのですが、かなり先になると思います。

ここまで呼んでいただき、ありがとうございます。これからもお付き合いいただけると幸いです。
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