Linkage   作:enz

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水輪島編
変わりゆくセカイ


 人間派によるシージャックは、大々的に報道された。けれど、雨島学園やANTからは、一切の情報が出なかった。その代わり、ANT本社襲撃に関しては、周りの一般市民が撮影した映像がネット上に流れている。

 その映像は、凄惨の一言だった。

 

 

 

 

「化物共に協力する売国奴共に、制裁を!」

 その掛け声と共に、武装集団がANTの門を突破しようとする。

 ある者は門を乗り越え、またある者は門を破壊しようとする。

 門を越えたものは、多く仲間を内側に引き入れる。

 フェリーの襲撃後、本来、門の詰め所に居るべき警備員も、本社屋に退避していたため、この時点では、ANTに対し、人的被害はない。けれど、それは、襲撃がスムーズに進むことを意味している。

「奴等は、我々を恐れ、篭城という方法を選んだ。だが、それは、援軍があるからこそ成立する方法だ。しかし、奴等に援軍は存在しない」

 襲撃者は、ANT本社屋へ突入を開始する。はずだった。

「天岡さんに、危害を加える事は、許さない」

 ANT本社上空で、真紅の髪と灼熱の翼を持つ少女――赤月ほむら――が呟いた。しかし、その声は、誰にも届かなかった。

 襲撃者達は、誰も上空のほむらに気付かない。けれど、異変は起こる。襲撃者達が、ANT本社屋に触れるや否や、灼熱の炎が男達を焼き払う。

「な……何だ!」

「あ、熱い」

「化物か」

 最初に突入した一団が焼き払われた後、その場所に、ほむらが灼熱の翼を纏い、舞い降りる。

「リーダーは、フェリーの方にいるのは、わかってる。ここにいるのは、下っ端。生かしておく必要はない」

 そう言い、襲撃者達の殲滅の続きを開始する。

 ほむらは、両手に赤い棒状の物体を一つずつ持つと、オリジンを流し込む。けれど、その物体が、本来の姿を現す前に、インカムから声が聞こえる。

「そいつらに、ギアは勿体無いよ」

「なら、そっちも、本気だして」

 デモの為、封鎖されていた道路に、青いメッシュの入った髪を持つ少年――和水(なごみ)清一(せいいち)――が立っていた。清一の背中には、水で出来た、透き通るような翼が存在する。

「わかったよ。なら、に来たのは、受け持つよ。……刻め」

 その一言で、清一の周りに、多量の水が出現し、極細の糸のようになる。その糸が、踊り、後方に居た襲撃者達をバラバラに刻む。

「こっちはダメだ。反対側に逃げろ」

「邪魔だ、どけ」

「お前、盾になれ」

 襲撃者達は、寄せ集めの集団も紛れており、完全に統率が取れている訳ではない。ましてや、暴れたいという理由で参加している者すらいる。

 まして、リーダーのように、確固たる信念を持っている人物など、一握りしかいない。その一握りの人間は、ほむらによって一番最初に焼き払われていた。

「逃げ道は、潰すべきだな」

 清一とは逆の方向に、大柄の少年――土師(はじ)鉄也(てつや)――が現れる。

 鉄也の背中にも、ネクストの証である、大地を彷彿とさせる翼が存在する。

 鉄也は、逃げてくる襲撃者に対し、力強く、一歩踏み込む。そこから、地面に亀裂が入り、大地がその口を開く。何人もの襲撃者が、その中に飲み込まれる。まるで、襲撃者を咀嚼するかの様に、大地がその口を閉じる。

「なんなんだ、こいつらは!」

「助けてくれ、頼む。何でもするから」

 襲撃者に、作戦を続行する意思は存在しなかった。だが、ほむら達は、その手を緩めない。

 なぜなら、彼らが、天岡を危険にさらした時点で、無事に生き残るという未来は、存在しなかった。

「何もする必要はないよ。これから、死ぬんだから」

 これが、襲撃者が聞いた最後の言葉だった。

 

 

 

 

 襲撃者を殲滅した映像が、ネット上で公開され、その現実離れした光景に、多くの人間は、信じることが出来なかった。だが、あまりにも残虐非道な光景だからこそ、これを利用する者達も存在した。喪失者(ロスト)関連分野のANTによる独占を良しとしない企業によって構成される、喪失者保護連盟も、その一つだ。

 彼らは、この映像を元に、ANTを大々的に批判し始めた。雨島のフェリー襲撃に関しても、リーダー以外は殺されている。二つの襲撃に関する情報と、雨島とANTの態度から、世論は、喪失者保護連盟に傾きつつある。

 

 

 

 

 雨島学園では、フェリー襲撃による暗い雰囲気を打破する為、大型連休が終わり、授業が開始される初日に、全校集会を開催した。

「皆さん、おはようございます」

 生徒会長である黒月紫苑が舞台であいさつをした。そして、紫苑の横には、風紀委員長の双付月氷華の他に、見慣れぬ三人の生徒がいる。一部の生徒は、その生徒がゴールドエンブレムを付けている事に気がつき、ゴールドエンブレムへの昇格が出たのかと思った。

「まずは、先のフェリー、及び、ANT襲撃事件ですが、大変残念なことでした。しかし、フェリー関係者やANT関係者に被害がなかったことは、不幸中の幸いです」

 ユニオンの関係者による戦闘を見たため、多少体調の優れない生徒もでたが、全員が復帰していた。

「今回は、皆さんにおめでたい話を持ってきました。まずは、雨島諸島、3の島に正式名称が登録されました。その島の名は、水輪島(みわじま)です」

 スクリーンに、外周全体が浜辺となり、その内側に台地が存在し、さらにその中央に大きな湖が存在する島の映像が映し出される。

 中央の湖は、底が海と繋がっているようで、海洋生物型の喪失獣(ロストビースト)が存在している。さらに、まれに大型喪失獣(ロストビースト)すら出現する、今までと比べると、危険極まりない島だった。

「この島に関しては、後ほど雨島レポートが公開されます」

 そこで、一度紫苑は口を閉じる。そして、覚悟を決めたように、口を開く。

「我々は、喪失者(ロスト)について、多くの隠し事をしています。ですが、その隠していた事実にたどり着いたチームがいます。私達の異能は、特定のモノを操作する力です。ですが、それは第一段階にすぎません。特定のモノを生み出す力、私達の異能の第二段階、私達は、それをネクストと呼んでいます」

 そう言いながら、舞台の袖へ合図を送ると、Linkageリーダー・夜星ほのか、Paladinリーダー・最上誠、Laboリーダー・日向智花の三人が現れる。

「彼女達三つのチームは、ネクストへの扉を開きました。私達は、その功績を認め、三つのチームを、シルバーエンブレムへと昇格させます」

 雨島学園において、どのチームも到達しなかったシルバーエンブレム。この日、そこへ到達したチームが現れた。

「エンブレムの授与と行きたいのですが、その前に、もう一つ報告があります。私を含む、かつて、この雨島を制圧した、雨島制圧隊、そのメンバーを紹介します」

 雨島制圧隊、それは、雨島諸島と呼ばれる前の、喪失獣(ロストビースト)の楽園を奪い、この国の領地と、世界に認めさせた喪失者(ロスト)達。紫苑や、氷華も、そのメンバーだという噂は、存在した。けれど、紫苑は、今日それを公に認めた。

「流石に、全員は、多すぎるので、各チームのリーダーを紹介します」

各チームのリーダーである三人が、簡単な自己紹介を始める。

「ゴールドエンブレム・チームLostWingリーダー、八神刹那だ」

「ゴールドエンブレム・チームElementalKnightsリーダー、風花凛だよ」

「ゴールドエンブレム・チーム七星リーダー、双月(ふたつき)氷夜(ひょうや)だ」

 現在、雨島で活動を行っているユニオン構成チーム、全てのリーダーが、その存在を示す。

「三人とも、エンブレムの授与を」

 紫苑に促され、三人は、三つのチームリーダーに、シルバーエンブレムの刻印された、新しい学生証を手渡す。それと同時に、大きな拍手が鳴り響く。

「これで、ゴールド・シルバー・ブロンズ、三つの階級全てが揃いましたね。さらに、予想は付いていると思いますが、シルバーエンブレムへと昇格したチームには、水輪島への立ち入りを許可します」

 もう一度、盛大な拍手が鳴り響き、その余韻に浸りながら、全校集会は、閉会した。

 

 

 

 

 全校集会の後、会議室では、16人の生徒がいた。

「まったく、ユニオンの公表とネクスト関連までの情報の公開とは、大きく出たな」

「襲撃は、一般生徒からすれば、大きな事件ですから」

 ここには、LostWing・ElementalKnights・七星のチームメンバーと紫苑・氷華が揃っていた。

「本来、ネクストは、その力を見せつけ、一般的な喪失者(ロスト)を、本物の化物と比べれば、取るに足らないただの人間だと、思わせるために使う予定だったのにな」

「まぁ、しょうがないよ。あたし達に、追いつこうとしてる生徒がいるんだから」

「それにしても、僕達、全員が一堂に会するなんて、ほとんど奇跡だね」

「全員で、こうして話す機会を作るのは、骨が折れましたよ。それに、大事な用件がありますから」

「それじゃあ、風紀委員長である私が、議長を務めるぞ」

 氷華が、そう言うと、全員が頷いた。

「それでは、雨島学園理事会の緊急会議を開催する。今回の議題は、喪失者保護連盟からの融資に関することだ。理事長である天岡さんは、利益関係人ということで、除外されている」

 一度言葉を切り、PDAを操作し、データを表示する

「さて、簡単な話だ。この融資を受けるかどうかだ。現在、雨島学園とANTは、例の映像で窮地に立っている。と言われているな」

 実際の所、バッシングは多いが、ANTの技術自体は、あらゆる分野で必要不可欠なまでに食い込んでいる為、そう簡単に排除は出来ない。さらに、雨島学園自体、風評を気にする必要が無い為、経営に関しては、一切の問題が無かった。

「さて、何か言いたいやつはいるか?」

 氷華の質問に、全員が首を振る。その様子を見て決を取る。

 その結果、満場一致で、融資の拒否が決まった。

「さて、理事会は終わりました。では、これで解散としましょうか」

 理事会自体は終わるが、全員がそのまま雑談を開始する。

「連盟は、何かしてくると思うか?」

「まぁ、やってくるとすれば、天岡さんを、連盟の会議に呼び出すことくらいだろうな」

「実際、行く必要は無いけど、結構うるさい連中も増えたよね」

「それに行くかどうかは、天岡さんが決めることですから、もし、参加する際は、出来るだけの援護をしましょう」

 全員が頷く。

「もし、ANTを召集に成功したとして、連盟の会議が、公の元に行われるとしたら、あいつらは、出てくると思うか?」

「当然、出てくるだろうね」

「その時は、雨島のルールに基き、俺達の邪魔になるなら、徹底的に叩き潰す。異論は無いな」

 誰からも異論はでず、この場がお開きとなる。

 

 

 

 

 Linkageのメンバーは、この日、食堂で難しい顔をしていた。

「水輪島への立ち入り許可がでたのはいいけど……」

「行く手段が、問題だな」

 水輪島は、双子島から橋が架かっているが、雨島側から、反対の位置にあるので、行くだけでかなりの時間がかかってしまう。

「ほのか、ネクスト維持して、飛べるか?」

 天野司は、凛がしたように、全員を運べないかと思い、ほのかに問う。けれど、ほのかの答えは、予想の通りだった。

「皆を運ぶなんて、無理に決まってるでしょ」

「お前らは、まだいいかもしれんが、俺は土属性だぞ。どうやって飛ぶんだよ」

 細川匠は、土属性という、飛ぶ方法がまったく思いつかない異能を持っていた。

「この、為に、購買で、クルーザーの、レンタルが、出来るの?」

 いくつあるかわからないと言われている七不思議の一つが、突然解明されてしまった。

「皆で資金だして、借りる?」

 ほのかは、リーダーとして、責任をもって提案した。皆、それには、賛成する他ないことを、わかっている。

「本来は、免許が必要なんだけど、雨島諸島周辺に関しては、特例で許可されているのね」

 皐月詩歌は、特例事項に目を通していた。

「せっかく怪我も治してもらって、皆ネクストになれて、3の島に行けるっていうんだから、このくらいの出費は、しかたないか」

 クルーザーに関しては、購入もできるが、維持費が馬鹿にならない為、レンタルを選択する。

 そんな中、ほのかのPDAに智花から連絡が入る。その内容を確認して、ほのかは、驚きのあまり、声が出なかった。

「どうしたんだ?」

「えっと……智花が、Paladinと交渉して、三チーム合同で、年度間レンタルをしようって。しかも、Paladinの方は、交渉済みだから、後は、私達がOKすればいいみたい……」

 ほのか以外の四人も、ありえないくらいの行動の速さに驚いている。

「なんていうか……日向さんって、凄い行動力あるわよね」

「じゃあ、OKしていいかな?」

 特に反対する理由が無かった為、このまま、ほのかが、レンタルの契約に向かうことになった。

 

 

 

 

「夜星ほのか、遅かったな」

「夜星、本当に、遅すぎる……頼む、こいつと二人にしないでくれ……」

 集合場所に向かうと、智花と疲れきった誠がいた。

「最上君……大変だったね」

 誠の苦労を予測し、労う。

「二人とも、使用ルールは、連絡したとおりでいいな。複数チームが水輪島へいく場合、一緒に行き、一緒に帰る。運転は、出来るものが行い、なるべく使うチームでローテーションを行う」

 二人も頷き、正式に契約を行う。

「運転のマニュアルも、ダウンロードしたし、とりあえず、足は確保できたね」

「ああ、運転できるようにならないと、使えないけどな」

「水輪島に、職員を放置するわけにもいかないから、船長はレンタルできないしな」

 水輪島にも、クルーザーの格納設備はあるが、絶対安全という訳ではない。

「ところで、二人の所は、今日はどうするの?私達は、クルーザーのシミュレーターかな」

「俺の方もそうなるな」

 誠は、ほのかと同じ予定だった。けれど、智花だけは違った。

「私達は、生徒会からの依頼がある。研究室に戻る必要があるから、別行動だ」

 課題ではなく、依頼。学校の評価には関係ないが、生徒間での頼みごとをする際に使われる。

 そう言いながら、智花は去っていった。

「生徒会からの依頼って、何だろね」

「さぁな、聞いた所で、いつもの口調で、守秘義務だ。とか言われて、へこませられるに決まってる」

 それに関しては、ほのかも同意だった。

 

 

 

 

 雨島学園の生徒用研究室から、研究とは思えないような音が聞こえる。

「な……なんで……この部屋、重力が通常の倍とかじゃすまないレベルになってるんスよ。その動きおかしいっすスよ」

 貯蓄型(チャージタイプ)の重力エネルギーを司る、鈴木五十鈴が、模擬戦を行っている。その相手は、今日の依頼を出してきた相手だが、五十鈴の力の影響下にいるにもかかわらず、圧倒的な運動能力を見せ付けていた。

「理由は簡単だぜ。喪失者(ロスト)の身体能力の強化、それが理由だ。原理は、知ってるか?」

 そう言いながら、動き回り、五十鈴の放つ重力弾を軽く回避する。

「ネクストになってから、吸収の手間省けましたし、扱える総量も増えたんスから、強化されてるからって、普通の喪失者(ロスト)が、自由自在に動ける重力じゃないんでスよ」

 実際に、自分達で試している為、動けないことは実証済みだ。だが、この相手は、その中で自由に動いている。

「ほらほら、質問に答えないと、攻撃はじめちまうぜー」

「え、ちょ、ま……八神さんに攻撃されたら、死んじゃまスって。えっと、オリジンが、第二の筋肉として作用スるからでス」

 無駄話をしていると、刹那から殺気のようなものを感じ取り、あわてて答えたところ、殺気が消えたので、一瞬の緊張から解放される。

「正解だ。じゃあ、ご褒美に、攻撃してやるよ」

 その瞬間、五十鈴の重力弾を、垂れ流しているオリジンで防ぎきり、腹部に強烈な一撃を叩き込む。しかし、刹那は、妙な感触を覚える。

「痛いっスね。答えても、答えなくても、正解しても、不正解でも、攻撃してくるんスか」

「元々、攻撃する予定だったからな。しっかし、いいセンスしてるな。インパクトの瞬間に、重力で自身を後ろに引っ張ったのか」

 攻守が逆転した。刹那が一瞬で距離を詰め、一撃を加えるが、その瞬間に、五十鈴が、自身を重力で引っ張り、ダメージを軽減する。そう、かわすのではなく、軽減だ。

 そんな光景を見守る複数の目があった。

「刹那は、楽しそうだねー。センスがいい人が好きだからねー」

「あの、空宮さん、結局、依頼って何なんですか?」

 矢吹舞は、恐る恐る、聞くが、答えは、何度聞いても変わらなかった。

「リーダーの智花ちゃんが戻ってきたら、答えるよ」

 だが、今回は、少し違った。

「空宮あやめ、なら答えてもらおうか」

 智花が戻ってきていた。刹那も、気付いているが、五十鈴だけ気付いていない。

 さらに、智花が、思い出したように続ける。

「ああ、あの高重力下で、八神刹那があそこまで動ける理由も頼む」

 その答えは、遠くから聞こえてくる。

「日向智花、お前結構貪欲だな。まぁいい。オリジンが第二の筋肉となる。つまり、身に纏うオリジンの量が多ければ、それだけ力も増す。だが、それだけじゃない。纏うオリジンが、すっかすかじゃ対して筋力が上がらない。精密な操作を会得し、オリジンを圧縮し、密度を増やす。そうすることで、身体能力が、飛躍的に向上するんだよ」

 刹那やあやめが身に纏うオリジン、それは、智花達が身に纏うオリジンより、厚く、密度が濃い。そして、総量は、比較にならない。それは、身体能力だけを比べても、絶対的な力の差が存在するということだ。

「まぁ、そういうこと。じゃあ、智花ちゃん、本題に入るよ。刹那見せてあげて」

 刹那は、攻撃を止め、手に、小さい黒い棒のようなものを取り出す。そして、オリジンを流し込む。

「ギアか?」

 五十鈴は、ギアだと言うことは見破るが、何に使うものかがわからない。

「Realization」

 刹那の呟きに合わせ、黒いギアが膨らみ、作られた姿を現す。刹那の手には、一つの大きな鱗を半分にしたかのような形の片刃の剣が握られている。

「これは、複可変型複合ギア試作一号機”複鱗”だ」

 可変型のギア、そんなものの存在を聞いたことが無い智花達は、今起きたことすら、信じるのに、時間がかかった。

 その様子を見て、刹那が続ける。

「何、簡単なことだ。これの改良だ。特に制限はない。思い思いの事をしてくれ」

「報酬っていうか、依頼を引き受けてくれるなら、必要な、雨島レポートの閲覧権限と、データの提供をするよ」

 現在の雨島レポートは、学園内であれば、ネクストや雨島制圧隊についても、閲覧規制が解除されている。さらに、3の島、水輪島についもて、シルバーエンブレムであれば、閲覧が出来る。だが、あやめ達は、一部の研究者以外には、公開されていない部分の閲覧権限を用意してきた。

「八神刹那、その複鱗というギアを改良すればいいのか?」

「んー、そうだぜ」

「八神刹那、そうすると、貴方は困らないのか?」

「これは、データ採取用に作った分だから、俺の愛用品じゃねーよ。だから、困らん」

 そう言いながら、複鱗を元の棒状に戻し、投げてくる。

「ちなみに、そのギアを変化させるにも、精密なオリジンのコントロールが必要だから、頑張ってね」

 あやめが、そう言うと、二人は出て行ってしまう。智花達は、受けるとは言っていないが、断れなくなってしまった。

「そのギアの仕様書まで贈られてきてますね」

 松下紳が、PDAに追加された権限や情報を整理している。

「LostWing、断ることを許さないということか。だが、このギア、興味をそそられる。受けるぞ」

 智花の判断に、異を唱えることなく、全員が情報の確認に奔走する。

 




こんにちは

なんというか、いろいろ詰め込んでしまった気がします。

少し前にもったいぶった物を突然出だしたりしました。

未だに、所々で書き方が安定していません。

今回も、お付き合いいただき、ありがとうございます。
まだ続く予定ですので、お付き合いいただけると、幸いです。
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