Linkage   作:enz

23 / 40
移り変わるセカイ

 7月中旬、世間的には、もうすぐ夏休みになる頃だ。

 一つのニュースが世間を騒がせていた。

「ANT会長が、喪失者保護連盟の召集に応じる!か……」

 喪失者保護連盟に加盟している企業による、ANTや雨島への物流封鎖が行われており、食料を始め、研究に必要な機材などの調達が、滞り始めていた。

「研究に必要な物資に関しては、どうにでもなるのですが、雨島での自給自足は不可能ですから、致命的ですね」

「いざとなれば、バースト対応を全放棄して、ありがたみを思い知らせるって方法もあるけどな」

「そんなことをすれば、悪い印象を与える可能性がありますから」

「印象か……どうにもならないな。開催の予定はどうにかならないか?」

 生徒会長である黒月紫苑と風紀委員長である双月氷華が、喪失者保護連盟の会議が開催される日の予定を相談していた。

「あちらも、バースト予報を確認して、私達が動けない日を確認しているのでしょう」

「悪知恵を働かせやがって」

「天岡さんの護衛は、Linkageに直接課題をだすことで、合意しましたから、彼女らを信じましょう」

 

 

 

 

 数日後、水輪島から戻ったLinkageは、教師陣に呼び出され、職員室へ向かった。そこでは、担任である、秋萌夕が、待っていた。

「Linkageの皆さん、お待ちしてましたよ。水輪島での宿泊が多いから、呼び出しが大変ですよ」

「えっと、その、すみません」

 夜星ほのかは、反射的に謝ってしまう。

「いえいえ、謝ってもらう必要はないんですよ。とりあえず、皆さん、詳しい話をするので、隣の会議室へ来て下さい」

 秋萌は、そういうと、ほのか達を会議室へ連れて行き、説明を始める。

「えっと、あ、先に行っておきますけど、なんか凄い喪失獣(ロストビースト)が出現したとか、異常が起きたとか、そういう話じゃありませんからね。そこは、安心してください」

 ほのか達は、先生に呼び出されるたびに、強力な喪失獣(ロストビースト)と戦っていた。秋萌の発言を鵜呑みには出来ないが、少し安心していた。

「そうだといいんですが」

 誰とも無く呟いていた。

「えっと、指名課題なんですが、職員室からではなく、生徒会というか、ユニオンからなんですね。それで、内容ですが、ANTの会長が、喪失者保護連盟の会議に出席するって話は知ってますか?」

 ほのか達は、連日そのニュースが流れているのを見ている為、大まかな内容は知っていた。さらに、ユニオンからの指名課題ということもあり、喪失獣(ロストビースト)とは別の意味で、重要な課題だと悟る。

「ニュースで流れている程度なら知ってます」

「それなら、話が早いですね。実は、学園から、護衛を派遣する事になったんですが、ユニオンの皆さんが、動けない日らしくてですね、Linkageに指名課題を出す事になったらしいんですよ。どうでしょうか?」

「あの、もうちょっと詳しい内容を聞いてもいいですか?」

 元々ユニオンが動こうとしていた内容であり、護衛についても、何も知らない為、これだけでは決めるに決められなかった。

「ああ、そうですよね。といっても、そのままの内容なんですが、雨島学園の喪失者(ロスト)が、ANTの会長を護衛するということで、仲の良さをアピールするらしいですよ。後は、会場警備に紛れ込んで、ぼーっとしてればいいそうです」

 ユニオンにとって、天岡新十郎は、かけがえのない存在であるが、一般生徒にとっては、理事長以上でも、以下でもない。年に数回、式典などで姿を見せることもあるが、そこまで親しみのある存在ではなかった。けれど、ほのか達は、ユニオンに対していくつかの恩を感じているのも確かだった。

 ほのか達が、遭遇した訳ではないが、護衛をつけるということで、どうしても確認しておきたいことがある。

「一つ気になるんですが、人間派みたいな襲撃の情報でもあるんですか?」

「黒月生徒会長からは、そんな話は聞いてないですよ。もし、そんな情報があれば、ユニオンが動きますよ」

「でしたら、その指名課題、受けようと思います」

 今までの危険な課題は、教師陣からの課題が多かった。ユニオンは、一般生徒を危険な目に合わせるつもりが無いのは、誰の目にも明らかだ。ならば、断る理由はない。

「詳しい事は、黒月生徒会長から連絡があると思うので、直に聞いてください、しばらくは、直通回線もよういするそうです」

 しばらくすると、生徒会長から連絡があり、細かな話を聞く事が出来たが、危険な話はなく、人に向けて、異能を使う際には、十分注意するよう言われただけだった。

 

 

 

 

 そして、数日が経ち、喪失者保護連盟の会議が行われる日となった。

 

 

 

 

 会議当日の朝、天岡は、ANT本社ビルの会長室にいた。だが、一人ではなかった。

「刹那、心配してくれるのはありがたいが、バースト対応で忙しいと聞いている。こんなところにいないで、早く行った方がいいんじゃないか?異能の酷使は、体に悪いぞ」

「そんなデータはありませんよ。それに、死なない限り、どうとでもなります」

 八神刹那は、そういいながら、窓から外を見下ろす。そこでは、雨島へ行くフェリーが襲撃された日と同様に、デモが行われていた。

 喪失者保護連盟のマスコミを使った宣伝に踊らされた一般市民が、多数を占めている。

 刹那は、その光景を見ると、苦虫を噛み潰したような顔をするが、天岡がそれを諌める。

「気にするな」

「でも、あいつらは、天岡さんのことを何もしらないのに、ただ悪く言うやつに乗って騒いでるだけだろ!」

「だからこそ、気にするな。何も恥じる事はしていない。堂々としていればいい。刹那、そろそろ時間だ。お前達が用意してくれた護衛もいる。何も心配するな」

 刹那は、後ろ髪を引かれながらも、出発するしかなかった。

「気をつけて」

 その一言が、精一杯だった。

 

 

 

 

「ANTは喪失者(ロスト)を解放しろ!」

 その一言をテーマに、ANT本社前で、デモが行われている。そんな中、一人の参加者が、何かを発見した。

「屋上に誰かいるぞ」

 そこには、刹那がいた。屋上のへりに立ち、デモを見下ろしていた。その表情を、下から伺う事はできない。

 屋上の人影を見つめ、デモが静まり返ると、刹那は、屋上から飛び降りる。

 その行動に、誰もが息を呑む。刹那は、落下しながらも、言葉を紡ぐ。

「Limit Break-Mode”THE NEXT”」

 オリジンが禍々しい黒い翼を形どる。その姿に、誰もが恐怖した。

喪失者(ロスト)だ。喪失者(ロスト)が、我々に賛同しにきたんだ!」

 誰が言ったのかはわからない。だが、人間というのは、往々にして、自分の都合のいいように、物事を解釈する。それが、間違っていたとしても、聞こえた言葉が心地よければ、それが真実に聞こえる。

「さぁ、我々の元へ来るんだ」

 刹那は歩き出す。だが、その瞳には、狂気を宿していた。

 自分達の恩人である天岡への暴言の数々。刹那には、それを許す事が出来なかった。

「Realization」

 ギアを取り出し、武器を構える。その様子を見て、デモ隊は、初めて現実を見た。

「君、何をする気だ。我々は、君達の為に行動しているんだ」

「黙れ!何も知らないくせに、知った風な口を利くな!」

 刹那は、我慢の限界だった。このまま力を解き放ち、目の前を一掃する衝動に駆られている。

 そんな時、一台の車がやってくる。それは、ANTの車である為、デモ隊は、道を開ける事を余儀なくされる。

 そこから、前日にANTの宿泊施設に泊まっていたLinkageが制服を着て、降りてくる。

「なんか、凄い事になってるね」

「ああ、デモもそうだけど、八神さん、やばくないか?」

 ほのか達は、刹那の様子を見て、身の危険を感じた。

 警備員も、通用口を開け、ほのか達を中に入れようとするが、その隙を伺い、中に入ろうとするものも現れる。さらには、突如現れたほのか達を見て、仲間に取り込もうとするものもいた。

「あの、八神さん、何があったかわかりませんが、一旦落ち着きませんか?」

 ほのかは、刹那に落ち着くよういうが、聞こえていても、聞いていない。

 ほのか達が現れた事により、誰も気付いていなかったが、刹那の傍に、天岡が来ていた。

 天岡は、刹那の頭に手を乗せながら、やさしく告げる。

「まったく、刹那、気持ちは嬉しいが、やりすぎだ」

 刹那は天岡の言葉に、怒りを納めた。

「すみません。ちょっと頭に血が上りすぎました。確かに、これ以上は時間が無いので、行きます」

 そういうと、刹那は、ネクストを維持したまま、バースト対応の為に飛んでいった。

 ほのか達は、取り残されてしまったが、天岡が迎え入れる、

「確か、Linkageだったな。今日はすまない」

「いえ、黒月生徒会長から、直に頼まれましたから」

「そうか、では、時間まで休んでいるといい。食堂にでも案内させる」

 そういうと、天岡は、ほのか達を連れ、本社に入る。

 デモ隊は、その様子を見ていたが、天岡と喪失者(ロスト)の友好的な態度に、毒気を抜かれていた。中には、報道の内容と、余りにもかけ離れていた為、自分のしている事に、疑問を感じるものもいた。

 

 

 

 

 Linkageが本社へ入った後、デモの規模は小さくなったが、まだ続いていた。ほのか達は、食堂で時間を潰していた。

「八神さん、怖かったね」

「なんていうか、怒髪天っていうのかな?」

「殺気、まんまん」

「前に、伊達や酔狂で生きてるとか言ってたけど、そんな人が、あんなになるなんてな」

「ユニオンにとって、天岡会長は、恩人らしいからな」

「私達、詳しい事何も知らないよね」

 ユニオンは、自らの過去を余り語らない為、雨島制圧以前の事は、まったく知られていなかった。その為、何故喪失者(ロスト)になったのか。何故雨島学園が出来るまえから、あそこまでの力を持っていたのか。そして、何故雨島学園を作ったのか。わからない事が多すぎた。しかし、一般的な喪失者(ロスト)を、人間として認めさせる。その目標を持っていることだけは、理解している。

 そうしていると、喪失者保護連盟の会議へ向かう時間になる。

 TV中継や、多くの加盟企業からの代表が来る為、大きな施設を貸しきっていた。

 天岡とLinkageを乗せた車が、本社から出る時も、デモは続いていたが、規模は、最初とは比べ物にならないほど、小さくなっていた。

「紫苑から聞いていると思うが、今回、私が会議に出るにあたり、いくつかの要望をしたのだが、護衛としてつれて歩けるのは一人だけになってしまった。すまないが、一人を決めておいてくれないか?残りの四人は、会場周辺の警備に参加という名目で、待機してもらうことになるがな」

 喪失者保護連盟からも、会場警備や、参加者の護衛の要請が来ていた。しかし、雨島学園は、その要請をことごとく却下した為、喪失者保護連盟が雨島学園との中を偽装する為に、天岡が連れてきた護衛を、会場警備に回させたのであった。

「はい、前もって聞いているので、私が、護衛としてついていきます」

 ほのかは、前もって決めていた内容を告げた。

「そうか、よろしく頼む」

 いくつかの打ち合わせをしていると、車が会場へ着く。そこで、ほのかは、何かの気配を感じた。

「ほのか、どうした?」

 天野司は、ほのかの異変に気付くと、声を掛けるが、自身もその気配を感じた。

「司、発電所の襲撃の時も感じたけど、その前にもどこかで感じた事あるよね」

「ああ、思い出せないけど、どこかでこんな気配を感じたと思う」

「二人とも、大丈夫?私達は、よくわからないけど」

 皐月詩歌達は、雨島を襲撃した犯人と、直接遭遇したわけではない。だから、この微かな気配に覚えが無かった。

「多分、大丈夫。皆、注意してね」

 司達は、周辺警備の応援へ、天岡とほのかは、控え室へと向かう。

 天岡のいる控え室の扉がノックされる。

「喪失者保護連盟、会長を務める全人(まとうど)百木(ももき)だ。会議前に話をしたい」

 護衛としてほのかが動こうとするが、天岡がそれを制し、自らが扉を開ける。

「これはこれは、全人社長。それとも、ここでは、連盟の会長とお呼びするべきかな?」

 全人は、All PersonHDの社長であるが、天岡と張り合う為に、連盟に会長職を作った。それを見透かされたと思い、一瞬悔しい顔を見せる。だが、直ぐに取り繕うと、ほのかの方に、視線を走らせる。

「そうですな。ここでは、連盟の会長として来ている訳ですから。それにしても、雨島学園からの護衛ですか。雨島学園に対して、かなりの力をお持ちのようで、うらやましい限りです」

「彼女は、学園側が、気を利かせて用意してくれた生徒だ」

「そうですか。それにしても、可愛らしいお嬢さんだ。私にも娘がいてね。君と同じくらいの歳と、小学生の二人なんだが、上の娘が、反抗期でね。中々相手をしてくれないんだよ」

「それで、全人会長、どういったご用件ですか?」

「いやいや、どちらかと言うと、雨島学園の生徒に用があったんですよ。どうでしょう、我々からの依頼を受けてはくれませんか?」

 ほのかは、全人の纏う雰囲気に対して、生理的嫌悪感をいだいている。詳しい理由はわからないが、この誘いを受ける気にはならなかった。

「いえ、私達は、学園を通した依頼しか受けません。なので、お断りさせていただきます」

「そうですか。まぁ学園の生徒ですから、仕方ないですね。もっとも、この会議のあとは、どうなるかわかりませんが」

 断られる事を予想していたのか、落胆した様子は見せず、天岡に視線を向ける。

「天岡会長、それでは、よい会議を。失礼します」

「それでは」

 天岡は、その一言で全人を見送る。

「夜星君、君も災難だな。こんな依頼を受けたばかりに」

「いえ、あの人に学園を乗っ取られるのは、嫌だと、痛感しました」

「初対面の君にそこまで言われるとはね」

「すみません、出すぎた事をいいました」

 天岡が席に戻り、ほのかに対して、座るように薦めながら、話を変える。

「いや、気にする事ではない。ああ、一つ聞きたいんだが、あの子達の中で、誰と面識があるんだ?」

「あの子達ってユニオンですか?」

「ああ、そういわないとわからんよな」

「ユニオンですと、黒月生徒会長と、双月風紀委員長。LostWingの八神さんと、空宮さん。後は、ElementalKnkghtsの風花さんと赤月さん。七星の四谷さんと、舞台に立っているのを見ただけですが、双月さんも見たことだけならあります」

「7人か、双月兄妹にはあったのか」

「風紀委員長と七星のリーダーは、兄妹なんですか?」

 確かに、同じ苗字であり、雰囲気も似ていたが、遠めに見ただけだったので、兄妹だとは思っていなかった。

「氷夜が兄なんだがな。兄妹揃って熱エネルギーを司るそうだ。君から見て、彼らはどう見える?」

「ユニオン全員ということでしたら、仲がいいといいますか、よくわからないです」

 数人との面識はあるが、一人か二人と会う事が多く、うまく答えられなかった。

「まぁ、仕方ないな。話に着き合わせてしまってすまん。時間までゆっくりしてくれ」

 このまま、会議まで、誰も来ず、ただ時間だけが過ぎていった。

 

 

 

 

 警備の応援へ向かった司達は、警備本部へと向かった。そこでは、歓迎の雰囲気はなかった。

「すみません、雨島学園の者ですが」

「ああ、君達か。とりあえず、無線と腕章を渡しておくが、特にしてもらう事もない。その辺、うろついててくれ」

 司達には、警備の心得などもなく、当然と言えば、当然だった。

 中には、恐怖の視線を向けるものもおり、居心地の悪さを感じていた。

「とりあえず、外出るか。中にいても仕方ないだろ」

 司の提案どおり、外へ出るが、外に出た司達を、待ち構えていたかのように、マスコミが囲みに来た。

「雨島学園は、どういった立場でここにいるんですか?」

「今後、多数の企業からの依頼を受けるんですか?」

「ANTから、非道な仕打ちをうけているというのは本当ですか?」

 畳み掛けられる質問に、何も言い返すことが出来なかった。だが、皐月詩歌だけは違った。

「質問があるなら、一列に並んでください。聖徳太子じゃないんですから、何言ってるかわかりません」

 その堂々とした対応に、マスコミはあっけにとられ、固まってしまう。そのまま数分が流れる。

「質問がないようなので、もう行きますね」

 そのまま詩歌達が立ち去ろうとすると、慌てて質問を繰り返すが、質問の時間は終わりと言わんばかりに無視し続ける。

 マスコミは、これ以上付きまとっても、何も出てこないと判断し、離れていった。

「やれやれ、やっと諦めたか」

「詩歌、流石」

「だって、失礼だったから」

 細川匠と四葉空が、詩歌をおだてていた。そんな時、警備の腕章をつけた人が、近づいてくる。

「やぁ、君達が雨島からのお客さんだろ」

 他の警備員とは違い、恐怖心を感じさせない雰囲気だった。

「ええ、そうです。警備にまわされても、何かするわけじゃないので、ただの客ですね」

 司の反応に、意外そうな表情を見せる。

「いやいや、すまん。聞いていた話と、随分違ったものでな。こうしてみると、ただの子供じゃないか」

「ただのかはわかりませんが、子供には違いないですよ」

 司の答えに、警備員が苦笑する。だが、喪失者(ロスト)に対しての嫌悪感がないように見えた。

「クックック。そんな事いうのは、確かに子供だな。俺は、建物の外側の警備主任をしている。君達もこの辺りを警備するのか?」

「いえ、私達がここにいるのは、連盟の建前ですから、無線と腕章だけ貰って、サボってろと言われてます」

「本当は、天岡、会長の、護衛」

 本当のことを伝えると、警備主任は笑っていた。この警備会社も、連盟加盟企業だが、現場の中では、様々な考えのものがいる。この警備主任は、そんな中でも、喪失者(ロスト)に友好的な人間だった。

「なら、俺の管轄でサボってろ。何かあったら当てにさせてもらうさ」

「何かあるようだったら、来るのは俺達じゃないですよ」

「それが本当なら、安心だな」

 そういいながら、警備主任は巡回に戻る。

 喪失者(ロスト)と知ってなお、なんのわだかまりも無く接する人間は、珍しかった。

 司達は、喪失者(ロスト)になって以来、脅えや、恐怖といった視線に晒されて来たのだ。

 

 

 

 

 時間が過ぎ、喪失者保護連盟の会議と言う名の糾弾が始まる。

 普通の会議室ではなく、大企業が株主総会を行うような会場だった。

 壇上の左側には、ANTの会長である天岡と護衛のほのか。右側には、喪失者保護連盟の会長である全人と役員が座っており、観客席には、その他の企業関係者や、マスコミが座っている。

「それでは、我々喪失者保護連盟と雨岡新技術研究所による、雨島の未来を考える為の会議を開始します。僭越ながら、私、全人百木が、司会を兼任させて頂きます」

 全人が、開会を宣言し、大きな拍手に包まれる。その拍手が静まると、全人が話を続ける。

「壇上にいる我々の紹介は、モニターでさせて頂きます。それでは、まず、現状の雨島諸島ですが、これは、ANTが喪失者(ロスト)を投入し、制圧をしました。そして、そこに、研究機関や、喪失者(ロスト)育成の為の学園を設立し、ロスタイトの供給を行っております。口にするのは簡単です。ですが、この段階で、大きな問題が隠れています。天岡会長、お聞きします。ロスタイトの採取、それは、どうやって行われていますか?」

 全人の目的は、ANTを糾弾し、雨島諸島の全てを手に入れることだ。その為に、非人道的に行われている事の全てを、白日の下に晒そうと考えている。

「まず、ロスタイトとは何か。そこからになるが、ロスタイトとは、喪失獣(ロストビースト)の核と呼ばれている物質であり、小型であれば、頭に埋まっている小さな石ころサイズの物質だ。中型以上になれば、角のようになるがな。喪失獣(ロストビースト)を倒すと、その性質上風化し、核だけが残る。雨島諸島の封鎖領域と呼ばれる、喪失獣(ロストビースト)の生息地に入り、討伐を行い、ロスタイトの採取を行っている」

 天岡にとって、隠す事などなく、堂々と話した。

「そう、喪失獣(ロストビースト)を殺す事で、産出されています。そして、その役目を担っているのが、雨島学園の生徒だ。ANTは、守るべき子供達にそんな危険な事をさせている。これは、許される事なのか!」

 会場からは、われんばかりの拍手が鳴り響く。全ては、全人の手のひらの上だった。

「続けて聞きます。雨島制圧隊、彼らは、何者ですか?」

 ロスタイトの後に、この質問。会場にいるほとんどの者が、全人の意図がつかめなかった。

「それは、全人会長、貴方が一番よく知ってるはずですが?」

「ええ、調べさせて頂きましたから。当時、ANTが保護した、喪失者(ロスト)の少年少女達だ。現在、そこにいる護衛の少女と同い年と言う事を考えると、当時は、9歳か10歳というところですね。天岡会長、あなたは、そんな年端も行かない子供達に、ロストアイランドの制圧という、とても危険な事をさせた。それを理解しているのですか!」

 全人は、過去と現在に行われている、喪失者(ロスト)の少年少女を利用した危険な行為を咎め、雨島諸島の所有権を奪おうと考えていた。だからこそ、最初から攻め続けている。だが、天岡の一言で、状況が一変する。

「あれは、あの子達が望んだ物を手に入れる為に行った事で、ロスタイトの採取に関しても、生徒の自由意志に任せている」

 事実、当時ロストアイランドと呼ばれていた島を制圧したのは、ユニオンの意思であり、封鎖領域の探索も、チーム単位での意思だ。

 彼らが自らの意思で行った事であり、ANTは一切強制していない。

 けれど、全人からすれば、それは受け入れられることではなかった。

「そうですか、では、隣にいる護衛の少女に聞きましょう。大丈夫、何を言っても、君の安全は、保障します。ロスタイトの採取と天岡会長の護衛、それは、何故行っているのですか?」

 ほのかは、自分に発言の機会が回ってくるとは思っておらず、驚きをあらわにしていた。だが、それは、簡単な質問だった。

「ロスタイトの採取については、採取量が、収入に成りますし、封鎖領域は、監視網がしかれているので、学園側は、安全に配慮してますよ。天岡会長の護衛は、生徒会長に頼まれたので、引き受けました。本当は、会長達自身が来たかった見たいですが、忙しくて、これなかったと聞いてます」

 正直に答える。毎月のノルマは、学費分だけであり、残りは、チームの資産となる。そのノルマ自体、無理なく集められる量である。護衛に関しても、一切の強制は無かった。

 この答えに、全人は納得しなかった。だからこそ、追求を続ける。

「君、いくら天岡会長がいるからって、気を使う必要はない。思った事を、正直に話してくれ」

「本当のことを言っています」

「そんなはずは――」

 全人がそこまでいうと、天岡が口を開いた。

「全人会長、貴方は、何故ここにいるのですか?」

 全人は、発言の意味がわからなかった。

「何を突然、私は連盟の会長ですよ。喪失者(ロスト)の為を思っているからこそ――」

 突如、爆発音がした。会場は騒然となり、数人が外へでて状況を確認しようとするが、扉が開かない為、それは叶わなかった。

 けれど、一つ例外があった。

 正面の扉が切り刻まれ、崩れ落ちる。近くにいた人が、外へ出ようとするが、暗闇を彷彿とさせる黒い髪を持つ少年によって阻まれた。

 表情は良く見えない。だが、憎悪に包まれている事だけは理解できた。

 少年が席の中ごろまで進むと、壊された扉付近にいた人が外へでようとするが、黒い物体が開いた空間を塞ぐ。そのまま近くの男からマイクを奪い、離し始める。

「全人百木、どの口がそんなこと言ってるんだ」

「な……なんだね君は!ANTの差し金か」

 天岡やほのかも含め、壇上にいた全ての人間が突然の乱入者に、唖然としているが、天岡は、直ぐに我に返り、一つの事実に驚愕する。

「まさか……」

 その呟きは、ほのかにだけ届いた。そのお陰か、ほのかも、我に返ることができ、動き出そうとする。

「天岡会長、不審者を拘束します」

 乱入者に向けて飛び出そうとするが、天岡はそれを制した。

「やめろ。君では、敵わない」

「全人百木、第二喪失実験、それに、第四全人(ぜんじん)研究所について、覚えていないのか?」

 全人は、二つの名称に聞き覚えがあった。だが、その事実を理解できなかった。

「何が言いたい。お前、何なんだ」

「そうか、じゃあ、見せてやる。(さん)流してやれ」

 そういうと、会場のスピーカーから人の声が聞こえてくる。

「はいはーい。流しちゃうよー」

 ほのかは、この声に聞き覚えがあった。雨島の発電所を襲った少女の声だった。

 壇上のスクリーンが起動し、一つの映像が写し出される。

「第二喪失実験、その内容の一つだ」

 数人の研究員と、二人の子供が写し出される。声が出せないようにか、二人とも口を塞がれており、異能を使おうとすると、抑制の為に、電流が流れる首輪を付けられている。少年は、壁に拘束され、動けずにいる。少女は、手枷と足枷をされており、床に放り出されている。

 研究員が、データ採取と記録の為、マイクを使い録音している。

「あー、あー、えーと回数は忘れた。第二喪失実験を始めます。対象は、この兄妹。観察は兄の方です。それじゃあ、お前ら、始めろ」

 その合図と共に、研究員が少女の手足の骨を破壊する。

「――――――!」

 声にならない悲鳴を上げるが、研究員はやめようとしない。メスなどを使い、少女の体に傷を付けていく。

 少女は、反射的に異能を使おうとし、機械がそれを察知し、電流を流す。

「あっぶね。感電しちまうよ」

「その為の装備だろ。気にせず続けろ」

 研究員によって少女が弄ばれていく。少年もまた、抵抗の為に異能を使おうとするが、電流が流れ、力を使う事が出来ない。

「ほらほら、ガキ。大事な妹を助けたいんなら、早く2個目の異能に覚醒しろよ」

 第二喪失実験、それは、喪失者(ロスト)の覚醒条件と言われている感情を刺激し、複数の異能を持つ事が出来るかどうかを確認する為のものだった。

 実験とは名ばかりの、研究員のお遊びだった。

「班長、もう犯していいだろ」

「お前らそればっかだな。このロリコン共が」

 この映像が流れている会場からは、嗚咽の声が聞こえる。生中継をしているはずのマスコミは、カメラを止め、放送をスタジオに移している。

 それだけ凄惨な光景だった。

 ほとんどの者は、スクリーンから視線を外している。

「どうした?まだ映像は終わっていないぞ」

 画面に映っている兄の面影を持つ少年は、その様子を悟り、映像を見るよう促す。

影次(かげつぐ)ー、何も知らないやつに、その映像はきついって、キャハハ」

 わざとらしい笑い声を上げながら、スピーカーから声が聞こえる。

 少女は、この建物の、制御室を乗っ取っていた。

「傘、最後を見せてやれ」

「はいはーい」

 映像が早送りされる。だが、簡単な内容は見て取れた。その映像は、少女が延々と犯され続けている。

 早送りが止まると、一つの機械が写し出される。スクリーンに写る子供達は、既にぐったりしており、目は虚ろになっている。

「さて、ガキ、ここまで耐えた褒美だ。いいもん食わせてやる」

 研究員が、機械に少女をセットする。

 その映像を見ている人達の中で、料理の知識を持っているものは、そこから先を想像してしまい、何人かは、吐いていた。

「夜星君、画面を破壊できるか?あの映像はまずい。私が気を引くから、その隙に頼む」

 天岡は、流れている映像を知っているようで、その先を流すべきではないと判断した。

「わかりました」

 ほのかは、気付かれないように少しずつ力を溜める。

 天岡は、直ぐに行動に移す。

日之(ひの)影次(かげつぐ)本気でその映像を流す気か!稲穂(いなほ)(さん)映像を止めろ」

 日之影次は、天岡が自分達の名前を呼んだ事で、無関係を装えなくなると判断した。

 影次は、天岡に迷惑を掛けたくは無い。だが、全人のとった行動は、許せる事ではなかった。

「天岡さん、俺は、あいつを許せないんですよ。自分がしたことを棚に上げて、俺達によくしてくれた貴方を、一方的に糾弾するなんて……だから、あいつに、俺と同じ思いをさせる事にしたんです。邪魔しないで下さい」

 影次は、全人に向かって話を続ける。

「全人、知らないわけじゃないよな。お前の傘下の研究所なんだからな。だから、お前――」

 影次の注意は完全にそれていた。いや、最初からほのかに対して注意を払っていなかった。

 その為、ほのかの行動に気付くのが遅れた。スクリーンの背後に設置してある機械ごと破壊し、少女の悲鳴が鳴り響いていた映像が消える。

 影次は、ほのかを敵として認識した。

「お前は、俺の邪魔をするのか」

 影次の足元から、黒い何かが伸びる。それは、影の様だった。

 影の様な物体が、ほのかへと襲い掛かる。間一髪、その攻撃を避けるが、壁にいくつもの切れ目を入れることになった。

 回避のタイミングで、反撃を仕掛けるが、影の様な物体が、盾となり、攻撃を防ぐ。

「影次ー、だっさーい。映像止められちゃうしー。アハハハ。あれ、出しちゃいなよー」

 スピーカーを通し、稲穂(いなほ)(さん)が一つの提案をした。影次も、その内容こそが、当初の目的だった。

 影次の横に、影の様な物体が立ち上がる。そこから、一人の少女が転げ落ちた。

 その少女に対し、全人が反応する。

蜜柑(みかん)!お前、何が目的だ」

 全人の娘の一人だった。影の様な物体が枝分かれし、少女を吊り上げる。

「行ったはずだ。お前には、俺と同じ目にあわせると。それと、そこの女、外の仲間が心配なら、大人しくしてろ」

 ほのかは、息を呑んだ。影次達の襲撃からそれなりの時間が経っている。にもかかわらず、外からの干渉が一切ない。それは、今回の襲撃が、二人だけではない事を意味する。

 ほのかは、歯を食いしばり、大人しくするしかなかった。

「頼む、娘は助けてくれ。私は、どうなってもいい。頼む」

 全人の言葉を無視し、影次は、周囲へと視線を走らせる。

「その辺のやつ、お前らは研究員役だ」

 そう言いながら、少女を投げ込む。

 少女を受け取った全人の部下は、如何するべきか、戸惑う。

 戸惑うだけで、行動に移さない様子を見て、続けた。

「やらないなら、他のやつにやらせる。但し、お前らには死んでもらう」

 影の様な物体が全人の部下に襲い掛かる。血飛沫が舞い、人間の悲鳴が聞こえる。

 彼らもまた、天岡に危害を加えようとしていた一団であり、影次に取っては、どうなってもいい存在だった。

 影次の隣に、別の少女が現れた。それは、全人の娘の一人、姉の方だった。

「お前、桃まで!娘達を返せ」

 妹とは違い、姉には意識があった。だが、表情は青ざめ、吐き気を我慢している。

「姉の方には、さっきの映像を見せてある。お前がしたこと、全ても、教えてあるぞ」

「あの……お願いです。蜜柑だけは、助けてください。お願いします。何でもしますから……お願いします」

 影次にしがみつき、妹だけはと、懇願する。だが、影次は、それを無視し、話を続ける。

「さて、助かりたいやつ、姉の方が終わったら、やったやつは、助けてやる」

 それは、悪魔の囁きだった。少女を犠牲にすれば助かる。外から助けが来る気配も無く、その一縷の希望にすがるしかなかった。

 だが、天岡の一言が、その希望を掻き消した。

「影次、お前は、全人会長をお前と同じ目にあわせると言った。お前達は、あの研究所から逃げ出す時に、研究員を皆殺しにしている。ということは、誰一人、助ける気がないだろ!」

「何言ってるんですか。天岡さんは無条件で解放しますよ。それに、そこ女も、何もしなければ、殺しませんよ」

 それは、何をしようと、助からないという事だ。ただ二人を除いて。

 会場を絶望が襲う。外の様子がわからず、助けも期待できない。それは、容易に結末を予想させる。

 

 

 

 

 影次達が襲撃をする直前、会場の周囲三箇所から、衝撃が響き渡る。

 司達がいる辺りに、水色の髪の少年が現れた。

「君達が、天岡さんの護衛として派遣された喪失者(ロスト)か」

「誰だお前」

 司は、その雰囲気から、敵だと察した。

 空気が冷え切る中、司達は、ネクストを発動させる。

「Limit Break-Mode”THE NEXT”」

 四人に、オリジンの翼が生える。それを見て、少年は、微笑んだ。

「雨島学園は、そこまでいったか。なら、見せてあげるよ。Limit Break-Mode”THE NEXT”」

 少年の背中に、氷の翼が現れる。日の光を透過する、輝く翼だ。

 目の前の少年がネクストを発動した。それは、司達にとって、理解しがたい事だった。

「ネクスト……だと」

「ああ、自己紹介してあげる。僕は、水鏡(みかがみ)(つるぎ)。元雨島制圧隊構成チームShadowFangのサブリーダーさ」

 元雨島制圧隊、それは、司達が知るユニオンと同格の喪失者(ロスト)だいう考えに至る。司達は、ユニオンの全てを知っているわけではない。

「黒月生徒会長達の仲間……」

「元、だよ。僕達は、考えの違いから、袂を分かったんだ。とりあえず、足止めさせてもらうよ」

 氷の槍が精製され、司達に降り注ぐ。急所は外されているが、いくつもの傷が司達の行動力を奪う。

「燃えろ」

 司は、ギアを変化させ、迎撃にうつる。けれど、司の炎では、水鏡剣の氷を破壊しきれない。

 それは、実力の差だ。

 ギアを持った四人の喪失者(ロスト)、各自がネクストを発動させたとしても、ギアを持たない元ユニオンには、手も足もでなかった。

「無駄だよ。これが、絶対的な力の差だからね。凍れ!」

 司達の体を氷が覆う。瞬間的な攻撃に、身動きする隙すらなく、氷の中に閉じ込められる。

 剣は、そこで手を止めない。氷を砕く為に、さらなる一撃を加える。だが、その直前に、爆発が起こる。

 司が、炎に指向性を与え、氷の塊を打ち落とす。さらに、その余波を使い、自身を覆う氷を溶かす。

「げほ、げほ」

 短時間でも呼吸を止められており、全身が氷付けになっていた為、行動力を完全に封じられた。

 まともに動く事が出来ず、もはや戦闘とは呼べる代物ではなかった。

「剣、雨島の喪失者(ロスト)はそれだけか?」

 背後から別の声が聞こえる。

(けい)か、そっちは終わったのか?傘は突入しているはずだが」

 土生(はぶ)(けい)という少年、彼もまたShadowFangのメンバーだ。

 司達とは比べ物にならないほどの力をもつ人物が二人、それに対し、司達は、まともに動く為の力が残っておらず、絶体絶命というべき状態だ。

 そんな中、詩歌は、力を使い、自身の体を温め、二人に気付かれぬように、動ける状態を取り戻す。力を取り戻した段階で、司達にも同じことをしようとする、けれど、それは気づかれていた。

貯蓄型(チャージタイプ)か、大人しくしてもらおうか」

 圭が、土属性の異能を使い、詩歌を大地が飲み込む。匠が、助けようとするが、実力が違いすぎる為、その状態を覆す事が出来ず、倒れた状態の詩歌にのしかかる面積を、少し減らすに留まる。

 司は、無線を持っているが、既に通信が途絶えている。それは、警備員のほとんどが無力化されていることを意味する。

「なんで、こんなことをするんだ」

「復讐だよ。全人百木に対するね。君達は、雨島制圧隊について、どれだけ知っている?」

「黒月生徒会長とか八神さんとか、ユニオンに人達のことだろ」

「別に、誰が制圧隊のメンバーかって話じゃないよ。雨島学園を作る前の事だよ」

 雨島学園が出来る前、雨島制圧隊だったということすら、つい最近知った事である。それ以外のことなど、何も知らなかった。

「俺達が、喪失者(ロスト)に成った理由は、それぞれだが、ある研究所に集められた。その研究所は、第四全人(ぜんじん)研究所だ」

 第四全人研究所、それは、All Person HDの傘下企業の一つだ。だが、今は存在していない。数年前に、建物自体が消失し、そのまま倒産した企業だ。

「僕達は、そこでモルモットとして扱われていたよ。いや、モルモットの方が、待遇がいいかもね。研究員からすれば、異能を持った玩具だったよ。研究と称して暴行を受け、研究の後には、暇つぶしと称して暴行を受ける。そんな場所さ。だから、僕達は、そこを壊し、逃げ出した。研究員や、関係者を皆殺しにしてね」

 司達は、話が理解できなかった。いや、本能的に理解する事を拒んでいた。

 雨島学園という組織が無ければ、自分達も、同じ道を辿っていた可能性がある。その事実を、否応なしに突きつけられる。

「その後、天岡さんに助けられたんだ。詳しくしりたきゃ、紫苑にでも聞いてみな」

「圭、紫苑が教えるとは思えないよ」

 その時、遠くから、強い力が近づいてくるのを感じ取る。

「剣ー!」

 炎の塊が、接近してくる。

 その正体は、ElementalKnightsの赤月ほむらだ。

「やぁ、ほむら、一人かい?」

 気軽な挨拶をしながらも、異能による壮絶な打ち合いをしている。ほむらは、炎の弾丸を、剣は氷の槍を精製し、打ち出す。お互いが、攻撃を攻撃で防ぎ、ある種の均衡状態となっている。

「剣ー!」

「相変わらず、好かれてるな、剣」

「圭、手を出すなよ」

「安心しろ、別の客が来てる。二人逃したけどな」

 圭の方へ、二人の喪失者(ロスト)が現れる。

「圭、久しぶりだね」

「清一に鉄也か。二対一は無理だな。大人しくすれば、止まってくれるのか?」

 ElementalKhightsの和水清一と土師鉄也を前にし、圭は、自分の不利を理解してた。

「Linkageの四人の確保に一人、圭の対応に一人、そう考えれば、妥当だろ。余計な事するなよ」

 お互い、自分達が本気で戦えば、周りがどうなるか理解している。建物の中には、天岡がいる為、辺りを消し飛ばす可能性のある戦いは、したくなかった。

 だが、ほむらと剣の戦いは続いている。

「ほむら、強くなったね」

「剣、何で、雨島から……私達から離れた!」

 ほむらは、どこまでも熱くなる。周りを気にしないほどに。

「ダメだよ。周りがどうなってもいいのかい?」

「黙れ。Realization」

 ほむらは、ギアを変化させる。三本の爪を持つ、赤い手甲へと変化する。

「ギアか、荒々しいね。ならこっちも一つ使おうか」

 剣は、角のようなものを取り出す。二つの角が繋がった物体を。

 司達は、それに心当たりがあった。それは、ほむらもだ。

「大型喪失獣(ロストビースト)のロスタイト……」

「陸が近くにいたからね、一つ回収するのが、精一杯だったよ」

 それは、三笠陸が、バースト対応でALUに回収を任せた際に、気付かれぬように回収した物だ。

「武器として使えなくても、ブースターの代わりにはなるからね」

 剣が扱う氷を包むオリジンが増える。さらに、ロスタイトを核とし、氷剣を創り出す。それは、理性を失いかけているほむらにとって、最悪の出来事だ。

 ほむらの力も、ギアを通し、強化されている。だが、怒りに我を忘れ、細かな制御を手放しているほむらは、本来の力を使う事が出来ず、剣に押され始めている。

「なんで……なんで私を置いてったの」

 炎を纏った爪による連撃。だが、剣の持つ氷剣によって、全て捌ききられる。

「ごめん。でも、君達は許した。だから、許せなかった僕達は、雨島を出たんだ」

 剣達は、研究員を皆殺しにしたとしても、許す事ができなかった。ほむら達を傷つけた奴等、そして、自分達を犠牲にした研究で甘い汁をすすっていた連中、その全てに報いを受けさせるべきだと考えていた。

「ふざけるな。私は、剣がいるから許した。でも、いなくなったら、意味がない」

「そういって貰えると、嬉しいよ。でもね、だからこそ、今、君に邪魔をさせるわけには行かないんだ」

「なんで……なんで」

 ほむらは、泣いていた。ただ、目の前にいる剣に、感情をぶるけるしか出来ない。

 剣は、オリジンだけによる、純粋な力を腕に乗せる。ほむらの連撃を回避しつつ、着実に力を溜める。それは、ほむらの意識を刈り取るには、十分な量だ。

 その一撃を、正面からほむらへと叩き込む。

 一撃を受け、崩れ落ちる。だが、剣がほむらを支える。

 剣は、ほむらの目じりにある涙をそっとぬぐう。それが、二人の戦いの終わりを意味した。

「余韻に浸ってるとこ悪いけど、どうする?」

 清一が、剣に問う。

「僕は、ほむらを確保した。圭は鉄也と相打ち。清一、君はそこの四人の安全確保。なら、中に任せようか」

「異論はないかな。ここでやりあうつもりは、ないからね」

 外の戦いが終わり、中の様子を見守る事となった。

 

 

 

 

 会場では、参加した人達のほとんどが、絶望に支配されている。

 圧倒的な力を持つ喪失者(ロスト)によって、全てを支配され、助かる見込みがない。

 ただ、殺される為につれてこられた姉のすすり泣く声だけが響く。

「はぁ、傘、天岡さんと、護衛の女を連れて逃げろ。ここを壊す」

「ほえー。影次、いいの?」

「これ以上続けてもしょうがない。なら、さっさと終わらせよう。誰か来そうだ」

 遠くを眺めるように、影次が呟く。それに傘が続けた。

「影次ー。手遅れみたいだねー」

 その声と同時に、会場とスピーカーの両方から爆発が聞こえる。

「傘、大人しくしなさい」

(なる)ねえ、何でここに!」

 スピーカーから音が途切れた。施設が破壊され、その振動だけが響く。

「こっちにも来たか」

「そうだよ、影次」

 緑の小太刀を二振り手にした小柄な少女が現れる。

 その瞬間、邪魔になると判断し、足元で泣き崩れている人質の姉を、影の様なものを使い放り投げる。

稲穂(いなほ)(なる)と風花凛か、あの様子だと、外にも来ているのか」

 天岡は、冷静に状況を判断する。

「凛さんは、知ってるんですが、稲穂鳴って誰ですか?」

「恐らくだが、制御室を占拠したのが、ShadowFangの稲穂傘だ。そして、そこに突入したのが、その双子の姉である、稲穂鳴だ」

 天岡は、ほのかに状況を伝える。二人の襲撃者に対して、二人の戦力がやってきた。それにより、状況は一変する。

「凛、どうするんだ?」

「決まってるよ。僕がすることは、影次を殺す事だから」

 その瞬間、二つのギアを使い、切りかかる。ネクストを維持し、風を纏った高速の連撃を繰り出す。

 対して、影次もそれに合わせ、影の様な物体を使い、攻撃を防ぐ。さらに、凛の攻撃の隙に、攻撃を差し込む。

 凛は、影次の攻撃の全てを回避する。風を纏、宙を舞う。どんなに無理な体勢をとろうとも、絶対に防御をしない。

 それは、影次の異能を知っているからだ。

 全てを断ち切り、全てを防ぐ黒い影の正体を。

「どうした?俺を殺すんじゃないのか?」

「ぐ……」

 影次の挑発に、奥歯をかみ締める。覚悟は、とうの昔に決めている。しかし、頭では理解していても、心がついてこない。その為、攻めあぐねていた。

 影次の襲撃以降、会議の参加者は壁際に非難しているが、それが原因となり、攻撃の余波により壊れた壁が参加者に降り注ぐ。しかし、影次も凛も、周りに気を使う様子はない。

「しょうがない、使うか……Realization」

 影の様な物体から、小さな黒い棒を取り出す。それは、雨島学園の職員室から盗まれた、複鱗だ。

 それが、剣へと形状を変える。

 複鱗が影次の異能を纏い、巨大な刃となる。その一撃に合わせ、凛も小太刀に、高密度のオリジンを纏わせる。

 このとき、初めて、攻撃の際も、ギアと影の様な物体をぶつける事を拒んでいた凛が、影次の攻撃を、受け止めた。

 だが、影次は、一撃。それに合わせた凛の攻撃は、二つ。残りの一撃が、影次を襲うが、影の様な物体が、それを防ぐ。その瞬間、凛のギアが纏っているオリジンが、砕け散る。

 凛は、大きく距離をとり、ため息をつく。

「だから、いやなんだよね。不明型(アンノウレッジ)の一つ。領域」

 影次は、普段影を操るかのように力を使っている。だが、その異能は、影ではなく、領域であり、次元であり、空間そのものだ。

 空間の壁は、全てを遮り、次元の裂け目は、全てを断ち切る。それは、絶対の盾であり、絶対の矛であった。

「なら、どうする?」

「決まってる。全力で殺す。それが、あの時止められなかった僕が、今やるべき事だから」

 凛は、影次達が、雨島を出て行く日に、止める事が出来なかったことを、後悔している。だからこそ、影次が起こす騒ぎを、自らの手で止めようとしていた。

 意識を改め、さらなる攻撃を繰り出そうとするが、それが、仇となる。

 黒く染まった領域の壁が、凛を包み込む。凛は、その中に閉じ込められ、隔離された。

「凛、君は、とことんあまいよ。そんなところが、好きなんだけどね」

 そう呟くと、傘がいた方向を見るが、まだ続いているようで、先に自分の用をすますことにした。

「影次、戻ってくる気はないのか?」

 近づいてきた影次に対して、天岡が、説得を試みる。だが、今の影次に、天岡の言葉は届かない。

「天岡さん、ここまでやったんだ。今雨島に戻れば、迷惑を掛けてしまいます。だから、戻れません」

「お前達は私の子供も同然だ。だから、お前達の為なら、私は、何だってする。それは、今でも変わらん」

 影次は、天岡の言葉が嬉しかった。だが、この復讐は、やり遂げる。そう決めていた。

 ふと、周囲に妙な間隔を感じた。それは、自分の中からも感じ取れる。空気を吸い、肺が膨らむ。だが、膨らむだけで、体が酸素を取り込まない。そのまま息苦しさを感じる。凛なら、こういった攻撃も可能だ。だが、それを防ぐ為に、別の次元へ隔離した。黒い領域の内側にいる凛に、外側へ干渉する事は、不可能だ。

 だが、凛の言葉が聞こえる。

「影次、甘いよ。それに、ひどいよ。戻ってきてくれてもいいじゃないか」

「凛、だと……」

 風が渦巻き、人の姿を形どる。それは、凛だった。

「影次は、知らないよね。物質型(マテリアルタイプ)の第三段階。私達は、Evolution(エヴォルシオン)って呼んでるよ。自分が風になり、風が自分になる。そんな力」

「塞がれる瞬間に、脱出したのか」

 あの隔離した中にはいない。それは、隔離に制御を使う必要がない。そう考え、影次は、隔離を解除する。

「ちょっと早計だよ。全てが抜け出てたわけじゃないのに。でも、お陰で全部出てこれた」

 凛は、自身を風にしたまま漂う。肉体という枠に囚われないということは、物理的な攻撃を、ある程度は無効化できる。それは、全てを断ち切る影次の力にとって、相性が悪かった。

 凛の力は風を司る。風は、何処にでもあるもの。凛が風そのものになるということは、ありとあらゆる所から、攻撃が来るという事だ。

 ほのかは、かつて、全方位からの連続攻撃をしたことがある。だが、この光景は、それ以上だった。

「ゲホゲホ、くそ」

 影次自身と空気の全接点からのゼロ距離連続攻撃、それから逃げる事はできない。呼吸を奪い、息すら吸わせない。それは、確実に殺す為の方法。

「影次、ごめんね。でも、すぐ終わるから」

 手を握る。単純な動作だが、それは、影次を握りつぶす。空気が圧縮され、気圧が高まる。オリジンで強化しているとはいえ、その強化を超える圧力がかかれば、それは致命的な攻撃となる。

 空気との接点があるからこそ、その攻撃を受ける。影次は、その接点を断ち切る。

 自分自身を別の領域へ隔離する。

 その瞬間、影次は深呼吸する。体中が酸素を必要としている。それを補充するように、呼吸を繰り返す。

「その世界の空気を支配したとしても、この世界の空気まで支配できるわけじゃない。そういうことだろ」

 領域を超え、攻撃を繰り出す。だが、今の凛は、形を持たない。断ち切る攻撃が、通用しない。

 お互いが、相手に対する決定打を打てない。それは、膠着状態だ。

「影次、お互い、何も出来ないね」

「ああ、しかも、やっかいなのまできやがった」

 ユニオンは、ALUへの協力とバースト対応で出払っている。だが、バースト対応に行っているはずの、ElementalKnightsの全員がこの場所に来ている。だとすれば、他のバースト対応に行っているユニオンも、来れる筈だ。

 漆黒の禍々しい弾丸が打ち込まれる。その弾丸により、建物の屋根が、消し飛ぶ。瓦礫すら残らなかった。

「やっかいとは、ひでーな。なぁ、影次」

「刹那、重役出勤か?」

 八神刹那、不明型(アンノウレッジ)の一つ、複製を司る喪失者(ロスト)。自分達の為であれば、他者に対して、何をしても気に留めない。自ら汚れ役を引き受けるような存在。

 この状況で、影次に対して、致命傷を与える可能性を持つ存在だ。

「刹那、早かったね」

「なんなんだ!バーストの予定は調べ上げ、誰もこれないようにしたのに、なんで、こんなにもやってくるんだ」

 全人は、事態が自らの手を離れ、何度も状況が変わる。それに対して、我慢が出来なくなった。

 だが、刹那の回答は、いとも簡単だった。

「バーストの対応なんて簡単だぜ。光の柱が出てきた瞬間に、ぶっ壊せばいい。ただ、それだけだ」

 バーストを終わらせる方法は二つある。一つは、剥がれ落ちる破片が喪失獣(ロストビースト)となり、それを繰り返す事で、光の柱の自壊を待つ方法。もう一つは、喪失獣(ロストビースト)を無視し、光の柱を破壊する方法。だが、それが出来るのは、それ相応の実力を必要とする。しかし、ユニオンであれば、目を瞑ってでも出来る。

 刹那は、思い出したように付け足した。

「ああ、往復の方が時間くったな」

 影次は、刹那に対し、攻撃を開始する。だが、影次の攻撃は、刹那に届かない。

「攻撃されていない状態を上書きし続けているのか?」

「理由なんて、どうでもいいだろ。俺達に必要なのは、結果だ」

「意見がぶつかれば、徹底的にやりあう。そして、勝者の方針に従う。か」

 力による意思の決定、それが、ユニオンのルールだった。普段であれば、そこまでの対立が起きない為、滅多に行われない方法。

「お前が勝てば、好きに復讐しろ。何なら、手伝ってやる。俺が勝てば、戻って来い」

 刹那達ユニオンも、全人には、頭にきている。恩人である天岡への侮辱の数々。それは、許せる事ではなかった。

「だが、この距離で、全人への攻撃を防げるのか?」

「無理だな」

 刹那は、あっさりと答える。元々、全人を助ける気などなかった。

 そして、一つの案を出す。

「折衷案といこうぜ。とりあえず、紫苑がやられたように、目でもえぐっとくか」

「相変わらずだな。刹那。それで、天岡さんへの非礼をチャラにし、その後決着をつけるということか」

「刹那、影次、いくらお前達でも、全人会長への暴力は認めん」

 刹那は、自分のペースへと引き込み、話をまとめようとしていた。だが、天岡がそれを許さなかった。

「天岡さんに禁止されたら、今は痛めつけられないな。なぁ、影次、第二喪失実験の内容、全部流すってのでどうだ。ユニオンで拒否するやつがいれば、そいつの分は流さなければいい。物理的には生きてても、社会的には、完全に死ぬぞ」

 影次にとって、無理に自分達の意見を通そうとすれば、戦闘は避けられない。刹那との戦闘となれば、影次の力でも、天岡の安全は保障できない。だからこそ、この場では、引くしかなかった。

「わかった。場所を変えよう。俺が勝ったら、手を貸せよ」

 全人にとって、もはや助かる道は無かった。だからこそ、少しでも傷をつけようとした。

「そこのお前、私の部下を殺しただろ。その罪はどうやって償う!」

 その瞬間、刹那が指を鳴らすと、光景が変化した。

 会場が元に戻り、怪我が治り、死んだはずの部下が、生き返る。それは、訳がわからなかった。

「刹那、珍しいな。死んだやつを生き返らせるなんて」

 八神刹那・空宮あやめ・四谷命、この三人は、それぞれの方法で、何かを元に戻す事が出来る。それは、死者とて同じ事。だが、死んだ人間を生き返らせることは、しようとはしない。それは、理由があった。

「人格が、本当に同じとは限らない。俺の場合、生きている状態を貼り付けてはいるが、俺の無意識下の影響を受けている。近い人間なら、確実に差異に気付く。だがな、あいつらがどうなろうと、しっちゃこっちゃない。そう思えば、やるさ」

 影次達による被害を消す。そうすることで、この事件をなかった事にする。そういう目論見があった。

 全てが元通り、襲撃が起こる前に戻った。だが、人の記憶は消えていない。影次が流した映像の記憶。そして、高位の喪失者(ロスト)の異能。それは、潜在的な恐怖を植えつけるには十分だった。

 刹那は、全人の前へ現れ、問う。

「さて、喪失者保護連盟会長全人百木、どうする?」

 この状況、何を言ったところで、どうにもならない。それは、わかりきっていた。どこかに訴えようにも、実験の映像を流されれば、味方をするものはいない。だからこそ、諦めるしかなかった。

「諦める、すまなかった」

「謝る相手は……違ってはないと思うが、今は違う。しっかりと謝っとけ」

 刹那は、それを合図に撤収を開始する。その中には、影次達も含まれていた。

「刹那!お前、何処まで予想してた?」

「何の事ですか?」

 刹那は、しらを切る。だが、一つだけ確かな事を呟く。

「ユニオンが揃った。でも、前は勝てなかった。だから、期待してるぞ」

 その視線の先には、ほのかがいた。

 

 

 

 

 数日間、世間は大騒ぎだった。雨島学園より提供された第二喪失実験の映像により、All Person HDと、その関連企業は、大打撃を受ける。世論は、喪失者(ロスト)を擁護する方向へ動いていた。

 そして、雨島学園では、別の騒ぎが起きていた。数日間に渡り、7の島方面で、戦闘が繰り広げられていた。だが、それが、誰によるものかは、伏せられている。

 雨島学園が、夏休みに入ってから数日後、生徒会室に六人の生徒が集まっている。

 生徒会長である黒月紫苑、風紀委員長である双月氷華、LostWingリーダー・八神刹那、ElementalKnightsリーダー・風花凛、七星・リーダー双月氷夜、ShadowFangリーダー・日之影次、彼らは、ユニオンを構成する中でも、重要な位置にいる。

「とりあえず、ShadowFangはElementalKnightsの監視下に置かれるってことでいいな」

「異論があっても、従うしかないだろ。俺は負けたんだからな」

「そうだよー、影次、僕の監視下に置かれるんだからねー」

「氷華、俺の監視下に置かれないか?」

「黙れ、バカ兄貴」

「皆さん、雑談はそのあたりにしましょう。全員で集まると、収拾がつかないので、人数を絞ったのですから」

 紫苑が、話を進めようとする。そして、一つの議題を示す。

「バーストの解析は、ほぼ終わっています。確度の高い予測を出せるでしょう。ただ、バースに関しては、データが1件しかないので、バーストとの比較しか出来ていません」

「とりあえず、バースの可能性がある場合は、最優先で潰すしかないな」

「ええ、そういうことです」

「確か、ミズチって呼んでたな。あの神獣型」

 神獣型喪失獣(ロストビースト)、それは、大型喪失獣(ロストビースト)をはるかに越える存在だ。一度だけ発生したバースによって生まれた存在だ。ユニオン全員で戦ったが、倒す事が出来ず、知能を持っていた為、いくつかの代償を払い、和解に成功した。

「そういえば、影次達が、出て行く少し前でしたね」

「ああ、あれは、やばかったな」

「今は、7の島の近くの海域で寝てるぞ」

「そのかわり、近寄れなくなったけどね」

 7の島周辺を提供したが、近づくものの安全は保障されない。それが、ミズチとの契約内容の一つだ。

 だが、それは、現れた神獣型喪失獣(ロストビースト)を倒せていない事を意味する。

「第三段階でも、無理なのか?」

「あれは、タイプによって違うんだよ。それに、長所を思いっきり伸ばすが、極めつけの弱点を作っちまう」

 影次達を除き、全員が第三段階に到達している。だが、その力は、使いどころを選ぶものだ。

「とりあえず、現状の確認は、終了しました。後は、彼女らの成長に期待しましょう」




こんにちは

一つ言い訳を
こんなに長くなるはずじゃなかった!
書き終わってから、分けようかとも思いました。ですが、一連の流れで書いたので、分けるとぶつ切りになってしまうので、分けられませんでした。

こんなに長い話にお付き合いいただき、ありがとうございます。
これからもお付き合いいただけると、幸いです。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。